せどりの仕入れ先は、国内だけとは限りません。むしろ、海外では日本より安価で販売している商品も多く、それらを仕入れて販売すれば大きな利益を得られます。
とはいえ、国内と海外では、おなじせどりでも手順が大きく異なります。必要な知識も多く、失敗したときのリスクも大きいです。
そこで今回は、海外でせどりの仕入れをおこなう場合の手順や、注意点などについて紹介します。海外せどりに興味がある人は、ぜひ目を通してください。
海外せどりとは?
そもそも海外せどりとは、文字通り海外の商品を対象にせどりをおこなうことです。
国内の商品を海外に販売する、もしくは海外の商品を国内に販売する、いずれも海外せどりと言われます。
それぞれの特徴についてまとめたので、概要を覚えておきましょう。
国内商品を海外に販売
国内の商品を海外に販売するのは、「輸出せどり」と呼ばれています。
日本の商品は信頼性が高く、海外では売っていない商品も多いため、高い利益を得られる点が特徴です。
販売先が海外の場合は、eBayなどの海外向けプラットフォームでの販売が主になってきます。顧客が外国人であることもあり、輸入する場合よりも難易度は高いです。
海外商品を国内に販売
海外から商品を仕入れて国内で販売するのは、「輸入せどり」と言われています。
海外では日本より安く売っている商品がたくさんあり、それらを仕入れて国内の定価で販売することで、高い利益を得られます。
eBayや海外のAmazonなどをつかえば、自宅にいながら海外の商品を仕入れることも難しくありません。
海外せどりに必須の知識
海外せどりは、国内せどりと違って専門の知識が求められます。
海外では法律の違いや輸出入の手続きなど、複雑な点が多いからです。
ここでは、海外せどりに必須の知識を紹介します。どれも重要な内容なので、必ずすべて頭に入れておきましょう。
関税について
海外から商品を仕入れると、商品代金の一定割合を関税として納めなければいけません。この割合は、商品の内容や価格などによって変動します。
3%程度で済む場合もあれば、最大で20%ほど関税がかかるケースもあります。まとめて仕入れるなどの理由で課税価格が20万円をこえる場合は、一律で15%の関税がかかるので覚えておきましょう。
海外せどりは大きな利益をだせるので、関税を加味したうえでもやる価値はあります。しかし、無視できない割合であることも事実なので、利益計算の際には必ず考慮してください。
代行業者の存在
ネットショッピングで輸出入をする場合、個人で作業を完結できます。しかし、現地の安価な商品を仕入れたいのであれば、現地で代わりに商品を購入してくれる代行業者の存在が欠かせません。
フォワーダーなどとも呼ばれ、購入から開通手続きまで、輸入に関わる作業のほとんどを代行してくれるので、効率的に作業ができます。決済も円でおこなえる場合が多いので、現地の通貨を所有する必要もありません。
また、代行業者を利用すると、言葉の壁を超えるのにも役立ちます。外国語がわからなかったり、関税の知識がなかったりする人は、いっそ代行業者に任せるのも一つの方法です。
輸入原価の計算方法
海外から仕入れた商品の原価計算は、国内と違ってやや複雑です。様々な費用がかかるため、それらをすべて考慮したうえで原価計算をしなければいけません。
商品価格の他にも、以下のような費用が発生します。
・関税
・輸送費
・海上保険料
・貨物保管料
代行業者を利用していれば、これらに加えて人件費もかかってきます。輸入商品の原価を正確に計算する際は、どこにどんな費用がいくらかかるのかを、正確に把握することが大切です。
為替を把握する
国内外の通貨は、常に価値が変動しています。たとえば、現在1ドルは約150円ですが、将来1ドルが180円になったり、逆に100円になったりするかもしれません。
これはドル以外の通貨についても同様であり、この変化の度合いを為替レートと呼びます。海外の商品を購入する際は、その国の外貨に対する現在の日本円の価値を、正確に把握することが大切です。
円の価値が落ちて、相対的に円安になっている国であれば、商品を販売するのに向いています。逆に、円の価値が上がって相対的に円高になっている国に対しては、少ない円で多くの商品を仕入れられるのでお得です。
海外せどりをおこなう際の注意点
海外せどりは、国内で行うせどりとは勝手が違います。言語や法律、価値観など様々なものが違う国とやり取りするため、注意すべき点がたくさんあるからです。
輸入にせよ輸出にせよ、海外とのやり取りは手間やリスクも大きく、失敗すると大きな損失を抱えてしまう可能性もあります。そのため、海外せどりに挑戦するなら、気をつけるべき点をあらかじめ知っておくことが大切です。
ここでは、海外せどりの注意点について紹介します。
外国語での対応が増える
海外の相手とやり取りする場合、当然ながら現地の言語で話をします。やり取りする言語は、主に英語や中国語などが多いです。
輸入せどりの場合、現地の代行業者が日本語に対応しているケースもあるため、必ずしも外国語スキルが必須ではありません。
一方、輸出せどりは海外の購入者を相手にするため、外国語での対応は必ず必要です。
意思疎通に失敗すると、様々なトラブルの原因になってしまいます。商品を売買する国の言語に対しては、最低限の知識を持っておきましょう。
サイトの画面が日本と違う
海外で仕入れや販売をする場合、利用するプラットフォームも海外のものになってきます。ホーム画面や管理画面が日本と違う場合も多く、最初は操作に苦労する確率が高いです。
もちろん言語は日本語ではないため、操作を調べるのにも時間がかかってしまいます。Googleの翻訳機能に頼るのもありですが、精度に難がある場合も多いです。
サイトを適切に利用できないと、とてもビジネスは継続できません。海外のサイトであっても、使い方を調べて実践できるだけのスキルが求められます。
ジャンルによっては事前申請が必要
取り扱う商品の種類によっては、事前に申請が必要になってくるケースがあります。
申請が必要な商品はプラットフォームによって異なるため、各ECサイトを確認してください。
未申請の状態だと、販売ができなかったり、罰則を受けたりする可能性が高いです。事前申請が必要な商品については、必ず把握しておきましょう。
発送コストを軽視しない
海外との売買では、発送コストも無視できません。移動手段に船や飛行機が使われるため、国内と比べると非常に送料が高いです。
関税で利益が引かれるうえで、高い発送コストまで発生するとなると、利益がほとんどなくなってしまうケースも少なくありません。
安く発送する方法もありますが、発送に時間がかかったり保証がなかったりします。発送コストをどの程度確保できるのかは、あらかじめ試算しておきましょう。
海外せどりを実践する手順
ここまで紹介した内容を加味したうえで、海外せどりに挑戦したいという人に向けて、実践のための手順をまとめました。
「売れる商品をリサーチして、仕入れて販売する」という一連の流れは、海外せどりでも変わりません。しかし、国内せどりよりも必要な作業量は増えているので、注意が必要です。
商品リサーチ
商品リサーチの際は、購入者のいる国に合わせたニーズを探りましょう。輸入せどりなら国内、輸出せどりなら輸出先の国の需要と供給から、売れる商品を判断します。
海外のニーズを探るためには、ECサイトの販売ランキングを見たり、トレンドに載っている商品を確認したりといった方法が一般的です。
仕入れる商品によって利益が大きく変わる点は、海外せどりも変わりません。商品リサーチはせどりの成否を分ける重要な作業なので、時間をかけてニーズを探ってください。
商品が売っているサイトを探す
輸入せどりの場合は、リサーチした商品が売っている海外サイトを探します。
サイトを探す際は、複数のサイトで価格を比較し、極力安く仕入れるのがポイントです。
また、商品によっては別の国で購入したほうが安いというケースもあります。
AmazonやeBay、アリババなど各国の大手サイトは最低限目を通しておき、最安値での購入を目指してください。
商品を仕入れる
商品を見つけたら、最初は仕入れやすいものから仕入れていきましょう。
最初は低リスクな商品から始める点は、国内せどりと変わりありません。海外せどりはリスクも高いので、利益率が高くてもいきなり効果な商品やデリケートな商品は狙うべきではありません。
仕入れやすい商品のポイントとしては、小さくて安価、かつ壊れにくい素材であることが重要です。逆に、割れ物などのデリケートな商品群は、海外せどりに慣れてから仕入れることを徹底してください。
仕入れた商品を輸送する
現地で仕入れた商品は、まとめて国内に輸送します。自力での輸送は難易度が高いので、最初は代行業者を利用するのがおすすめです。
購入した商品は、代行業者の指定する住所に送りましょう。業者のサービスによっては、仕入れから輸送まですべておこなってくれることもあります。
仕入れた商品を販売する
商品が手元に届いたら、各プラットフォームで販売します。
出品する前に、商品の検品を忘れないでください。粗悪品や偽物が紛れ込んでいる可能性もあり、そのまま販売してしまうとトラブルの原因になってしまいます。
最初のうちは、1つのプラットフォームに集中して出品しましょう。慣れてきたら、販路を増やす目的で複数のプラットフォームで出品するのもありです。
海外せどりで意識すべきポイント
海外せどりをおこなうなら、意識すべきポイントがいくつかあります。日本と同じ感覚で取引しようとすると、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあるからです。
ここでは、海外せどりをおこなうにあたって意識すべき点をまとめました。いずれも重要な要素なので、もれなく把握しておきましょう。
相場変動を読むのは困難
海外せどりの場合、相場の変動に加えて為替も考慮しなければいけません。現地では安価で販売していても、円安によってお得度が減ってしまっている商品は多々あります。
為替は急激に変動することは稀ですが、長期的に見ると無視できない変動幅をしています。考慮せず仕入れてしまうと、利益がでないどころか赤字になってしまう可能性もあるため、十分に注意しましょう。
使用後の返品も想定しておく
日本と海外では、返品の基準や考え方も違います。
開封して使用した商品であっても、返品要求をしてくる人は少なくありません。
返品に応じないためにも、キャンセルポリシーを明確にしておきましょう。事前に返品に関する記載があれば、こういった事態をある程度予防できます。
逆に、記載がないと向こうも遠慮なく要求してくるので、十分に注意してください。
競合が増えるタイミングを覚える
海外せどりは、為替の影響で利益が大きく左右されます。そのため、為替の変動幅によって競合が増えるケースが多いです。
輸出せどりであれば、円安だと利益を出しやすいため、参入する人が増えます。逆に円高の場合は、輸入せどりでたくさんの利益を出せます。
競合が多い時期に稼ぐためには、商品リサーチの質とコストカットが欠かせません。どの商品を仕入れて販売するのかを、今まで以上に検討してください。
古物商許可の資格を取得する
国内で中古品を販売する場合、古物商許可の資格が必要です。
新品を扱う場合でも、法的に中古品とみなされるケースは多いため、せどりをするなら必須の資格と言えます。
資格と言っても試験はなく、警察署で申請するだけで誰でも取得可能です。資格を取らずにせどりをすると違法行為になってしまうので、必ず取得しておきましょう。
個人情報の取り扱いには十分気をつける
個人情報が大切な点は、国内せどりも海外せどりも変わりません。
しかし、海外には過激な人や凄腕のハッカーなどもいるため、個人情報が流出した場合のリスクは国内以上と言えます。
トラブルや犯罪に巻き込まれるリスクは決して小さくないため、個人情報の取り扱いには細心の注意を払ってください。
まとめ
海外せどりには、主に輸入せどりと輸出せどりの2種類が存在します。
どちらも国内せどりより高い利益を出しやすい一方、為替や輸送コスト、関税など考慮すべきことも多いです。
また、海外の言語ば文化、法律にもある程度精通している必要があります。国をまたいだ売買は、それだけ考慮すべき点が多いということです。
とはいえ、デメリットを上回るだけの利益を得られるビジネスモデルであることも、また事実です。興味のある人は、今回紹介した点に気をつけながら、海外せどりに挑戦してみましょう。