せどりを副業で行っている方は、数多くいらっしゃるかと思います。そんなせどらーの皆さんなら、一度は「せどりを本業にできるだろうか?」と考えたり悩んだりしたことがあるのではないでしょうか。
今回のテーマは、「せどりを本業にする」です。せどりを本業にする目安やメリット・デメリット、本業で成功するコツについて詳しく解説しますので、せどりを本業にしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
せどりを本業にする目安
まずは、せどりを本格的に本業として考える目安について解説いたします。具体的な基準は以下の通りです。
- 年収400万円以上を維持できる
- 半年分の生活費が貯蓄できている
- 生活費の見直しができている
- 家族の同意が得られている
- 独立する強い覚悟がある
年収400万円以上を維持できる
この場合の年収というのは、せどりだけで稼いだ売上額から経費をすべて差し引いて純粋に手元に残る所得を意味します。
せどりを本業にする場合と会社員の決定的な違いは、「税金が源泉徴収されない」「ボーナスがない」「福利厚生がない」という点です。
例えば、月額手取りで30万円の給与と年2回、各給与2ヶ月分のボーナスをもらっているとすると、年収は約480万円前後となります。
この収入をせどりで維持しようと思えば、ボーナスがないので月利35〜50万円はキープする必要があるでしょう。確定申告による税金もここから捻出することになります。
もちろんもっと生活費が欲しいという方は、これ以上の月利を目指す必要があります。生活レベルをこれより低く抑えられるという方は、月利も35万円以下でよいでしょう。平均的な生活を維持しようと思えば、これくらいの稼ぎが必要ということです。
半年分の生活費が貯蓄できている
さらに、せどりを本業にするにあたっては、少なくとも半年分の生活費が貯蓄できていることが必要でしょう。先ほどの生活レベルでいうと、200万円強〜300万円前後になります。
これは、せどりが本業としてうまくいかなくなった場合の備えという意味です。理想を言えば、これ以上の余裕が欲しいところです。
というのも、せどりは季節によって売り上げが激しく変動することが多いです。事業計画度通りに売上が上がらず、手元で資金が回せなくなった場合は、貯金を切り崩すことになるでしょう。
そのような事態を想定したリスク管理の意味で、貯蓄は少しでも多いに越したことはありません。
生活費の見直しができている
貯蓄を増やすと同時に、今までの生活費を今一度しっかりと見直すこともおすすめします。
無駄な出費はないか、同じものを購入していないか、交際費が多すぎないか、もっと安い保険に入れないか、光熱費を節約できないかといった視点で見直すと、生活費を低く抑えることができるかもしれません。
これは、概算では心許ないです。実際に数ヶ月、計算通りに生活できるか試してみて、収支を検証してください。現実に低く出来た金額が、あなた自身のリアルな生活費になります。その額によっては、前述のせどりの月利額がさらに低くてもよいかもしれません。
家族の同意が得られている
さらに、せどりを本業にすることについて、家族の同意を得ることも大切です。一人で生活している場合ならまだしも、結婚をしていたり、子どもがいたりする場合は、特に無視できない問題です。
上記の生活費の見直しにしても、自分は節約できると思ってもパートナーは絶対に無理と感じるケースはよくあります。ましてや子どもがいる場合は、養育費や教育費の問題もあるでしょう。
独りよがりの転身は、近い将来、行き詰まる可能性が多分にあります。周囲の協力あってこそ成功があるという考え方を心に留め、目先ではなく長い目で冷静な判断をすることが重要でしょう。
独立する強い覚悟がある
せどりを本業にするというのは、経営者になることを意味します。会社員とは立場も責任も大きく異なります。
今までは上司や同僚、会社あってこその取引先などを頼りにできたかもしれません。しかし、独立すると同じようにはいきません。さまざまな繋がりを自分で構築していく必要があるうえ、自身の知識やセンス、そして資産が頼りです。
自分が動いた分が収入になり、スランプや怪我、病気などいかなる理由があっても稼働できなくなれば収入はゼロです。
その現実をしっかりと認識したうえで、独立する強い覚悟がなければ、せどりを本業として続けるのは厳しいでしょう。
せどりを本業にするメリット
続いては、せどりを本業にするメリットについて解説します。具体的には、以下の4点になります。
- 仕事も生活も自由度が高まる
- 高収入が期待できる
- 人間関係に気を遣わなくてよい
- 自由にビジネス展開できる
仕事も生活も自由度が高まる
せどりは、自分の都合に合わせて好きな時間とタイミングで行うことが可能です。
会社員の場合は、規則や組織の都合により、自分を優先することが難しいケースが多いでしょう。一方、せどりは、必ず毎日数時間行わなければならないということがありません。
そのため、今までよりもプライベートの自由度が広がり、ワークライフバランスが向上すると期待できます。
高収入が期待できる
せどりは、上手く行けば月収100万円超も夢ではありません。
そこまでは難しくても、今までより収入アップが期待できる可能性は十分にあるでしょう。
人間関係に気を遣わなくてよい
せどりはネット経由の人間関係が多くなりがちのため、直接人と接触する機会が減少します。人とコミュニケーションを取るのが好きな方にとってはさほどメリットは感じないかもしれません。
一方で、人付き合いが苦手な方には、ストレスフリーな生活が送れるのでかなり気が楽になるでしょう。
自由にビジネス展開できる
せどりは、法にさえ触れなければ何を売っても構いません。特に世の中のトレンドに大きく影響を受けやすい世界なので、限られたジャンルややり方に固執するのは危険とも言えるでしょう。
リスク管理をしながらも常に新たなジャンルを開拓したり、応援してくれるリピーターやファンの要望に応えてショップのコンセプトをアレンジしたりして、オリジナリティを高めることもできます。
もちろん他の関連ビジネスに転向する道もあるでしょう。このように、自分の裁量で自由にビジネス展開できるのが、せどりを本業にする魅力でもあり、醍醐味でもあるのです。
せどりを本業にするデメリット
次に、せどりを本業にするデメリットをついて見ていきましょう 具体的には、以下の4点になります。
- 収入が安定しない
- 福利厚生がない
- 納税が大変
- 再就職が難しい
収入が安定しない
せどりの世界は、とにかく先が読めず、売上も安定しない面があります。そのため、月収が前月の半分に急落するなど、収入が安定しないことが考えられます。
逆に新型コロナのようなイレギュラーな事態により、巣ごもり需要から売上が何倍にも増加したネットショップ経営者は多数存在します。取り扱っている商品が、インフルエンサーの一言で大バズりして一気に中門が集中する可能性もあるでしょう。
良い意味で予想外のことが起きるのは嬉しいですが、その逆は深刻な事態を招きかねないため、常に気が抜けません。
福利厚生がない
せどりを本業にすると福利厚生がまったくなくなります。特に年金や健康保健は、すべて自分で加入しなければなりません。
また、雇用保険や住宅手当、年次有給休暇もいっさいなくなります。仕事目的の移動でも交通費はすべて自腹です。
そのため、福利厚生が手厚い会社に勤めていた方からすると、そのギャップに戸惑う可能性が高いでしょう。
納税が大変
会社に勤務している場合は、源泉徴収があるので自分で所得税の納税は必要ありません。しかし、せどりを本業にすると、確定申告をする必要が出てきます。
そのため、確定申告に不慣れな方からすると煩雑で面倒に感じるかもしれません。そして何より、せどりでやっとの思いで1年間稼いだにもかかわらず、年を越してから計算のうえ納税しなければならない点は、やるせなく、がっかりした気になることもあるでしょう。
納税は仕事を頑張った証ですが、収入が不安定な状態では、なかなかポジティブには捉えられないかもしれません。
再就職が難しい
せどりを本業にする前に考えることではないと思うかもしれませんが、もし想定したように上手く成果が出なかった場合は、再就職する必要があります。知人がスキルや人柄を見込んで雇用してくれたり、就職先を紹介してくれたりすると安心です。
しかしそうでなければ、せどりの後の再就職はなかなか受け入れてもらえない恐れがあります。組織に溶け込めるか心配されたり、またすぐに辞めてしまうのではと思われたりするからです。
個人事業主は、雇用保険にも入れないため、次の仕事を見つけるまでの生活に困ったり、焦りや厳しいプレッシャーでストレスを抱えたりするかもしれません。このように、再就職が難しい点はデメリットとして挙げられます。
せどりを本業にして成功するコツ
この項目では、せどりを本業にして成功するコツをご紹介いたします。具体的には、以下の3点になります。
- 十分な準備をする
- メーカーから仕入れる
- ブランディングに注力する
- 一人でできることはすべて自分で行う
十分な準備をする
せどりで成功するには、しっかりとした準備が必要です。必要とされるものは、以下の通りです。
- 運転資金
- せどりビジネスに関する知識
- プロモーションやマーケティングの知識
- 副業から始めて経験を積んでおく
- 確実に売れる商品のリサーチ(広範囲かつ細かく)
- 仕入れ先の開拓
- 出品先の決定(ECサービスか自社サイトを立ち上げるかなど)
- 経理・納税業務
- 税務署への届出(青色申告の場合)
- 梱包技術の習得
- 最適な運送会社や発送方法のリサーチ(コスト、信用、技術など)
- カスタマー対応のマニュアル作り
- 古物商許可の取得
- 販売許可の取得(届出が必要な商品のみ)
せどりは、行き当たりばったりで上手くいくほど甘くありません。副業なら別ですが、本業にするわけですから入念な準備がいります。
早く始めたいあまりに、ここで手を抜くと先で負担が大きくなり、できると思っていたことが思いのほかできなくて困るというはめになりかねません。
もし知り合いに、せどりに詳しい人や経験者がいれば、詳しく話を聞いたり、アドバイスをもらったりするのもよいでしょう。
メーカーから仕入れる
せどりは、ただ中古品を仕入れて売るだけでは、薄利多売で疲弊してしまう恐れがあります。 仕入れが簡単な分、ライバルが多くて利益を獲得するのが難しくなるからです。
そこでおすすめするのが、メーカーから直接仕入れる方法です。 新製品や人気商品を安く仕入れることができれば、その分、多くの利益を得やすくなるでしょう。
メーカーからの仕入れは、口で言うほど簡単ではありません。代理店契約をしなければならないケースも多いです。発信力のある動画で案件として紹介することを条件に取引できる可能性もあるでしょう。
よほど信頼がなければ卸してはもらえませんが、可能性がある限りは、せどりを本業にする前に色々とリサーチしてみるのがよいでしょう。
ブランディングに注力する
せどりを長く続けていくには、ショップの特徴やカラーをはっきりさせてブランディングすることも大切です。
「この店は何か違う」とか「欲しいジャンルが数多く揃っている」など、消費者の心に刺さったり、気になる存在になったりすると、ファンやリピーターが増えてくるでしょう。
そのためにも、ショップのコンセプトを決め、ターゲットのペルソナを具体化して確実に訴求できる品揃えやテイストを意識することが重要です。
一人でできることはすべて自分で行う
取り扱う商品やショップの規模にもよりますが、最初から人の手を借りて頼るのはおすすめしません。人を雇うと人件費が発生して、思った以上に収益を圧迫する恐れがあります。
それよりも、立ち上げから仕入れ先の開拓、出品作業、梱包、発送、カスタマー対応と、すべて経験しておくのは自分のスキルアップのために大切です。でなければ、人を雇っても上手く指示することができません。的外れなことを求めると、不満を勝って人間関係が悪くなり、ショップ経営に悪影響を及ぼす恐れもあるでしょう。
手が回らなければ、例えばAmazonのFBAを利用すると、出品から受注、梱包、発送、カスタマー対応までを代行してもらえます。しかしかなり経費がかかるので、よほど売上が安定していないと損失が上回る可能性があるため注意が必要です。
まとめ
せどりを本業にすると、収入が大幅にアップしたり、生活の自由度が高まったりするのでワークライフバランスの向上が期待できます。
その反面、会社員と違って、福利厚生がなく、納税も自身の手で行わなければなりません。そして何より、自分が働けなくなったら、業務のすべてがストップして収入もなくなります。
そのようなリスクをよく理解して、独立するにあたっては、仕事内容や生活の変化について家族によく話をした上で賛同を得る必要があるでしょう。
場当たり的なやり方ではなく、できれば副業から始めて徐々に手を広げていく方が、成功の確率は高まります。しっかりと準備をし、せどりの素晴らしさを存分に味わってください。