メルカリで物を売って収入を得ると、この収入に税金がかかるのか不安になる方も多いです。この記事では、メルカリで得た収入に税金がかかるのか。また確定申告が必要となる場合や、その申告方法、注意点について紹介します。
税金についてあまり知識がないという方にもわかりやすく解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。
メルカリの売上に税金はかかる?

不用品を売って収入を得られると嬉しい反面、この収入に税金がかかるのか不安になります。ここからは、売上に税金がかかるパターンとかからないパターンを紹介します。
生活用品を売っても税金はかからない
家の生活用品(普段の生活で使うもの)をリサイクルショップに持って行って得た収入には、税金はかかりません。これは、メルカリでそれらを販売して売上を得た場合でも同様です。これについては、公式HPに記載があります。
【税金のかからない生活用品の例】
衣服、家具、通勤用の自動車など
ただし、これから紹介するパターンでは税金がかかります。確認していきましょう。
参考:メルカリガイド
30万円を超えるものや生活用品でないもの
1点で30万円を超えるものや趣味嗜好品、高級品を売って収入を得ると、課税の対象になります。
一般的に骨董品や貴金属などを売った際の売上には、課税されません。しかし、1点または1組の金額が30万円を超えた場合には、「通常生活には必要のないもの」と見なされ、税金がかかります。
また、
・ゴルフの会員権
・趣味の道具
なども、生活用品でない物として売却時には税金が課せられます。
ビジネス目的の場合
ビジネスとして収入を得ることを目的で販売を行なっている場合は、課税対象です。転売やせどりはこれに該当します。
家の不要品を売っているだけであれば税金はかかりませんが、商品を仕入れて販売を続けている場合は、もはやビジネスと見なされて税金がかかる訳です。
売上がいくらになれば確定申告するの?

上記で税金がかかるパターンだった場合、確定申告が必要です。税金を支払わなければいけないかどうかは、売上や経費を計算したあとに決まります。
ここからは、確定申告の基礎知識の他、サラリーマンが副業として行った場合、専業主婦(主夫)や学生の場合、フリーランスの場合といった具体例を出して解説します。
確定申告の基礎知識
確定申告をする上で知っておきたい言葉の意味や計算方法を紹介します。
確定申告の計算は1月1日から12月31日までの収入、経費などをもとに行います。
【確定申告でよく使う言葉】
収入:売上(販売価格)
必要経費:販売手数料・梱包資材の費用・配送料など
所得:収入-必要経費
「収入」と「所得」はよく混同しやすいので違いを理解しておきましょう。
ビジネス目的であれば「雑所得」もしくは「事業所得」、ビジネス以外であれば「譲渡所得」で申告をすることになります。
それぞれの計算方法について事例を使って紹介します。
例)骨董品が50万円で売れた場合
販売手数料5万円、送料3,000円、梱包資材2,000円と合計5.5万円が経費としてかかった。
・収入:50万円
・必要経費:5.5万円
<ビジネス目的の場合(雑所得)>
雑所得=収入50万円-必要経費5.5万円=44.5万円
44.5万円が雑所得となり、この所得をもとに税金が決まります。
<ビジネス目的以外の場合(譲渡所得)>
譲渡所得を計算する際には、特別控除(50万円)を考える必要があります。
譲渡所得=収入50万円-必要経費5.5万円-特別控除44.5万円=0円
※特別控除は所得50万円未満であれば、同額を引きます。
譲渡所得は0円になり、税金はかかりません。
ビジネス目的ではなく物を売るときは、よっぽど高額なものでない限り税金はかかりません。
一方で、ビジネス目的の場合は特別控除がないため税金がかかります。
サラリーマンで副業している人
サラリーマンとして会社から給料をもらい、副業としてメルカリを使って収入を得ている場合は、メルカリによる年間所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。
例)
売上15万円-必要経費1万円=所得14万円:申告不要
売上30万円-必要経費15万円=所得15万円:申告不要
売上30万円-必要経費5万円=所得25万円:申告必要
他にアルバイトをしていたり、別の副業をしていたりする場合は、それらの所得も合算したものが20万円以下でなければいけません。
所得が20万円を超える場合には、その所得に給与所得も追加して納税額が決まります。
専業主婦(主夫)や学生
給与収入のない専業主婦(主夫)や学生は所得48万円以下であれば、確定申告は不要です。
例)
売上40万円-必要経費5万円=所得35万円:申告不要
売上50万円-必要経費10万円=所得40万円:申告不要
売上60万円-必要経費5万円=所得55万円:申告必要
所得48万円を超えた場合、扶養家族に入っている方は税金上の扶養から外れ、配偶者(特別)控除や扶養控除が受けられなくなってしまいます。他にも、社会保険の扶養から外れてしまう可能性も出てきます。専業主婦(主夫)や学生で所得48万円以上の収入があると、扶養から外れてしまうリスクもありますので注意しましょう。
また、所得が48万円未満であっても、それが43万円以上の場合は住民税の申告が必要になります。
自営業者(フリーランス)
自営業者(フリーランス)の場合も、所得48万円以下であれば申告が不要です。ただし、メルカリ以外にも収入がある場合には、それらによる所得と合算した結果が48万円以下である必要があります。
確定申告をする方法

ここからは、確定申告をする方法を紹介します。
売上の金額を出す
まずは、年間の売上金額を確認しましょう。計算する期間は1月1日~12月31日までの分です。なお、売上金額は口座に振り込まれた金額ではなく、商品が売れた金額のことを指します。
メルカリには、確定申告に必要な書類作成機能はありません。そのため、取引履歴をスクリーンショットや印刷して保存しておく必要があります。出品した商品の売却履歴は最大で2,000件まで閲覧が可能です。年間取引が2,000件を超える場合は、定期的に取引履歴をスクリーンショットや印刷をしておくことをおすすめします。
【メルカリアプリで売上を確認する方法】
1. マイページの「出品した商品」を開く

2. 売却済みのタブを選び、売れた商品の一覧が表示されます。(2,000件まで)
3. それぞれの商品を開き、取引情報の「商品代金」を確認します。

必要経費を計算する
併せて、年間でかかった経費も計算します。計算する期間は売上同様、1月1日~12月31日の分です。
確定申告では、必要経費を漏れなく把握することが重要です。具体的にどういうものが経費になるのかは後述しますが、何が必要経費になるのかはしっかりと把握しておきましょう。使った必要経費を漏れなく計上すれば、税金を安く抑えることができます。
申告方法を選ぶ
申告方法には「白色申告」と「青色申告」、2種類の方法があります。
「白色申告」とは、売上から必要経費を差し引いて申告する方法です。売上や経費などのお金の流れを記載した簡易的な帳簿を作成して申告をします。
一方で「青色申告」とは、帳簿の付け方や申告書の提出方法によって、特別控除(10万円・55万円・65万円のいずれか)を受けられる申告方法です。
両者を比較すれば「青色申告」の方が控除額も大きく、納める税金を抑えることができます。ただその分、帳簿が複雑であったり電子申告をしなければいけなくなったりなど、申告の難易度は上がります。自分に合った申告方法を選びましょう。
参考:国税庁 青色申告制度
メルカリで必要経費にできるもの

税金を抑えるために、「何が経費になるのか」把握することはとても大事です。
前提として、「必要経費」とは「収入を得るために必要になった費用のこと」を言います。メルカリで収入を得るために必要な主な経費を紹介します。
販売手数料
メルカリで商品を売った際、売却金額の10%の「販売手数料」が発生します。この手数料は自動的に引かれるため、経費として気づきにくいです。忘れずにチェックしましょう。
売却した商品の取引情報を確認すると販売手数料が記載されています。

梱包材の費用
商品を発送する際に商品を梱包する資材も、必要経費に入れられます。梱包資材の例は以下のとおりです。
例)
ダンボール
緩衝材(プチプチ、新聞紙など)
梱包用テープ
専用のボックス など
配送料
商品を発送する際にかかった配送料も必要経費です。負担した配送料も、各商品の取引情報から確認ができます。
売上の振込手数料
売上金を銀行口座に振り込む際には、手数料がかかります。この費用も経費に計上することが可能です。振込手数料は計上する経費から漏れることが多いので、忘れずにチェックしましょう。
商品の仕入れ費用
商品を仕入れて販売している場合は、仕入代金も経費です。仕入代金は、商品が売れたときだけ必要経費にできます。
例えば、100円の10個商品を仕入れてそのうち7個だけ売れた場合は、700円だけ仕入れ代金として経費に入れられます。売れ残った3個分の仕入れ代金300円は、経費に入れることができません。
他にも、店舗などで仕入れをするためにかかった交通費も経費にできます。自動車などを使った場合は、ガソリン代や高速代なども経費になります。
インターネットの通信費
メルカリで取引をするためにはインターネット環境が必要です。そのため、ネット回線の費用も経費にできます。
ただ、家のネット回線は私用としても使っている場合が多いかと思いますので、仕事としてどれくらい使っているのか事業割合を決めて、その割合分だけ経費に入れるようにしましょう。
税理士などの委託費用
事業規模が大きくなってくると、自分だけで経理作業が追いつかないこともあります。税理士に経理作業を委託する場合は、その費用も経費にできます。
税理士に任せると本業に集中でき、節税アドバイスをもらえたり税務調査の際に立ち会ってくれたりするメリットもあります。経理作業が苦手な方は、税理士に依頼するのも一つの方法です。
必要経費計上時の注意点

必要経費を計上する際の注意点を紹介します。
領収書やレシートは必ず残す
必要経費に入れるものの領収書やレシートは、必ず残しておきましょう。万が一税務調査が入ってしまった場合、領収書やレシートがなければ必要経費として認めてもらえない可能性があります。
インターネットを通じて購入するなどして領収書がない場合は、納品書や決済の画面を保存しておく、クレジット明細などに支払った日付・何のために購入したのかなどメモ書きを残しておくなどして、購入を証明できるものを残しておきましょう。
また、確定申告が終わったあとも、証拠となる領収書などは7年間保管しておく必要があります。必ず保管しておいてください。
私用でも使うものは全額を必要経費にすることはできない
家のネット回線やスマートフォン、パソコンの費用も経費として入れることができますが、プライベートでも使用する場合は全額を必要経費とすることはできません。例えば、スマートフォンを仕事用として1日に3時間程度使っているのであれば、費用の1/8を経費に入れることができます。
プライベートでも仕事でも使う場合は、仕事で使っている事業割合分だけ経費に入れてください。
まとめ

メルカリで売り上げが出ると「税金かかるのかな」と不安になります。生活用品で不要になったものを売って収入を得る場合には、税金がかかりません。しかし、物を仕入れて販売したり、30万円を超えるような高価なものを売却したりした場合には、税金がかかる可能性があります。
また、サラリーマンや専業主婦(主夫)の場合も、一定金額以上の所得があれば確定申告が必要です。「少額だから申告しなくてもいいや」「申告してもバレない」と思う方もいらっしゃいますが、国税庁も目を光らせて確認しています。結局収入があることはバレますから、必ず申告を行ってください。