商品の撮影で、重要な役割を果たすのがライティングです。照明の当て方を工夫すれば、商材のメリットが明確に伝わる「売れる商品画像」の撮影が可能になります。売れる写真が撮れるかどうかは、光の当て方次第と言っても過言ではありません。そこで今回は、照明の当て方の基本、光の状態の見極め方、照明の当て方で知っておきたいテクニックなどについて詳しく解説します。
商品撮影で照明の当て方以外に押さえておきたい基本
ECサイトに出店する商品の撮影レベルを上げるためには、ある程度撮影機材にも気を使う必要があります。カメラはスマホを使う人も多いようですが、本格的にネットショップを運営するならコンパクトデジカメやデジタル一眼レフを使いましょう。
カメラ同様に大切なのは照明です。太陽光という選択もありますが、ここではLEDまたは小型ストロボを使うことを想定して説明していきます。カメラ、照明以外に背景紙、ディフューザー、レフ板などが必要になりまが、順に説明していきます。
商品の特徴と良さを伝える
商品を撮影するとき消費者に二つのメッセージを伝える必要があります。一つは商品の特徴、もう一つは商品の良さです。
撮影ではレンズの絞り方や照明の当て方を工夫してお客様に商品の形や大きさ、色などを正確に伝える必要があります。それと同時に、その商品をどのような場面で、どのように使えば、どういった良さを味わえるかが一目で伝わる写真である必要があります。
上の二つの写真を見比べてみましょう。良い例の写真は効果的なライティングで、みたらし団子の「照り」や「ツヤ」が際立っています。焦げ目やタレのつきかたまでしっかり撮影され、モチモチの食感や程よい焦げ味も伝わってきます。
また、背景に茶碗と茶たくが置かれていると、リビングや家族が連想されます。そして、家族が一緒にお団子を食べる光景が自然と目に浮かびます。美味しいお団子で一家団欒できるというメリットを消費者に伝えることができます。
悪い例をみてみましょう。一目で分かるミスが、3つあります。商品が小さすぎる、商品にピントが合っていない、照明が不足していて暗い、の3点です。写真が小さすぎてお団子のタレの照り感が伝わりません。商品写真は大きめに写し、背景の余白は少なくなるように撮影します。そして明るさが不足するとピントが合わない原因にもなるので、十分な明るさが確保できる照明の当て方を知る必要があります。
ここでのポイントをまとめます。商品を撮影するときは、商品の良さを伝える、商品は大きく写す、商品の照明の当て方を最適化する、商品にピントをしっかり合わせることです。簡単なようで意外とできていない人が多い基本中の基本です、しっかり覚えてください。
照明の明るさを調整する
照明の明るさを調整するためには、下記の7つのポイントが重要になります。
1.商品写真の撮影は屋内で行う
2.背景は白
3.照明の当て方は斜め前からが基本
4.ディフューザーを使って光の量を調整する
5.レフ板を使って光の方向を調整する
6.撮影用の照明を選ぶ
順に説明します。
商品写真の撮影は屋内で行います。商品撮影では、光の量や向きを商品に合わせて調節する必要があります。屋外の太陽光は調整がたいへん難しいということがあります。また、曇ったり明るくなったりと太陽と雲の動きで明るさの変化が激しいため、商品の見え方も大きく変わってしまいます。
商品撮影の背景は白が基本です。白はほとんどの色との相性が良い色です。また、白は商品の色を際立たせるのに効果的です。時計や宝石など光沢を美しく見せる場合の背景は黒、それ以外の背景は白を使います。
照明の効果的な当て方は商品によって異なりますが、基本は斜め前からメインの照明を当てます。そして、必要に応じて横、斜め後ろから補助的な照明を当てます。商品を立体的に見せたいときは、補助照明を斜めから当て、影の効果を狙います。
ディフューザーは撮影で使うフラッシュの光を拡散するために必要になります。拡散させることによって光の量を調整する機材です。発光源と商品の間において、フラッシュが局部に集中して当たることを弱め、商品の反射と影の差を小さくします。また、全体に柔らかい光が行き渡り、影が目立ちにくくなるという効果があります。
レフ板は光の方向を調整できます。たとえば、逆光の撮影で商品が暗く映ってしまうときなどに、レフ板で光を商品に反射させると商品が明るく映ります。また、黒いレフ板は光を吸収するので、影を作り立体的に写したいときに使います。
商品の撮影に使う照明にはたくさんの種類がありますが、ここでは初心者でも使いやすいLEDとスタンドライトについて説明します。最近の撮影で使われる照明の主流はLEDライトです。色は力強く安定しています。その上、発熱しにくいため夏の撮影にも安心です。青白い色なので、気になる場合は画像修正が必要です。手頃な値段で購入できて、サイズも大小さまざまな物の中から選べます。
最近商品撮影のライティングで主流なのがLEDライトです。光が青白く力強いものになっています。LEDライトは手頃な値段で購入することができ、さまざまなサイズのものがあります。ライティングをして商品撮影したいけど、ライトを置くスペースがないという方にはおススメです。光が青白いことが気になる場合は画像修正が必要になっていきます。
スタンドライトは机などの上に置いて使えるライトです。コンパクトで小回りが効くのが特徴的で、サイズの小さな商品の撮影にはピッタリです。大きいサイズの商品を撮影するには不向きなので注意が必要です。
背景を生かす
撮影するときの背景の基本は白です。素材は撮影用のバック紙(セットペーパー)を使います。
白を使う理由は、商品がはっきりと写ること、そして商品のインパクトを強めるためです。また、白は健康的なイメージにもつながります。
しかし、商品の色や形によっては、他の色や模様が入ったほうが効果的に映える場合があります。例えば、100円ショップにはタイル風のシートが売っていますが、洗面用具の撮影には最適です。
また、日本の民芸品や和食器などを撮影する場合は、和紙を使うと効果的です。人形や可愛い小物にはピンクの背景が女子のイメージを強めます。宝石などの撮影には、布を使って撮影すると高級感を演出できます。
このように商品のイメージに合わせて背景の色、模様、素材を工夫すれば撮影効果が高まり、売れる商品を撮影することが可能になります。
撮影する角度を調整する
消費者が実際の商品に近いイメージを持つためには、さまざまな角度から写した写真を掲載することが大切です。また、商品を遠くから撮影すると、全体の形がはっきりつかめるので商品のデザイン性が伝わります。
近くから撮影すると、素材から想像できる使い心地などの細部が伝わります。消費者の購買心を高めるために、この2つの情報はどちらも大切になります。
撮影でシャッターを切る前には、水平がとれているかどうか必ず確認しましょう。消費者は斜めに歪曲した写真を見ると、ぎこちなさや不自然な感情を抱くため、商品イメージにもネガティブな影響を与えます。
水平がとれたことを確認したら、カメラを上下、左右に動かして角度を調整します。様々な角度から撮影して、イメージの伝わりやすい写真を選びましょう。光沢のある陶器や、眼鏡などのレンズなどを撮影するときは、自分が映り込んでしまう場合があるので、角度を調整するたびに確認しましょう。
使用イメージが伝わる写真を撮影する
商品を撮影するときは、実際に使用した時のイメージが伝わるように心がけましょう。調理用具であれば、実際に使用している様子を撮影することで、使いやすさや利便性を伝えることが可能です。例えば、コーヒーセットであれば、クロワッサンや緑の樹木を背景に撮影すると、朝食に映える器の色味や素材が伝わります。
そして、すべての商品の撮影において、照明の当て方を工夫することで、使用する時間帯や空間の広がりを演出します。お酒類なら照明を暗くして夜の雰囲気を出します。アウトドアグッズなら陽光を表現することで、使用イメージが浮かびます。
このように、商品の撮影で使用イメージを伝えるためには、商品を使うのは誰なのか、いつ、どのように使うかをイメージして撮影することが大切になります。
カメラの選定と、カメラの種類によって異なる撮影時の照明の当て方
商品の撮影にはスマホを使いますか?ネットショップは趣味や兼業で楽しむ程度だから撮影も簡単に済ませたい、そのような人ならスマホで十分かもしれません。スマホで撮影する場合でも、効果的に撮影したいなら、レフ板などの機材を利用して照明の当て方を工夫する必要があります。
本格的に稼ぎたいので売れる商品を撮影したい、という人ならコンパクトデジタルカメラか、一眼レフを使いましょう。仕上がりが格段に優れています。
商材によっては使用する撮影機材によって見栄えがぐっとよくなる場合もあれば、それほど変わらない場合もあります。商品の撮影に多く使われているスマホ、コンパクトデジタルカメラ、一眼レフの特徴、欠点、注意点を比較して、自分に合ったカメラを選びましょう。
スマホで撮影するときの照明の当て方
スマホで撮影する場合の注意点は下記の6点です
1.明るいところで撮影する
2.日中の時間帯に撮影する
3.スマホの内蔵フラッシュは使わない
4.レフ板で影や光を調整する
5.露出補正をする
6.スクエアモードで撮影する
順に説明します。
スマホは一眼レフと違って光を感知するセンサーが小さいので、暗いところで撮影すると画像が荒くなってしまいます。明るいところで撮影をする、あるいは照明の当て方に工夫をする必要があります。
日中の時間帯の室内の明るさは、照明をつけた夜間の明るさの6倍明るいと言われています。スマホを使用する場合は、なるべく昼間の時間帯に撮影しましょう。
スマホの内臓フラッシュは使わないことをオススメします。スマホのフラッシュは部分的に強い光があたり、影がくっきりと映ってしまいます。
スマホを使って撮影するときは、レフ板を使って照明の当て方を工夫します。レフ板で商品に光を当てて影を明るくしたり、商品全体に効果的に光が行き渡るよう照明の当て方の微調整を行ったりします。
露出補正をする。露出補正とは明るさを調整する機能です。
iphone7スマホ画面のスクリーンショットです。タッチパネルを長押しすると露出がロックされます。商品の形状によりますが、正方形で撮影できそうならば、スクエアモードで撮影すると効果的です。
コンデジで撮影するときの照明の当て方
canon.S120
写真はcanonS120です。 2012年の発売です。全機種のS110に比べてわずかに大型化、描写性能や高速性の面では大きく進歩しています。
スマホで撮影する場合の注意点は下記の6点です。
1.ストロボを使わない
2.照明の効果的な当て方に配慮する
3.ホワイトバランス
4.露出補正
5.三脚を使う
6.ピントを合わせる
順に説明します。
コンパクトデジタルカメラでストロボを使うと反射や影が写りこみ不自然な写真になります。ストロボは使わず、照明やディフューザーで光を調節したほうが、美しい仕上がりになります。
ほとんどのコンデジでは、稲妻マークのボタンを何度か押せば、ストロボ禁止モードのマークが表示されます。この状態で撮影すると、どんな環境でもストロボは発光しません。
ディフューザーで光を拡散するなど、照明の当て方を工夫すれば自然な仕上がりになります。照明の光は硬く強い光のため、陰影が濃く出てしまい、商品が不自然に映ります。ディフューザーを使って光を拡散すると、照明は柔らかく、自然な感じに変わります。白い布やスーパーの袋で照明を覆うだけでも照明の感じはだいぶ柔らかく変わります。
電球の下で撮影すると画面がオレンジ色っぽく映る、または青みがかってしまうことがあります。こうした場合、カメラのホワイトバランス機能を使ってホワイトのバランスを調整できます。ホワイトバランス機能はカメラの機種によって異なるので、メーカーに確認する必要があります。
コンデジもスマホと同じで露出補正が必要です。コンデジで撮影すると、自動露出機能が働き、白い物は暗く、黒い物は明るく写ります。本来の色に近づけるためには、メニューで露出補正を設定します。数字をプラス補正すると画面が明るくなり、マイナス補正すると写真は暗くなります。
カメラを手に持ったまま撮影すると、手ぶれで商品の輪郭がぼやけてしまうことがあります。三脚で固定することによって手ぶれを防ぎ、構図の配置調整を行いながら撮影を進めることができます。
三脚を使う主な理由はカメラを固定して手ブレを防ぐ事ですが、カメラアングルを固定できるため、構図や商品の配置を微調整するのにも役立ちます。
撮影するとき、画面の真ん中のフォーカスフレームにピントを合わせると自動的にピントがあいます。これをオートフォーカス機能と呼び、ほとんどのコンデジには搭載されている機能です。画面の真ん中に被写体がない場合は、ピントを合わせたい被写体にフォーカスフレームを重ねシャッターボタンを半押しにします。そのまま希望の構図に変化させてシャッターを押します。
一眼カメラで撮影するときの照明の当て方
一眼レフで撮影する場合も一番重要なのは照明の当て方です。商材の大きさや形状によって、LEDライト、蛍光灯、スタンドライトを使い分けましょう。また、ディフューザーで全体の光を柔らかくしたり、レフ板を使って光の足りない部分に光を補う必要があります。
一眼レフで撮影する場合は、ズームで撮影して、トリミングをしましょう。画像サイズが大きいため、こういった加工も問題なく行えます。
なるべくオートではなく、マニュアルを使いこなしましょう。微調整が出来るので、より綺麗な写真が撮影できます。マニュアル調整が苦手な人は、オートにして露出補正をプラスに設定します。
コンデジと同じで三脚を使いますが、スローシャッターやセルフタイマーで手ブレを防ぎましょう。また、ホワイトバランスはオートか太陽光に設定すると上手くいきます。
撮影のスキルアップに必要な4つの見極めとは?
照明の当て方によって商品画像の仕上がりは大きく変わります。しかし、照明の当て方は正しい、正しくないで捉えていていはスキルアップは望めません。
写真で伝えたい商品のメリットを、照明の当て方によって上手く表現できているかどうかがポイントになります。照明の当て方のスキルアップには、照明について常に四つの見極めを行うことが効果的です。
光の強さと方向を見極める
4つの見極めについて分かりやすく説明するために、まずは室内で全ての照明を消してカーテンを開けるところから始めましょう。このときの照明は太陽光ですが、光の強さや方向性を体感してください。
光の強さと方向性を体感したら、撮影を始めます。最初のテーマは「梅雨に飾りたい花」とします。梅雨といえば紫陽花が定番ですが、ここでは敢えてガーベラを使って撮影します。梅雨のイメージが伝わる光の強さや方向を探してみましょう。部屋の窓から遠く暗い場所にセッティングして撮影します。
▼写真1
光が抑えられ、梅雨のイメージが出ています。次に消費者に伝えるテーマを「夏に一番似合う花」に変えてみましょう。
▼写真2
夏の光を再現するため、光が強く当たる窓辺にセッティングして撮影をします。窓辺の強い太陽光によって、ガーベラは明るく鮮やかな色に映り、夏のイメージが伝わります。
反射光の利用法を見極める
色は光の反射の影響を強く受けます。室内で写真を撮影するときも、窓の外の樹木やビルの色が商品に反射して、色かぶりすることがあります。また、部屋の中の壁、床、天井の色が商品に反射することもあります。
それだけではありません。カメラマンが撮影しているときに来ている服の色も反射して商品にかぶる可能性もあります。撮影するとの服の色は、反射しにくい黒やグレーを選んだほうが良いでしょう。
▼写真3
光の反射を効果的に利用した撮影の例を紹介します。写真の商品コンセプトは「初夏に飾りたい紫陽花」とします。
ここでは窓は左側にあります。窓際ではなくて、やや距離を置いた場所にあります。 距離を置くことによって、光は柔らかくなります。
また、後ろの壁がレフ板の代わりに窓から差し込む陽光を反射させて、影を薄くしています。初夏は梅雨の季節でもあり、光を抑えることで季節感がでます。
▼写真4
次に商品コンセプトを「初夏から秋口までスリーシーズン楽しめる紫陽花」に変えます。紫陽花は通常梅雨の時期に1ヶ月くらいしか咲かないものです。品質改良で真夏を超えて秋口まで楽しめることをアピールしたいとすれば、どのような写真が相応しいでしょうか。やはり、撮影する場所を窓際にセッティングして、強い陽光を当てると、真夏の季節感が表現されて商品イメージにぴったりです。
商品撮影には、伝えたい商品コンセプトが伝わる画像を撮影する必要があります。このためには、反射光を見極めて、上手に利用すると仕上がりの良い写真になります。
▼図1
このとき商品を壁の近くに置くと、反射光が強くなり、窓からの太陽光による影が薄くなります。逆に、壁から遠い場所では反射光が弱く、影は濃くでます。商品をおく場所をずらして、届けたいコンセプトに相応しい画像を撮影しましょう。
光と影のコントラストを見極める
商品写真を撮影するときは、伝えたい商品コンセプトに即して照明の当て方を工夫する必要があります。よって、正しい照明の当て方、間違った照明の当て方と一概に決められません。商品の特徴や良さを効果的に伝える照明の当て方を考えます。
なかでも照明の当て方によって創り出される光と影のコントラストは、商品のイメージを伝えるのに重要な役割を担います。自然の太陽光とその反射では十分なコントラストが出ない場合は、照明とその周辺機材を使用します。ここでは、照明、ディフューザー、レフ板について説明します。
1.照明
クリップオンストロボ
LEDライト
ストロボは瞬間的に強い光を発するので、ペットなど動きのある被写体を写止めするときに使います。太陽光に近い光を放つLEDライトは発熱も少なく使いやすい機材です。
2.ディフューザー
ディフューザー1
ディフューザー2
ディフューザーとは、光を拡散し和らげる素材のことです。発光部の前に置き、光を拡散し和らげることによって、自然なコントラストを作ります。上の2つの写真のディフューザーは照明に対して直接装着します。レースのカーテンや布、またはトレーシングペーパーで代用する場合は、発火しないよう十分注意してください。
3.レフ板
レフ板1
レフ板2
レフ板は光を反射させることによって、影の部分に光を補うために使います。近い距離から反射させると照明同様に強い光を当てるので、使いかたの工夫でコントラストを抑えたり、作ったりできます。
▼図2 照明機材を使用したときのイメージ図
ストロボ、ライト、ディフューザー、レフ板は大きさも効果も様々なものがあるので、自分にあったタイプの機材を選びます。
コントラストの選択肢を見極める
フィルムを使って撮影をしていた時代は、弱い光だとシャッタースピードが下がり撮影効率が下がりました。当時の撮影に相応しい場所は、十分な光が当たる場所でした。今はコンパクトデジタルカメラを使うとISO感度を調整できます。それよりも、光と影のコントラストの選択肢がたくさんある場所が、撮影場所として大切な条件になりました。
いくつかの方角に大きな窓があって、遮光カーテンやレースによって光の具合を調整できる部屋は、光と影のコントラストの種類がたくさんあります。もしくは部屋が広くて窓際と部屋の中央部では明るさが大きく異なる場合も、コントラストの選択肢は多いです。
自然光だけではなく、人口のライトやディフューザー、レフ板などの撮影機材を効果的に使えば、より多くのコントラストが演出できます。最初は自然光とカーテン、セッティングの位置や壁の反射を効果的に利用するところから覚えましょう。慣れてきたら、ストロボ、ディフューザー、レフ板といった撮影機材を使って、照明の当て方を効果的に調整する方法を試してみましょう。
飲み残しの水が入ったグラス
飲み残しの水、付着した水滴は時間の経過、そしてこのグラスを手にとった人の存在を感じさせる効果があります。
商品撮影の照明の当て方を決めるために知っておきたい照明の種類と役割
本格的なスタジオで撮影をするときは、メインの照明以外にいくつかの補助的な照明を使います。補助的なライトを上、横、後ろさまざまな方向から被写体に当てて光の量やコントラストを調整します。
個人で商品撮影をするときには複数の照明を使うことは少ないでしょう。通常はレフ板など周辺機材を使って照明の当て方を工夫します。ここでは、より深く光の役割や効果を知識として覚えるために、照明の種類と役割について説明します。
太陽の光をイメージするメインライト
照明の基本中の基本は自然な光を演出して、照明を当てていると感じさせないことです。映画やドラマの撮影でも、いくつもの照明を使った高度なスキルで自然な光が当てられています。
メインライトも自然な光となることを基本にセッティングします。基本は被写体の斜め前横45°から照明を当てます。高さも自然界の光源である太陽と同じように高い位置から光を当てます。
全体に光をあてるフィルインライト
照明の組み合わせの基本的な考え方はメインライトで足りないところを補助的な照明で補うことです。メインライト以外は、光を補い全体を自然に照らすために存在します。
画面全体に均一に光を当てるのがフィルインライトです。フィルインは英語でfill inで、埋める、満たすといった意味になります。フィルインライトは画面全体の明るさを調整します。
フィルインライトはフロントライトとスカイライトの2種類に分かれます。フロントライトは正面からの光です。メインライトとフロントライトの光の強さを調整すると、光と影のコントラストを調整することができます。
スカイライトは被写体の上から光を当てる照明です。スカイライトを使うことによって、美しいグラデーションを演出することが可能になります。スカイライトを上部から当てることによって、フラットな画面に変化が加えられます。
ハイライトを加えるアクセントライト
メインライトとフィルインライトで全体のライティングはほぼ完成です。これだけでは物足りない、何か足りないというときに加えるのがアクセントライトです。
アクセントライトは画面にハイライトを加えるためのものです。ハイライトを加えることで被写体を際立たせるのが狙いです。
アクセントライトはキーライトとトップライトに別れ、キーライトは被写体の真横、または後ろ斜め横から照らします。このように逆光でライトを照らすと、被写体を浮かび上がらせる効果があります。
トップやサイトからアクセントライトで光を絞って照らすことによって、被写体がより立体的に見えるという効果があります。
照明を感じさせないライティング
照明の基本は照明の存在を感じさせない自然な光です。実際は照明を当てないと被写体が暗くなったりぼやけたりしてしまいます。被写体をはっきりと見えるように照明を当てながらも、いかにもライトを当てている感じを極限まで抑えるのが、ライティングに不可欠なテクニックになります。
メインライトでは足りない光やコントラストを補助的な照明で足していくことで、全体的に調和の採れた自然な明るさで見る人の目を自然に被写体に向ける、これがバランスのとれた照明になります。
商品撮影でおススメの6つの照明の当て方
照明の当て方にもいろいろなテクニックがあり、さまざま異なる効果がえられます。伝えたい商品コンセプトによって、異なる照明のテクニックを使って、より効果的に商材のメリットを際立たせましょう。
正面から光を当てる順光
真正面から照明を被写体に当てて撮影する方法が順光です。細部まではっきりと浮かび上がるように撮影できます。順光で撮影すると、生き生きとした色合いが再現でき、自然なコントラストになります。
順光の場合、カメラの設定の微調整が不要なため、スマホでも綺麗に写ります。露出補正やホワイトバランスも自動設定で問題ないでしょう。
正面から照明を当てる方法では、コントラストが抑えられるため、フラットな印象になります。立体感が必要な商材であれば、レフ板や補助照明を利用するか、または照明の当て方を変えましょう。
真横から照明を当てる方法
商材の真横から照明を当てる方法で撮影した場合、写真の半分にシャドウが出来てコントラストが際立ちます。商材の重厚感を演出したいときなどに使えるテクニックです。
この照明の当て方では商材の半分が影になるため、全体の様子が正確に伝わりません。正面や斜め前から写した写真とセットで掲載するようにしましょう。
斜め前から照明を当てる方法
斜め前45度の角度から照明を当てて撮影すると、商材が最もきれいに写ります。このため、いくつかの補助ライトを使って撮影する場合のメインライトは斜め前45度から照らします。光と影のバランスがちょうどよくなるため、商材の特徴と良さが正確に伝わります。
後ろから照明を当てる逆光テク
被写体の後ろから照明を当てる逆光のテクニックを使って撮影をすると、ドラマチックな撮影効果が得られます。水や樹木、草花などの自然をバックに撮影するときに、逆光のテクニックを使うと効果的です。
カメラの設定を調整する必要があり、初心者には難しい照明の当て方になります。逆光では、被写体が影で暗くなりすぎないように、露出補正をプラス方向に調整します。
斜め後ろから照明を当てる半逆光テク
商材の斜め後ろ45度の方向から照明を当てて撮影する方法が半逆光テクになります。この方法で撮影を行うとコントラストが抑えられてやわらかいイメージが伝わります。
お料理やお菓子の撮影でよく使われるテクニックです。逆光同様に、商材が暗く写ってしまう場合は露出補正をプラス方向に調整して明るさを足します。
上から照明を当てるトップライト
真上から照明を当てる方法で撮影すると、強さ、パワー、躍動感といった商品コンセプトを伝えることができます。スポットライトを当てたような強調感が得られるので、ドラマチックな演出が可能です。ファッションやスポーツ関連の商材でみかける照明の当て方です。
まとめ
商品の撮影において照明の当て方は最重要事項です。照明の当て方に良い当て方、悪い当て方はありません。商材の種類や伝えたい商品コンセプトに合った照明の当て方を工夫することが大切です。
自然光の十分な活用方法を習得したら、人工の照明やレフ板などの周辺機材を駆使する撮影方法にも挑戦しましょう。