ネットショップが増加している今、初心者でも簡単にショップの構築ができるサービスが出てきました。
ネットショップの開業自体はそれほど難しくありませんが、もちろん開業して終わりではありません。ショップの運営には、サイトの更新・受注・梱包・発送・顧客管理・集客など、幅広い業務があります。自身でできる業務もあれば、専門知識を必要とする業務もあります。
そんな中、ショップの運営者が負担に感じている業務を代行してくれるサービスが「ネットショップ運営代行」です。
今回は、業者選びのポイントや、おすすめの代行業者についてご紹介します。ネットショップ運営にかける時間を少しでも節約したいという方は、ぜひ参考にしてください。
ネットショップの運営代行とは
ネットショップの運営代行とは、ショップの運営者に代わってネットショップの運営に必要な各種業務を代行してくれるサービスのことです。サービス内容は、商品ページの作成・受注管理・顧客管理まで多岐にわたります。
「SEOに強い」「モール型ショップの運営に強い」「コンサルティングサービスも行っている」など、代行業者はそれぞれ特徴や強みが異なります。そのため、自社のネットショップに必要なサービスが何なのかを考えつつ、運営代行サービスを選ぶ必要があります。
ネットショップ運営代行を利用するメリット
ネットショップ運営代行の利用には、下記のメリットがあります。
(1)商品ページの作成や管理を任せられる。単純でありながらも負担のかかる作業を依頼することで、自社の新しい企画や売上対策などの他の業務に力を入れることができる。
(2)商品写真の撮影など、専門性が高い業務を依頼することができる。
(3)商品を売るためのノウハウや専門知識を活用できる。
ネットショップ運営代行のデメリット
反対に、ネットショップ運営代行を利用するデメリットは下記のとおりです。
(1)運営を任せることになるので、自社にノウハウや技術が残りにくい。
(2)運営を丸投げできない業者もあり、その場合一部の作業は自社で行う必要がある。
(3)費用が掛かる。
依頼する業務を決める
ネットショップ運営代行に依頼する前に、「依頼する業務」を明確にしておきましょう。
運営のすべてを任せるのか、一部の業務だけ任せるのかでは、費用が大きく変わってきます。そのため、まずは予算を決め、その予算内でどの業務を依頼するのかを判断しましょう。
ネットショップ運営代行業者選びのポイント
運営代行業者には様々ありますが、自分のニーズに合っていなければ代行業者を利用する意味がありません。
代行業者を活用するには、「代行業者に求めること」を明確にする必要があります。そうすることで業者選びのポイントが見えてくるでしょう。
作業時間がかかる業務を洗い出す
まずは、自社で負担に感じている業務を洗い出しましょう。
・サイトの作成更新
・SEO対策
・宣伝、広告
・顧客管理
・運営方法
上記のような業務に問題があるかどうかを確認することで、どのような業者のどのようなサービスを利用すればよいかがわかります。
「なんとなく」で委託しても思うような成果を上げることはできないので、注意が必要です。
モール型か自社型か決める
ネットショップの運営には、大きく分けてふたつの方法があります。
ひとつ目は、楽天市場やYahoo!ショッピングといったECサイトに出店する「モール型」です。モール型は集客力が強いため、特に宣伝を行わなくてもある程度の集客が期待できます。ただし、モールには数多くのショップが出店しているため、自社のショッピングサイトや商品が埋もれてしまう可能性はあります。
ふたつ目は、自社独自のショッピングサイトで商品を販売する「自社型」です。自社型は、運営コストが低く、販売戦略に応じた顧客アプローチができるのが特徴です。しかし、モール型のようには集客が見込めないため、SEO対策や広告を打つなど、集客のための工夫が必要です。
モール型と自社型とでは、依頼内容だけでなく利用すべきネットショップ運営代行業者も異なります。それぞれの特性を理解したうえで、どちらの方法でサイトを構築するかを決めましょう。
重点を置く業務を決める
次に明確にしなければならないのは、ネットショップの運営においてどの部分を強化したいのかという点です。少なくとも、以下の業務のうちどの部分を委託すべきなのかは事前に考慮しておくべきです。
・SEO対策
・広告運用
・ページ作成と更新
・顧客対応
・企画立案、改善
・メルマガ配信
・スケジュール管理
・商品登録
・在庫管理
・受注業務
・顧客管理
事前に委託すべき業務を明確にしておけば、代行業者ごとに異なる「料金」や「サービス内容」の比較もしやすくなるでしょう。
委託する業務範囲を決める
自社の業務状況についての分析が終わったあとは、実際に委託する業務の内容を決めていきましょう。
例えば、運営のアドバイスだけが欲しい場合や、自社でもノウハウを身につけたい場合などは、一部の業務だけ委託するほうがよいでしょう。サポート体制の整った代行業者を選ぶと、ネットショップ運営のノウハウも身につきます。
ネットショップ運営代行業者にかかる費用
予算をいくらまで掛けられるかで委託できる業務内容の程度は変わってきます。費用体系は業者によって異なりますが、大きく3パターンに分けることができます。
【1】成果報酬型
成果に応じて報酬を払う方法です。売り上げの総額の何%かを支払う「売上総額型」と、売上の成長分から何%かを支払う「売上成果型」とがあります。
売上が上がらなければ支払う額も少なくてすむので、低リスクで委託できます。ただし、報酬率が高いため、売上が多い場合は費用が高額になる可能性があります。
【2】固定報酬型
期間に応じて決まった金額を支払う方法です。
料金体系がわかりやすいので、予算を立てやすいというメリットがあります。しかし、売上が上がらない場合でも固定額の支払いが発生します。
【3】複合型
成果報酬型と固定報酬型を組み合わせた費用体系です。報酬率と固定額は低めの設定になりますが、固定費用に加えて売上に応じた報酬を支払わなければなりません。
上記の報酬以外にも、ほとんどの代行業者で初期費用が掛かります。料金に関しては業者によって異なるので、費用体系と初期費用を併せて検討しましょう。
ネットショップの運営に欠かせない代行業者を紹介
運営代行には、業者ごとに「強み」があります。「SEOや集客」「低コスト」「楽天市場の出店」など、自社が抱える問題を解決できる強みを持った業者を見つけなければなりません。
ここからは、実績のある運営代行業者をサービスごとに比較していきます。
総合支援サービス業者
まずは、ネットショップの総合支援サービスを行う業者をご紹介します。
【株式会社いつも】
「いつも」は、2023年3月時点で11,000 社以上の企業と取引した実績があるネットコンサルティング会社です。NTT東日本などの大企業のコンサルティングも手掛けています。
自社のネットショップはもちろん、楽天に特化したコンサルティングも行っています。コンサルティング・戦略立案・サイトの構築・デザイン・宣伝広告・物流など、運営に関するあらゆる業務の代行を行っています。
参考:株式会社いつも
【コマースデザイン】
コマースデザインは、中小ネットショップ専門のコンサルティング会社です。資金不足に悩まされる中小企業の強みを引き出す支援を目指しています。実際、地方の中小規模店舗のコンサルティングを多く手掛けており、売り上げの増加など多くの実績を残しています。
現在は、600社を超える企業にサービスを提供しています。コンサルティングはもちろん、セミナーやワークショップにも取り組んでいる企業です。コンサルティング料は、月額7万8千円(税込85,800円)~です。
参考:コマースデザイン
【ネットショップ総研】
ネットショップ総研は、過去10年分の販売実績データを分析したうえで戦略を立案します。
運営代行の費用は基本料金+歩合で、初期費用は無料です。料金はサービスによって異なるため、商材の粗利や売り上げを把握したうえで見積もりを依頼してみましょう。
参考:ネットショップ総研
受注・配送代行業者
受注から配送までの手配をアウトソーシングできれば、マーケティングやショップの企画・運営に集中できます。そこで、利用したいのが「KSプレミアムスタッフ」です。
【KSプレミアムスタッフ】
KSプレミアムスタッフなら、受注から配送手配までを一括して委託できます。Webの管理画面からだけでなく、電話やFAXでの受注にも対応可能です。また、受注管理だけでなく、倉庫業務などの物流業務も任せることができます。
参考:KSプレミアムスタッフ
顧客対応代行業者
ネットショップの問い合わせやクレーム対応も代行業者に委託することができます。特に小人数でショップを運営している場合だと、クレームや問い合わせの対応に時間がかかってしまい、他の業務がおろそかになりがちです。このようなときは、顧客担当業務を代行業者にまかせてしまいましょう。おすすめは「Shibuya Office」です。
【Shibuya Office】
Shibuya Officeでは、ショップの専用電話窓口を設けることができます。固定電話の番号を貸し出してくれるので、電話回線を自分で設ける必要がありません。
電話対応のプロが代行してくれるので、顧客に対して信用や安心感を与えることができるでしょう。
出荷代行業者
商品の配送に伴う人員の確保が難しいときには、出荷代行業者を利用しましょう。
【ヤマトシステム開発 リピート通販ECシステム】
ヤマト運輸では、ヤマトグループの総合力を活かして、受注から決済までに必要な業務に加えて、分析・販促もトータルで代行してくれます。初期費用240,000円(税抜)、月額14,000円(税抜)からご利用が可能です。
集客・SEO対策業者
ネットショップを運営する上で、SEO対策は欠かせません。SEO対策に力を入れることで集客につながります。
【株式会社アリス】
株式会社アリスは、集客型サイトの作成を得意とする代行業者です。ネットショップ専門プランがあり、ショップの構築から開業までをサポートしてくれます。SEO対策のプランでは、ノウハウのあるWEBサイト作成のプロから集客のサポートを受けられます。
参考:株式会社アリス
低価格の運営代行業者
運営代行サービスは、数十万円単位で費用が掛かることもあります。コストを抑えたい、予算がないという人は、お試し感覚で低価格の代行サービスを使うのもよいでしょう。
【EC-UROYA】
コストを抑えたい人には、EC-UROYAがおすすめです。料金は、成果報酬型の場合、一年契約で、月の売上100万未満の場合は固定費50,000円のみ、月の売上100万以上なら売上の5%のみとなっています。売上が上がった分のみの成功報酬にする場合、固定費5万円+売上の5%(税別)~になります低価格ながらも、高品質のサービスが特徴です。
参考:EC-UROYA
楽天市場出店者向けの運営代行業者
楽天市場に出店しているのであれば、楽天市場の運営代行に特化した業者に委託することをおすすめします。
【株式会社スタイリスト】
株式会社スタイリストでは、戦略立案から受注・カスタマーサポートまで、楽天市場に出店するのに必要な業務を一貫して委託できます。契約形態は、成果報酬型・固定報酬型・成果報酬+固定報酬型の3種類が用意されているので、自社の運営状況にあった契約方法を選択できます。
参考:株式会社スタイリスト
ネットショップ運営代行を利用する際に気を付けること
近年、素人でも簡単にネットショップを運営できるようになるとともに、運営代行サービスを提供する業者も増えてきました。しかし、運営者が素人であることに付け込んで、対価に見合わないサービスを提供する悪質な業者も存在します。
そのため、運営代行業者を選ぶ際は、信用できる業者かどうかを見極める必要があります。
ネットショップの構築後、放置する代行会社に注意
悪質な業者の中には、ネットショップを構築した後、適切な管理や運営を行わず費用だけ請求する業者がいます。
月契約なら気づいた時点で解約ができますが、半年・1年単位で契約している場合は、何の成果もないのに費用だけ支払うことになります。
ネットショップの運営は、サイトの構築だけではありません。集客のための対策や、SEO対策、広告など、必要な業務がたくさんあります。
ネットショップの運営やWEBの知識が乏しいと、悪質な業者に騙される確率が高くなります。運営の代行を委託するとしても、ある程度の知識は身につけておいたほうがよいでしょう。
集客やSEOに強い業者を選ぶ
運営代行業者の中には、コンサルティングや企画立案まで行ってくれる業者もある一方で、何の提案もしてくれない業者もあります。
集客や企画の知識があるのであれば自分で行えばよいですが、代行業者の力を借りたい人は、集客やSEOに強い業者を選びましょう。
ネットショップ運営代行にかかる費用
サービスによって異なりますが、月数千円~数万円で委託できます。運営のすべてを委託する場合は、数十万円かかる場合もあります。
数十万円の報酬は高額に思えますが、確実な成果が出るのであれば決して高い料金ではありません。
契約するときは、契約期間と月々の費用、追加料金などをしっかり確認しておきましょう。長期契約を結んでしまうと、途中解約ができなくなったり、費用が高額になったりすることもあるので注意が必要です。
ネットショップ運営代行の契約解除トラブル
悪徳な業者と契約してしまったときは、気づいた時点で弁護士をはじめとする専門家に相談することをおすすめします。
悪意ある契約だということを素人が証明することは難しく、下手をすると関係がこじれてしまう可能性があります。運営代行により具体的な成果が出ていなくても、サイトの作成や運営が実際に行われていれば、業務を遂行しているとみなされる可能性もあります。
契約に関することで問題が起きたときは、プロに解決してもらうのがベストです。
電話での勧誘に注意する
ネットショップを運営していると、運営代行業者から勧誘の電話がかかってくることがありますが、勧誘をかけてくる業者には注意が必要です。
信頼と実績のある運営代行業者は、わざわざ勧誘をしなくても依頼が来るため、勧誘の電話を掛けることはほとんどありません。契約を取ろうと必死で勧誘をかけてくるような業者は無視しましょう。
DMや訪問での勧誘も同じです。
信頼できる運営代行業者を見極める
運営代行業者に依頼すると決めたら、インターネットを使って業者についてよく調べましょう。
運営会社の概要・費用・支払い方法・サービス内容・実績・口コミなど、とことん調べてください。代行業者に依頼することで自社にどのようなメリットがあるのか、信用できる業者なのかを見極めることが大切です。
代行業者には、それぞれ得意分野があります。アパレルが得意、楽天市場への出品が得意など、自社のサイト運営にマッチしている業者を探すようにしましょう。報酬については、歩合制・月額制とありますが、歩合制のほうが代行業者の報酬が増えるので成果が出やすい傾向にあります。
代行業者との長期契約は危険
初めて代行業者に依頼するときは、契約期間に注意しましょう。中でも長期契約は避けた方が賢明です。
まずは、成果が見え始めるといわれている3カ月~6カ月の契約から始めましょう。長期契約をした場合、成果が出なくても費用を支払わなくてはなりませんし、途中で契約を解除することも難しくなります。
インターネットの世界は流行や状況の変化が激しいため、短いスパンで代行を頼んだ方が安心です。
ノウハウを身につけて自社で運営する
ネットショップを運営するのであれば、初めから運営代行業者に頼むのではなく、まずは自社で運営してみましょう。
今はネットショップを簡単に作れるツールやサービスが充実しており、素人でも簡単にショップを運営できるようになっています。まずは、自分でサイトを構築して運営してみてください。そのうえで、自分には知識が足りないと思った時や売り上げが低調になった時に、代行業者に依頼することを考えてもよいでしょう。運営に関するアドバイスが欲しいときは、ネットショップ運営のコンサルティングを使うという方法もあります。
運営代行には高額な費用が掛かります。自分たちにスキルがあれば、代行を利用するコストを抑えることができます。
代行を利用するにしても完全に任せきりにするのではなく、自らの知識を高めるようにしましょう。
代行業者選びは慎重に
ネットショップの発展とともに、運営代行業者も増加しています。
運営代行業者を利用する場合、委託したい業務によって業者やサービスを選ぶ必要があります。業者から資料請求をする、口コミを調べる、見積もりをしてもらうなど、情報を集めることで良い代行業者を見つけることができます。
それと、できるだけ顔を合わせて代行業者と打ち合わせをするようにしましょう。業者とのやり取りはネット上でも行うことができますが、チャットやメールよりも直接話をした方がネットショップの方向性やネットショップにかける思いを正しく伝えることができるからです。
代行業者に依頼するメリットやデメリットを理解したうえで、自社の運営スタイルに合った業者を選ぶようにしてください。