eBayの返品申請である「リターンリクエスト」を受け取ると、利益が減るだけでなく、セラーとしての評価も下がってしまいます。そのため、eBayを使って物販を行う方は、正しい対処方法をしっかり把握しておく必要があります。
そこで今回は、eBay取引でリターンリクエストを受け取った際の対処方法を詳しくご紹介します。また、返信メッセージの例文もご紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。
eBayのリターンリクエストの基礎知識
まずは、eBayにおけるリターンリクエストの基本的な情報について詳しくご紹介します。
リターンリクエストとは?
リターンリクエストとは、バイヤーがセラーに対して行える返品申請システムのことです。eBayで購入した商品に対して、商品到着後最大60日以内に返品手続きが申請できるようになっています。
もし、セラーがリターンリクエストを無視したり、不誠実な対応をしたりした場合は、eBay運営が問題解決に介入し、全額返金を要求されることもあります。 そのため、リターンリクエストを受け取ったときは、迅速かつ丁寧な対応が求められます。
拒否することもできる
リターンリクエストは、内容次第では拒否することもできます。
たとえば、リターンポリシーの期限(商品到着後最大60日)を過ぎたリターンリクエストに対しては拒否することが可能です。
ただし、拒否することで低評価をつけられる可能性もあるため、できるだけ拒否せず、適切に対処する方が良いでしょう。
対処方法は総合的に判断する
リターンリクエストが来たら、すぐに全額返金しなくては…と考える方もいるかもしれませんが、対処方法は返品理由や状況を総合的に判断して考える必要があります。
まずはバイヤーにメッセージを送るなどして冷静に対応しましょう。
ただし、方法をあれこれと考える間にバイヤーがeBay運営に訴えることもあるので、できるだけスピーディ―に行動するように心がけましょう。
リターンリクエストを受け取った場合の対処法
ここでは、リターンリクエストを受け取った場合の具体的な対処方法についてご紹介します。
リターンポリシーを確認する
まず、eBayの商品編集画面で、自分の設定したビジネスポリシーが「返品可」または「返品不可」であるか確認しましょう。
商品編集画面を下にスクロールすると、SHIPPINGの下にPreferencesという項目があるので「Your setting」の横の鉛筆マークをクリックしてください。
「Returns」のReturn policyから確認できます。
ビジネスポリシーを返品可に設定している場合は、原則的にいかなる返品にも応じる必要があります。
また、返品不可の場合でも商品が説明と異なるなどセラー側に問題がある場合は、返品しなくてはならないことがあるので注意しましょう。
4つの対応方法から選択する
リターンポリシーを確認したら、以下の4つの方法からベストな方法を選択しましょう。
- 返品を了承…返品配送の手配および返金を行いリクエスト完了
- 全額返金/商品は送り返さない …自動返金でリクエスト完了
- 一部返金/商品は送り返さない…バイヤーからの一部返金依頼を受けて返金し、リクエスト完了
- 返品ポリシー対応外…返金リクエストを却下してリクエスト完了
デフェクトと判断される基準
リターンリクエストでディフェクト(商品の欠陥)と判断される基準はどのようなものでしょうか?
様々な状況を例にご紹介しましょう。
【商品が説明と異なる場合】→ディフェクトに該当し、返品に関する費用はセラー負担
例)
- 商品が動かない
- 商品に不具合がある
- 商品が破損している
- パーツ、付属品が不足している
- 偽物
【バイヤーの個人的な理由による場合】→ディフェクトに該当せず、セラー側がリターンポリシーを返品可にしていない限り、 返品に関する費用はバイヤー負担
例)
- 間違ったサイズを購入した
- 商品が必要なくなった
全額返金した方が良い場合もある
リターンリクエストが来たら、すぐに全額返金せずに、できるだけバイヤーとコンタクトを取ることが必要ですが、中には全額返金をした方が良い場合もあります。
たとえば、海外からの返品や、単価の安い商品の返品など、返品送料の方が商品代金よりも高くなる場合です。
このようなときは、早めに全額返金する方が損失を少なくできるほか、返品対応にかかる手間や時間も削減できます。
返品用ラベル
海外バイヤーからの返品に日本人セラーの返送料負担で応じる際には、「返品用ラベル」の発行を頼まれることがあります。
返品用ラベルとは、米国セラーがUPSを利用して事前に返送料を支払った際に発行されるものなので、日本人セラーが発行することはできません。
この場合、事前に送料分をバイヤーへ返金することもできますが、一旦はバイヤーに送料を負担してもらって、返品を受けた後に商品代金と併せて送料分も返金するほうがおすすめです。
リターンリクエストで損失を軽減する方法
リターンリクエストを申請されると、どうしても利益が減少します。しかし、工夫次第では損失を軽減させることは可能です。
そこで、リターンリクエストの損失をできるだけ減らすための方法についてご紹介します。
損害補償を適用する
配送中に商品が破損した場合は、配送業者の損害補償を適用できます。
損害補償により、商品代金の全額または一部を支払ってもらうことで、損失を抑えることができるのです。
たとえば、日本郵便の場合、
国際eパケット |
---|
上限6,000円の補償 |
国際スピード郵便(EMS) |
---|
商品が破損、不足している場合、上限200万円の賠償 |
価格が2万円を超える商品の場合、商品の価格に応じた額を補償 |
これらの損害補償を積極的に活用して、少しでも損失を軽減しましょう。
損害補償を適用するにはダメージレポートが必要
商品の損害補償を受けるには、バイヤー側に次のような「ダメージレポート」を提出してもらう必要があります。
このダメージレポートを海外と日本の郵便局に提出し承認が下りれば、補償が受けられることになります。レポートがない場合は補償が受けられない可能性もあるので、必ずバイヤーに提出を依頼しましょう。
一部返金を依頼する
全額返金は、セラー側にとっては非常に痛手です。また、商品の返品もバイヤー側にとって手間や時間もかかるうえ、一時的に送料を負担しなければならないなどデメリットがあります。
このような場合は、返品の必要がない「一部返金」をバイヤー側に提案してみましょう。セラー側は損失を軽減でき、またバイヤー側も面倒な返品手続きや送料負担の必要がなくなることから、双方にとってメリットが大きいと言えるでしょう。
仕入れ元に返品する
バイヤーから返品された商品は、仕入れ元に返品すれば損失を軽減することが可能です。
返品された商品を放置していれば損失が増えるばかりですが、このようなシステムを利用すれば、少しでも損失を回収できるのでおすすめです。
フリマアプリなどで売却する
仕入れ元に返品できない場合は、フリマアプリやオークションサイトに売却するのも良い方法です。
比較的状態が良い商品であれば、買い手がつくことも期待できます。また、手早く現金化できるため、金銭的損失を多少なりとも抑えることが可能です。
とにかく行動を起こすことが大事
リターンリクエストを申請されると、利益の損失は免れません。しかし、リクエストされたまま何の行動も起こさなければ、損失はどんどん膨らんでしまいます。
まずは損害賠償の適用をはじめ、一部返金の依頼や仕入れ先への返品、フリマアプリの売却といった行動を起こすことが重要です。
積極的に動くことで、少しでも返品による損失を軽減していきましょう。
リターンリクエストへの返信の例文
リターンリクエストが申請されたとき、バイヤーにどう返答すれば良いかわからないという方もいらっしゃるでしょう。
そこで以下では、リターンリクエストに対する返信文の例をご紹介します。海外のバイヤーに対する英文での返信もあわせてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
一部返金を提案する場合
【日本語文】
お世話になります。
先日はご購入いただきありがとうございました。
また、この度は商品に不具合があり大変申し訳ございません。ただちに返品手続きをさせて頂きます。
なお、商品はそのままお使い頂き、一部金として●●円を返金する「一部返金」の形を取らせて頂けないでしょうか。もちろん商品が不要の場合は、無料で返品対応をさせて頂きます。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
【英文】
Thank you very much for your recent purchase.
We are sorry for the inconvenience caused by the inadequacy of the product you purchased. We will immediately respond to the return.
Before responding to returns, let us offer you a partial refund. If you accept it, we will give you a partial refund of XX yen and you can use the item as it is. If you do not need the item, could you return it to us. We will bear the shipping fee. We would really appreciate it if you could consider it.
一部返金せずに返品してもらう場合
【日本語文】
下記の住所まで最寄りの郵便局から商品の返送をお願いいたします。 なお、発送後に追跡番号のご連絡をお願いいたします。 商品到着後、送料と商品代金をお支払いします。
【英文】
Please send the item back to the address below from your nearest post office and contact us for the tracking number after shipping. After receiving the item, we will pay the shipping fee and the price of the item.
商品を返品してもらう場合
【日本語文】
商品は厳重に梱包して発送してください。返品された商品が販売時の状況と異なる場合、全額返金ができない場合があります。
また、発送後は追跡番号をご連絡ください。商品到着後、商品状況を確認次第返金させて頂きます。
なお、返送料はバイヤー様のご負担となります。
【英文】
Please pack the item securely and ship it back to us. If the item is not in the condition it was originally shipped out to you, a full refund may not be possible.
Also, let us know the tracking number after shipping. We will refund you as soon as we receive the item and confirm its condition.
Please note that buyers are responsible for return shipping costs.
返金ラベルの発行を断る場合
【日本語文】
私は日本人セラーのため、eBayで返送ラベルを発行することができません。
送料の領収書をメールで送信して頂ければ、商品代金とあわせて返金いたします。
【英文】
I am not able to issue a return label on eBay because I am a Japanese seller.
If you email me a receipt for the shipping cost and I will refund it along with the price of the item.
リターンリクエストの対処方法を把握して損失を防ごう!
今回はeBayのリターンリクエストについてご紹介しました。
ECビジネスに関わる限り、リターンリクエストは回避できません。もっとも、適切な対処方法を把握した上で迅速に対応すれば、利益の減少や評判の低下を防ぐことはできます。
また、リターンリクエストに対する対応方法にも様々あり、損失を軽減する方法もあるため、状況を総合的に判断して対処することが肝要です。
今回ご紹介した情報を参考に、eBayのリターンリクエストへの知識を深め、いつリクエストが来ても冷静かつ迅速な対応ができるように準備しておきましょう。