自動車は非常に高額であるため、中古車転売は他商材と比べると極端にライバルが少ない市場と言えます。販売先が海外となる中古車輸出ビジネスだと、さらにライバルは少なくなります。
中古車転売は仕入れに高額な資金が必要で、不良在庫を抱えた時の赤字リスクが大きいと思っている人が多いですが、それは国内転売の話です。海外に売る・輸出する中古車輸出ビジネスの場合は無在庫転売ができるため、赤字になるリスクはほとんどありません。
今回は、個人で中古車を輸出販売するとして中古車輸出ビジネスを解説します。
中古車の海外輸出ビジネスは簡単?個人でもできる?
中古車輸出ビジネスはハードルが高いイメージがありますが、実際はそうでもありません。
中古車輸出ビジネスでは店舗は必要ない
街にある中古車販売店のように、土地や店舗を借り、従業員を雇って事業を行うことは非常に難しいですが、個人でebay輸出などを通して中古車を海外に売る・輸出する場合は店舗は必要ありません。
そのため、中古車輸出は土地の賃借料を始めとした必要経費はほとんどかかりません。ネットを使えば集客も簡単です。
中古車輸出ビジネスではビジネス英語は必要
これが個人輸出最大の障壁と言えます。
しかし、ebay輸出などの取引で必要な外国語は限られています。定型文だけ覚えれば、一応取引することは可能です。
もっとも、クレームに対応するとなると、やはり外国語の知識が必要です。翻訳アプリも完璧ではないため、外国語ができるスタッフを雇うことをおすすめします。
中古車輸出ビジネスセミナーには注意!
最近は中古車輸出ビジネスのノウハウを教えるセミナーが各所で開催されていますが、受講はおすすめできません。
なぜなら、高額な参加費を取られる上、本当に稼げる保証がないからです。
また、この手のセミナーで入手できる「売れる車の情報」は当てになりません。なぜなら、その情報が本当なら、その情報を持っている人が自らその情報を使って市場を独占するはずだからです。
逆に、本当に売れる車に関する情報を持っている場合でも、それを受講生にリークする講師はいないでしょう。情報をわざわざ外に漏らして自分の儲けを減らすようなことをする人は普通はいないからです。
以上より、中古車輸出のセミナーなどで公開されている情報はすでに古いと思ってください。
仮に稼げたとしても、売上の何割かはインセンティブとして徴収されてしまいます。
中古車海外輸出ビジネスは個人で出来る
日本の中古車は、以下の理由から世界で人気があります。また、中古車輸出ビジネスは企業よりも個人の方が稼ぎやすいと言われています。
日本の中古車は状態が良い
どんなに人気の車種でも、状態が悪ければ高く売れません。その点、日本の中古車は世界的に見るとかなり状態が良いため、海外に売る場合、高く売れやすい傾向があります。日本の中古車の状態が良い理由としては以下の3つが挙げられます。
(1)定期的なメンテナンス
日本では2年ごとに車検があるため、定期的にメンテナンスが行われています。そのため、中古車といえど品質の良い車が多く、買い手が付きやすくなっています。
(2)日本人の車の扱いが丁寧
欧米では車に汚れや傷があっても気にしない人が多く、乗り方も乱暴な傾向にあります。しかし、日本人は車を非常に大事に扱うため、日本の中古車は状態が良いものが多く、売れやすくなっています。
(3)日本の道路環境が良い
日本の道路は海外のそれと比べるときちんと整備されているため、車の足回りへの負担が少なく、中古車でもパーツへのダメージがほとんどありません。
日本車の人気が高い
海外では丈夫で機能性に優れた日本車への評価が非常に高いです。日本車のブランド力は、先進国だけでなく発展途上国や新興国にまで浸透しています。
海外で流通している中古車は状態が悪いものが多いため、日本車というだけで注文が殺到します。
中古車の海外輸出ビジネスは個人で無在庫転売ができる
中古車の国内転売では仕入れ資金と駐車場のレンタル代が初期費用として必要です。しかし海外輸出の場合は初期費用は必要ありません。なぜなら、無在庫転売ができるからです。
無在庫転売とは、先に販売しておき注文が確定してから商品を仕入れて発送する販売手法です。在庫を保管する場所が必要ないため、赤字になるリスクがありません。
国内転売の場合は、発送が遅れるとクレームが寄せられたり注文をキャンセルされてしまったりします。そのため、まず中古車を仕入れ、在庫を確保してから販売する有在庫転売が主流です。
しかし、海外に売る輸出転売の場合は国際配送です。国際配送は時間がかかるものなので、購入者は気長に待ってくれる傾向があります。日本国内の配送スピードは世界的に見ても早いため、輸出転売の場合は注文が確定してから海外に売る商品を仕入れても発送遅延によるクレームが寄せられることはほとんどありません。
また、現在のインターネット取引は先払いが基本です。受け取った代金を使って仕入れることもできるため、資金が全くない人でも稼ぐことができます。
中古車輸出ビジネスはライバルが少ない
中古車輸出ビジネスはほとんどリスクがありません。通常、リスクがない市場はライバルが多く飽和していることが多いのですが、中古車の輸出市場は全く飽和していません。それどころか中古車輸出ビジネスはライバルがほとんどいないのが現状です。
理由として第一に挙げられるのは、やはり「輸出業=難しくて面倒くさい」というイメージがあるからです。
中古車市場に大企業はいない
自動車販売は利益の大きな市場です。利益が大きいということは、当然大企業が入ってきます。
実際、日本の自動車市場のほとんどはトヨタ・HONDA・日産など巨大企業に独占されています。
しかし、それは新車市場での話です。新車販売の場合は、同じ車種の車を大量生産して販売できるため、資金力のある企業の方が有利です。
ですが、中古車の輸出市場は話が別です。
中古車輸出市場は個人の市場
中古車の輸出転売では、海外の購入者1人1人欲しい車種や要望が全く違います。それぞれの要望を聞いて、1人1人対応していかなければいけません。形としてはオーダーメイドに近いです。
そして、オーダーメイドは大企業の苦手分野です。なぜなら、オーダーメイドでは工場で大量生産ができないからです。
したがって、中古車の輸出転売市場は個人や小さい企業の独壇場と言えます。
中古車輸出ビジネスを個人でする方法
ebay輸出などで使える中古車輸出ビジネスのやり方やおすすめの車種を紹介します。
中古車輸出ビジネスを個人でする方法:中古車のeBay輸出は古物商許可が必要
輸出するにはライセンスが必要な国もありますが、日本では必要ありません。
ただし、中古車を海外に売る・輸出する場合は古物商許可が必要となります。古物商許可がない状態で中古車の転売をした場合、古物営業法違反により3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられます。
ちなみに、新車でも一度消費者の手に渡った物は古物とみなされます。そのため、オークションなど個人間取引で仕入れた新車を転売する場合も古物商許可が必要になります。
古物商許可は、警察署の管轄です。古物商許可申請手続きも警察署で行います。古物商許可申請に必要な書類は警視庁のホームページから手に入れることができます。また、申請手続きには19,000円の費用がかかります。
参考:警視庁HP−古物許可申請
中古車輸出ビジネスを個人でする方法:オークションで仕入れる
中古車の主な仕入れ先は、日本各地で開催されている中古車オークションです。中古車オークションは自動車の古物商許可証がないと参加できない「業者限定クローズドオークション」がほとんどです。
中古車輸出ビジネスを個人でする方法:中古車の選定基準
扱う車を選定する際のポイントは以下の3つです。
・希少性
・地域性
・季節性
まずは、希少性が高い車です。あまり市場に流通していない車の方が当然高く売れます。
そして、地域性も重要です。海外に売る・輸出をする場合は特に重要です。なぜなら、国・地域によって需要のある車の種類が違うからです。例えば、雪国では4WDの車が好まれています。ちなみに、4WDとは4輪駆動の自動車のことです。日本で走っている一般車のほとんどは前輪だけが動くFF車か、後輪だけが動くFR車です。4WD車は雪道でも動けなくなることが少なく、スリップもしにくいため、雪国では非常に重宝されます。しかし、その分燃費が悪いため、都市部ではあまり需要がありません。
あとは季節性です。季節によって需要のある車種は異なります。春先は新生活をスタートさせる新社会人が多いため、トレンドの車がよく売れます。秋は冬に備えて4WD車の需要が高まります。
個人客に高く売れる中古車の特徴
日本車は性能が高い上に丈夫で長く乗れるため、海外での評価が高くなっています。特に人気の高い車種を以下に挙げておきます。
・ランドクルーザー(TOYOTA)
・プリウス(TOYOTA)
・ハイエース(TOYOTA)
・アルファード(TOYOTA)
・ヴェルファイア(TOYOTA)
上に挙げた人気車を見ていただくとお分かりのとおり、メーカーで言うとトヨタが1番人気で、マツダや日産がその次に続きます。
一般客に売れない車はブローカーに売る
中古車転売は、直接一般客に販売する方法以外にもブローカー(輸出業者)に売る方法もあります。
人気のある中古車は直接一般客に販売した方が利益が大きくなります。しかし、以下のような中古車は個人には高く売れないため、ブローカー(輸出業者)に売ることをおすすめします。
・年式が古い車
・走行距離が長過ぎる車
・修復歴のある車
上記のような中古車は、日本を含めた先進国ではあまり売れません。しかし、新車には手が出ない発展途上国や新興国では需要があります。発展途上国でも日本車のブランド力は高いため、年式が古かったり過走行であっても、動く限り高く売れます。また、海外では修復歴という概念があまりないため、修復車でも問題ありません。ただし、売れる車種は国によって決まっています。なぜなら、発展途上国では車を乗り換える習慣がないためです。同じ車に長く乗り続けたいと思っている人が多いため、交換部品が流通していない車は売れにくくなります。流通している部品の種類は限られているため、国によって売れる車種は限定されます。
個人で発展途上国に輸出することは難しいため、このような車はブローカーに売った方が賢明です。
中古車輸出ビジネスを個人でする際の注意点・リスク
中古車輸出ビジネスは利益率が高い反面、デメリットやリスクもあります。
【中古車の海外輸出ビジネスを個人でする注意点】1.自動車の古物商許可は審査が厳しい
本来、古物商許可は簡単に取れる資格ですが、自動車販売の古物商許可は少し審査が厳しい傾向にあります。
そもそも、古物商の扱いが許可制になったのは、窃盗事件の捜査のために必要だったからです。
いつまでも盗品を持っているとそれが犯罪の証拠となりかねないため、窃盗犯は盗品を売りに出すことが一般的です。盗品が市場に流通した後に犯人を捕まえることは非常に難しくなります。そこで、古物商許可を通して売り手の名前や住所等の個人情報を確実に取得できる者にのみ古物の扱いを許すことにより、窃盗犯の取締りに役立たせようとしたのです。
自動車販売は利益が大きいため、自動車の窃盗は後を絶ちません。そのため、警察は自動車の古物商許可を申請した者が、窃盗車かどうかを見極める判断能力があるか厳しくチェックしています。
【中古車の海外輸出ビジネスを個人でする注意点】2.中古車オークションは闇
中古車輸出の仕入れ先としてオークションを挙げましたが、オークションに流通している中古車は、状態が良くない車が多くあります。特に値段が安い中古車は状態が悪いものばかりです。
なぜなら、ほとんどの中古車業者は本当に状態が良い車はオークションに出品せずに販売店で売るからです。そのため、オークションに出回っている車は何かしら欠点があります。もちろん、中には掘り出し物の中古車もありますが、割合でいうと低くなってしまいます。
中古車の海外輸出ビジネスは個人でも稼げるが……
日本の中古車は状態もよく海外での評価も高いため、中古車輸出ビジネスは非常に稼ぎやすいと言えます。
しかし、中古車をオークションから仕入れる際は、ポンコツを掴まされないよう車の状態をよく確認してください。