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物撮りの基本は白背景!紙、布、100均シートでもできるワンランク上の商品撮影術

売れているネットショップの共通点の一つに「写真がきれいで見やすい」という点があります。

そんなショップの写真を見ながら、「これはプロ用の機材を使っている」「プロのカメラマンに委託しているんじゃないか」と思う人も多いでしょう。

ですが実際には、ショップのスタッフが自分で撮影しているケースがほとんどです。

商品写真の撮影を、業界用語では「物(ブツ)撮り」といいますが、大判のポスターなどの印刷物でなければ、ちょっとした工夫で見栄えのいい物撮りが可能になります。

この記事では、プロが撮影現場で行っている方法も参考にしながら、誰でもできる、ワンランク上の物撮りの方法をまとめていきます。

背景にひと工夫するだけで仕上がりはこんなに変わる!

物撮り、つまり商品撮影をするとき、背景は白がいいとされていますが、それはなぜだと思いますか?

答えはシンプルで、「わかりやすいため」です。

白を背景にすると、商品の色味が際立ち、わかりやすくなります。輪郭もはっきりするため、キリヌキ(輪郭に沿って切り抜く加工)にして使うにも、白のほうが都合がいいのです。

もちろん、テクニックとしてあえて別の色を背景に使う手もありますが、それは白背景での基本撮影を押さえてからにしたほうがいいでしょう。

また、近年は「白背景」がECサイトのルールにもなりつつあり、Amazon、楽天市場、ebayなどで、商品画像の背景は白くするように推奨、または義務化が進められています。

物撮りは白背景が基本ですが、白い商品を白い背景で撮影すると、背景に商品がにじんでしまい、輪郭のはっきりしない写真になることもあります。また、黒い商品に黒背景だと商品が埋もれてしまいます。

そのような場合はグレーなどを背景に選びますが、背景の選択に失敗して、このような写真にならないように注意ししてください。

白を基本にしながら、商品の色、またターゲット層に合わせて背景の色や素材を変えることで、より効果的な写真に仕上げることも可能です。

カジュアルな印象の白背景の腕時計写真

では、具体例をあげてみましょう。

こちらの写真は白い背景で撮影した腕時計の商品写真の例です。

白い文字盤、シルバーのケースのディテールを伝えるという意味では、特に問題のない写真です。

この写真からは「カジュアル」な印象を受けるのではないでしょうか。

カジュアルな腕時計で、ターゲットが若い世代なら、この写真でも合格といえます。

黒背景で高級感、重厚感を強調

一方こちらは先ほどと同じ腕時計を黒い背景で撮影した例です。

どうでしょうか? 背景を黒に変えただけで、写真の雰囲気はずいぶん変わったと感じるはずです。

写真全体がグッと引き締まり、金属の光沢にもメリハリがついて、前の写真より輝きが増したようにも感じます。

白背景の写真が「カジュアル」「若々しい」「軽快」だったとしたら、黒背景の写真には「高級感」「重厚感」「シック」という雰囲気があります。

商品がある程度の価格帯のブランド品で、ターゲットの年齢層も高いと思うなら、黒背景のほうが訴求力は高まります。

このように、背景を少し変えるだけで、見る人の印象は大きく変わるのです。

商品に合わせて選びたい7つの背景素材

前述したように、物撮りの基本は商品の色や形を見やすく表現できる白背景です。

白を基本に白い商品などを撮影することもあるため、白の他にグレー、黒を用意すれば、基本的な背景は十分です。

白は何にでも使える汎用性の高い背景色ですが、白っぽい商品を白い背景で撮影すると、同化してしまい見にくくなってしまうため、この場合はグレーを使ったほうがいいでしょう。

腕時計やアクセサリーなど光沢のあるもの、高級感を演出したいときは黒が効果的です。

同じ色でも、素材で雰囲気が変わるため、この項目では、商品に合わせて選びたい7つの背景素材について解説していきたいと思います。

最もオーソドックスな背景素材である「紙」

背景の素材として、最も一般的で、手軽に用意できるのがです。

白いタオルを白い背景紙の上に置いて撮ると、こちらの例のように清潔感のある写真になります。

用意するのは、撮影用の背景紙(セットペーパー等)がベストで、カメラ屋さんやネットショップでも手に入れられます。

もし、商品が小さなアクセサリーなどなら、コピー紙やケント紙でも問題ありません。

白い背景紙での物撮りは、色のムラがなく仕上がりがきれいになります。キリヌキ用の撮影にも白の背景紙がおすすめです。

テクスチャーの変化で差別化できる「布」

次は白い布です。白い布は宝飾、貴金属などの撮影で使うことが多く、高級感、透明感、上品さを演出できます。

布は紙とは異なるテクスチャーを楽しむこともできます。

テクスチャーとは「材料の表面の視覚的な色や明るさの均質さ、触覚的な比力の強弱を感じる凹凸といった部分的変化を全体的にとらえた特徴、材質感覚、効果」のことです。

布の場合、繊維の素材感、織り方による風合いがテクスチャーとなって、白背景でありながらもイメージを強調した仕上がりになります。

このように、布を敷くだけで柔らかさ、オーガニック感がプラスされています。

ドレープ(しわ)は見た目の変化をつける撮影テクニックの1つです。ドレープをつけずに伸ばしてもいいのですが、こうしたちょっとしたアイデアで、写真の仕上がりに大きな差が生まれるのです。

白だけだとちょっと物足りないとき、柔らかさ、温もりといったテイストを加えたいときは、布の素材感を生かすことを考えてみてください。

清涼感たっぷりの写真が撮れる「アクリル板」

続いて、白いアクリル板を背景に使った商品写真を見てみましょう。

アクリル板に商品を置くと、商品がアクリル板に映り込み、やや硬く、冷たい印象の写真になります。

これは夏に販売したい飲料、食材の撮影に効果的です。

例えば、ドリンクの入ったグラスを置いたり、冷麦の入った器を置いたりすれば、清涼感たっぷりの写真になるからです。

テクニックの一つとして、アクリル板の上に水滴をこぼす、という使い方もできます。見た目のアクセントになりますし、すぐにふきとれるので安心です。

アイデア次第でいろいろ活用できる「100円ショップのシート」

素材感を強調した背景は「用意するのが大変」と思いがちですが、そんなことはありません。

こちらの例はタイルのような背景で撮影していますが、100円ショップで購入したものです。

乳液、シャンプーなど、洗面、お風呂まわりの商品の背景に使うと効果的です。

100円ショップには様々なデザイン、柄のシートが売っているので、是非活用してみてください。

塗り壁、レンガなど様々な種類のある「ホームセンターの壁紙」

100円だけでなく、ホームセンターを活用すると、物撮りの幅はもっと広がります。

こちらの例の背景は手で塗った雰囲気の壁となっていますが、ホームセンターで売っている壁紙です。

ホームセンターの壁紙には、単色のもの、デザインパターンが入ったものなど種類豊富ですが、壁をモチーフにするものもあります。

写真は手塗りの壁風ですが、レンガ風、石壁風など、商品に合わせて壁紙を使い分けてみてください。

落ち着いた雰囲気の木目調などもある「背景シート」

100円ショちらップのシート、ホームセンターの壁紙の中で、想像以上に種類が豊富なのが「木目調のシート」です。

木の節をイメージするものがあれば、写真のように白木の木目調のものもあり、どんな商品を合わせると効果的か、考えるだけで楽しくなります。


DIYの道具などは、木目調のシートに置いて撮影するだけで、グッと雰囲気のある写真になります。

見た目の変化や、高級感を出せる「和紙」

最も基本的な素材として紙をあげましたが、そのバリエーションともいえるのが「和紙」です。

原料の質感が残っていたり、手漉き風の不揃いさがあったり、紙ですがとても表情豊かで、写真の背景にしても味があります。


和紙を使うのは、やはり和小物が定番となりますが、お節料理など、四季折々の行事にちなむものを撮影するのにもおすすめです。

金色を使ったような和紙を背景に使うと、写真だけでなく、表示されるページそのものが豪華絢爛、高級な印象になります。

物撮り背景に白をすすめる4つの理由

白い背景を使った物撮りの基本的なライティングとして、「背景の白飛ばし」があります。

これは、背景に強いストロボの光をあてて、真っ白に飛ばすことで、輪郭を出して商品を際立たせたり、加工しやすい画像にしたりする意味があります。

例を挙げてみますが、こういった写真は色んなところで目にしているはずです。

同じように「背景白飛ばし」で撮影した写真ですが、左側の商品カラーはグレー、右側はホワイトです。

ここで、「どうして白い商品を白い背景で撮影しなければいけないのか?」という疑問を抱く人がいるかもしれません。

白い商品なら、背景は黒の方が色が輪郭も強調され、クリアな写真になります。黒背景で撮影して、必要に応じて商品部分だけキリヌキすればいいように感じますが、それだと都合が悪いこともあります。

例えば、白い商品に背景の黒が映り込んだらどうでしょうか。そのままキリヌキにすると、本来の商品の色とは違う、やや不自然な色合いになってしまいます。

つまり、わかりにくいのです。

物撮りの基本は「わかりやすさ」であり、商品をストレートに、強く見せる必要があります。それには、やはり白背景が基本なのです。

以下、4つの理由をあげながら、基本の背景色に白を選ぶべき理由をまとめていきましょう。

大手ECサイトで「背景は白」と規定されている

商品写真の白背景は、感覚的に「これがおすすめ」というわけではなく、1つのルールになりつつあります。

ルールとしているのは、大手のECサイトです。Amazon、楽天市場、ebayなどは、「商品画像は白背景」として推奨、または義務化を進めているのです。

例えば、楽天市場は「商品画像登録ガイドライン」を2018年に発行し、そこで白背景を推奨しているため、この流れは加速していくはずです。

ではなぜ、商品写真の背景は白がルールになっていったのでしょうか。

大手ECサイトに登録し、商品を販売するには、メインに使用する商品写真に「白背景で撮影された画像」という条件が付くことがあります。

Amazonの検索窓で「白 シャツ」と検索すると、キリヌキ加工の有無はあるものの、背景は白で統一されていることがわかるでしょう。

Amazonは規定として、メインの商品写真の背景は「RGB値がすべて255であること」、つまり「背景は真っ白の状態であること」と規定しているのです。

ABテストで白が効果的という結果が出た

背景に白が選ばれる理由として、「ABテストの結果」もあります。

ご存知の方も多いでしょうが、ABテストとは「ある一定の期間、ウェブページのデザイン等にAとBの2パターン用意し、どちらがより効果の高い成果を出せるのかを測定するウェブマーケティングの手法」です。

楽天市場では、白背景ではない「A」、白背景の「B」でABテストを行ったところ、白背景の「B」の画像の方がCVRが1.5倍以上も向上という結果が出ました。

※CVRとは、Conversion Rate(コンバージョンレート)の略で、サイトへのアクセス数の中で、商品の購入や会員登録、資料の請求など=コンバージョンに至った割合のことを指します。

こうした検証結果も踏まえて、「商品写真の背景は白」がルールになりつつあるのです。

白背景にユーザーの目が慣れている

では、どうして背景を白にするとCVRが向上するのでしょうか。

理由はいくつか考えられますが、最初にあげられるのは「ユーザーの目が白に慣れている」ということです。

ECサイトである商品を購入するとき、多くの人はまず、検索エンジンを使って検索をかけるはずです。

その結果、いろんなページがリストになって表示されますが、クリックすると、白背景の商品写真があるページが表示される確率が高いでしょう。

商品の画像検索をしたときも、表示される写真の多くは白背景のはずです。

ある調査によると、世界中のECサイトに登録されている商品写真の、なんと7割以上が白背景だったといいます。

背景が白いと、写真には余計な情報がなく、どこからどこまでが商品なのか、ユーザーは瞬時に識別できます。ショップ側が特に説明をする必要もありません。

つまり、「わかりやすい」のです。

白背景の写真は、商品の視認性を高めるのはもちろん、検索エンジンでもヒットしやすくなるのです。

背景に色紙を使うと商品がわかりにくくなる

造花ポットの写真を、白背景と、色紙背景で撮影した例を実際に比較してみましょう。

・白背景で撮ったもの

・黄緑のケント紙背景で撮ったもの

2つを比べると、白背景の写真はポットも白いまま、花びら一枚ずとの輪郭もくっきりしていて、見やすいと感じるはずです。

一方、黄緑のケント紙背景のものは、ポット部分に背景の色が映り込み、何色なのかがわかりにくくなっています。花びらにも黄緑色が影響して、発色がいまいちなのがわかるでしょう。

色のついた背景にすると、華やかさを強調できる反面、背景の色が商品に干渉して、わかりにくい写真になってしまうことがあります。

このように背景の色紙で華やかにイメージを彩ることができる反面、その色紙によって商品自体がわかりにくくなってしまうことがあるのです。

特に赤、黄緑などは商品の色味に大きな影響を与えるので注意が必要です。

この例からわかるように、背景は白を選ぶのが最もオーソドックス、かつわかりやすい物撮りのための基本になります。

小物撮影は背景を工夫してイメージ写真に

物撮りの背景は白が基本、と繰り返してきましたが、いろんなネットショップを見ていくと、白以外の背景を使い、目を引く写真を掲載しているところもたくさんあります。

特に小物の場合、白背景で撮っただけだとやや無機質な印象になるので、イメージカット的に背景を工夫することもあります。

といっても、大がかりな準備は必要ありません。

テーブルトップやスチレンボードなどを使い、雰囲気のある商品写真を撮る方法を紹介していきましょう。

普段使いしているランチョンマットを背景に

 

小物撮影の背景にちょっと工夫したいとき、最もお手軽な方法はランチョンマットを使うことです。

ランチョンマットなら、撮影のために新調する必要はないし、扱いも保管も手軽です。大きさも、小物を置いて撮影するには十分なサイズなので、ここから始めてみましょう。

もちろん、ランチョンマットは素材もデザインも種類が豊富、それほど値が張るものでもないので、普段使い&小物撮影のために、いくつか新たに購入してもいいでしょう。

お気に入りの柄、色の壁紙を常備しておく

壁紙も国産品、輸入品合わせて数多くの種類があり、撮影の背景として使うこともできます。

一般的なダイニングテーブル(4人掛け)の奥行は80㎝程度のものが多く、国産壁紙は巾が約90㎝のものが多いので手軽に使えます。

輸入壁紙は巾が大きくなりますが、4人掛けのダイニングテーブルなら問題ありません。

壁紙をダイニングテーブルの上に敷き、撮影台にするわけですが、巻き癖のついた壁紙は両面テープ(貼って剥がせるタイプ)で四隅を押さえるようにします。

このように、壁紙は部屋の模様替えに使うだけでなく、撮影の背景にも応用できます。

使い終わったらまるめて保管できるため、場所も取りません。お気に入りの柄を、いくつかストックしておくのもよいでしょう。

スチレンボードを使って背景をストック


壁紙の他に、スチレンボードを使って背景に変化をつけることもできます。

スチレンボードは、店内ポップや看板、工作などに使われる発泡プラスチック素材のボードで、様々な場所で目にしているかと思います。

厚さは5㎜・7㎜が主流で、適度な強度があるのに軽く、カッターで加工しやすく、DIYブームとともに一般家庭でも活用されるアイテムになっています。

ホームセンターや100円ショップなどでリーズナブルに購入することができ、片面が粘着パネルとなっているタイプもあり、壁紙を貼り付けて保管するのも簡単です。

お気に入りの背景を何種類がストックしておけば、必要なときにパッと取り出して使えるはずです。

白背景を基本にして、少しずつ変化をつけていく

ネットショップの利点は、24時間365日、いつでも情報更新が可能なところです。

売りたい商品を仕入れたとき、自分で写真を撮ってすぐにアップできるようになれば、売り時を逃さずに済みます。

そこで大切なのが写真ですが、「伝わりやすい」「選ばれやすい」写真が撮れるよう、準備が必要です。

注意したいのは、「わかりやすさ」はもちろん、見映えよくしようと、必要以上に「盛って」しまわないことです。

お客様は写真の印象で購入を決めるため、写真から想像できる商品の色味や質感、サイズ感などが実物と違っていたら、がっかりして返品を求められるかもしれません。

まずは白背景で、色や形を含めた商品の特徴を的確に伝えられる写真を目指してください。

それができたら、背景の素材、背景紙などを変えながら、イメージ写真にも挑戦していくとよいでしょう。