せどりで法人化するタイミングは?所得の目安や法人化の具体策・デメリットや注意点も解説!

せどりを続けていく上で、個人事業主でいるか法人化するかはとても大事なポイントになります。

法人化すれば、世間の評価や信用が高まるので事業を拡大しやすくなります。しかし、早まると税金を多く納めなければならなかったり、個人事業主では必要なかった業務やコストが発生したりすることもあるため注意が必要です。

そこで今回は、せどりの法人化について特集します。法人化のタイミングや、法人化に向けた具体策、さらにデメリットや注意点についても掘り下げます。これからせどりを始めたいとか、すでに始めていて法人化すべきか迷っているという方も、ぜひ参考にしてください。

目次

せどりの法人化とは

せどりの法人化とは

まず、せどりの法人化について概要を解説しましょう。

個人事業主からスタートするのが一般的

一般的に、せどりは個人事業主としてスタートするケースがほとんどです。というのも、後述するようにかなりの所得を稼がなければ法人化する意味が薄れますし、一個人がせどりをいきなり本業として手がけることはほぼないからです。

せどりでまとまった収入を得つづけるには、それなりの経験やノウハウが必要です。また、思わぬタイミングでトレンドや売れ行きが変化することもあるため、右肩上がりで常に業績を伸ばすのは、決して容易ではないでしょう。

加えて、せどりは特別な資格が必要なく、仕組みが単純で初期投資も少なくて済むので、参入障壁が低いのが特徴です。目新しいビジネスでもないため、すでに多くのライバルが存在します。その環境下で確実に成果を出し続けるのは、なおのこと簡単とは言えないのです。

したがって、まずは副業から始めて、さまざまな商品を売ってみたり、損が出にくいフリマアプリから始めてみたりと、試行錯誤をしながら自分なりのビジネスモデルを模索していく期間が必要になるでしょう。そして、予想通りの売上が得られなくても本業の収入がありますし、状況に応じてせどりを一旦中止したり、やめたりしても問題ありません。

法人化とは

法人化というのは、簡単にいうと会社組織にして運営することを意味します。

一人であっても、自分が社長になって法人化することは可能です。

ただし、法人化にあたっては、税務署や市区町村、年金事務所、労働基準監督署などにさまざまな書類を提出しなければなりません。会計についても毎年必ず決算書を作成、提出のうえ、法人税や法人住民税などを納税する必要もあります。

また後述するように、税金面から考えると、せどりの所得によって個人事業主でいる方が得な場合と、法人化した方が安くすむ場合とに分かれるため、必ずしも法人化するのが良いとは言いきれません。

せどりで法人化するタイミング

せどりで法人化するタイミング

では、どのような条件がととのった場合に法人化するよいのかについて具体的に解説しましょう。

具体的には、以下の3パターンが考えられます。

1.年間所得が800万円を超えたとき

2.年間売上が1,000万円を超えそうなとき

3.事業規模を拡大したいとき

【パターン1】年間所得が800万円を超えたとき

まず、せどりでの年間所得が800万円を超えたら法人化を検討するのがおすすめです。

年間所得というのは、せどりの売上から仕入れや送料、備品代、仕入れのための交通費といった経費を差し引いた金額です。

年間所得が800万円を超えると、所得税や住民税が法人化した場合の税金を上回る可能性が出てきます。そのため年間所得が700万円を超えそうになったあたりからシミュレーションを行って法人化に備えるのがよいでしょう。

【パターン2】年間売上が1,000万円を超えそうなとき

年間の課税売上(税抜の売上)が1,000万円を超えそうになった場合も法人化を進めた方がよいケースがあります。

というのも年間の課税売上が1,000万円を超えると消費税の課税事業者とみなされ、消費税の納税義務が発生するからです。

課税売上が1,000万円を超えた時点で法人化すれば、基準期間の判定がリセットされて、消費税の課税が2事業年度先延ばしされます。

現在消費税は10%です。かりに課税売上が1,200万円だとすると、消費税だけで120万円も支払わなければなりません。これが免除されるのとされないのとでは、相当の違いがあるのでしっかりと対応策を考える必要があるでしょう。

【パターン3】事業規模を拡大したいとき

一般的に世間からの評価や信用を考えると、個人事業主よりも法人の方が上です。とくにせどりの場合は、悪質な転売業者と混同されてあまり良いイメージを持たれないことが少なくありません。そのため、法人化している方が取引の幅が広がったり、銀行からの融資が受けやすかったりします。

とはいえ、無理して法人化すると後になって苦労することもあるため、上記のパターン1や2の条件と総合してもっとも適切なタイミングを探るのがよいでしょう。

法人化に向けた具体策5選

法人化に向けた具体策5選

個人事業主から法人化へと進むための具体策について解説していきましょう。

法人化するためには、少なくとも半年〜1年前後はまとまった収益を獲得し続ける必要があります。上述のように、年間所得が800万円を超えると税率は法人化した方が有利になりますから、まずはこのラインを目指すのがよいでしょう。

そのために必要な対策を紹介します。

利益率の高い商品を売る

せどりで法人化するには、できるだけ利益率の高い商品を販売することが大切です。

目ざすのは、年間所得800万超です。これは売上が800万円ではありません。すべての経費を差し引いた残額ですから、たとえば利益率が5%の商品なら、単純計算で1億6,000万円を売り上げなければなりません。これが、利益率50%だと、1,600万円の売り上げで済みます。

利益率が低いと、常に大量の商品を仕入れては売り捌いていかなければならず、価格競争にも巻き込まれて疲弊する可能性が高くなります。

そのため、心身ともにある程度の余裕をもつためにも、利益率の高い商品を売ることが重要といえるのです。

さらに、単に利益率が高いだけでなく、単価が高いことも大事な要素となります。かりに利益率が80%であっても、単価が100円では利益は80円にしかなりません。しかし、単価が10,000円なら一点売れるだけで8,000円の儲けが出ます。そのため、メジャーでなくとも一定のユーザーが存在する商品とか、レア品、限定品などを効率よく見つけ出して仕入れることが大切です。

仕入れ値を抑える

利益率が高いというのは、仕入れ値が安いと言い換えることもできます。

同じ商品でも、仕入れ先が異なれば仕入れ値が変わります。もちろん1円でも安いところから仕入れるに越したことはないでしょう。

ただし、安い商品は粗悪品であるケースもあるので注意が必要です。また値引きしてもらうためには、ある程度長く付き合って信頼してもらうことも大切です。

よって法人化に向けては、良い商品を見極める目と、焦らず時間をかけながら優良な仕入れ先を開拓していくという姿勢が求められるでしょう。

仕入れ先を複数確保する

利益率が高い良品を継続的に仕入れるには、複数の仕入れ先を確保する必要があります。

現にせどりで法人化している人たちは、傾向の異なる仕入れ先をいくつか見つけ出し、その時々でより安い仕入れ先からコスパの良い商品を仕入れるということを上手く行っています。

この商品はここでしか仕入れられないとなると、その店が潰れたり、その商品を売らなくなってしまったりすると、仕入れ自体ができなくなります。そのようなリスクを回避するためにも、常に良い仕入れ先を開拓し続ける必要があるでしょう。

販売先を複数確保する

販売先を複数確保するのも法人化を目指す大事な条件になります。どのサイトに出品するかでユーザーの好みや属性が異なるからです。

同じ商品でもサイトが違うと、高値で即売れする場合もあれば、まったく見向きもされないケースもあります。そのため、扱う商品と相性のよい販売先を見つけることが不可欠でしょう。

一から集客するのは大変なので、最初のうちはユーザーが数百万、数千万人規模の有名なフリマアプリやオークションサイトを選択するのがおすすめです。そこでリピーターやフォロワーがある程度確保できれば、並行して自身のECサイトを開設し、そちらに誘導するのもよいかもしれません。すると売れるたびにプラットフォーマーに販売手数料を支払わなくて済むため余計な出費を防ぐことができるでしょう。

リサーチ力を身につける

せどりで成功するためには、リサーチ力が命といっても過言ではありません。

何が、どこで、いくらで売られているのか、またどれくらい売れているのかを、常に把握しなければ多くの競合がひしめくせどり業界で生き残ってゆくことは難しいからです。

優秀なリサーチツールが多数存在するので、使いやすいものをチョイスして有効活用するのがよいでしょう。

せどりで法人化するデメリット

せどりで法人化するデメリット

さてここで、せどりで法人化する場合のデメリットについて見ていきましょう。

法人化によるメリットは多数ありますが、思い立ってすぐにできるという単純なものではありません。準備には時間とお金もかかるので、その辺りの事情を理解したうえで手続きを進める必要があるでしょう。

法人化手続きにコストがかかる

一般的に株式会社を設立するには、手続きの実費だけでも22~24万円前後のコストが必要になります。

具体的には以下の通りです。

・収入印紙代・・・4万

・定款の認証手数料・・・3~5万円

・謄本の発行手数料・・・2千円ほど

・登録免許税・・・15万円

事務処理が増える

法人化した場合、毎年必ず決算書を作成して税務署に提出しなければなりません。

具体的には貸借対照表と損益計算書です。これかを作成するには毎日のお金やモノの動きなどをすべて帳簿に記載していく必要があります。これには簿記の知識が不可欠ですし、不慣れな場合は、戸惑うことも多く、肝心のせどりに集中できなくなる恐れがあります。

会計ソフトを使うとか税理士に外注するなど、方法を決めてから法人化しないと相当混乱するのは目に見えているので注意してください。

社会保険料が必要になる

法人化すると社会保険料の負担も重くのしかかってきます。社会保険料とは、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」を指します。

これらのほとんどは、会社に勤務している場合は、半分を会社が負担してくれます。労災保険については会社が全額負担します。

しかし法人化すると、会社分と自分の分の両方を負担することになるので、決して軽視できません。

役員報酬を1年間変更できない

法人化すると役員報酬を受け取ることができます。

ただし役員報酬は1年間変更できないため、例えば大事をとって少なめに設定していたとして、予想以上に売上が良くても途中で金額を上げることができません。逆に売上が悪いからといって役員報酬を下げるわけにもいかないので、利益を圧迫して負担になる恐れもあるでしょう。

税理士の顧問料が必要

先ほども述べましたが、法人化すると会計処理がかなり複雑になります。そのため、とくにはじめのうちは税理士にサポートしてもらうことをおすすめします。

ただしその場合は顧問料が必要になるので、あらかじめどれくらい必要かを見積もるようにしてください。

法人化した際の注意点

法人化した際の注意点

最後に、せどりで法人化するうえで気をつけておくべき点について触れておきましょう。

古物商許可について

せどりで中古品を販売する場合は、古物商許可を取得しなければなりません。

すでに個人でせどりを行っている方なら、最寄りの警察署で取得しているというケースも多いのではないでしょうか。その場合は、法人化した後も現在の許可証をそのまま流用できるとお考えかもしれませんが、それは不可能です。法人と個人は別のため、再度許可を得なければなりません。この点に注意してください。

まとめ

まとめ

せどりは個人事業主として行う方が得な場合と、法人化した方がメリットが多い場合とに分かれます。

年間所得が800万円を超えるか、課税売上が1,000万円を超えそうになったら法人化を検討するようにしてください。

ただ法人の場合は、会社が負担する税金に加えて自分が個人として負担する税金を納める必要があります。その金額は、自身の給与や役員報酬をいくらにするか、仕入れや送料などの経費がどれくらいになるかによってずい分と開きが出てきます。そのため、数値の変動をよく分析しながら、正確なシミュレーションを行ったうえで法人化するかどうかを決める必要があるでしょう。

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この記事を監修した人

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