利益率はどのようにして計算するかご存知ですか?利益率の計算は少し専門的な知識が要るため、初めは間違ってしまうことがあるかもしれません。効率よく仕入れをするためにも、正確な利益率の計算方法を知っておきましょう。
利益率の計算方法や、企業が利益率30%を達成するための考え方も解説します。ぜひ参考にしてください。
利益率をExcel(エクセル)で簡単計算
利益率はどのように計算すればよいのかについて、専門用語の解説も簡単に交えて解説します。エクセルでの入力方法も紹介します。
利益率計算の専門用語を知る
利益率は割り算で導き出します。利益率の計算に必要な「原価」「粗利益」などの専門用語もしっかりと押さえましょう。
利益率計算で知っておきたい重要語句
利益率を求めるために必要な会計用語を、簡単に説明します。
〔売上高〕 商品を販売して受け取った代金の総額。
〔売上原価〕 販売した商品の仕入れ金額。
〔粗利益〕 売上高から売上原価を引いた金額。売上総利益。
〔営業利益〕 粗利益から、人件費・広告費・光熱費・運搬費・通信費などの費用を引いた金額。
〔経常利益〕 営業利益から、本業以外の利益や損失を計算した金額。
〔純利益〕 経常利益から、すべての経費や税金などを引いた金額。
〔定価〕 商品の売値。売上原価+粗利益=定価。
これらの用語は会計の基本なので、利益率を理解するためにもしっかり押さえておきましょう。この中から売上高と粗利益を用いて、利益率を算出する方法を次に紹介します。
利益率を求めてみよう
利益率とは、利益を何かで割って求める比率です。売上高に対してどれだけ利益がでているかを求めたい時は、以下の数式が成り立ちます。
利益÷売上高=利益率
原価30円の商品を定価100円で売り、140個売れたとします。仕入れ価格の合計である「売上原価」は4,200円、「売上高」は14,000円になりますね。
「粗利益(売上総利益)」は14,000-4,200=9,800円となります。
そこで、9,800円(粗利益)÷14,000円(売上高)=0.7(70%)(利益率) という風に、利益率を導き出すことができます。
エクセルの表で利益率を設定する方法はこちらです。
1、利益率を設定したいセルをクリックして「=」を入力
2、粗利益を入力しているセルをクリック
3、÷の意味で「/」を入力
4、売上高を入力しているセルをクリックしてEnterを押す
利益率を%で表示させたい場合は、ホームタブにある「%」スタイルをクリックします。
「営業利益」の利益率を計算する場合
ここからは、営業利益の利益率を計算する方法を解説します。
営業利益とは、本業の営業活動で稼いだ利益のことで、「売上高」から売上原価、人件費、広告費、家賃などの「商品の販売にかかった全ての費用」を引いて算出します。
売上高-商品の販売にかかった全ての費用=営業利益
営業利益は事業の収益に直接関係するため、常に把握しておく必要があり、利益率を求める時は以下の計算式を使います。
営業利益÷売上高=営業利益率
ここからは、通信販売事業を例に、営業利益率を計算してみましょう。
「500万円の売上高」と「440万円の費用」があった場合、営業利益は500万円(売上高)-440万円(費用)=60万円
よって、営業利益率は60万円(営業利益) ÷ 500万円(売上高)=0.12(12%)となります。
「売上総利益(粗利益)」の利益率を計算する場合
続いて、売上総利益(粗利益)の利益率を計算する方法を紹介します。
売上総利益(粗利益)とは、「売上高」から「売上原価」を引いた時の利益です。
売上高-売上原価=売上総利益(粗利益)
会計上の正式名称は「売上総利益」ですが、「粗利益」とも呼ばれ、利益率を求める時は以下の計算式を使います。
売上総利益(粗利益)÷売上高=売上総利益率(粗利益率)
先ほどと同じように、通信販売事業を例に、売上総利益率(粗利益率)を計算してみましょう。
「5,000円のスマホケース」を販売した時に「2,800円の売上原価」がある場合、売上総利益(粗利益)は5,000円(売上高)-2,800円(売上原価)=2,200円
よって、売上総利益率(粗利益率)は2,200円(売上総利益/粗利益) ÷ 5,000円(売上高)= 0.44(44%)となります。
仕入れをするときには「値入(ねいれ)」を意識しよう
企業が仕入れをする際に必ず意識をしなければならないのが「値入(ねいれ)」です。値入とは本来、「販売価格に含まれる儲け」を指します。言い換えれば「儲けを意識した販売価格」ともいえます。
ここでは値入について以下のことを見ていきましょう。
- 「値入」と「粗利」の違い
- 値入の計算方法
「値入」と「粗利」の違い
値入と同じく、儲けを表す数字に「粗利」があります。
「粗利」は売上から原価を引いた利益であり、「値入」は販売価格から原価を引いた利益です。一見同じように思えますが、この2つは大きく違います。
粗利は実際の売上に対しての儲けですが、値入は販売価格に対しての儲けです。この2つを比較すると、仕入れる段階では、
粗利=値入
ですが、実際に販売すると、想定していた価格で売れなかったり、売れ残ったりするため、
粗利<値入
になります。この差が大きくなると想定より利益が取れなかったり、赤字が出たりします。
値入を含んだ販売価格の計算方法
次は実際に値入を含んだ販売価格の計算をしてみましょう。値入を含んだ販売価格の計算式は以下の通りです。
原価 ÷ (100 – 値入率)% = 販売価格
例えば、1,000円の商品に20%の値入を載せて販売したい場合は、
1,000円 ÷ (100 – 20)% = 1,250円
となります。
利益率のミスしやすい計算パターン
ここでは利益率の間違えやすい計算方法を例に挙げます。利益率は複雑な計算になることもあるので、より正しく計算できるようにしましょう。
利益率28%で売値を計算する場合
「利益率28%で売値を計算したい。」というような時、どうやって売値を計算すれば良いのでしょうか。ある商品を8,000円で仕入れ、利益率28%にする場合の売値の計算方法を考えてみましょう。
利益率でよくやってしまう売値の間違った計算
前項の例で、やりがちな売値の間違った計算方法を紹介します。
8,000円(仕入金額)×28%(利益率)=2,240円
仕入金額に利益率をかけたら2,240円になったので、これを仕入金額に足した金額10,240円を売値にしよう!
はたして、本当にこれで合っているのでしょうか?売値を10,240円にした場合の本当の利益率を計算して、答え合わせをしてみます。
利益率は利益を売上で割るのでしたね。2,240円÷10,240円=0.21875となり、28%よりも低い21.875%の利益率になってしまいました。間違いに気づかず10,240円の売値で販売してしまうと、儲けが想定より少なくなってしまいます。
そのようなことにならないように、正しい計算方法でもう一度計算してみましょう。
売値を求める利益率の正しい計算
売値を100%とした場合、利益率 28%+原価率 72%=売値 100%となります。
原価率 72%の部分が仕入れ値の8,000円です。売値をAとすると、次のような比の計算式に当てはめることができます。
100% :72% = A : 8,000円
内項の積と外項の積とは等しいので、72%×A=100%×8,000円という式に置き換えることができます。
A=100%×8,000円÷72%=8,000÷0.72=11,111
売値Aは、11,111円程になりました。これで合っているかもう一度、利益率の正しい計算式を思い起こしてください。
利益÷売上高=利益率でしたね。利益は11,111-8,000で3,111円とします。
3,111÷11,111=0.279…となり、ほぼ28%の利益率になりました。
慣れたら簡単に計算できるので、ぜひ正しい売値の算出方法を覚えておいてください。
メルカリ販売で利益を出す計算方法
メルカリはお家の不要品を売る人が多いですが、商品を仕入れて販売する場としても使われています。販売価格から手数料10%を差し引かれるシステムのメルカリでは、どのように計算すればよいでしょうか。3つのケースに分けて説明します。
仕入れ価格と売値から利益・利益率を計算
仕入れ価格1,000円、売値2,100円で販売する場合。送料は300円かかったとします。販売手数料は10%なので、210円かかり、手元に残る金額は1,590円になります。
2,100-300-210=1,590
利益は、手元に残る金額 1,590円 – 仕入れ価格1,000円で、590円になりました。
そして利益率は、590(利益)÷2,100(売値)=0.2809で、約28%ということになります。
仕入れ価格と利益から売値を計算
これくらいの利益で設定したいという場合に便利な計算方法です。
仕入れ価格1,000円、送料300円で400円の利益を出したいという場合。
売値=(1,000+300+400)×10÷9=1,888円。売値は1,888円で設定すればよいということになります。
販売手数料は188円かかります。
利益率は、400円(利益)÷1,888円(売値)で、約21.18%になります。
仕入れ価格と利益率から売値を計算
仕入れ価格1,000円、送料300円で25%の利益率を出したい場合。
結論からいうと、売値は2,000円、利益は500円になります。
売値-販売手数料(販売価格の 1/10) – 利益(売値 x 利益率) = 仕入れ価格 + 送料
という計算式に当てはめることができるように計算しています。こちらは複雑な計算式なので、「フリマ手数料の計算サイト」での自動計算が便利です。
参考:フリマ手数料の計算サイト
投資金額に対する利益率の考え方(1)
一般に利益率といえば、販売利益率のことを指すことが多いですが、今回は投資金額に対する利益率に焦点を絞って考えてみましょう。
要注意!利益率30パーセント以上の高すぎる商品
利益率は高い方が良いのですが、高すぎる商品は要注意です。リサーチをしていると80%や90%の利益率がでる商品が見つかる場合があります。しかしそんなおいしい商品は、Amazonの規約に違反していたり、販売自体が違法であったりします。
利益率が高すぎる商品にはむやみに飛びつかず、利益率が30%くらいの手堅い商品を扱う方が安心でしょう。
最初は低い利益率で経験値を稼ごう
投資した金額に対して得られる利益率ROIが低めでも、仕入れを始めたばかりの時期は、経験を積むために積極的に仕入れをしましょう。
ROI20%という数字は、在庫リスクや赤字に転落するリスクから考えて低い利益率と判断できます。この数字を基準にして、少々目標とする利益率より低くても仕入れてみましょう。数をこなすうちに仕入れのコツが見えてきます。
利益率30パーセント以上を企業は目標にしよう!
利益率30%以上を目標に仕入れをすると、全体の予想利益率は50%になることがあります。30%以上なので実際には50%・60%の利益率がある商品を仕入れることがあるからです。
中には利益率30%は安いと判断する人がいるかもしれませんが、利益を取りこぼさないことが重要という考え方もあります。多くの人がスルーするような商品は、ライバルが増えにくいというメリットもあります。
利益率が高くてもライバルが多いと価格の下落を招く可能性があり、そうすると売れにくくなってしまいます。利益率は低めでも確実に売れれば、儲けを手にすることができますよね。
投資金額に対する利益率30パーセントを取る考え方(2)
利益率20%~30%を目標とする考え方の根拠として、実際に販売すると±5%の変動があること、20%の商品は条件を注視して仕入れることを説明します。また他人の意見を参考にしながらも、利益率の設定は自分で行うものであるということを解説します。
利益率30パーセントからみる予想利益率
全体の予想利益率が30%になったとしても、実際に全て販売すると±5%の変動で25%~35%の利益率になります。全てが予想利益率のまま売れるということはありません。
相場が下落する商品もあれば、上昇する商品もあるのです。
利益率20%台で仕入れる商品
利益率20%台の商品は、値下がりや破損、返品のリスクに特に注意しなければなりません。一定の条件が整っている場合に限り仕入れるのが堅実です。その条件を以下に記します。
・実用的な商品または消耗品
・ニッチで市場参入が少ない商品
・輸送しても壊れにくい
・できるだけ利益が大きい商品
日常で使う消耗品はなくなれば買うものなので、回転率が高く売れ残りのリスクが比較的少ないです。また、まだ目をつけている同業者が少ないニッチな商品も良いでしょう。やっと売れたとしても輸送中に壊れて返品されれば、赤字になってしまいます。
そして利益率が20%台でもできるだけ利益が大きい商品が理想的です。しかし利益が100円でも高回転率が確かなら、大量に仕入れてみるのも良いでしょう。
自分で決める利益率の目標数字
今までの解説を参考にして最後に何%の利益率にするかはあなた次第です。
人それぞれ目標とする総利益が違えば、扱う商品も違います。高額な商品の場合は返品リスクを考え、利益率40%以上にする人もいるでしょう。
仕入れと販売を多くこなすと、どれだけリスクを見積もれば良いかがみえてきます。そうすると仕入れの精度も次第に上がっていきます。
利益率を改善するためのポイント
ここでは、利益率を改善するためのポイントを3つお教えします。どれも基本的なことではありますが、1つ1つしっかり押さえていきましょう。
コストの大幅カット
1つ目のポイントは、コストの削減です。例えば、資料の印刷代やオフィスの電気代などは、自分たちの努力次第で大幅に削減できます。
無駄なコストを1つ1つ減らして必要な部分にのみコストをかけることで、商品の利益率を改善できます。
業務の効率化
2つ目のポイントは、業務の効率化です。利益率が高い商品は、人件費や保管費用にコストがかけられていません。
そこで、商品の製造から販売までの過程を見直し、業務をより簡潔にすることで、無駄な人件費や保管費用を削減できます。業務の効率化が進めば、商品の利益率は向上していきます。
顧客満足度の向上
商品を多くの方々に購入してもらうためには、宣伝がかかせません。しかし、宣伝には多額のコストがかかります。商品の利益率を上げるためには、この部分のコストを削減することが重要です。
そのために必要なのが、商品に対する顧客の信頼と高い満足度です。これらは、顧客の意見やニーズを分析したり、手厚いアフターフォローを行うことで高めていくことができます。時間はかかりますが、商品の利益率を改善するためには必要なことです。
利益率以外の注目要素
利益率の計算方法や考え方をお伝えしてきましたが、せどりで大事なのはそれだけではありません。利益率の他に注目すべき要素をこれから紹介します。
せどり導入期の資金繰り
せどりを始めたばかりの時期は、満足な資金がないケースが多いですよね。限られた資金で、利益がでる商品を探さなければなりません。
まずは家にある不要品を処分して、お小遣いを稼ぐのも一つの手です。
利益率30パーセントを考える商品
利益率だけに注目すると、稼げる商品を逃してしまうかもしれません。利益率は高いに越したことはないですが、ビジネスとして稼いでいくというビジョンを忘れてはなりません。
そこで重要視したいのが「利益額」です。実際にいくらの儲けが出るかが大切なのです。例えば25,000円で売れる商品を見つけ、利益を計算すると4,500円でした。利益率は18%しかないということだけで、見送ってしまうのは得策ではありません。
一方、1,000円の売値で利益が300円の商品はどうでしょう。利益率は30%ありますが、少し値が下がっただけで赤字の可能性がありますね。このように利益額も重視して、利益率にこだわり過ぎないようにしましょう。
回転率を考えるせどり
たとえ5,000円の利益があると思われる商品でも、実際に売れなければ意味がありませんね。回転率が低く年に一度しか売れないとなれば、この商品の仕入れを見送って他の回転率が良い商品を仕入れるという選択肢もあります。
300円の利益でも月に150個売れる見込みがあれば、値下がりのリスクは少なく仕入れてみようということになりますね。
限られた資金の中で仕入れをするには、回転率が非常に重要なのです。
最適な販売価格を決めるための3つのポイントとは?
最適な販売価格を決めるためには、ここまで解説してきた数字の話だけで決めるのではなく、これから紹介する3つのポイントも念頭に置いて決めることが大切です。
「お客様目線」の価格設定ができているか考える
販売価格は利益が出るようにつけるのが基本ですが、それ以上に大事なのは「お客様の目線」です。
現代は様々な商品が提供されており、ほとんどの分野で競合や類似商品が存在します。
顧客はこれらの商品と比較しながら購入を検討することが多いため、目先の利益だけを求めて一方的な価格で販売するだけでは、お客様に商品の魅力を感じてもらえず、売上や利益を伸ばすこともできません。
そのため、お客様に購入してもらえる価格として適正なのか、慎重に考える必要があります。
ターゲットやコンセプト、ブランディングも含めて考える
商品を販売するターゲットやコンセプトによっては、売上を伸ばすために商品の価格を値下げすることで、ブランド価値やイメージを下げてしまう可能性があります。
競合や類似商品の価格に合わせた値下げを続けると「低価格帯のブランド」というイメージを持たれるため、競合や類似商品の価格より下げなければ売れない場合、商品を販売するターゲットやコンセプトを再検討することも視野に入れましょう。
また、あなたの商品が「トップのシェアを占める」、「ブランド力が高く、ファンもたくさんいる」、「商品が独自技術で作られており、圧倒的に高品質」といった魅力を持っている場合は、価格を上げても購入してもらえる可能性があります。
以上のことから、販売価格を決める際はターゲットやコンセプト、ブランディングも含めて考えることが大切です。
商品の購入を促す「端数価格」を取り入れる
端数価格とは、切りの良い数字よりも安い数字を表示することで、購入を促す価格のことです。
例えば、500円の商品を498円にして一番大きな位の数字を小さく見せたり、10,000円の商品を9,800円にして桁を一桁小さくすることで、割安感を印象付けることができます。
このような端数価格の表示は、通販サイトやスーパー等、幅広い分野で取り入れられているため、日常的に見かける方も多いでしょう。
金額の差は微々たるものですが、売上には大きな差が出る可能性があるため、積極的に取り入れてみましょう。
仕入れ価格と利益率の考え方
効率よく企業が仕入れを行うには、利益率をはじめ様々な要素を精査しなければなりません。利益率の正しい計算方法を理解することは必須です。そのうえで柔軟に仕入れを行って、安定した儲けがでるようにしていきましょう。
ところで、ビジネスで成功するためには独学よりも体系化された教材やサービスを活用して学ぶ方が結果が早く出ます。
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