セレクトショップ経営に必要な手続きとビジネスモデル

実店舗・ネットショップ問わず、セレクトショップを経営したいと考える人が増えています。しかし、実際どのようにセレクトショップを開業し、経営すればよいのか悩んでいることが多いでしょう。

この記事では、セレクトショップ経営に必要な手続きや、ビジネスモデルについて解説します。

目次

セレクトショップ開業に最低限必要な準備

セレクトショップとは特定のブランドだけでなく、店主がコンセプトや独自ルールにのっとって仕入れた商品を販売するお店です。セレクトショップの開業には特に資格は必要ありませんが、忘れてはならない手続きがあります。

まずは、セレクトショップ開業に必要な準備を解説します。

セレクトショップのコンセプトを決定する

セレクトショップの開業には、まずお店のコンセプトを決める必要があります。コンセプトを明確にすることで、お店の内装や仕入れる商品を決めやすくなるからです。また、コンセプトを決めておけば、お店の雰囲気に合致した店員を採用し、接客方法もターゲットとするお客様に合わせてルール化できます。

ネットショップを開業する場合も同様に、コンセプトが明確だとネットショップのデザインが容易になります。また、Web制作会社に依頼する場合も、要望を伝えやすくなります。

仕入れ先を選定する

セレクトショップ経営において、仕入れ先の選定はビジネス成功のカギを握るといってよいでしょう。

国内・海外問わず、信頼できる仕入れ先を見つけられると単価交渉から仕入れまでスムーズに行えます。
商品のトレンドが続く間に安く仕入れて販売できる可能性が高まります。

必要となり得る手続き

セレクトショップの開業に特別な資格は必要ありませんが、手続きも必要な場合があります。取り扱う商品ごとに必要な届出は以下の通りです。

  • 中古品:古物商許可証
  • 食品:食品衛生法に基づく営業許可

営業許可を取得するには、国家資格取得や講習受講が前提となる場合があります。
取り扱う商品に必要な手続きをセレクトショップ開業前に必ず済ませておきましょう。

税務署に提出すべき書類

セレクトショップの開業には「開業届」および「青色申告承認申請書」が必要です。それぞれについて解説します。

開業届

新しく事業を行う場合は開業届が必要です。開業届は国税庁ホームページからダウンロードし、所管の税務署または郵送にて提出します。開業届は事業を開始した日から1ヶ月以内に提出する必要があります。

参考:国税庁 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書は、確定申告時に青色申告を行う場合に必要です。開業届と同時に提出するようにしましょう。こちらの申請書も国税庁のホームページからダウンロードし、税務署への持ち込み、または郵送にて提出します。

参考:国税庁 青色申告承認申請書

仕入れを成功させるコツ

先ほど、仕入れ先の選定がビジネス成功のカギを握るとお伝えしました。ここからは、ビジネスを成功に導くための、仕入れにおけるコツを解説します。

仕入れで抑えるべきポイント

仕入れで抑えるポイントは3つあります。

1つ目が卸値。当たり前ですが、安く仕入れられるほど利益を上げられる可能性があります。

2つ目がロットです。1商品を10セット1ロットとして仕入れられるか、100セット1ロットとしてまとめて仕入れる必要があるかによって、必要な資金は大きく変わります。

そして3つ目が支払方法です。仕入れ時に現金で一括払いや、1ヶ月分まとめて後払いする方法があります。支払いのタイミングは資金計画に影響を与えるので、必ず確認してから取引を開始してください。

交渉は必須とは限らない

「セレクトショップを経営したいけれど、仕入れ交渉できる自信がない。」という人は少なくありません。BtoBは契約などが必要になり取引が面倒ですが、昨今ではネット仕入れサイトなども数多く存在しています。

もちろん、直接交渉できるなら、さらに低い掛け率で購入できる可能性は高まりますが、無理に交渉しなくても仕入れ自体は可能です。

個人事業主でも取引できる

個人事業主としてセレクトショップを経営する場合、「個人と取引可能な問屋はあるのだろうか。」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。

最近では、ネットショップの増加により、個人で仕入れを行う人も増えてきました。それに伴い、個人事業主と取引を行う問屋も増えているので、気になる取引先には積極的にコンタクトをとりましょう。

こちらのサイトでは会員登録が必要ですが、小ロットでの販売や個人事業主に販売可能としています。

参考:問屋/仕入れのNETSEA(ネッシー)

セレクトショップ開業に準備しておくべき資金

セレクトショップの経営には資金計画が重要です。開業届や融資を受けるときには資金計画を提出しなければ先に進みません。
そこで、セレクトショップ開業に必要な資金を解説します。

セレクトショップの開業資金

お店の規模にもよりますが、セレクトショップの実店舗開業には500~1,000万円の資金が必要です。まとまった資金が必要となるのは、具体的に以下の用途です。

  • お店の賃貸料
  • 内装工事費・空調設備費
  • 外装費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 広告費
  • 初期仕入れ
  • 当座の運転資金

中でも内装工事費は高額になりがちです。複数の業者に見積もりをとる、DIYできるものは自分で作るなど、費用を抑えるための工夫が重要です。

セレクトショップの備品

セレクトショップの開業に必要な備品は、取り扱う商品によって異なりますが、開業時にまとめて購入しておく必要があります。業務用品注文サイトなどネットでまとめて注文できるサービスを活用すると時間と労力をかけずにそろえられるのでおすすめです。

必要な備品は以下の通り。

  • ハンガー(洋服の場合)
  • レジ周り:レジ、キャッシュトレー、領収書
  • 文房具:印鑑、ハサミ、のり、カッター、セロハンテープ、ホッチキス
  • 梱包類:緩衝材、ラッピング用紙、リボン、ガムテープ、OPP袋
  • 機器:電卓、クレジットカード対応機器、Wi-Fi機器、パソコン、電話、プリンター
  • 備品:ゴミ箱、玄関マット、傘立て

融資を利用する

一般的には、銀行から融資を受けることになります。
個人事業主の場合、個人向けフリーローンを開業資金や運転資金に充てることができますし、法人として開業した場合は事業融資として借り入れが可能です。
審査は厳しいものとなりますが、資金計画などをきちんとまとめていれば融資を受けられる可能性が高まります。

開業資金の調達には日本政策金融公庫の融資制度が利用できます。

・新創業融資制度:新たに事業を始める人や、すでに事業を開始していて税務申告2期を終えていない方なら最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)の融資を受けられる可能性があります。

参考:新創業融資制度

セレクトショップの経営方法

セレクトショップには、実店舗・ネットショップの2通りの経営方法があります。それぞれのメリット・デメリット、集客方法を説明します。

実店舗にお店を構える

実店舗の最大のメリットは、お客様と直接対話をして商品を販売できる点です。商品の魅力を最大限に伝えられるため、お客様は納得した上で商品を購入できます。しかし、先ほどお話しした通り実店舗でのセレクトショップには多額の開業資金が必要です。

立地の良い場所に店舗を構えることができれば、積極的に集客を行わなくても通りかかった人がお客様として来店する可能性があります。

ネットショップにお店を構える

実店舗を持たないネットショップは、家賃や水道光熱費など運営費が抑えられるのがメリットです。ただし、同様の商品を取り扱うネットショップは数多いため、ライバルとの差別化などの模索が必要です。

実店舗・ネットショップ両方を経営する

実店舗とネットショップの両方を経営すると、販売機会や知名度が向上するメリットがあります。普段、実店舗で買い物するお客様はもちろん、実店舗へ来店できないお客様も、ネットショップがあれば商品を購入できます。

また、ネットショップでお店を知ったお客様が実店舗へ足を運ぶことで、店舗運営者が直接お客様へ商品を丁寧に紹介できるため、お客様との信頼度が高まります。

実店舗では立地が重要

実店舗を構えるなら、立地は最重要です。駅から徒歩5分以内の場所に店を構えるなら、開業当初から高い集客率が期待できますが、家賃は高額です。一方、住宅街への出店なら家賃は抑えられますが、顧客がたどり着きにくいなど集客が難しくなる傾向があります。

アパレルショップの経営

セレクトショップの中でも取り扱いの多いジャンルがアパレルです。ここからは、アパレルショップの経営について解説いたします。

アパレルショップ経営に必要な知識

アパレルショップの経営者はファッション系の大学や専門学校を卒業した人や、アパレルブランドまたは商社に勤務の経験者が多い傾向です。アパレルショップの経営者は、「ただ洋服が好き」なだけでは務まりません。トレンドを追う、商才と自分のセンスを結び付けた商戦などが求められます。

学校や企業で学ぶこと以外のファッションセンスやビジネスセンスを身に付けておく必要があります。特にマーケティングや資金管理はビジネスを軌道に乗せる上で重要です。知識に不安がある場合は、関連書籍や検定などを活用して学習してください。

アパレルショップの仕事内容

アパレルショップ経営において接客は最も重要な仕事です。お客様の必要としている商品を提案し、コーディネート方法をアドバイスします。また、商品配列や在庫管理も日々の業務として大切です。

ネットショップの場合も同様に商品管理や発送作業をこなしていきます。実店舗とネットショップの両方を運営している経営者は、さらに店舗の在庫状況をネットショップへ反映する作業も必要です。

アパレルショップ経営に役立つ資格

アパレル経営において取得しておくべき資格は以下の通りです。

・ファッションビジネス能力検定:マーケティング戦略やマーチャンダイジング戦略、ファッションビジネス知識などアパレル経営において必要な知識を学べる資格です。3級・2級とも受験資格はないため、大学や専門学校でファッションビジネスに関する知識を学んでいない方にもおすすめです。

参考:ファッションビジネス能力検定

・ファッション販売能力検定:ショップマネジメント、販売知識および販売技術を学べる資格です。販売に関する基礎知識や顧客心理の理解が深まるため、アパレル経営者が初期に習得しておくべき資格です。

参考:ファッション販売能力検定

・リテールマーケティング検定試験:マーケティングや労務など実践的な専門知識が身に付く小売分野の公的資格です。アパレルジャンルに限らず、販売士としての能力を高めたい人におすすめです。

参考:リテールマーケティング検定試験

アパレルショップ運営に向いている人

アパレルショップ運営に向いている人は、何事にも慎重に対応できる人や慌てずに臨機応変な対応ができる人です。

アパレルショップ経営では、商品の在庫管理や顧客管理など慎重さが求められる業務が多くあります。各業務を疎かにせず、あらゆるリスクに備えて慎重に行動できる人がアパレルショップ経営者として適任です。

アパレルショップは直接お客様と関わるビジネスのため、予期せぬトラブルも発生します。多忙な時でも臨機応変に対処できる人が理想の経営者像です。

アパレルショップ経営のコツ

近年、日本ではアパレル商品の人気が高まっています。こちらでは、アパレルショップ経営のコツを紹介します。

アパレルジャンルは需要が高まっている

ユニクロやしまむらなどファストファッションが売り上げを伸ばしている一方で、「自分らしくありたい。」と考える人も増えているため、セレクトショップの人気が高まっています。

ファストファッションには負けない独自のコンセプトを持ったセレクトショップを開業することでファンを作り、ビジネスを成功に導けるでしょう。

実店舗またはネットショップの選択

アパレルを取り扱うセレクトショップでは、雰囲気が勝負となります。そのため実店舗を構える場合は、数百万円以上の開業資金が必要となるケースがほとんどです。一方、ネットショップの場合は、家賃や内装費などの資金が必要ないため、限られた予算でも開業できます。

十分な資金の確保が困難な場合はネットショップ運営から始め、徐々に規模を大きくしながら実店舗オープンを目指しても良いでしょう。

アパレル製品の仕入れ

アパレル製品を取り扱う場合、国内外から広く商品を仕入れることもあります。海外から商品を仕入れる際は、現地へ出向きショップを訪問するのがおすすめです。自ら海外へ赴くことで現地の販売者から直接商品の買い付けを行える可能性があります。

また、海外に知り合いがいるなら、彼らに商品の買付代行を依頼するのも良いでしょう。現地の言葉を話せる人に依頼すると、良い条件で交渉が進む可能性が高まります。買い付け代行の場合は、関税が必要になる場合があるため、注意が必要です。

自分のセンスを活かしたセレクトショップ経営を

セレクトショップは店主が買い付けした商品をお客様に提供できるため、自由度が高くやりがいのあるビジネスです。しかしセレクトショップの経営は、ただ服が好きなだけでは務まりません。

これからセレクトショップの経営を行いたいと考えているなら、まずはビジネスに関する知識を広めていきましょう。アパレルショップに限らず、知識を深めるために今回ご紹介した資格試験に挑戦するのもおすすめです。

自分のセンスを活かし、お客様が喜ぶセレクトショップを経営していきましょう。

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この記事を監修した人

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