物販や広告の効果を高めるためには、クオリティーの高い画像・ムービーを用意したいものです。このとき、自身で用意する場合、まずは撮影に適した環境を整える必要があります。とくに写真や映像をきれいに撮影するにはライティングが重要となるため、カメラだけでなく照明にもこだわりたいところです。
この記事では、撮影用ライトの種類や役割、おすすめの商品などを解説していきます。撮影のコツも併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
2種類のライティングがある

撮影を行う際には、大きく分けて2通りのライティングが選択可能です。ここからは、それぞれの特徴を解説していきます。
自然光
太陽の光は、ナチュラルな色味を表現するのに最適です。ただし、季節や時間帯、天気によってコンディションが異なるという特徴があります。場合によっては、思い通りのライティングや構図での撮影ができないケースも出てきます。天気やロケーションに合わせて、撮影の時間帯などを調整する必要があるため、スケジュールを合わせなくてはなりません。
人工光
ライトを使った撮影は、場所や天気に関係なく撮影することができます。自然光での撮影環境が整えられないときでも、良い写真や映像を撮ることが可能です。
照明の種類

ライトの種類によって適したシーンが異なり、目的に合わせた道具を用意する必要があります。ここからは、撮影に用いられるライトの種類と、その特徴を解説していきます。
ストロボ
「フラッシュ」とも呼ばれるストロボは、瞬間的に大きな光量で発光するライトです。ただし、常に光を発するわけではないので、静止画向きの道具と言えます。
ストロボは初心者でも扱いやすく、安価な商品が多いのが特徴です。その反面、バッテリーのチャージ時間などを待つ必要があるため、撮影に時間がかかることがあります。
蛍光灯
一瞬だけ光を放つフラッシュライトに対して、常に光を発するライトは「定常光」と呼ばれています。その内の一つである蛍光灯は、ストロボに比べると光量は少ないものの、正確な色味の表現が可能です。光の量が足りない場合には、複数のライトを活用することで十分な光量を確保できるでしょう。
電球
ハロゲンライト、タングステンライトなどは、暖色系の光を放つ定常光の照明です。肌の色をきれいに表現することが可能なので、人物撮影などに適しています。管理にはある程度の専門知識が必要ですが、寿命が長く、機能が衰えにくいのが大きな魅力と言えるでしょう。他の照明に比べて値段が高いものが多いため、初心者向けというよりはプロ向けの道具です。
LED
定常光の一種であるLED照明は、バッテリー式のものが多いのが大きな特徴です。コードを繋ぐ必要がないため、屋外での撮影に適しています。しかし、扱うには専門知識が必要で、光量が少ないというデメリットもあります。
ライト選びのコツ

撮影用の照明は、高いもので数十万円ほどの値段になることもあります。買い物の失敗を防ぐためにも、正しい選び方のポイントを押さえておきたいものです。ここからは、照明を選ぶ際に注目すべきポイントを解説していきます。
映像撮影に利用する際は音の大きさもチェック
ムービーの撮影を行う際には、音声も同時に収録するケースがほとんどです。撮影用ライトの多くは、冷却用のファンがついています。ファンの音をマイクで拾う可能性があるため、大きな音が出ない機器を選びましょう。
では、ファンの音の大きさをチェックするにはどうしたらよいのでしょうか?まずは、口コミを参考にするのがおすすめです。レビューの中に音に関する感想がないか、よく確認しましょう。また、機能の詳細をチェックするのも有効です。静音性について大きくアピールしている品物であれば、ファンの音が大きすぎるという心配はないでしょう。
ワット数で光量を確かめる
強く光る照明ほど、消費電力が多い傾向にあります。したがって、使用目的に対して十分な光量があるかどうかをチェックするには、ワット数を確認すればよいです。光の強いライトを探している場合には、ワット数の高いものを選びましょう。
ただし、ワット数が上がるにつれ値段も高くなるため、大きな出費になる可能性もあります。価格と光量の、丁度よいバランスを見つけることが大切です。
Luxという単位について
照明の明るさを確かめる手段の一つとして、明るさを表す「Lux」という単位を確認する方法もあります。Luxの数値が高ければ、十分な明るさが確保できるということになります。室内で利用する場合なら、3万Luv程度のものがおすすめです。
アクセサリーパーツが装着可能かどうかもチェックする
ライトを利用する際には、光を和らげるためのパーツを装着して使うケースもあります。ここで注意しなければならないのが、対応しているもの同士でしか組み合わせることができないということです。購入予定の照明に、希望のアクセサリーが使用できないという場合も考えられるのです。購入する前には、対応しているアクセサリーも調べておきましょう。
演色評価数を確認する
照明の中には、被写体の色味を変えてしまうものがあります。商品画像の撮影などの場合には、デメリットとなる可能性があるため注意しましょう。
色味の正確性を示す指標として使われているのが、「演色評価数」です。CRIやTLCIなどさまざまな基準がありますが、どれも数値が高いほどよいとされています。安価な品物では説明されていないケースもありますが、表記がある場合には参考にしましょう。
目的に合っているかどうか要チェック
ライトの役割は、正面から被写体を照らすだけではありません。被写体の横や後ろから光を当てて、アクセントをつける目的で使用することもあるのです。それぞれの目的に合った照明選びが重要となります。
また、撮影のシチュエーションによっても、適する道具が異なります。例えば、室内で撮影を行う場合、部屋の照明の色味を別のライトで調整しなければならないケースがあるのです。色を変えられる照明があれば、写真の色味をコントロールできます。
おすすめの品物紹介

ここからは、目的別におすすめの商品を紹介していきます。ライトの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
小物の撮影におすすめのLEDライト
小さなものを撮影する場合には、UBeesizeのLEDビデオ照明セットがおすすめです。
光量についてはそれほど大きくはないものの、物販などの物撮りに使うには十分と言えるでしょう。軽量で三脚も付いているため、持ち運びしやすいのが大きな特徴です。色味の細かな調整はできないものの、ホワイトやイエローを含む5種類のカラーフィルターが付属していて、ドラマチックな演出をすることもできます。
動画撮影におすすめのLEDライト
スマートフォンなどを使ってムービーを撮影したい時には、SANKUAのLEDリングライトがおすすめです。
スマホホルダー付きで、使わない時にはコンパクトに変形させることができます。高さやライトの角度、スマホホルダーの角度まで自在に調整でき、光の当たり方を細かくコントロールしてくれます。色味や明るさも変えられ、正確な色の表現が求められる物撮りなどにも使用できます。
長時間の撮影におすすめのLEDライト
長い時間撮影を行う場合には、NEEWERのLEDビデオライトがおすすめです。
これ一つで十分な明るさを確保することができ、調光機能も付いています。長時間の使用にも耐えることができ、冷却ファンが付いておらず、静音性もあります。使用の際にはコンセントに接続する必要がありますが、別売りのバッテリーを購入することで、コンセントがない場所でも使えます。
一度の買い物ですべてが揃う撮影機材セット
ライティングにこだわると、1つの照明だけでは足りないこともあるでしょう。必要な道具をまとめて買いたい場合には、セットになっている品物がおすすめです。FOSITANの照明キットは、4つのLEDライトに加えて、スタンドや背景などがセットになっています。
比較的安価なセットなので、初心者の方にピッタリです。さらにこだわりたい場合には、この環境をベースとして、後から照明などを買い足していきましょう。
なお、付属の背景布にはスタンドも付いており、幅の調整が可能です。人物の撮影や品物の物撮りなど、さまざまな用途に対応できます。
屋外でのスマホ撮影に便利なLEDライト
小型でしっかりと明るくしてくれる照明が欲しい場合には、Ulanzi OfficialのVL49がおすすめです。
スマートフォンに取り付けて使用できる他、カメラにも装着可能です。5段階の明るさ調整機能も付いており、光が柔らかく拡散されるソフトライトによって、美肌効果も期待できます。ただし、小さめの機材なので、大きなものの撮影は得意ではありません。人物のバストアップや小物の撮影に適しています。
撮影のコツ

必要な機材を揃えたら、さっそく撮影を行いましょう。ここからは、写真や映像を撮影する際、意識するとよいことを紹介していきます。
日の丸構図は避ける
画角の中心に被写体を持ってくる構図のことを、「日の丸構図」と呼びます。この構図は画面が整理され過ぎており、ありきたりな印象を与えるため、なるべく避けるようにしましょう。
なお、人物を中心にとらえる場合は、頭の上に余白ができないよう、顔が中心よりもやや上に来るように撮るのがおすすめです。
三分割法を活用する
構図をとる技法の一つとして、「三分割法」というものがあります。画面の縦と横をそれぞれ三分割にする線を引き、ラインが交わる場所にポイントを置くという方法です。

例えば、人物を撮影する場合であれば、右上や左上の交点に顔を持ってくるとバランスが良くなるでしょう。スマートフォンの中には、「グリッド表示」ができる機種もあります。その場合は、表示されたグリッド線に合わせて画角を調整してみてください。

人物をメインで撮影する場合の構図について
人物に注目を集めたい場合は、基本的には胸から上の「バストショット」で撮影を行いましょう。これより引いた構図だと、人物ではなく背景に目がいくことがあるからです。注目すべきところを分かりやすくするために、人物が画面に大きく映るように調整することも大切です。
奥行きを大切に
初心者が陥りがちなミスの一つとして、壁のすぐ前に被写体を置いて撮影してしまうケースが挙げられます。この構図は圧迫感があり、窮屈な印象になってしまいます。これを避けるには、被写体の後ろにある程度の空間を開けるよう意識してください。画面に奥行きが生まれ、被写体が引き立ちます。
照明の効果を用いて美しい写真・映像を撮影しましょう

被写体を魅力的に見せるためには、ライティングが重要です。ライトが用意できない場合でも、自然光を使ってきれいな写真を撮影することが可能です。しかし、天候や時間帯に左右されるというデメリットもあります。自分の都合のよいタイミングで撮影を行いたい場合には、照明器具を用意するのがおすすめです。
物販などで品物の撮影をする場合は、色の正確性にもこだわりましょう。撮影の環境によっては、撮った写真の色味が元の色味と違って見えることがあります。色の印象が違う写真を使用すると、クレームの原因になりかねません。これを避けるためには、CRIやTLCIなどの演色評価数が高いライトを選ぶことが大切です。これにより、正しい色味になり、リスクを回避することができます。
以上のことに気を付けつつ、美しい構図を意識して撮影を行いましょう。よい写真・映像を撮影したいと思っている方は、ぜひともこの記事を参考に機材を揃えてみてはいかがでしょうか。