メルカリ出品で消費税はかかるの?課税と非課税の違いやインボイス制度・消費税の注意点も解説

メルカリで出品する際に消費税がかかるのか気になる方は多いのではないでしょうか。基本的に物を買う際に必ずと言ってよいほど消費税が課税されます。とすると、メルカリでも課税されると考えるのが筋でしょう。ところが、実際は課税されません。

しかし、個人事業主や企業がメルカリShopsで出品するとなると話は違います。

そこで今回は、メルカリ出品で消費税が課税される場合と非課税な場合、さらに課税に深く関わるインボイス制度や消費税に関する注意事項を詳しく解説します。

目次

メルカリ出品で消費税はかかるのか?

メルカリ出品で消費税はかかるのか?

まずメルカリと消費税の関係について概要を解説しましょう。

消費税はかからない!

結論からいうと、個人でメルカリ出品する場合、消費税が課税されることはありません。

つまり、あなたが自宅にある洋服やバッグ、本といった不要物をメルカリで売ったとしても、そこに消費税を加える必要はないということです。

通常の販売行為なら、もし1,000円の商品を売る場合は、その10%である100円の消費税を加算して合計1,100円で販売することになります。しかし、メルカリなら消費税が課されないので、1,000円でよいのです。これは、売り上げが100万円であっても500万円であっても関係ありません。

課税と非課税の違いは?

課税と非課税の違いは?

続いて、メルカリでなぜ課税されないのかについて説明しましょう。ただし、ネットショップが開設できる「メルカリShops」で販売する場合は、課税しなければなりません。その理由についても解説しましょう。

メルカリが非課税の理由

詳しくは後述しますが、消費税を負担するのは、商品を購入する一般の消費者です。そこから一時的に預かった消費税を、個人事業主や企業が税務署に納税する仕組みとなっています。

ここでポイントとなるのは、原材料や商品を個人事業主や企業が取引先から仕入れて、販売しているという点です。(ちなみに保険適用外のマッサージなどのサービスにも消費税はかかりますが、本稿はメルカリにおける物品販売がテーマのため、あえて除外します)

この点から考えると、メルカリでは個人が趣味の範囲で不要物を販売するというのが主旨のため、仕入れ販売ではありません。この場合、消費税は課税されないのです。

中には、あえてどこかから仕入れて出品する「転売」を行うユーザーもいます。しかし事務局はそれを推奨しておらず、悪質な場合はアカウント停止など厳しいペナルティをもって対処しています。

よって転売を除外する前提で考えると、メルカリで消費税がかかることはないのです。

メルカリShopsは課税される

メルカリShopsは、メルカリが運営するネットショップ開設サービスです。

仕入れ販売や堂々と転売を行いたい個人や企業に対して、提供しているプラットフォームです。

この場合は、不要物を売るのではなく、れっきとした仕入れ販売のため、消費税が課税されます。

つまりメルカリShopsを使う場合は、消費者から受け取った消費税を納税する義務が生じると理解してください。ただし、年間の課税売上高(消費税分を除いた売上高のこと)が1,000万円を超える場合に限ります。

商品自体の純粋な売上額が999万円で、販売時に受け取った消費税が99万円だとすると、この99万円は納税しなくてよいということです。

課税事業者と免税事業者

課税事業者と免税事業者

メルカリでなぜ消費税がかからないのか、大まかな理由は理解できたでしょうか。

ここから、課税事業者と免税事業者についてや、課税事業者が対応しなければならない2023年10月1日からスタートしたインボイス制度について解説します。

そもそも消費税とは?

ここであらためて消費税について基本的なことを解説しましょう。

消費税は、消費者が店頭やネットを通じて支払うものです。コンビニやスーパー、ネットショップなどで買い物をした際には、必ず請求されます。飲食店で食事をした場合も同様です。

さらに、消費者に商品が届くまでにいくつかの事業者を経る場合が少なくありません。その際も、原材料や商品を仕入れた事業者は必ず仕入れ先に対して消費税を支払わなければなりません。

各個人事業主や企業は、こうして手元に溜まった1年分の消費税を税務署に納税します。消費者に代わって納税する行為を「消費税の転嫁」といいます。

課税事業者とは

消費税をめぐっては、課税売上高に応じて納めなければならない「課税事業者」と、納める必要がない「免税事業者」に分類されます。

課税事業者は、以下のとおりです。

・前々年度の課税売上高が1,000万円を超えた個人事業主と法人

・前年の1月1日〜6月30日まで(特定期間という)の課税売上高が1,000万円を超えた個人事業主

・前事業年度がスタートしてから6ヶ月間で課税売上高が1,000万円を超えた法人

・資本金が1,000万円以上の法人

・親会社もしくは親会社の特殊関係法人の前々年度の課税売上高が5億円を超える新規開業した法人

・課税売上高が1,000万円超の被相続人の事業を継承した個人

つまりメルカリShopsで個人事業主として年間に1,000万円を超える販売を行った場合、その翌々年には消費税を納税する義務が生じるということです。

免税事業者とは

消費税の納税義務が生じない免税事業者は、以下のとおりです。

・課税売上高が、1,000万円以下の個人事業主

・1,000万円以下の資本金を有する法人は1期目と2期目は納税義務を回避できる

仕入額控除を理解しよう

消費税を納税するにあたっては、「仕入れ額控除」についてしっかりと理解する必要があります。

仮にあなたの会社「A商店」が「B商店」から商品を仕入れてメルカリShopsで売るとしましょう。

800円のバッグをB商店から仕入れ、メルカリShopsにて1,000円で販売した場合、消費税を加えた総額は1,100円となります。仕入れの際にも800円に10%の消費税がかかるので、実際にB商店に支払うのは、880円になります。

あなたが支払った消費税→80円

あなたが受け取った消費税→100円

さて、ここからが本題です。もしあなたがユーザーから受け取った100円の消費税をそのまま全額納税してしまったらどうなるでしょう。

先ほど消費税は末端の消費者が負担するものと説明しました。よって、この場合その額は100円になります。ところが100円全額を納税すると、すでにB商店に支払った80円の消費税と合わせて180円をあなたが負担していることになり、あきらかに矛盾が生じます。つまり80円分を二回支払っている計算になるのです。

この80円分にあたる消費税を控除してもらえるのが、「仕入れ額控除」です。仕入れ額控除を平等に徹底するべく2023年10月1日から導入されたのが、「インボイス制度」なのです。

2023年10月1日からインボイス制度がスタートした!

課税事業者にインボイスを発行できるようにしたのが「インボイス制度」です。

インボイスとは、適格請求書のことです。適格請求書とは、売り手が買い手に対して消費税率と消費税額を伝えるための請求書を指します。これがないと正式な仕入れ額控除が受けられません。

つまり先ほどの例で言うと、インボイスはB商店があなたの経営するA商店に向けて発行され、消費税率が10%、消費税額は80円となります。

ところが、インボイスは課税事業者しか発行できないため、もしB商店が免税事業者でインボイスを発行できないとなると、あなたは正式に仕入れ額控除が受けられなくなります。つまり、二重で支払わなければならない消費税が発生する可能性があるというわけです。

これは、非常に大きな損失となりかねません。よって現実には、インボイスが発行できない事業者は、取引から除外されたり、課税事業者となってインボイスを発行するように求められたりする可能性が生じるのです。

免税事業者はだれでも、税務署に登録することで課税事業者になれます。ところがそうなると、免除されていた消費税を支払わなければならなくなるので、どうすべきか迷っている事業者が存在するのが現実です。しかもいったん課税事業者になると、それから2年にわたり免税事業者には戻れなくなるため、いっそう悩ましく感じる向きがあるかもしれません。

インボイス制度には負担が軽くなる制度がある

インボイス制度には負担が軽くなる制度がある

インボイス制度によって、課税事業者と免税事業者の双方にとりさまざまな負担が生じます。そこでそれぞれの負担軽減策が設けられています。

例えば課税事業者なら、取引先が免税事業者であり続ける限り、その業者との取引で生じた消費税について、仕入れ額控除が適用されません。これは大きな損失になります。

また、自身もインボイスを発行するには、新たなシステムの導入や人材育成といった措置が必要になるでしょう。そのためには、予算確保や研修、採用も行わなければなりません。

免税事業者も、課税事業者になるには、コストや準備作業が求められます。

これらの負担を鑑みて、インボイス制度では、課税事業者にも免税事業者にも負担軽減策が実施されています。それらについて個別に解説しましょう。

課税事業者への負担軽減策

課税事業者は、仕入れ先が免税事業者の場合、インボイスが発行してもらえません。

そこでそのような課税事業者には、インボイス制度が導入される2023年10月1日から2029年10月1日までの6年間にわたって以下のような経過措置が施されています。

・インボイス制度スタートから2026年10月1日までの3年間→免税事業者に支払った消費税額の「80%」を控除

・2026年10月1日〜2029年10月1日までの3年間→免税事業者に支払った消費税額の「50%」を控除

この6年の間に、免税事業者に課税事業者への転換を求めたり、新たに課税事業者である取引先を探したりすることができます。

免税業者から課税事業者になった場合の負担軽減策

免税事業者からインボイスを発行できる課税事業者になった事業者には、2023年10月1日から2026年9月30日までの各課税期間で、負担軽減策が実施されます。

仕入れ先などから受け取った消費税の80%を仕入れ額控除として計算できるというものです。つまり、実際に納税しなければならない消費税の20%でよくなるということです。これを「2割特例」といいます。

消費税の注意点

消費税の注意点

最に消費税にかかわる注意事項について解説します。

とくにメルカリShopsで事業を行う方は、この内容についてしっかりと理解しておいてください。

総額表示が原則

2021年4月から表示する価格は、消費税を込みにした額を掲示することが原則となりました。

つまり、1,000円の商品を売る場合は、消費税額を上乗せして「1,100円」と表示しなければなりません。

それ以前は、安く見せるために「999円」などとして、消費税分を表示しないという方法も許されていましたが、現在は違法になるので注意してください。

具体的には、以下のような表示法が許可されています。

1,100円(税込)

1,100円(税抜価格1,000円)

1,000円(税込価格11,000円)

1,100円(うち消費税額等100円)

1,100円(税抜価格1,000円、消費税率10%)

1,100円(税抜価格1,000円、消費税額等100円)

軽減税率の対象品目

現在、消費税率は「10%」が原則です。ただし一部の商品においては「8%」となっており、これは「軽減税率」と呼ばれています。

具体的には、以下の品目がその対象です。

・酒類・外食を除く飲食料品(肉や魚、野菜、乳製品、加工食品、清涼飲料水やテイクアウト、宅配など。また有料老人ホームなどでの飲食料品の提供)

・週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

詳しくは以下を参考にしてください。

参考:よくわかる消費税軽減税率制度 | 国税庁

軽減税率が非対象になるケース

飲食に関わる場合でも軽減税率が適用されないケースがあるので要注意です。

・酒・アルコール類

・ケータリング

・レストランや居酒屋などでの外食やコンビニ・スーパー内などでのイートイン

・医薬品・医薬部外品

消費税が課税されるタイミング

消費税は取引のどの段階で課税されるかが決まっています。それによって、計上する日付が変わるケースがあるので注意してください。

具体的には、支払いを受けた時ではなく、商品を出荷したタイミングになります。よって、支払いが3月5日だとしても、出荷が3月10日なら、消費税が計上されるのは、3月10日ということです。

仕入れの際は、商品が入荷した日が計上のタイミングとなります。

売上が1,000万円を超えたら納税の準備を

繰り返しますが、消費税が課税されるのは、課税売上高が年間1,000万円を超えた翌々年です。

よって、消費税を除いた商品自体の純粋な売上高が1,000万円に近づいてきたら、納税の心づもりをするようにしてください。

ただし、個人事業主については、その年の1月1日〜12月31日までが計算期間となります。

つまり、例えば、10月1日〜翌年の2月10日までに課税売上高が1,000万円を超えたとしましょう。内訳が、年内が500万円で、年が明けてから500万円、しかも年内の課税売上高が全体で1,000万円に満たない場合は、課税対象にはなりません。

まとめ

まとめ

個人がメルカリで出品する分には、消費税はかかりません。

一方、メルカリShopsにてビジネス利用をする際には、課税対象となるので気をつけてください。

インボイスについても具体的に手を打たなければ、取引先や売上が減少する恐れがあるので、早めの対応を心がけてください。

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