Amazon FBAは、梱包や発送、カスタマー対応まで一貫してAmazonに依頼できるので、とても便利です。しかし、購入者からの評価については、出品者自らが対応しなければなりません。
購入者からの評価が悪ければ、上位表示が難しくなるため新規ユーザーが獲得しにくくなり、売上ダウンの可能性が高まります。ところがAmazonでは、現実とは異なる理由でいたずらに悪い評価をつけられることがあります。これを放置すると、さらに評価を下げる要因となりかねません。そこでポイントとなるのが、評価の削除です。
Amazonでは、評価の削除を依頼できるシステムがあります。具体的には、Amazonに依頼する方法と、購入者に直接頼む方法があり、削除だけでなく高評価に変更依頼することも可能です。
そこで今回は、Amazon FBAでの評価を削除する方法やその際の注意点、また削除依頼が承認されなかった場合の奥の手についてもご紹介します。
Amazonの評価システム
まずは、Amazonの評価システムについて解説していきます。
Amazonの評価は2種類
Amazonでの評価は、2種類あります。
1つは、購入者が出品者を評価するもの。
もう1つは、商品に対しての評価です。
自分たちで製造したものでない限り、商品自体に対する評価が悪くても根本的に修正することは難しいでしょう。
今回取り上げるのは、出品者への評価です。出品者への評価は、星マークでのランク評価とレビューによるコメント評価があります。
評価のランク
Amazonでは、出品者に対する評価を5段階に分けています。
星5が最良の評価です。4、3、2と続き、1が最も低い評価となります。こう聞くと、星3くらいを獲得できればまずまずと思うかもしれません。しかし、Amazon側はそのようには評価しません。
星5と4は、良い評価とみなされますが、星3~1は、すべて悪い評価に分類されます。
特に星1と2は注文不良率の悪化につながるので、最悪の場合アカウント停止処分となることもあるので要注意です。
具体的には、直近30日・90日・365日、および全期間における全体の評価に対する良い評価(星5または4)の割合が判断指標となります。後に詳述しますが、この割合が85.49%以下になると、Amazonからの評価は最悪となります。初心者からすると、これは驚くべき数値かもしれません。しかし、これが世界トップのECプラットフォーム・Amazonのスタンダードなのです。そのため、出品者には、星5か4を死守する姿勢が求められると理解しましょう。
購入者から高い評価を得るにはどうすれば良いかについては、以下のページをご参照ください。
購入者は買った商品1点に対して1回だけ評価することが可能で、該当注文の完了またはキャンセル後、出品者を評価するボタンが通常48時間で注文履歴に表示されます。
なぜ高い評価が必要なのか
この項目では、Amazon FBAで高い評価を受ける必要性についてご説明いたします。
アカウントの健全性向上のため
Amazonでは、購入者からの評価を数値化し、その高さによってアカウントの健全性を測っています。健全性が高ければ、Amazonや購入者への貢献度の高い、優良な出品者とみなされるので、ビジネスチャンスが広がります。
具体的には、先ほど説明した5段階の評価基準をもとに、「良い評価(星5または4)」がどのくらいの割合を占めるかをチェックします。
例えば、購入者からの評価結果が以下のような場合、良い評価の割合は、(80+15)/100=95%となります。
- 星5:80件
- 星4:15件
- 星3:2件
- 星2:2件
- 星1:1件
この割合を、Amazonでは、以下の4つの基準で評価します。上記の例の場合は、95%のため、「高い」となります。
- 98.5%以上→非常に高い
- 98.49~96.5%→かなり高い
- 96.49~85.5%→高い
- 85.49~0%→普通
カート取得率やFBA配送の権利などは、これらのアカウント健全性の細かい指標が関わってくると言われているため、少しでも良い評価を維持することが大切です。
ここで1つ注意すべきなのは、購入者からの評価件数が少ない場合、1件の星の数に健全性を評価する数値が大きく左右されるという点です。
よって、購入者からは多めの評価件数を集める方が好ましいという点もしっかりと押さえておかなければなりません。
また星1、2は注文不良率( 低評価数 / 全体の注文数との割合)の指標に影響を与えるため、低評価が増えていくと、アカウント停止・閉鎖に至ってしまう場合もあります。
レビューが需要を左右する
特に初めて商品を購入する際、出品者に関するコメント評価を参考にする購入者は少なくありません。出品者評価に良い内容が書かれていれば、それだけ新規顧客を呼び込んだり、コンバージョン率を高めることができます。
逆にコメント内容が悪ければ、新規顧客の取り逃しに直結することもあるので、好ましくありません。
Amazonが評価削除に応じる条件
前述の通り、Amazonでは購入者からのコメント評価を削除するシステムが存在しています。具体的には、Amazonに依頼する方法と、購入者に直接頼む方法です。
それでは、Amazonはどのような場合に評価削除に応じるのでしょうか。この項目では、Amazonが評価削除に応じる4つの具体的な条件について解説します。
低俗で暴力的なコメントが含まれている場合
Amazonでは、コメント評価の内容に、卑猥で低俗な表現や、出品者の人格を否定したりAmazonを冒涜するなどといった言葉が含まれている場合は、削除の対象として審査します。
ネットでは、口コミやレビューは短時間で多方面に拡散されるリスクがあります。これによりサイト全体の品位が下がるケースがあるため、Amazonでは迅速に対処することが多いです。
この点を強く主張すれば、出品者自身にとって不利益となる評価を削除してもらえる可能性が高まります。
個人情報が含まれている場合
コメントの中に、出品者の実名や住所、メールアドレスなどの個人情報が含まれている場合は、削除の対象となります。
コメントがほぼ商品レビューの場合
コメントは、基本的に出品者の対応や売り方などが対象となるため、商品レビューばかりが記入されている場合も削除対象となります。
例えば、「○○社のフライパンと比べると、重くて料理の仕上がりも悪く、美味しくなかった」という場合です。
ただし、似たようなコメントでも「届くのが遅かった。○○社のフライパンと比べると、重くて料理の仕上がりも悪く、美味しくなかった」のように、出品者の不手際について言及されている場合は、削除の対象になりません。
Amazonが出荷した場合
上記のように出品者の不手際に対するコメントがある場合は、削除の対象になりません。ただし、FBAでAmazonに梱包や発送を一任している場合は、削除の対象となります。
その際は、「Amazonから出荷されたため、この出荷サービスはAmazonが責任を負います」という表示が掲載されます。
評価の削除依頼の方法
この項目では、実際に削除依頼をする方法を、Amazonに依頼する場合と、出品者に依頼する場合の2つに分けて解説していきます。
Amazonへの削除依頼
先述した4つの条件のどれかに該当する場合は、Amazonに削除依頼ができます。
まず、セラーセントラル画面で「パフォーマンス」>「評価」に進みます。
遷移画面の右側やや下にある「最近の評価」から、削除して欲しい評価を選択します。さらに「アクション」>「1つ選択してください」>「削除を依頼」を選びます。
「受け取った評価は上記の基準(先ほど示した4つの条件のこと)を満たしていますか?」と尋ねられるので、「はい」をクリックしてください。
これでAmazonへの削除依頼手続きは終了です。
削除依頼が認められなかった場合の対応
Amazonに評価の削除依頼をして、無事削除が完了した場合は、その旨を知らせるメッセージが表示されます。
失敗した場合も、同じくその旨を知らせる通知がきます。
ただし、そのまま諦める必要はありません。Amazonの判定に対して不服がある場合は、奥の手として、抗議文という形で再度削除の要望を訴えることができます。
「対応中のケース」の画面の「返信」を選び、メッセージを入力して送りましょう。
抗議文の内容
特に初めての場合は、抗議文をどのように書けばよいのか、戸惑うかもしれません。
FBAを利用している場合で、梱包や到着の遅延などAmazonに責任がある場合は、一回の削除依頼で100%成功します。
そうでない場合、先ほど挙げた4つの条件の1番目「低俗で暴力的なコメントが含まれている場合」の部分に絡めて抗議するのが、最も有効です。残りの2つの条件の個人情報や商品レビューについては、主張できるポイントが限られているので、再度の削除依頼は難しいでしょう。
抗議文のポイントとしては、納得のいかない購入者のコメントの中から「出品者やAmazonのルールなどを冒涜する内容」に当たる部分を最大限訴えることです。
特に、事実と異なる購入者自身の勝手な思い込みが浮き彫りにできれば有効です。あくまでも矛先は購入者のコメントであって、承認してくれなかったAmazon側に向けないように注意してください。表現を丁寧にして、貴重な時間をもらうことへのお礼、今後、同じケースを繰り返さないように細心の注意を払う旨などを添えると、Amazon側の印象が良くなります。
購入者への削除依頼
Amazonに評価削除を依頼して承認されない場合でも、購入者に直接頼む方法もあります。
評価を下した本人に直接その撤回を求めるのは気が引けると感じる方もいるかもしれません。しかし、購入者の中には、あまり深く考えず、感覚的に評価しただけ、という場合も少なくありません。
特に星については、何ら問題がないと感じていても「3」をつけるケースがあります。出品者としての経験がなければ、ごく普通の行動かもしれません。しかし、出品者にしてみると、「3」と「4」は大違いです。しかも、評価の件数が少ない場合、この評価の違いの積み重ねが、後々大きく物を言ってきます。
ランクの低い評価については、こまめに削除や修正を依頼する方が賢明でしょう。
購入者への削除依頼の方法
購入者に直接評価削除を依頼する方法を、順を追って見ていきましょう。
まず、セラーセントラルの画面から、「注文」>「注文管理」に進みます。
遷移画面で、今まで受けた注文に関する情報が表示されます。ここで、削除を依頼する購入者名を選びます。
購入者に連絡できる画面が出たら、該当する件名を選択してメッセージを書き込んで送ります。
購入者へのメッセージ内容
購入者へのメッセージは、評価が「星3」の場合と「星1または2」の場合で異なってきます。
まず「星3」の場合、多くは重大な問題が発生しているとは考えにくいです。よって、以下のポイントを抑えてメッセージを送りましょう。
- Amazonでは星3は低評価となり、健全なショップ運営に支障をきたす可能性があるので、いったん削除のうえ、星4または5に再評価してもらえるとありがたい旨を伝える。加えて、コメント評価も気になる点があれば、削除または修正を依頼してみる
- もし改善すべき点があれば、対応に鋭意努力する旨を伝える
- 問題がないようであれば再評価してもらいたいとの旨を伝える
- 評価の削除と再評価の方法を伝える
購入者側は「フィードバックが完了しました」ページの「削除」より評価の削除が可能です。注文履歴からは別の商品の「出品者を評価する」ボタンを押して、「フィードバックが完了しました」タブをクリックすることで、同じ画面が表示されます。
購入者には「アカウントサービス」>「注文履歴」>「出品者を評価する」ボタンから再度評価し直してもらいましょう。面倒な手続きをお願いすることになるので、メッセージはできるだけ丁寧な表現を使ってください。
「星1または2」の場合は、注文に関して大きな不満を持たれている可能性が高いため、平身低頭に返金を条件として削除依頼するのがよいでしょう。
- 不手際があったことを丁寧に謝罪する
- 返金対応させていただく旨を伝える
- 今後同じ過ちをしないための対策を伝える
- 評価の削除か再評価を確認次第、返金する旨を伝える
- 評価の削除と再評価の方法を伝える
購入者からの返信をマメに確認
購入者に削除依頼をした後は、相手からの反応を待ちます。無視される場合もあれば、何らかのメッセージが届く場合もあります。
こまめにチェックして、返信が来たら、時間をおかずに可能な限り速やかに対応してください。
評価依頼も積極的に行う
考え方によっては、そもそも購入者が評価してくれるのは、ありがたいことです。たとえクレームであっても、それをきっかけによりサービスを向上させることができるかもしれません。
むしろ評価件数が少ないと、1件の評価でもアカウントの健全性評価を大きく左右するので、少しでも多くの評価を集めるためにも、商品を発送する際にメッセージカードを同封したり、発送後にお礼メールを送ったりして、評価してもらえるように積極的に依頼するのがおすすめです。
削除依頼をする際の注意点
この項目では、購入者からの評価の削除を依頼する際に、注意するべきポイントについて伝授いたします。
削除依頼は原則90日以内
Amazonへの削除依頼は、購入者によって各注文への評価がなされてから90日以内というのが原則です。これを超えると、いかなる理由があっても評価の削除は依頼できなくなるので注意しましょう。
削除依頼する曜日や時間帯で結果が変わるのか?
Amazonへの評価削除の依頼について、かつては、「平日の日中は承認されにくい」「日祝の夜間なら100%承認される」といった噂がありました。確かに数年前はロボット判定で削除される時間帯があったことは事実です。
ただ現在は基本的には、いつ依頼をかけても結果が変わることはありません。それよりもルールに従って、誠実に削除を訴える方が大切です。
削除依頼は評価管理から
Amazonへの削除依頼は、セラーセントラルの「評価管理」から行うのが大原則です。
それ以外の方法で依頼をかけると、アカウント停止など厳しいペナルティーが課せられる可能性があるので、くれぐれも気をつけてください。
まとめ
今回の記事では、Amazon FBAで評価の削除を依頼する方法について詳しくお伝えしました。
Amazonで出品をしていれば、十分に注意を払っていても、厳しく評価されることがあります。正当なものもあれば、身に覚えのない単なる嫌がらせの場合もあるでしょう。しかし、今回ご紹介したようにその評価を削除する方法があるので、厳しい評価にめげずに積極的に削除を依頼して、さらなるサービスの向上を目指しましょう。