YouTubeや運動会、プレゼン用のコンテンツなど、日常で動画を撮影するシーンは多いでしょう。しかし、いざ撮ろうとすると要領が分からず戸惑ってしまうこともあるかもしれません。
そこで今回は、初心者が上手く動画撮影をするためのコツや心構え、必要なツールについて分かりやすくまとめました。
動画撮影の準備と心構え
動画撮影と聞くと、どうしても何を撮るかやテクニックなどに意識が向きがちになるかもしれません。しかし質の良いコンテンツを作成するには、撮影前の準備をしっかりとしておくことが大切です。この点が不足していると、撮ってから後悔したり、撮り直しをしなければならなかったり、中途半端で見応えのない作品になったりします。
そこでまずは、動画撮影にあたっての準備と心構えについて解説しましょう。
撮影の目的を明確にする
まず何のために撮影するのか、目的を明確にすることが大切です。一見当たり前のように思えるかもしれませんが、テーマが曖昧だと、メリハリに欠けて物足りなさが強調されたり、メッセージ性が薄れたりするので注意が必要です。
運動会や文化祭なら、家族など身内で楽しむとか思い出の保存が目的なので、少し気楽に撮れるかもしれません。しかしこれが、卒業記念品や新入生募集のPR動画となると、話は違ってきます。ただ撮るだけでなく、編集の要素が本格的に絡んでくるからです。
他にもYouTube配信してフォロワーを増やしたり収益化したり、ショップサイトで商品をプロモーションするなど、ビジネス目的の場合は視聴者目線を強く意識したコンテンツ作りが求められます。
目的が決まると、次に何が必要かといった重要事項が明確になったり、派生的に思いついたりするので、ぜひおすすめします。
ストーリーを考える
目的がはっきりしたら、次は動画全体の筋書きを考えます。
それもただ何となくではなく、できるだけ細かくストーリーを構成してください。行き当たりばったりの出たとこ勝負だと、とくに初心者の場合は、想定外のトラブルやアクシデントによって、思いのほか現場で苦戦することがあるからです。失敗から学ぶものも大きいですが、あまりに大きすぎるとストレスになります。その結果、撮影そのものに苦手意識が出てしまえば、元も子もありません。
「いつ、どこで、何を、誰が(誰と共に)、なぜ」というように5W1Hで追求していき、それを台本に落とし込んでいきます。こうすると、不測の事態を減らすことができるうえ、撮影に必要なアイテムや衣装、撮影の時間帯が明確になり、動画の完成イメージもはっきりとしてきます。
さらに、
・撮影許可は必要か、必要ならいつまでに済ませないといけないか
・天気の確認
・現地までの交通費やその他の必要経費の見積り
など、周到な準備が可能となるはずです。
ここまでしておくと、当日は動画撮影にしっかりと集中できるでしょう。
撮影機材を決める
「何を使って動画撮影するのか」も決めておく必要があります。
手元にあるスマホを使うのか、それともデジタル一眼レフやアクションカメラを使うのか。必要であれば、新たな機材の購入を検討する必要もあるでしょう。
配信するプラットフォームを決める
動画配信するなら、そのプラットフォームを決めておくことも重要です。
例えば、YouTubeとTikTokでは、動画の長さや見せ方は大きく異なるかもしれません。また、YouTubeやFacebookなら画面は横向きが良いですが、InstagramやTikTokになると縦向きでないと、画角が合わないため、アップロードした時の画像が見にくくなります。
YouTubeなどで収益化を目的とするなら、いずれはその申請も必要になるので、仕組みや手続き方法なども下調べしておく方がよいでしょう。
長い動画を撮りすぎない
初心者の場合、ついひとつ一つの動画を長く撮りがちになります。
しかし、同じ画面が長く続くと単調になり、面白みが薄れてしまうことが多いです。すると、編集する段になって現場で感じた高揚感や楽しさが、今一つ上手く表現できず残念な思いをすることがあります。
それよりも、傾向の違う10秒前後の動画をいくつも撮り溜めた方が、完成した際には映像全体に動きが出て、迫力や見応えが増すでしょう。編集の際にもアレンジの幅が広がるので、おすすめです。
屋外は順光が基本
動画を屋外で撮影することも多いでしょうが、その際は自然光を有効に活用するのがポイントになります。
よって天候の良い日や時間帯を選ぶ必要がありますし、太陽を背にして被写体を撮る順光を意識することも大切です。被写体の後ろに太陽が来る逆光は、影で顔や姿がはっきり見えなくなる可能性が高いため、十分に注意してください。
撮影に必要なおすすめツール
動画撮影にカメラが必要なのは当然です。ただそれ以外にも、撮影の助けとなるツールや機材がいくつかあるので、紹介しましょう。これらを使うのとそうでないのとでは、動画の仕上がりが大きく異なることがあるので、ぜひ参考にしてください。
ジンバル・三脚
後述しますが、動画撮影の際、手ブレは極力避けた方がよいでしょう。画面が揺れると非常に見にくいうえ、素人感が強調されるのでコンテンツとしての評価が大きく下がる可能性が高いからです。
そこでおすすめするのが、「ジンバル」や「三脚」を使うことです。
ジンバルは、スマホをセットすると、どの方向に向けても常に水平を維持できるようになっています。グリップもついているため、両手を使わず片手でも撮影できます。とくに歩きながらや、被写体を追いかけて撮らなければならない場合は、非常に便利でしょう。
室内、室外を問わず、カメラを固定して定点で撮りたい場合は、三脚を使います。高さが調整できたり、中には脚部分を自由に曲げられたりするタイプもあるので、木の枝や鉄棒、ドアノブなどに巻き付けて撮影することもできるでしょう。
照明
室内では人工照明が非常に役立ちます。自然光だけでは、どうしても明度が足りず、画面が暗くなってしまうことが多いからです。
被写体の斜め前や後ろ、サイドから当てる、LED投光器、ビデオライトといった定常光は、大きさも明るさもさまざまなものが多数販売されています。部屋の明るさや撮影目的に合わせて最適なものを揃えておくと、天候にも左右されないので安心です。
さらに、メイクや解説系動画で顔をアップする場合は、LEDライトがラウンド型に並んでいてその中央にスマホやカメラをセットできるリングライトや、パソコン画面の上部にクリップどめできる卓上ライトなどがおすすめです。
マイク
動画では、映像も大事ですが、音声もそれと同じくらい重要です。せっかく上手く撮れていても、セリフが聴こえなかったり、歌声や動物の鳴き声が聴き取れなかったりすると、動画全体の価値が大きく損なわれてしまうでしょう。
スマホやカメラに内蔵されているマイクでも十分にこと足りる場合も多いですが、屋外での撮影やゲーム実況動画の場合は、専用のマイクがあった方が安心です。
歌動画にはそれ用のハンドマイクやスタンドマイク、屋外でカメラと被写体の距離が離れている場合はガンマイクがあるとよいでしょう。ゲーム実況なら、スマホに直接差し込めるタイプがおすすめです。
インテリア・小物・背景幕
室内での撮影の場合、何も置かないと殺風景に映ることがあります。
家具やシャンデリアといったインテリアや観葉植物、また卓上にさりげなくキュートな置物や小物がおいてあると、見る人の目を楽しませることができます。それにより動画のチャンネルや出演者のキャラクターを設定したり、演出したりすることもできるでしょう。
どうしても被写体の背景がごちゃごちゃしていたり見映えがしなかったりする場合は、ライトグレーやホワイトなど一色ものの背景幕を使う方法もあります。
動画撮影のテクニック5選
初心者でも、意識すると動画を上手く撮れるテクニックがあります。決して難しくないので、ぜひ試してみてください。
余裕をもった撮影をする
余裕をもった撮影というと、先ほど「動画は10秒前後の短めのものを撮り溜める」と述べたことと、矛盾しているように聞こえるかもしれません。
しかしここで言う「余裕」の意味は、動画として採用したいシーンの前後に少しだけ時間を持たせるということです。
例えば、10秒のパフォーマンスがあるとして、正直に10秒だけ撮影するのは危険です。編集でまったくカットせずに撮った分の100%をそのまま使うというのは、余裕がなさすぎて動画自体の劣化を招く恐れがあるのです。
それよりは、数秒でも前から録画ボタンを押し、パフォーマンスの終了後少し余韻を残してからボタンを押すようにしましょう。その方が、予定より早くに演技などが始まったり長引いたりした際に、対応しやすくなるでしょう。余分な部分は、編集でカットすれば問題ありません。
カメラワークは程々にする
被写体をアップにしたり、引きで撮ったりするズームインとアウト。カメラを上や下へ動かすティルトアップとダウン。左から右、またその逆方向へと動かすパーンや逆パーンなど、カメラワークにも色々あります。最初のうちは、演出のためにさまざまなパターンのカメラワークを試したくなるかもしれません。
しかしこれらは、時々行うからこそ効果があるのであって、あまりに頻繁にしすぎると視聴者にはくどく映って、逆効果になることがあります。よってその辺りはイメージに近いプロや人気ユーチューバーの動画をよく観察して、どのようなカメラワークが効果的で見ていて心地いいかを研究するのもよいでしょう。
複数のアングルで撮る
動画に動きをつける意味では、短めのものを複数撮影するだけでなく、別のアングルで撮るのも効果があります。
上からと下から、右斜めからと左斜めから、また真後ろなど、同じ被写体でもアングルが違えば見え方や印象が大きく異なるものです。
これは、冒頭でお伝えしたストーリーを考える際にある程度構想を練り、あとは実際の現場でアレンジしたり、もっと良い案があれば変更したりするのも、アリです。
グリッドを有効利用する
動画は、画面を水平にして撮るのが基本です。演出であえてする場合を除いて、画面が斜めに傾いていると、見ていて違和感が残ります。
そこでスマホなら、画面に縦・横の格子状に数本の線が表示されるグリッドを活用するのがよいでしょう。グリッドを使うと、自分の感覚で垂直や水平を判断するよりも格段に高いレベルで、画面をしっかりと固定できます。とくに動きながらの撮影にはうってつけでしょう。
画面の明るさを統一する
シーンによって明るさが異なると、非常に見にくくなり、素人感が強調されます。
そこで撮影前にマニュアル設定で明るさを統一したり、露出を調節してシーンによって明度を変えてみたりして、動画全体で均一になるように心掛けましょう。
撮影時の注意事項
初心者では気づきにくい動画撮影時の注意点があるので、ぜひ覚えておいてください。
映り込みの注意
屋外撮影の場合、知らない人の顔や配信するには相応しくない看板、個人情報などが意図せずに映り込むことがあります。
個人で楽しむ分には全く問題ありませんが、公に配信するとなると後にトラブルになったり、評価が下がる原因になったりする可能性があります。よって、物によっては事前にぼかしを入れたりモザイク処理したりといった配慮をした方が、無難な場合もあります。
雑音に注意
動画には、関係がない周囲の声や車、工事などの騒音が、入ってしまうケースがあります。室内でもエアコンや冷蔵庫、人工照明に内蔵されたファンの音などが、意外と大きく響く場合もあります。
撮影する時間や場所を変えるなどの工夫をしたり、事前にテスト撮影したりして、雑音が入らない対策を忘れないようにしてください。
手ブレに注意
手ブレは動画撮影の大敵です。画面が揺れると、視聴者が酔ってしまって、途中離脱されてしまう原因にもなりかねません。
したがって、ジンバルや三脚を駆使して、可能なかぎり手ブレ対策を徹底してください。ジンバルや三脚がなければ、脇を締めながら被写体を追うようにすると、手ブレしにくくなるでしょう。
撮影・編集アプリを使うメリット
スマホで撮影する場合は、動画撮影や編集に使えるアプリをおすすめします。デジタルカメラやアクションカメラでもソフトを使って編集することができるので、ぜひ利用してみてください。
最後に、そんな撮影・編集アプリのメリットを5つ紹介しましょう。
1.BGMや効果音が無料で使える
アプリやソフトは無料でインストールできるものが数多くあります。さらに、著作権を気にせず使えるフリー音源も多数用意されているので、シーンにあった曲や効果音を見つけて編集してみてください。
2.テロップが挿入できる
BGMや効果音に加えて、テロップを挿入すると動画の演出効果や伝わりやすさが、倍増することがあります。
アプリを使えば、好きな場面に好きな時間だけ簡単にテロップを表示することができるので、動画のクオリティをグンとアップできるに違いありません。
3.フィルターが使える
フィルターを使って、動画のタッチを変えられるのも、アプリの魅力です。
レトロでノスタルジックな画面にしたり、明るく爽やかな雰囲気にしたりと、タップやクリック一つで簡単にアレンジできるので、効果を考えながら色々と試してみてください。
4.美顔加工ができる
美顔加工ができるのも、アプリの大きな魅力です。とくにメイクやネイルなどのおしゃれ動画、ファッションやアクセサリーの紹介動画、解説系のコンテンツなど、顔写りの重要度が高い場合に、大変効果的です。
5.夜間・無音撮影ができる
夜間撮影に特化したアプリもあります。天体や祭り、花火などの動画を撮りたい時におすすめです。また、静かな場面では、スマホのシャッター音が意外と大きくて、眠った赤ちゃんが起きたり、ペットがカメラを気にして撮りたかった動きをやめてしまったりということが結構起こります。コンサートや講演会、演劇なども音を出すと周囲の迷惑になりかねません。そんな場合には、無音撮影アプリがおすすめです。使えばシャッター音が消せるので、心置きなく撮影に集中できるでしょう。
参考:GooglePlay/夜景カメラ
参考:App Store/夜景カメラ
参考:GooglePlay/無音カメラ
参考:App Store/Microsoft Pixカメラ
まとめ
動画撮影は、コツさえ掴めればとても楽しく、また奥深いものです。
撮影を繰り返すほどに、確実に上達しますから、とにかく時間を見つけて色々な動画を撮ったり編集したりすることをおすすめします。
ぜひ素敵なコンテンツをたくさん配信してください。