動画撮影に慣れてくると自然光や部屋の明かりだけでは物足りず、照明でさらにクオリティの高い映像を撮りたくなる方も多いでしょう。シーンに合わせて照明を使えば、美しい映像が撮れたりリアリティのある映像を撮影することができます。
そこで、この記事では照明の与える効果や照明を選ぶポイントと、動画撮影に適したおすすめの照明を9つご紹介します。
照明が必要な2つの理由
クオリティの高い映像を撮影するためには、照明が必須です。この項目では、映像を撮影するのに照明が必要な2つの理由を解説します。
ハイクオリティな映像を撮影できる
撮影場所に十分な光の量がないと、カメラの「ISO感度」を上げて撮影しなければなりません。「ISO感度」とは、レンズから入ってきた光をカメラ内で調整する指標のことです。暗いところでは感度を上げ、明るいところでは下げて設定します。ただ、感度を上げれば上げるほど映像が粗くなってしまうのが難点となっています。
感度を上げて低画質な映像になるのを防ぐために、照明を使って撮影場所を明るくする方法があります。照明があれば感度を低く設定できるため、鮮明な映像を作ることができます。
被写体をはっきりと映し出す
顔や被写体をはっきりと映し出したいときには、照明を使うのが効果的です。表情を映したいときに部屋の明かりや自然光だけだと、顔に影ができてしまったり顔全体が暗い印象になってしまったりします。
YouTubeで画面に話しかけるような映像で表情をはっきりと映したい場合には、照明を使って顔を明るく照らしましょう。商品などを映すときも、照明を使えば動画の訴求効果も上がります。
動画撮影に使用する3つのライト
動画を撮影するときによく使われるライトは主に3つあります。この項目では、それぞれのライトの特徴についてご紹介していきます。
・白熱球
・蛍光灯
・LEDライト
白熱球
白熱球は、皆さんが「電球」と言われたときにイメージする電球のことです。白熱球の色はオレンジのような赤みがかった色なので、温かみのある映像を演出するときに適しています。蛍光灯やLEDライトと比べると、値段が安く手に入りやすいのがメリットです。一方で、電球の寿命が短く熱を発するという点や、電球の色にバリエーションがないという点が難点となっています。
蛍光灯
蛍光灯は、よく学校の教室などの室内照明として使われているので、見たことがある方は多いでしょう。蛍光灯は太陽光との相性も良く、さまざまな撮影でよく使われています。価格も安く電球の寿命も長いうえ、熱を発さないので、白熱球のマイナス面をカバーしている電球と言えます。
しかし、蛍光灯を使って撮影をすると、映像がチカチカする「フリッカー現象」という現象が起こることがあります。フリッカー現象の対策として、シャッタースピードを東日本では1/50秒、西日本では1/60秒にすることが挙げられます。
LEDライト
LEDライトは動画を撮影するときに最もよく使われている照明ライトです。ライトをつけた時に発熱せず、ライトの寿命も白熱球や蛍光灯と比較すると圧倒的に長くなっていてエコな照明と言われています。以前は高価でしたが、近年価格が下がってきたため入手が容易になってきました。
LEDライトは光の量やライトの色も調整できるうえ、ライトの形もスポットライト型やリング型などさまざまな形状のものがあるのが特徴です。
LEDライトもフリッカー現象が起こることがあります。
照明ライトを選ぶときの5つのポイント
動画撮影で使う照明ライトにはいろいろな種類があります。どういう映像を撮りたいのか、どのようなシーンで使うのかによって使う照明は変わります。この項目では、照明ライトを選ぶときのポイントを5つ紹介します。
消費電力
消費電力は、明るさや製品によって異なります。基本的には消費電力が大きければ大きいほど、明るくなります。スタジオのような広い場所で全体を照らしたいときは、消費電力の大きい明るい照明を選びましょう。 一方で消費電力が大きいと、バッテリーの消費が早く、長時間の撮影には不向きです。長時間撮影をする場合には、予備のバッテリーを用意したり、コンセントが使える照明を選ぶと良いでしょう。
照度
照度とは、光源に照らされたところの明るさを数値化したものです。単位はルクス(lux)を使います。ルクスの数値が大きいほど明るくなります。同じ明るさを比較する数値としてルーメン(lm)があります。これは光源から出た光の量を表します。ルーメンも数値が大きいほど明るいことを示します。
撮影にどれくらいの照度がいるのかは、撮影環境や被写体との距離によって変わります。屋内で顔の表情を撮影したいというときに明るさはあまり必要ありませんが、夕方~夜にかけて屋外で撮影するときには十分な明るさが必要です。被写体や撮影環境に合った明るさのライトを選ぶようにしましょう。機材によっては、照度を調整できるものもあります。屋内外問わずいろんな場所で撮影する方には、調光機能付きのライトが便利です。
静音性
ライトを使用していると熱が発生するため、冷却用のファンがついているライトが多いです。撮影の際、ファンの音が音声として入ってしまうことがあります。冷却用のファンを使う場合、どれくらい音がするのか事前に確認しておくと安心です。
小型のライトであれば、ファンがついていないことも多く音が気になることはありません。屋内で顔だけが映ればいいというような場面では、小型のライトを使いましょう。
演色評価数
「演色」とは、光が色の見え方に及ぼす影響のことを指し、自然光で見る色の見え方とどのくらい違って見えるのか数値化したものを「演色評価数」と呼びます。演色評価数は「CRI」と表記され、1~100の数値で表されます。CRIが100に近いほど、被写体の本来持つ色が正確に表現されているということになります。動画撮影には、CRIが90以上のものが適しています。
光源の面積や形
光源の面積や形も、ライトによってさまざまです。スポットライトのように一点から光を発するものや、光源を並べて面で光を発するものなどがあります。
撮影用途に合わせて、ライトの大きさや形を選びましょう。ピンポイントで被写体を照らしたい場合にはスティックライト、顔をはっきりと映したい場合にはリングライトがそれぞれおすすめです。リングライトはYouTuberもよく使っており、目の中に光が入るのでキラキラとした印象を演出することができます。
動画撮影におすすめな9つのライト
これまで述べてきたポイントを基に、動画撮影に使えるおすすめのライトを9つご紹介します。ぜひあなたの用途に合ったライトを見つけてください。
ウランジ(Ulanzi) CUTE LITE L2
防水仕様になっているため、雨天時の屋外での撮影や水中での撮影をする際に使えるおすすめのライトです。水深10mまで撮影可能となっています。ライトは小型で軽量なため、GoProのようなアクティビティをしながらの動画撮影をするときに最適です。製品に8種類のカラーフィルターが付属しているので、色の演出もできます。
サイズ
高さ41mm・幅41mm・奥行38mm
重さ
70g
【明るさ】
1000lm
【演色評価数】
CRI 95
充電方式
USB
Kimwood ミニ型 LEDリングライト
部屋でカメラに向かって話しかけるような動画を撮影するときに、おすすめのライトです。丸型のライトになっているため、顔全体を明るく照らすことができます。ライトの色が5パターンあるので、演出したいシーンに合わせてライトの色を変えられることも魅力の一つです。
また、ライトの下にクリップがついているので、パソコンやタブレットにも取り付けて使えます。このライトは動画撮影用だけではなく、Web会議などでも使えるので便利です。電源はUSBで取ることが可能なため、パソコンやモバイルバッテリーに繋いで使うことができます。
サイズ
4.5インチ
重さ
50g(ライトのみの重さ)
電源
USB
参考:Kimwood ミニ型 LEDリングライト – Amazon
Yongnuo 600 LEDビデオライト
LED電球が600個もついているので、部屋などを広く明るく照らしたいというときにおすすめです。明るさの調整も細かくでき、リモコンがついているので本体を直接触らずに調整を行うことができます。
サイズ
高さ260mm・幅188mm・40mm
重さ
約1350g
光束密度
4680lm
演色評価数
CRI 95+
充電方式
AC電源アダプター
参考:Yongnuo 600 LEDビデオライト – Amazon
VIJIM VL-81 LEDビデオライト
小型のビデオライトですが、光量を調整できたり白色と暖色で光の色を変えたりできます。LEDライトが81個もついていて、かなり明るく照らせます。カメラのストロボに取り付けることができ、ネジ穴もあるので三脚やスタンドにも取り付けられます。
サイズ
高さ89mm ・幅75mm・奥行27mm
重さ
114g
消費電力
3.7V/6.5W
明るさ
850lm
演色評価数
CRI 95
充電方式
type-C
参考:VIJIM VL-81 LEDビデオライト – Amazon
アプチャー(Aputure) AL-MC
軽量でコンパクトなため、持ち運びに便利なライトです。「Sidus Link」というアプリとBluetoothで連携すると、スマホを使って操作ができます。このアプリを使うことで、通常のライトにはない幅広い機能を使うことが可能になります。
サイズ
高さ93mm ・幅61mm・奥行15mm
重さ
128g
明るさ
1100Lux@0.3m
演色評価数
CRI 96+
充電方式
type-C
参考:アプチャー(Aputure) AL-MC – Amazon
アプチャー(Aputure) Amaran100X
小型のライトよりも明るい照明が欲しいという方向けの照明機材です。明るさが最大34000Lux@1mなので、今まで紹介した照明よりもはるかに明るいです。このライトは、プロのカメラマンも使っています。「Sidus Link」というアプリとBluetoothで連携して、遠隔操作をすることも可能です。
サイズ
高さ313mm・幅185mm・奥行247mm(本体とリフレクター含む)
重さ
1.37kg(ランプヘッドのみ)
消費電力
130W
明るさ
34000Lux@1m
演色評価数
CRI 95+
充電方式
AC電源アダプター
参考:アプチャー(Aputure) Amaran100X – Amazon
Neewer CN-160
低価格で照明を買いたいという方に人気の商品です。LEDライトが160個もついているので、明るさが物足りないと感じたときにちょうどいいライトです。ただ、電池やバッテリーの消耗が激しいため、長時間の撮影に使うときは予備の電池やバッテリーを準備しておくといいでしょう。
サイズ
141mm×62mm×150mm
重さ
約242g
光束密度
660lm
充電方式
電池(単三電池6個)もしくはバッテリー
LUME CUBE 2.0 プロフェッショナル照明キット
手のひらサイズの超小型防水照明です。小型ですが、直視できないぐらいの強い光を放ちます。「Lume-X」というアプリを使えば、iPhone・Androidどちらでもアプリで操作可能です。防水性もあるため、屋外での撮影には向いているライトです。
サイズ
高さ40mm・幅40mm・奥行40mm
重さ
106g
明るさ
1500lm
演色評価数
CRI 95+
充電方式
AC電源アダプター
参考:LUME CUBE 2.0 プロフェッショナル照明キット – Amazon
ピクセル(PIXEL) G1S
照明のカラーバリエーションが欲しいときやシーンに合わせた照明を使いたいという場合には、「PIXEL G1S」の照明がおすすめです。映像の世界観を表現するために、ライト自体で色を表現できるのが魅力的で、「スクリーンモード」や「稲妻モード」などシーンに合わせた12種類の照明モード機能があるため、撮りたい映像のシーンに合わせてモードを切り替えることができます。
サイズ
高さ133mm・幅83mm・奥行16mm
重さ
270g
明るさ
1500Lux@0.5m
演色評価数
CRI 97
充電方式
type-C
まとめ
この記事では、照明が必要な理由や照明を選ぶポイントと、おすすめの照明についてご紹介しました。動画撮影は照明機材がなくてもできますが、照明を使うことでよりあなたのイメージするハイクオリティな動画を作れます。
照明機材はお手頃なものから高価なものまでさまざまあります。あなたの動画撮影をする用途に合わせて選びましょう。照明機材を使えば、映像がワンランクアップすること間違いなしです。