セレクトショップを開業したいと思ったことはありませんか。お気に入りものに囲まれて暮らす、そんな生活は理想ですよね。
今回は、セレクトショップを開業する前に必ずしなければいけないことや、商品仕入れの方法などについて解説します。セレクトショップの開業に興味のある方は、是非こちらの記事をご覧ください。
セレクトショップとは?お客様に選ばれるショップにするには
セレクトショップというとどんなお店をイメージしますか?オーナーのコンセプトに基づいて、様々なブランドから「セレクト」された商品を置いているおしゃれなお店というイメージですね。
ブランドショップだとそのブランドの商品しか置いていません。その点、セレクトショップはオーナーのコンセプトに合う、様々なブランドを取り扱っていますので、センスのいい、見ていて楽しくなるような商品が数多く置かれています。ファッションだけでなく雑貨やインテリアなどもあり、オーナーのセンス、感覚がその商品たちを見ていると伝わってきます。それだからこそお客様は自分に合うセレクトショップを見つけたら、「これを買う」という明確な目的がなくても、「なにが置いてあるかな」「新しい、素敵なものはないかな」といった感じでお店を訪れてくれるのです。
そんなお客様に選ばれるセレクトショップにするには何をすればいいのか、早速見ていきましょう。
目指すのはお客様が足を運んでくれるお店
セレクトショップで洋服だけ置いているところはほとんどないですよね。ライフスタイル全般、例えば食器やインテリア、ボディシャンプーからお塩までいろいろなものが「提案」されています。これを使えば、普段の生活にちょっと潤いを与えてくれますよ、といった感じです。
これからセレクトショップを始めようとするときに考えるべきことは、どんな「モノ」を置くかではなく、自分のお店の商品を購入してお客様にどうなってもらいたいか、です。着るもの、暮らしで使う道具、ちょっとほっこりできる小物たちを通してお客様に「私のお店の商品を使うと生活を豊かに彩ることができますよ」と提案するのです。
ただかわいいからという理由だけで商品を仕入れても、選ばれるお店にはなりません。目指すのはお客様がわざわざ足を運んでくれるお店、ここに来ればきっと自分の感覚に合った素敵なものに出会えるだろうという期待感の持てるお店なのです。
コンセプト設定が成功のカギ
セレクトショップを開業する前にまずしなければいけないことは、コンセプトを決めることです。ターゲットは誰で、その人にどうなってもらいたいか、そして、どんなお店にするのか。先ほど「提案」という言葉を使いましたが、提案するにはコンセプトが必要です。最初にコンセプトを決めないと、お店の立地も、雰囲気も、取り扱う商品も決まりません。直観で商品を集めて売る、ではダメなのです。そして、コンセプトをお店の軸として、その基準に照らし合わせて運営や商品の仕入れをしていきましょう。
コンセプトのあるお店は他のお店と差別化を図ることができます。「どのお店で買っても一緒」ではなく、「ここでしか買えないものがあるから来ました」とか、「お店のコンセプトが好きだから買いました」などとお客様に言ってもらえるようなお店にしていきましょう。お客様の共感を得てファンになってもらうのです。
コンセプトが明確になっていれば、他の人から「どんなお店ですか?」と聞かれたときにはっきり答えることができます。仕入れの際にメーカーや問屋から、どんなお店か聞かれたときに、すぐに答えられないと、ちょっとがっかりされるかもしれません。お客様から聞かれたときも、すぐに答えられないと、「う〜ん」となってしまうことでしょう。そんなお店ではなかなか買ってもらえません。まずは、いつ誰から聞かれてもすぐに答えられるような確かなコンセプトを打ち出しましょう。
国内仕入れ。3つの仕入れ先とは
セレクトショップのコンセプトが決まったら、次にすることは仕入れです。
国内での仕入れ方法は、大きく分けてメーカーと取引、問屋と取引、ネットで購入の3つがあります。順番に説明していきます。
メーカとの取引
取り扱いたいブランドが決まっているなら、そのメーカーに連絡してみましょう。ただし、最低発注数や最低発注金額などの条件が厳しいこともあります。また大手メーカーだと、小規模なお店とは取引しないこともあります。取引ができたとしても、展示会受注のみの場合、次の展示会を待たなくてはならず、即納品が難しいことも多いです。
取扱商品はあるけれどメーカーがわからない時は、商品タグを見てみましょう。メーカー名がわかればネットで連絡先を探すことができます。
問屋との取引
問屋は、メーカーから商品を買い入れ、小売りに卸す業者です。
販売力が低いとメーカーで大量に商品を注文できません。しかし、問屋なら大量に発注できるため、問屋の方が仕入れ値が安くなることもあります。また、複数のブランドを取り扱っているので便利です。即日納品なので、今売れているものをすぐに仕入れることもできます。ただし、他のお店もその問屋で仕入れていたら、同じような商品が並ぶことになりますし、実店舗がないと取引が難しい場合もあります。
また、問屋はその業界に詳しいので、何度も足を運んで仲良くなれば、貴重な情報を流してもらえるかもしれません。
ネットを利用する
ネットを利用して商品を仕入れることもできます。ネット仕入れなら、流通している商品数も多く、メーカーや問屋に足を運ばなくていいので時間もかかりません。誰でも簡単にできますし、交渉などをする必要もないので手軽です。
ただ、誰でも仕入れが可能ということは、オリジナリティを出すのが難しいということでもあります。また、商品を直接手に取って選べませんし、そのサイトの訪問者には卸値がオープンにされていますので、卸値がライバルに知られてしまうというデメリットもあります。
海外仕入れのイロハ
国内のメーカーや問屋、ネットで仕入れる場合は、言葉の壁はありませんし、品質の悪いものがあれば即時に対応してもらえます。その反面、他のショップと品物がかぶり、他店と差別化を図るのは難しくなります。
その点、海外のものを仕入れることができれば、日本にはないデザインや色使い、発想の商品を手に入れることができます。自分のセレクトショップにしかない商品を仕入れられれば、お店の目玉にもなります。
ここではそんな海外仕入れの方法とコツについて説明します。
海外での直接仕入れとそのコツ
海外でも見本市や展示会が開催されています。国内の展示会と同じように、そこで商談ができます。ただ、商談するときの言語は現地の言葉か英語になる点には注意が必要です。
展示会に行かなくても、現地のお店で買い付けたり、メーカーと直接交渉したりしてもよいでしょう。また、現地で購入した商品のタグからメーカーを探し出し、連絡すれば個別に交渉することも可能です。ただし、この場合も交渉のためには現地の言葉か英語が必要です。
海外のメーカーや問屋と円滑に取引するためのコツを3つ解説します。
1 まずはサンプルだけを発送してもらう
取引の長期継続を考えているので、まずはサンプルを送ってほしいと交渉しましょう。メーカー・問屋側が長期的な取引を望んでいるなら交渉に応じてくれるでしょう。この時点でサンプルも送ってくれない場合は、長期的に取引をすることも、信頼を築くことも難しいので、他のところを当たりましょう。
2 しっかり検品する
届いた商品の個数が間違っていないか、サイズはあっているか、縫製はしっかりしているか、壊れたところはないか、異物(針など)が混入していないかなどしっかり確認しましょう。
3 大量発注は信頼できるとわかってから
サンプルを送ってもらい、交渉を重ね、信頼できる相手だと確信が持てたら、発注する数を増やしましょう。
輸入代理店を利用する
海外のブランドから商品を仕入れるとなると、相手メーカーとの交渉や関税など様々なハードルがあります。
そこで、費用面でデメリットはありますが、輸入代理店から仕入れるというのも一つの方法です。輸入代理店を利用すれば、検品だけでなく、不良品がある場合の対応もしてくれるので安心です。
海外のショッピングサイトを利用する
実際に海外に買い付けに行ったり、輸入代理店から仕入れたりするのが困難な場合は、ネットで購入するのも良いでしょう。
中でも、米国Amazonや中国のアリババなどは有名どころです。英語ができなくても翻訳サイトを利用すれば意味は理解できるので大丈夫です。ただし、利益率はそこまで高くないでしょうし、他店との差別化も難くなります。もっとも、手軽ですし、現地に赴く費用も時間もかからない点は大きなメリットです。
参考にしたいセレクトショップ3選
ここでは参考にしたいセレクトショップを3店ご紹介します。どのようなコンセプトでどのような商品を置いているのかの参考にしてください。
It’s so easy
1店目は「It’s so easy」です。
「ストーリー性・特別感・感動のあるもの」をキーワードに、世界中から商品が集められています。作り手の姿勢や哲学に直接触れ、また実際に使ってみて、良いと思ったものだけが選ばれています。コスメならオーガニックなもの、ファッションもオーガニックコットンを中心に、食べ物もヘルシーなものが選ばれています。
「It’s so easy」の商品を使えば、きっと自由で、健康的で、豊かなライフスタイルが手に入るだろうと思わせてくれます。このようにコンセプトがしっかりしていると、お客様もお店を信頼しやすくなることでしょう。
ZUTTO
2店目は、オンラインショップの「ZUTTO」です。
「ずっと使いたいモノ、置いています」とコンセプトがとても明確です。オンラインショップ内の「ZUTTOについて」というところをクリックすると、大きく「CONCEPT」と書かれていて、どんな商品を取り扱っているかが書かれています。またその下には「商品選び5つのものさし」とあり、ZUTTOが商品を選ぶときの基準が書かれています。
ユナイテッドアローズ
3店目は、セレクトショップ大手、「ユナイテッドアローズ」です。「豊かさ・上質感」をキーワードに、クールできれい目なアイテムがそろっています。品質が良く、大人向けのセレクトなので、20代から30代前半の男性を中心にファンが多いです。ファッション以外にも雑貨や小物も取り扱っています。
セレクトショップ成功のポイント
セレクトショップを成功させるためのポイントは何でしょうか?どんなことに気をつければいいのでしょう。大事なことを2点説明します。
ストーリー性のある商品か
セレクトショップのいいところは自分の好きな商品を扱えるところです。自分でコンセプトを設定し、それに沿った商品を仕入れる。そして、その商品をお客様に使っていただく。これに勝る喜びはありません。商品の説明をするときでも、自分が心から好きな商品なので、その熱意はお客様にも伝わりやすくなります。
そこで、商品を仕入れるときは、どこででも手に入るような商品ではなく、これでなくてはいけないという理由のあるものや、ストーリー性のある商品を選びましょう。お客様に説明するときに「かわいいでしょ」の一言で終わってしまう商品ではなく、なぜその商品を仕入れているのか、選んだ理由は何なのかについて語れるような商品がベストです。
他のお店と差別化できているか
他のお店のリサーチも行いましょう。その際は、自分のお店に似ているところをリサーチしてください。ライバルとなるのは、まったく違うテイストのお店ではなく、似ているお店だからです。そして、そのお店よりも優れている点、劣っている点を分析しましょう。
また、商品が一度売れたからといってずっと売れ続けるとは限らないので、常にアンテナを張って商品をリサーチし続けてください。
ついにお店をオープン。備品漏れはありませんか?
お店をオープンしてしまってから、「あの備品がない!」となっては困ります。お客様が来られているのに、こちらの準備不足で迷惑をかけるわけにはいきません。そんなことにならないように、お客様のご来店から商品を購入してお帰りになるまでをシミュレーションした上で必要となりそうな備品を割り出しておきましょう。
ここでは一般的に必要となるであろう備品を紹介していきますので参考にしてください。
レジ周りの備品、準備忘れはないですか
まず、レジスターが必要です。お金受け渡しの時のキャッシュトレー、クレジット対応機器、領収書とペン、印鑑と朱肉も忘れてはいけません。レジ周りの大きな備品といえば、パソコンとプリンター、電話といったところでしょうか。ショップカード、そしてショップカードトレイも準備しましょう。メモや付箋紙、電卓、輪ゴムも必要です。
ラッピング用品の備品、準備忘れはないですか
ラッピング関係で言えば、包装紙やOPP袋、アパレル用不織布内袋、リボンや紐そしてショッピング袋、割れ物などを包むときには緩衝材、梱包材も必要です。そして、セロハンテープ、ホチキス、ハサミ、カッター、メッセージカードも準備しましょう。マスキングテープもあるといいですね。
その他にもこんなものを準備しましょう
洋服を試着するとき用のフェイスカバーも準備しましょう。お店のBGMを流すための機材や、お知らせなどを置いておくイーゼル、雨の日は傘立ても必要です。お店で商品が割れたり、何かがこぼれたりしたときの掃除用具と軍手も準備しておきましょう。ゴミ箱も必須です。
お客様に愛されるセレクトショップを開業しよう
今回は、セレクトショップの開業に関連して、コンセプトの大切さや仕入れのこと、コンセプトが際立っているお店の実例などを見てきました。
セレクトショップを成功させるのにまず必要なのは、お店のコンセプトです。開業前にしっかりとコンセプトを決め世界観を確立しましょう。そうすると、商品を仕入れる際もコンセプトに沿った商品を選定できるので迷うことが少なくなります。また、メーカーや問屋にお店の思いをきちんと伝えられるので、仕入れ交渉を有利に進められます。
自分の「思い」がカタチになっていくのは楽しいことです。こちらの記事を参考にして、ぜひお客様に愛される素敵なセレクトショップを開業してくださいね。