最近では、誰でも手軽に映像を撮影することができるようになりました。いくつかの種類のカメラがある中、最も多くのユーザーに使用されているのは、やはりスマートフォンでしょう。しかし、スマホカメラで撮られたムービーは、どうしても素人っぽい印象になりがちです。
おしゃれな映像が撮りたい方は、ぜひ「一眼レフ」を使ってみてください。この記事では、一眼レフを用いてムービーを撮る際のコツや、メリット・デメリットを解説していきます。
映像の撮影に必要なもの
昨今では、個人で撮影する際にも照明や三脚、背景布などを用いて環境を整えるケースが多くなっており、これらの道具を使用すれば、プロのような美しい映像を撮ることができます。ただし、三脚や照明などの機材は、必ずしも用意しなければならないという訳ではないため、必要な場合にのみ活用しましょう。
映像の撮影において、最低限必要な道具は「カメラ」のみです。 ただ、一口にカメラと言ってもいくつもの種類があり、初心者の方はどれを選ぶべきか迷うでしょう。そこで、この項目では映像を撮る際によく使用されるカメラの種類について紹介していきます。
よく使用されるカメラの種類
ムービーを撮る際によく利用されるカメラは、以下の5種類となっています。種類によって機能や価格が大きく変わるので、自分の使用目的に合ったカメラを選びましょう。
・一眼レフカメラ
・ミラーレスカメラ
・ビデオカメラ
・コンパクトデジカメ
・アクションカメラ
目的別のおすすめカメラ
自分に合ったカメラを選ぶには、まずその特徴を理解しましょう。自身が表現したいことを実現させるためには、どのような機能が必要なのかを考えてみてください。この項目では、映像のカテゴリー別に適したカメラを紹介していきます。
おしゃれな映像
おしゃれで本格的な映像が撮りたい方には、一眼レフカメラやミラーレスカメラがおすすめです。価格は高いものの、レンズやフィルターを付け替えることで、多彩な表現を楽しむことができます。また、写真・映像共に解像度が高く、ものによっては4Kでの撮影も可能です。
さらに、一眼レフの中にはプロ仕様の「シネマカメラ」という種類もあり、まるで映画のような美しい映像を撮ることもできます。
色味や明るさなどの細かい調整ができるので、「とにかく映像の見た目にこだわりたい」という方に最適です。
Vlog
旅行や散歩など、カメラを持ち歩きながらムービーを撮りたい場合には、コンパクトデジカメがおすすめです。一眼レフと比べると多少性能的に劣りますが、軽量で持ち運びがしやすく、手軽に撮影を楽しめるでしょう。
家族用のムービー
運動会や発表会など、長時間ムービーを撮り続けたいという場合には、ビデオカメラを使いましょう。他のカメラに比べて連続撮影可能な時間が長く、バッテリーも比較的長持ちします。
また、簡易な手ブレ補正や光学ズームなどが搭載されているため、片手持ちでも遠くの被写体を撮りやすくなっています。
スポーツ・アクティビティ
動きの多いシーンや、主観視点の映像が撮りたい時には、「GoPro」などのアクションカメラが最適です。高度な手ブレ補正機能がついており、撮影者が激しく動いても画面が大きく揺れないのが特徴です。
また、超広角で広い景色を映せるので、迫力のある映像を撮ることも可能となっています。普段見ることのできないような景色を届けたいという方におすすめです。
利便性を重視する場合
あまりコストをかけずに気軽にムービーを撮りたいという場合には、スマホに搭載されているカメラでも十分です。暗い場所やズームを使った撮影が難しいというデメリットはありますが、記録的な意味合いが強いのであれば、それも特に大きな問題ではありません。
また、三脚や照明などの機材を使ったり、適した撮影場所を選んだりすることにより、見栄えのする映像を撮ることも可能です。機種によっては高解像度に設定できるものもあるので、こだわった作品作りも決して不可能ではないでしょう。
映像を撮る際に意識すべきこと
いくら高機能なカメラを用意したところで、撮り方が正しくなければよい映像は作れません。では、綺麗な映像を撮るためには、どのような点に気をつけるべきでしょうか。この項目では、撮影の際に意識するとよいポイントを紹介していきます。
カメラを無駄に動かさない
初心者が陥りがちなミスの一つとして、「カメラを過度に動かしてしまう」という点が挙げられます。もちろんテクニックとしてカメラを動かす手法はありますが、やり方を間違えるとかえって印象を悪くするケースもあるのです。具体的には、以下の3つの行為がそれに該当します。
・歩きながら撮影する:歩く時の振動でブレやすい
・パン(カメラを左右に振る):多用すると素人っぽい印象になる
・ズーム:拡大すればするほど、ブレも大きくなる
以上の問題を解決するためには、正しい知識を身に付けたり、適した道具を用意する必要があります。初心者の方にとっては、いきなりそのすべてをこなすのは難しいでしょう。そのため、慣れない内はカメラを固定して、動かさずに撮影をするのが無難です。
1つのカットはなるべく10秒以上にする
1つのカットの秒数が短すぎると、全体を理解する前に場面が移り変わってしまい、内容が読み取りづらくなります。ユーザーに伝わりやすいムービーを作るためには、1カットの長さを10秒以上に調整しましょう。
映像のクオリティーを上げるコツ
この項目では、映像の完成度をさらにアップさせるためのポイントを紹介していきます。更なるレベルアップを図りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
レンズフィルターを使う
レンズフィルターとは、カメラのレンズに装着する道具です。
レンズを傷や汚れから守る機能を持つほか、色味の調整などにも役立ちます。フィルターを使用することにより、カメラの設定だけでは叶えられない色味や明るさの表現が可能になるのです。
ホワイトバランスを整える
一つの映像に複数のシーンを使う際には、統一感を意識しなければなりません。異なるシーンに一貫性を持たせる一つの要素として、ホワイトバランスが挙げられます。
ホワイトバランスとは、白を正確に表現できているかどうかを表す指標です。ホワイトバランスが整っていないと、画面が黄みがかったり、青みがかったりしてしまいます。
ホワイトバランスを正しく保つためには、オート機能に任せず、手動で設定を行うようにしましょう。白い紙などをカメラに映し、設定を変更してください。
外付けマイクを活用する
一眼レフに搭載されているマイクは、そこまで高機能ではありません。特に屋外で音声を録音する場合、風によるノイズなどを多く拾ってしまう可能性もあります。 雑音がないクリアな音声を録音したい時には、外付けのマイクを用意しましょう。
特に風の多い屋外で撮影をする場合には、風防付きのものがおすすめです。ただし、カメラによってはマイクが取り付けられないものもあるので、事前に確認するようにしてください。
簡単に綺麗な映像が撮れる設定方法
一眼レフカメラはカメラ操作や設定の難易度が高く、初心者にとって扱うのが難しいという側面もあります。この項目では、カメラの扱いに慣れていない方でも、簡単に綺麗な映像が撮れる方法を紹介していきます。
ピント
一眼レフの大きな魅力の一つでもある「背景のボケ」ですが、ピントの調整を間違えると、ただのぼやけた映像になりかねません。特に、映像を撮る際には被写体が動くため、常にピントを合わせ続けるのが難しくなります。
広い範囲にピントを合わせやすくするためには、「F値」と呼ばれるレンズの絞りに関係する項目を設定しましょう。F値の数値が大きくなるほど、ピントの合う範囲が拡大されます。ただし、ピントが合う分、背景のボケが弱くなるため、ちょうどよいバランスを見つけましょう。
シャッタースピード
写真を撮る際にはブレが発生しないようにするのが一般的ですが、映像の場合は、多少のブレがあった方が自然に見えます。ここで言う「ブレ」とは、画面全体が揺れる「手ブレ」ではなく、被写体がブレる「被写体ブレ」のことです。
この被写体ブレがない映像はカクついて見え、不自然な印象を与えます。 意図的に被写体ブレを発生させるためには、シャッタースピードを変更しましょう。シャッタースピードを下げることにより、ブレが生じやすくなります。適度に設定を下げることで、被写体が滑らかに動いているように見えるのです。
また、シャッタースピードは画面の明暗にも影響します。スピードを落とすと光をより多く取り込めるようになり、画面全体が明るくなります。明るくなりすぎた場合は、別途レンズフィルターなどを用いて明度を調整するとよいでしょう。
一眼レフのメリット
この項目では、一眼レフカメラを用いて撮影することのメリットについてご紹介していきます。
画質が良い
一眼レフで撮られた映像・写真は、解像度が高くて鮮明です。他にも高解像度の映像が撮れるカメラはありますが、一眼レフは写真も同じクオリティーで撮影できます。写真と動画の両方を美しく撮ることができるという点が、一眼レフの特権と言えるでしょう。
応用が利く
一眼レフは、レンズやフィルターを付け替えることにより、さまざまな表現が可能です。一つのカメラで多彩な表現が楽しめるのは、映像のビジュアルを重視する方にとって大きな利点となります。
暗所に強い
一眼レフはカメラとしての性能が高く、暗所や光が入りにくい室内でも大いに活躍します。光が取り入れやすくなっているので、暗い場所でも綺麗な映像を撮ることができます。
一眼レフのデメリット
前項では一眼レフカメラのメリットについてご紹介してきましたが、その一方で一眼レフカメラにもデメリットは存在しています。
手持ち撮影が難しい
主に写真の撮影用に設計されている都合上、片手で長時間カメラを構えるのが難しくなります。重量もそれなりにあるので、疲労により手ブレが発生しやすくなる点もデメリットとして挙げられます。
これらを改善するためには、三脚を使用するか、手ブレを抑える「ジンバル」という道具を使う必要があります。
長時間使用することができない
ビデオカメラに比べると、一眼レフの方が電池が切れやすくなっています。長時間撮影したい場合には、予備のバッテリーをいくつか用意しなければなりません。
バッテリーは数千円程度のものが多く、それをいくつも用意するとなると費用がかさみます。なるべく節約をしたいという方にとって、これは大きなデメリットとなるでしょう。
オートフォーカス設定が不安定
一眼レフにもオートフォーカス機能が搭載されてはいるものの、映像撮影にはあまり役立ちません。オート機能だけでは思うような場所にピントが合いづらく、ぼかしたくない場所までぼけてしまいます。
特に被写体が大きく動く場合は、オートフォーカスだけで綺麗な映像を撮るのは難しいです。この場合、手動でピントを調節する必要があります。
一眼レフを使いこなしてクオリティーの高い映像を撮影しましょう
数あるカメラの中でも、一眼レフは操作が複雑で初心者には手が出しにくいといった印象がありますが、上手く使いこなすことさえできれば、クオリティーの高いシネマティックな映像が撮影可能です。
ムービーの質を高める要素の一つである「背景のボケ」は、上手くコントロールするのが難しいポイントです。難しく感じた場合には、F値を調節してピントが合う範囲を広く調節してみましょう。慣れてきたら、徐々にピントの範囲を狭くしていけばよいのです。
また、レンズやフィルターを付け替えることで、ひと味違った表現を楽しむこともできます。自分の好みに合わせてカメラをカスタマイズすることができるという点も、一眼レフの醍醐味です。 知識を蓄えたり道具を揃えることにより、少しずつ表現の幅を広げていきましょう。