自分が心を込めて手作りした『世界に一つだけのもの』を、誰かに喜んでもらえるというのは嬉しいことです。「ハンドメイド作家になりたい…」「手作りした雑貨を売ってみたい…」「いつかは自分のショップを開いてみたい…」そんな人のために、この記事では販売サイトを利用したハンドメイドショップの開業方法と運営に必要な知識、さらには販売戦略までをわかりやすく解説します。
ハンドメイドショップの開業に必要な準備
「ハンドメイドショップを作りたい!けれど、まず何から始めれば良いのかわからない…」そう思うのは当たり前のことです。ここでは、ショップ名や商品名・作家名を決める方法や個人事業主となるほうが良い場合など、ハンドメイドショップを開業するときに必要な基礎知識を解説します。
ハンドメイドショップに必要な【ショップ名と作家名】
自分でショップを開業するなら、必要になるのは【ショップ名】です。お店の顔ともいうべき【ショップ名】を考える時に大切なことは、読みやすさと覚えやすさです。作品を象徴するワードを外国語にしてみたり、2つの言葉を組み合わせた造語を付けるのもオススメです。
ダメな【ショップ名】の例は、外国語の難しい発音の言葉や文のように長いショップ名で、1度聞いても覚えることが難しいです。覚えにくい【ショップ名】のデメリットは、仕入れ先とのやり取りだけでなくお客さんが口コミで紹介する難易度を上げてしまうことになります。
とはいえ、簡単すぎてどこにでもあるようなショップ名では、ネットの検索窓に入力しても情報ページが多く見つかって自分のショップが埋もれてしまうという可能性も挙げられます。【ショップ名】や【商品名】は、作品のイメージや特徴を表していて馴染みがあるけれどオリジナリティが光る言葉を考えましょう。
※ショップ名や商品名の候補が決まったら【商標調査】を必ず行います。個人経営の店舗でも【商標権侵害】に当たれば、【ショップ名】を変更せざるを得なくなるからです。他にはない自分だけのショップ名が決まったら、できるだけ【商標登録】をしておくこともおすすめです。
ハンドメイド作家には特別な資格は必要ないため、【実名】でも実名でなくても活動できます。実名で活動する際は、ハンドメイド作家としての活動が周囲に伝わりやすく口コミで人脈が増えるメリットもありますが、不特定多数の人に自分の名前を知られることになります。もし、実名での活動が心配な人は【作家名】をつくると良いでしょう。
【副業】or【個人事業主】どちらで始めるべき?
ハンドメイドショップを【副業】で始めるか【個人事業】にするかどうかの判断は【確定申告】が必要かどうかで判断することができます。【確定申告】は、所得税だけでなく、法人税や住民税の税額を決めるための申告ですが、ここで扱う確定申告は【所得税の確定申告】のことです。
本業で会社に勤めている人は、会社がまとめて確定申告をするので基本的には必要ありません。副業利益が20万円以下の場合は、【所得税の確定申告】が不要になります。つまり、ハンドメイドショップの利益が20万円以下なら副業で始めるのが良いでしょう。
※住民税など別の理由で確定申告をするときは、利益の金額に関係なく申告しなければなりません。税務署に別途知らせる必要があるので注意しましょう。一方、【個人事業主】の場合は、必ず確定申告が必要ですが、【青色申告】をした場合には55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円の控除が受けられるという理由でお得を取れることも覚えておきましょう。なお、【青色申告】をする場合は、その年の3月15日までか開業から2カ月以内に事前の届け出が必要になります。
個人事業主は【開業届】を出そう
ハンドメイドショップを副業ではなく、しっかり収益化して利益を上げて行くという場合は、事業開始日から1カ月以内に管轄の税務署に【開業届】を提出しましょう。手続きにかかる手数料等はありません。
【国税庁】のホームページから、「個人事業の開業・廃業等届出書」のダウンロードが可能です。また、e-Taxから提出することも可能です。
記載する項目には氏名・生年月日のほか、職業・屋号を記入する欄があります。他にも開業日や事業の概要を記入できるよう情報をまとめておきましょう。ちなみに捺印は認印で大丈夫です。
「個人事業の開業・廃業等届出書」平成28年からマイナンバーの記載が必要な書類となっていています。
開業に必要なもの
ハンドメイドショップの開業には、作品のコンセプトを考えたりお客さんのターゲットを絞るなどショップの特徴や方向性を練ることも必要ですが、実店舗でお店を持つなら立地の検討や販売計画を立てることも必要です。さらに、資金面では店舗のリフォームの費用や当面の家賃、仕入れ資金や広告費・備品費など、ショップが収益化するまでの何か月間の資金が必要になります。【中小企業庁】のホームページの開業マニュアルを参考にして、開業資金の調達方法や支援制度などの情報を収集するのも一つの方法です。
参考:「夢を実現する創業」
仕事用の口座を準備する
ハンドメイドショップを開業するとなると、モノ作りだけでなくお金の管理もしっかり行う必要があります。事業主名で普通預金口座を開設することは、印鑑と身分証明があれば簡単にできます。個人用の口座開設と変わりはありません。
しかし、事業名(ショップ名)での口座開設は店舗の最寄りの支店でのみ開設が可能となっていて、印鑑と身分証明書の他にも銀行が指定する書類(開業届や商業登記簿謄本など)が必要です。必要書類を銀行に問い合わせて準備してから銀行に出向いて手続きを行えば、1週間程度で口座が開設できます。
このように、事業名(ショップ名)での口座開設には手間がかかりますが、ショップのお金を単独で管理すれば入金や経費などのキャッシュフローを簡単に追うことができて便利です。その他にも、商品代金の振込先を口座指定にする場合などお客さんからの信頼を得られやすい点はメリットです。
ハンドメイド商品の販売方法
ハンドメイドの商品を販売する方法は、実店舗以外にもいろいろあります。実店舗を構えるには開業資金がかかりすぎるという人は、自分の商品に合った販売方法を検討してみましょう。
【マーケットプレイス】・【ネットオークション】・【ネットショップ】・【イベント】・【委託販売】の5つの販売方法を解説します。
ハンドメイド通販サイトの【マーケットプレイス】
【マーケットプレイス】とは、ハンドメイドの作品の販売に特化したインターネット通販サイトのことです。サイト内でイベントやセミナーが開催されているので「販売は初めて」というハンドメイド作家も利用しやすくなっています。
株式会社GMOが提供するハンドメイドマーケット【minne(ミンネ)】は、ハンドメイド作品を買いたい人と売りたい人を繋ぐサービスで、スマホやパソコンからアクセサリーや生活雑貨・家具やパンなど1000万点の作品を売買することができます。購入・販売の際のお金のやり取りは【minne(ミンネ)】にお任せできるので安心です。
参考:【minne(ミンネ)】
月額費用:0円・販売手数料10.56%(税込み)
株式会社クリーマが提供するハンドメイドマーケット【Creema(クリーマ)】は、アートや雑貨・ファッション・フードなどを扱い毎月1300万人のユーザーが訪れる通販サイトです。専用アプリのダウンロードで外出先にスマホからでも気になる商品を検索できます。
月額費用:0円・販売手数料11%
(フードの販売手数料15.4%、台湾・香港サイトでの販売手数料21%+決済手数料42円です)
(成約手数料にかかる税は台湾の営業税となり、一律5%です)
iichiは手工芸・クラフト・手工業のハンドメイドマーケットです。登録商品は、2022年9月時点でおよそ38万点。プロレベルの洗練された作品が、「モノにこだわりのあるひと」から支持されています。購入者は30代~50代の都会に住む方で、男性ユーザーも多いのが特徴です。プロが多く出店しているため、初心者というよりは上級者向けのマーケットです。
参考:iichi(イイチ)
月額費用:0円・販売手数料:20%
ネットショップASPで始める【ネットショップ】
ネットショップASPの無料作成ツールを利用してハンドメイドのネットショップを作る方法は、会員登録してショップページに商品を掲載するだけで、すぐに作品が販売できます。
無料で20種類以上のショップサポートシステムを利用できる【STORES(ストアーズ)】は、電子商品のダウンロード販売ができることや海外でも出店できることなど多様なニーズに対応しています。Instagram販売連携機能で商品を1日1回自動連携することができ、SNSを使った集客も可能です。無料プランで登録できる商品数は無制限なため、ハンドメイド作品の種類が豊富な人にはおすすめです。
月額費用0円・決済手数料5%
(月額2,178円のスタンダードプランは決済手数料3.6%
※クレジットカード決済のみ初月の月額料金が無料となります。)
スマホ一つでショップ開設ができる「メルカリshops」では、月間2,000万人以上が利用する「メルカリ」へ出品ができます。利用者数も多いので、様々な人に認知してもらえる機会が増えるでしょう。初心者にもオススメです。
また、商品が売れた場合のみ手数料がかかるシステムなので初期費用を抑えることが可能です。
開設の際には公式サイトに動画での説明などもありサポートが充実しています。
参考:メルカリshops
販売手数料:商品が売れた場合のみ、送料含めた商品価格全体の10%。
初心者でも簡単にネットショップが作れるサービス【BASE(ベイス)】は、800万人が利用するアプリで作品を紹介することができます。Instagramの投稿から商品購入ページへ直接リンクを張ることができることや誰でもオリジナル商品を作れるシステムによってショップのオリジナリティを出しやすいシステムがあります。
参考:【BASE】
スタンダードプラン:月額無料・決済手数料3.6%+40円
サービス利用料1回のご注文の総合計(送料含む)に対し、3%
グロースプラン:月額5,980円・決済手数料2.9%
高値で売るチャンス?【ネットオークション】
ハンドメイド作品はショップを構えなくてもオークションという形で販売することができます。1,600万人のユーザーに自分のハンドメイド作品をアピールすることができます。
Yahoo! JAPANが提供するオークションサイト【ヤフオク】は、商品ジャンルが多種多様ですがオークションのユーザーは掘り出し物や一点ものの購入を考えているので、作品を気に入ってもらうことができれば相場より高値で取引されるチャンスもあります。しかし、逆に想定より安く取引される場合もあるので、理解してから出店しましょう。
参考:【ヤフオク】
月額費用:0円・出品手数料10%
(プレミアム会員の場合は8.8%)
ハンドメイド作品の出展【イベント】
ハンドメイド作品が並ぶイベントで実際に出品する方法もあります。
フリマよりもハンドメイド作品を集めたイベントに出展するのが良いでしょう。イベントに足を運ぶお客さんは、ハンドメイドの温かみや、世界で一点ものという価値を共有できる人が多いです。ネット販売では味わえない、お客様の反応を直接感じることができ、会話もできるので作品や作家を気に入ってもらえれば、ファンになってもらえる可能性も高いです。
株式会社クリーマが運営する【ハンドメイドジャパンフェス】東京ビックサイトで開かれるハンドメイド作品の大きなイベントでクリエイターが3000組集まるので、ハンドメイド仲間ができるかもしれません。
作品をお店に置いてもらう【委託販売】
委託販売は、雑貨店やレンタルスペースなどの売り場を提供している店舗に自分の作品を置いてもらい、販売をおまかせする方法です。売上から販売手数料を支払った残額がこちらの売上となります。委託先が有名なお店であれば販売チャンスも多くなるでしょう。
自力で店舗を運営したり、お客さんの都合に合わせて販売処理をする必要がないので、作品作りに時間をかけたい人にはオススメです。ただし、つくる作品を委託先のお店の雰囲気に合わせて作る必要があったり、作品の納品期日を指定されることもあるので、委託先が自分のペースに合う店舗かを見極める必要があります。
ハンドメイドの開業は【自宅】から始めよう
ハンドメイドの作品を売って収益化できるショップを育てるまでは、自宅で開業することがオススメです。
なぜなら、店舗や作業場を借りるとなると家賃や光熱費など維持費がかかり、経費がかさんでしまうからです。いくら売上を上げていても経費がかさめば、手元に残る利益は少なくなってしまいます。ビジネスでは、利益の一部をさらに仕入れなどに投資して事業を拡大することが鉄則です。
例えば、アパレルを扱うなら自宅の一室を作業場にすれば、売り上げが200万円を超えるあたりまではその広さで事足りますし、自宅の一室で作業できれば子育てとの両立もしやすくなります。
ネットショップの開業【販売サイトの選び方編】
ハンドメイド作品をインターネット上で売りたい場合、ハンドメイドマーケット、ネットショップ、フリマアプリといった選択肢があります。どの販売サイトもカンタンに出品でき、出品料は無料で、売れるまでは手数料が発生しません。
いったいどのサイトを利用すればいいでしょうか。
選び方のポイントを次の3つに分けて解説します。
- 販売手数料が安いか
- 配送業者と連携しているか
- 機能が豊富でカスタマイズが容易か
販売手数料の安さ
ハンドメイド作品が売れたら販売サイトに支払う「販売手数料」。売上が少ない時はいいのですが、売上が伸びてくると負担に感じることもあります。
あとから販売サイトを移転するのは、サイト移動に手間がかかりますし、お客様への再周知を徹底する必要があります。今後のためにも比較検討しましょう。
今回ご紹介した販売サイトの販売手数料を、安い順にご紹介します。
- STORES:無料プラン 5%、有料プラン 3.6%
- BASE:3.6%+40円+サービス利用料3%
- メルカリShops:10%
- minne:10.56%
- Creema:11%
- iichi:20%
最も販売手数料が低いSTORESと、最も手数料が高いiichiの差は、なんと15%もあることがわかります。
ところが、それほど差がないようにみえるSTORES(5%)とCreema(11%)でさえ、売上高が100,000円になれば、その差は6,000円です。
- 売上が10,000円のとき
STORES:500円 Creema:1,100円 - 売上が100,000円のとき
STORES:5,000円 Creema:11,000円
販売先として販売サイトを選ぶなら、販売手数料は大切なポイントになります。
配送業者と連携しているか
販売サイトがヤマト運輸や日本郵政などの配送業者と連携していると、思いのほか便利です。なぜなら、個人では利用できない配送サービスが利用でき、配送料が特別価格になるからです。
例えば、A4サイズの小さな荷物の発送に便利なヤマト運輸のネコポスは、個人では通常利用できません。連携している販売サイトで出品すると、利用できるようになります。
また、宅急便コンパクトや宅急便は、特別価格で全国一律料金になります。遠方への発送も配送料が高くならないので安心です。
今回ご紹介した販売サイトのなかで配送業者と連携しているのは、BASE、メルカリShops、minneです。
- BASE:ネコポス、宅急便コンパクト、宅急便
- メルカリShops:ネコポス、宅急便コンパクト、宅急便
- minne:ネコポス、宅急便コンパクト
STORES、Creema、iichiでは、ヤマト運輸や日本郵政と連携していません。
自分で手配することになります。
機能が豊富でカスタマイズが容易か
販売手数料や配送方法のほかに重要なのが、機能面やカスタマイズ面の充実です。
環境が整っていれば、自分のやりたいことをすぐに実行できるからです。
機能が豊富でカスタマイズが容易なのは、ネットショップです。ハンドメイドマーケットよりもやれることが多く、充実したコンテンツを作ることができます。
たとえば「Instagram連携機能」は、Instagramの投稿に販売サイトの商品ページを直接リンクすることができます。STORESやBASEではこの機能が実装されていますが、minneやCreemaでは現在利用できません。
そのほかにも、「クーポンの発行」「予約販売」「メールマガジンの配信」など、売上を伸ばすのに欠かせない機能が豊富にあります。
このような機能は、運営に慣れてきたら初心者でも使いたいですよね。販売サイトを選ぶときから機能面やカスタマイズ面も調べておくことが大切です。
ネットショップの開業【実践編】
「ハンドメイド作品をネットショップで販売してみたい!」と思ったら、あれこれ考えるよりも行動したほうが早いです。というのも、資金をかけずにネットショップを立ち上げることは、とても簡単なのです。ここでは、ネットショップの立ち上げ方について見ていきましょう。
商品ページの作成
ネットショップのページ作成には、本来HTMLなどの言語を使ってプログラミングを行う必要があるのですが、ネットショップ作成サービスで提供されているテンプレートは種類も多く、時間をかけずに整ったショップページを作ることができるので利用します。
最初にショップを立ち上げる際は、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)を利用してビジネスが軌道に乗ってきたら、費用をかけて自社の販売サイトを作るのが良いでしょう。
【写真】と【商品説明】で気を付けたいこと
ネットショップでは商品の情報を画像でしか見ることができないため、商品の宣材写真の撮り方は重要です。暗い写真や、商品の色味がわかりづらいものはそれだけ購買意欲を下げてしまいます。ユーザーがショップを閲覧した際に、商品に関する疑問をなるべく排除することを心がけましょう。
商品の写真は、デジカメでも構いませんが明るい場所を選んで写します。背景は白色が無難でしょう。さらに、写真は1枚だけでなく左右や素材のアップの写真などを用意しておくと親切です。作品を引き立てるために、オシャレな場所に置くことも良いでしょう。
作品を太陽光に当てて撮影すれば、明るくきれいな写真を撮ることができます。また、商品の説明文は用途や色形、素材・大きさなど基本的な情報の提供はもちろん、こだわりやおすすめポイントを端的に説明しましょう。
【広告宣伝】は予算内で
集客をするためには作品をプロモーションして多くの人に認知してもらう必要があります。
しかし、広告宣伝費は基本掛け捨てとなるため、多くかけても一時的な効果にすぎません。検索エンジンに出稿できるリスティング広告ショップページに訪問したユーザーに対して、追尾して広告を行うバナー広告などは余裕があるときに打ち出します。
まずは、FacebookやInstagram、LINEなどのSNSから取り掛かるほうが良いでしょう。確実に顧客を増やしたいなら、オーガニック検索といって、ユーザーからの自然な検索を増やしましょう。
ハンドメイド作品の【値段設定】
商品販売の基本は【売上-原価=利益】です。儲けを出していくには利益を確保することが大切です。ハンドメイド作品の利点は、型番がある商品とは違い販売者が値段を自由に設定することができる上に、価格競争に巻き込まれる可能性がない所です。
しかし、価格設定が自由といっても、値段と価値が見合っていなければお客さんは購入しませんし、安すぎれば売れても売れても利益を作ることが難しくなります。では、ハンドメイド作品はどのような基準で値段を設定すべきでしょうか?販売にかかる費用から考えていきましょう。
作品販売にかかる費用 ①材料費
まずは、作品作りに必要な原材料費を考えます。ハンドメイド作品は販売価格を決めるだけでなく、安い仕入れ先から材料を仕入れることも利益を出す手段として使えます。材料費は小売店で一つづつ仕入れるよりも、卸元から仕入れ価格でまとめて仕入れた方が安いです。
同じ材料でも原価を抑えることができれば、同じ販売価格を付けたとしても利益が増えます。その利益が一つの商品につき数百円だったとしても、年間にすれば数万円の差が出ることも大いにあるので安い仕入れ先を確保することは重要です。
いろんな卸サイトを閲覧して送料込みで最安値を最安で仕入れることができる仕入れ先を見つけましょう。
最安値の見つけ方は、近所のホームセンタの値段を基準に【Amazon】のプライム会員が最安値で購入できるプライム対象商品をチェックしたり、まとめ売りで安くなる【Askul】や【モノタロウ】と比較検討してみる方法があります。
作品販売にかかる費用 ②人件費
ハンドメイド作品の販売は、作る時間を投資するビジネスでもあります。そのため自分の作業時間を時給換算して、商品原価に加算する必要があります。ここを計算しないと長い目で見て商売をすることは難しいでしょう。
作品作りが好きとはいえ、ビジネスにする以上は自分が費やした時間を商品原価に加算しましょう。例えば、時給1000円でモノづくりをするとして作品を一つ仕上げるのに30分かかるとします。その場合材料費に加算する人件費は500円となります。
作品を作る段階になると、いかに多く作れるか?という段階になってきます。ハンドメイドの場合は作品を作れる数が売り上げの上限を決めてしまうことも多いので、作業効率を上げることが重要になってきます。
お客さんの心理を読み取り値段を設定しよう
ハンドメイド作品を購入するときのお客さんの心理は、生活必需品を購入するときとは違います。
例えば、スーパーで買い物するときのお客さんは、「良いものを1円でも安く手に入れたい」と考えている人が多いです。この心理は、型番商品やブランド品にもその思考が反映されますが、ハンドメイド作品の場合は「値段はさておき自分の趣味に合うものを見つけたい」と考えています。
ハンドメイド作品で自分の趣味にぴったり合うものが見つかったときのお客さんは、「その作品が欲しい!」という気持ちになるので少々高くても購入に至ることが多いです。
逆にお客さんが思ったよりも安い値段だと、作品の価値を低く見積もられてしまうことが考えられますから、似たようなジャンルの商品の相場より少し高めの値段を設定するのが良いでしょう。
ハンドメイド作品をネットショップで売る方法
ハンドメイド作品をネットで販売する場合は、実店舗に比べて開業費用がほとんどかからないので、すぐにショップを始めたい人やランニングコストを抑えてじっくりショップの収益化に取り組みたい人にはおすすめです。
ネットショップで集客し商品を販売する方法は、実店舗の集客・販売方法とは異なります。ここでは、ハンドメイド作品をネットショップで販売する方法を解説します。
ユーザーのニーズを捉える
趣味の延長でショップを開く場合もありますが、しっかり収益を上げられるショップを育てたいなら、まずはユーザーのニーズを知ることが重要です。ビジネスは基本的に需要と供給で成り立っているため、売れる作品を作るなら需要をリサーチする必要があるのです。
需要の高い商品をリサーチする方法は、【楽天市場】や【Amazon】などのモール型ショッピングサイトから商品ランキング上位の商品をチェックするやり方があります。
ランキングには売れ筋商品がランクインしているため、ハンドメイドで作ることで価値が上がりそうな商品を見極めましょう。アパレルのハンドメイド作品を取り扱っている場合は、デザインなどを参考にすると良いでしょう。
その他には、ハイブランドの人気商品のデザインを参考に、自分流のアレンジを加えるというやり方もあります。売り出す際に商品価格をハイブランドの商品と比べて安くすれば、同じような商品を探しているユーザーの目に留まりやすい商品が完成します。
人気作品は材料の確保が必須
ハンドメイド作品の販売は、材料がなければ始まりません。例えば、一つの商品に人気が出て定期的に注文が入るようになっても、材料の仕入れ先が在庫不足となった場合に生産がストップしてしまい、販売の機会を逃してしまうこともあり得ます。
他の材料で代用して納品しても、ハンドメイド作品は素材のニュアンスなどのディテールを気に入って購入するお客さんが多いので、同じ材料でないとクレームの対象となる場合もあります。
売れ行きが良い作品の材料は常に確保し、いつでも作品を作れるように準備しておきましょう。
ネットの卸サイトは、いつも同じ商品を仕入れることができ発注してから材料が到着までが早いので、作品を長期的に販売することが可能です。
あえてハンドメイド専門店にしない
ハンドメイドが好きな人は、ハンドメイドの通販サイトを積極的に閲覧しますが、ハンドメイドに馴染みが無い人もまだまだたくさんいます。
そんなユーザーからのアクセス数を集めるためにはあえてハンドメイド専門店にせず、人気の高い既製品を売り出すことでショップページに訪れたお客さんにハンドメイドの良さをアピールする方法もあります。
取り扱う既製品は人気の高い売れ筋商品が良いですが、ショップの雰囲気とかけ離れているものは避けましょう。
また、ハンドメイドの制作作業が追い付かないという時や材料切れで売り出せないという場合には、商品ページを既製品で埋めるという手段も使えるので、あえてハンドメイドの専門店にしないことは販売者にとっても運営がしやすくなります。
ハンドメイドと既製品のセット企画などを考えるのも面白いです。
ハンドメイド資材を販売する
ハンドメイドが好きな人の中には、自分でもハンドメイドのものづくりをしているという人や手作りに興味がある人も多いです。ですから、ハンドメイドショップには、手づくりの作品だけでなくショップの雰囲気に合うハンドメイド資材をばら売りするという方法もあります。
また、ハンドメイドショップの強みは、作家の好きな世界観にハマるお客さん=ファンを増やすことができるという部分にあります。ショップの運営と並行してオンラインで【ハンドメイド作品の作り方講座】を開くなど、サービスを販売するという方法もあります。
まとめ
ショップの差別化が課題となるネットショップ業界で、ハンドメイド作品はすでに一点ものという特徴があるためブランディングをしっかりすれば、売れる作品を生み出すことも可能です。ハンドメイドショップを運営するなら梱包や配送手配、返品・交換対応なども仕事に含まれますが、ショップが大きくなるごとに作業を外注することもできますし、収益を上げながら自分は作品作りに専念するということも不可能ではありません。
今回はハンドメイドショップの開業で知っておくべき知識を紹介しました。販売する作品さえあれば、今日からでもハンドメイドショップを開業できます。