食品販売業で必要となる許可や届け出について詳しく解説

ECサイトを通じて様々な商品を販売できる便利な時代となりましたが、販売するにあたって許可や届け出が必要な商品もあります。今回は、ECサイトでよく販売される「食品」に関連する許可や届け出について解説します。

なお、本記事では国内で仕入れ販売する際の法規制について記載していきますので、輸入で仕入れる方は注意してください。

目次

食品に関する法律「食品衛生法」について解説

まずは、食品を取り扱う上で最も重要な法律「食品衛生法」について解説していきます。

食品衛生法とは?

食品衛生法とは、「食の安全を保つための法律」です。飲食物において、安全性の維持や衛生上の危害発生を防止し、国民の健康を保つことを目的とした法律です。

食品衛生法の規制

簡単に説明すると、商品や添加物、調理器具や包装容器、広告や営業の仕方について様々な規制が存在します。所管は厚生労働省と消費者庁ですが、実際に監督指導をするのは地方公共団体の保健所です。

スタートアップにどう関連するのか?

食品衛生法は、食品を製造、加工、販売する際に許可をとる必要があります。スタートアップと関連してくるのはこの辺りです。令和3年6月より改正食品衛生法が施行されており、この改正では、HACCP(ハサップ)の義務化をはじめ、営業許可制度の見直しなど、従来に比べて重要なポイントが数多く盛り込まれました。また、この改正食品衛生法の内容に合わせて、各都道府県の条例も一部改正されていますので、改めて内容の確認をしておくようにしましょう。

参考:食品衛生法の改正について(厚生労働省)

食品衛生責任者について解説

次に、食品衛生責任者について解説します。食品衛生責任者とは、食品に関わる事業を行う際に営業許可と共に必要となる資格です。食品衛生法(条例)に違反しないように従業員の衛生教育を行い、営業施設の管理、食品取り扱い、設備の管理・監督などを行います。

なお、栄養士・調理師・製菓衛生師・食鳥処理衛生管理者・船舶料理士・と畜場法に規定する衛生管理責任者・と畜場法に規定する作業衛生責任者・食品衛生管理者(※注)の資格を持っている場合、そのまま食品衛生責任者の有資格者になれます。詳しくは、各都道府県に設置されている保健所のHPで調べるか、直接保健所に問い合わせをして確認してください。 

※注) 医師・獣医師・歯科医師・薬剤師または、学校教育法に基づく大学で、医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学の課程を修めて卒業した者等。

食品衛生責任者の取得条件

食品衛生責任者の受験資格に制限はありません(東京都の場合は17歳以上の男女)。

取得時間は合計で6時間です。

食品衛生学 2時間30分

公衆衛生学 30分

食品衛生法 3時間

なお、東京都の場合は講習時間内の最後にテストが行われます。

受験費用は各都道府県により異なり、受講料は10,000円前後です(テキスト代を含む)。講習を受ければ取得でき、合格率はほぼ100%となります。

飲食物の製造販売には「製造許可」が必要

飲食物を製造販売する際には「製造許可」が必要です。製造物によって必要となる許可が違うため、1つの許可を取得すれば良いというわけではありません。惣菜製造には惣菜製造の許可が、焼き菓子製造は焼き菓子製造の許可が必要です。

「食品衛生法に基づく営業許可」の取得方法とは?

ECサイト(営業を行う住所)を管轄する保健所に相談します。

申請方法及び必要書類は営業の種類(施設の形態等)により異なります。それに合わせて、以下のような書類を提出します。

  • 営業許可申請書
  • 施設の構造及び設備を示す図面
  • 登記簿謄本(法人申請の場合)
  • 更新手数料
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)
  • 水質検査成績書

申請した書類に基づいて保健所の担当員が確認を行い、食品衛生法に基づく営業許可書の交付されれば完了です。

食品を販売する際に必要な許可、届出について解説

続いて、食品を販売する際に必要な許可、届出について解説していきます。

食品衛生法で許可が必要になるケース

食品衛生法では、営業許可が必要な業種を以下のように定めています。

  • 飲食店営業
  • 調理の機能を有する自動販売機
  • 食肉販売業
  • 魚介類販売業
  • 魚介類競り売り営業
  • 集乳業
  • 乳処理業
  • 特別牛乳搾取処理業
  • 食肉処理業
  • 食品の放射線照射業
  • 菓子製造業
  • アイスクリーム類製造業
  • 乳製品製造業
  • 飲食店営業
  • 調理の機能を有する自動販売機
  • 食肉販売業
  • 魚介類販売業
  • 魚介類競り売り営業
  • 集乳業
  • 乳処理業
  • 特別牛乳搾取処理業
  • 食肉処理業
  • 食品の放射線照射業
  • 菓子製造業
  • アイスクリーム類製造業
  • 乳製品製造業
  • 清涼飲料水製造業
  • 食肉製品製造業
  • 水産製品製造業
  • 氷雪製造業
  • 液卵製造業
  • 食用油脂製造業
  • みそ又はしょうゆ製造業
  • 酒類製造業
  • 豆腐製造業
  • 納豆製造業
  • 麺類製造業
  • そうざい製造業
  • 複合型そうざい製造業
  • 冷凍食品製造業
  • 複合型冷凍食品製造業
  • 漬物製造業
  • 密封包装食品製造業
  • 食品の小分け業
  • 添加物製造業醤油製造業
  • ソース類製造業
  • 酒類製造業
  • 豆腐製造業
  • 納豆製造業
  • めん類製造業
  • そうざい製造業
  • かん詰又はびん詰食品製造業
  • 添加物製造業
  • 乳処理業
  • 特別牛乳さく取処理業
  • 集乳業
  • 食肉処理業
  • 食品の冷凍又は冷蔵業
  • 食品の放射線照射業

食品衛生法で、届出が必要になるケース

食品衛生法では、営業許可業種以外の事業者の届出が必要な業種を以下のように定めています。

  • 魚介類販売業(包装鮮魚介類)
  • 食肉販売業(包装食肉)
  • 乳類販売業
  • 氷雪販売業
  • コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)
  • 弁当販売業
  • 野菜果物販売業 (例:青果店)
  • 米穀類販売業 (例:米屋)
  • 通信販売・訪問販売による販売業
  • コンビニエンスストア
  • 百貨店、総合スーパー
  • 自動販売機による販売業(5 コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)及び営業許可の対象となる自動販売機を除く。)
  • その他の食料・飲料販売業
  • 添加物製造・加工業(法第13条第1項の規定により規格が定められた添加物の製造を除く。)
  • いわゆる健康食品の製造・加工業
  • コーヒー製造・加工業(飲料の製造を除く。)
  • 農産保存食料品製造・加工業
  • 調味料製造・加工業
  • 糖類製造・加工業
  • 精穀・製粉業
  • 製茶業
  • 海藻製造・加工業
  • 卵選別包装業
  • その他の食料品製造・加工業
  • 行商
  • 集団給食施設(1回20食程度以上)
  • 合成樹脂製の器具・容器包装の製造業
  • 露店、仮設店舗等における飲食の提供のうち、営業とみなされないもの(届出は任意)
  • その他 (例:食品の冷凍又は冷蔵業(倉庫業))

よくあるQ&Aを紹介

ここでは、食品を販売することに関して保健所によく寄せられる質問とそれに対する回答を紹介します。

Q1
自宅でジャムなどの食品を作って販売できますか?

A1
食品を作る場所は、他の用途に使用する施設とは壁や板などで区画し、食品の汚染を防止する構造にする必要があります。

Q2
作ったクッキーなどの食品をインターネットで販売できますか?

A2
インターネットでの注文を受け、作った食品を発送する場合、食品を作る場所と作った食品を保管しておく場所それぞれに、保健所の営業許可が必要になることがあります。

Q3
普段は八百屋だけれど、惣菜などの食品を作って販売できますか?

A3
食品を作って販売する場合には、作る食品の種類に応じた保健所の営業許可が必要になります。

仕入れた商品を販売する際に必要な許可、届出について解説

次に、仕入れた商品を販売する際に必要な許可、届出について解説していきます。

販売のみでも、食品衛生法の許可が必要になるケース

食品衛生法では、鮮度が下がることによって食中毒が発生する可能性の高い食品は、たとえ販売するのみであっても許可をとることを要求しています。保存方法を定めたり、指導監督できるような状況でないと食の安全を確保できないからです。

該当するケース

  • 食肉販売業
  • 魚介類販売業
  • 魚介類せり売営業

販売のみでも、届出が必要になるケース

原則、全ての食品等事業者にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が義務付けられることに伴い、保健所が対象事業者を把握できるよう、営業許可の対象となっていない業種(食品の販売業や加工業等)を営む営業者は、届出不要業種を除き、届出をする必要があります。

参考:HACCPに沿った衛生管理の制度化について(厚生労働省)

該当するケース

  • 魚介類販売業(包装済みの魚介類のみの販売)
  • 食肉販売業(包装済みの食肉のみの販売)
  • 乳類販売業
  • 氷雪販売業
  • コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)
  • 弁当販売業
  • 野菜果物販売業
  • 米穀類販売業
  • 通信販売・訪問販売による販売業
  • コンビニエンスストア
  • 百貨店、総合スーパー
  • 自動販売機による販売業(コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)及び営業許可の対象となる自動販売機を除く。)
  • その他の食料・飲料販売業

販売のみであれば、届出対象外(届出不要)のケース

公衆衛生に与える影響が少ない営業として規定されている以下業種は、届出対象外となります。

  • 常温で長期間保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業
  • 器具・容器包装の輸入・販売業

品質の劣化による食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業

「常温保存できて賞味期限が長いものの『販売のみ』の営業である」場合は、届出が不要です。

例えば、次のような食品です。

  • カップラーメン
  • ペットボトル入り飲料

ただし、弁当類やそう菜は、常温保存できても賞味期限が長いものではないため、「飲食店営業許可」や「そうざい製造業許可」が必要になりますので、注意が必要です。

器具・容器包装の輸入・販売業

これはいわゆる、タッパーなどを販売している事業者などのことをさします。100円均一などでは、タッパーやトレイなどを製造も販売もしていると思いますが、これを例に解説すると、100円均一でタッパーを製造している施設での届出などは必要ですが、作ったタッパーをただ販売している各店舗ではタッパー販売の為の届出は必要ないということになります。

よくあるQ&Aを紹介

この項目では、仕入れた食品を販売することに関するQ&Aを紹介します。

Q1
仕入れた食品を小分けしたり詰めなおしたりして販売できますか?

A1
仕入れた食品を販売する場合は、食品の種類に応じた保健所の営業許可が必要になるケースがあります。また、小分けしたり詰めなおしたりする場合、販売のための許可とは別の種類の営業許可が必要になります。

食品を販売する場合は、誤った方法で保存したり、期限切れの食品を販売しないように気をつけてください。

Q2
仕入れた食品をインターネットで販売できますか?

A2
インターネットでの注文を受け、仕入れた食品を発送する場合、食品を保管しておく場所に食品の種類に応じた保健所の営業許可が必要になることがあります。

Q3
普段は乾物屋ですが、たまたま鮮魚を安く仕入れたので販売したいのですが?

A3
一時的であっても仕入れた食品を販売する場合には、食品の種類に応じた保健所の営業許可が必要になることがあります。また、鮮魚を販売する場合は魚介類販売業の許可が必要です。

海外から輸入した食品を販売したい場合について

続いて、海外から輸入した食品を販売したい場合について詳しく解説します。

知っておくべきポイント

まず、知っておくべきポイントとして、日本と外国では使用できる添加物、農薬などの種類やその基準値などが異なります。海外では流通できる食品でも日本に輸入できない食品があるのです。

さらに、日本で販売するために海外から食品を輸入する場合は、その都度検疫所へ輸入の届出を提出する必要があります。

参考:輸入手続や検疫所の相談窓口はこちら(厚生労働省)

また、国内で販売する場合は日本語による表示が必要なので、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

参考:食品表示の詳細はこちら(食品の表示制度)

​製造許可がない状態で飲食物を製造販売するとどうなるのか?

最後に、​製造許可がない状態で飲食物を販売するとどうなるのか?ということについて解説します。

フードでよくあるNGの製造販売

例えば、以下のようなケースです。

  • 料理教室の先生が惣菜を作って販売する
  • 自宅の敷地内に棚を作り、キッチンで作ったお菓子を販売をしている
  • お菓子教室の先生がケーキを作って販売する

料理教室の先生がよくやってしまっている傾向にあります。「製造許可のあるお菓子屋さんで作られた焼き菓子を教室で販売する」などは良いですが、上記のようなケースはNGです。

無許可製造で事故が起こった場合

製造許可のない場所でつくった食品で食中毒などの事故が起こった場合、保健所は販売者に対して営業停止の処分などを出すことはできません。保健所は、あくまでも営業許可を与えた事業所の管轄だからです。
そもそも許可がない事業所に対しては罰則などを与えることはできないわけです。とはいえ、被害者から訴えられる可能性は高いです。無許可販売は確実に罪は重くなりますので、絶対に行わないようにしましょう。

ルールを守っている人の間で悪い評判がたつ

無許可で販売している事業者は、ルールを守っている人の間で悪い評判がたちます。決して表立っては言わないものの、「あの人は無許可で販売している」という噂が陰で広まるのです。もちろん保健所にリークされる可能性もあります。

無許可製造はやめるべき

やはり無許可販売はやめるべきということです。「ルールだから守らなくてはいけない」ということの前に、もっと大事なことがあります。なぜ、そのルールがあるのか?ということを考えれば分かるはずです。

無許可製造をしている人は、モラルに欠けていると言わざるを得ません。「少しくらいいいだろう」という甘さ、無許可製造をしている事実は結局自分に返ってきます。本当に無許可販売はやめるべきです。

製造許可を取得している場所で作っている旨を記載する

ルールを守って販売しているのであれば、製造許可のある場所で作って販売している旨を明記しましょう。

まとめ

このページでは、ECサイトでよく販売される「食品」に関連する許可や届け出について詳しく解説してきました。内容をまとめると以下になります。

製造~加工まで行う場合

たいてい許可や届出が必要なので、すぐに保健所に許可申請や届出をしましょう。

販売のみ行う場合

食品販売許可届出の要否フローを以下の画像で上げておきます。ぜひ、参考にしてください。

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この記事を書いた人

ビジネスのノウハウを実践ベースで徹底的に追求するのがアクシグ。
世界で最も専門的で網羅的なコンテンツを提供し、ノウハウを惜しげもなく提供していきます。

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