スニーカーの関税はいくらかかる?計算方法を解説

この記事では、ネットショッピングなどで海外からスニーカーを購入・輸入する場合の関税のことを中心に解説しています。海外でスニーカーを購入するのに便利なサイトなどもご紹介していますので、これから海外でスニーカーを購入してみたい人や、購入した経験はあるけど関税のことはよくわかっていないといった人は、この記事でスニーカーの輸入と関税に関する知識を身につけてください。

目次

海外でスニーカーを購入するメリット

わざわざ海外の通販サイトでスニーカーを購入することに、メリットはあるのでしょうか。まだ海外通販を利用したことがない方の中には、海外ブランドの国内ショップで購入すれば十分と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、多くの場合、国内で購入するよりも自分で海外から直接買った方が安く購入することができます。2割引から3割引、場合によっては半額近い値段で購入できることもあるので、多少の手間をかける価値はあります。また、日本ではそもそも販売されていないモデル・カラーのスニーカーが購入できることも、海外通販の大きなメリットです。

自分で輸入すると安く買える

少し説明を追加しておくと、海外で販売されるスニーカーは、国内でも並行輸入品などの形で販売されているケースもあります。こういったものを購入すれば、入手すること自体はできます。

しかし、並行輸入品は、関税や輸送費、利益などが上乗せされた価格で販売されるので割高になります。これに対して、個人で輸入した場合、関税などが安く済む場合もあり、並行輸入品などを買うよりも安く購入できる場合が多いです。

国内では販売されていない製品も買える

この点は、とくにマニアックなファンにとってのメリットになりますが、スニーカーには日本では未発売のモデルや海外限定のカラーといったものが結構あります。こういった製品は、国内のショップで普通に購入することはできません。

また、日本と海外で人気のカラーが異なっているという場合、日本では売り切れてしまっているカラーが、「海外通販ならあっさり買えた」ということも起こります。スニーカー好きなら、海外通販を利用することのメリットはかなり大きいといえます。

たとえば、以下の商品は、日本未発売のフットロッカーというショップの別注モデルです。

以下の商品は、海外限定カラーです。

スニーカーなどの靴の関税について

ここからは、靴の関税についてお話していきます。最初の注意点として、靴を輸入する場合は、課税価格1万円以下の場合の免税措置が受けられません。

一般的には、課税価格が1万円以下の場合には関税がかかりません。具体的には、個人輸入の場合は商品価格に0.6を掛けたものが課税価格になるので、16,666円以下の商品を輸入しても関税はかからないことになります。しかし、靴については、この免税措置の対象外とされているので、商品の金額にかかわらず関税が課せられます。

関税とは何か?

関税をわかりやすく言うと、商品を外国から輸入したときにかかる税金のことです。

なぜ輸入品に税金がかかるのかというと、自国で生産している商品をより安い金額で外国から輸入してしまうと自国で作った商品が売れなくなってしまいます。

自国で生産した商品の流通を守るために、それぞれの商品ごとに税率を定めて関税をかけるというわけです。

スニーカーにかかる税率

個人輸入の場合では商品代の60%が課税対象額となります。つまり商品価格×0.6の金額に関税がかかるわけです。ただし課税対象額が一万円以下の場合は免税というルールがあるので、商品価格16,666円までは関税が免除されます。

しかし、靴の素材に革やスエードなどの革製品が一部でも使われている場合は一万円以下でも免除対象にはなりません。
革製品は関税が高く、靴一足につき商品価格×0.6の30%もしくは4,300円のどちらか高い方が関税として課せられます。

例えば、商品価格20,000円のスニーカー(一部に革製品を使ったもの)であれば、20,000円×0.6の12,000円が課税対象になり、その30%が関税率になるので関税額は3,600円となります。そしてこれは4,300円より安いので、この20,000円のスニーカーの関税額は4,300円になります。

スニーカーには革やスエードが一部使われていることが多いので、基本的には商品価格×0.6の30%、つまり商品価格の18%がスニーカーの関税額となります。

ただし、一部に革製品を使ったスニーカーでも16,666円以下なら関税がかからないケースもあるので、税関職員のさじ加減という部分もあるのかもしれません。

購入の目的で変わる関税

どのような目的で購入するかによって税金がかかる金額が変わります。

目的は2つとされています。

  • 個人利用目的
  • 商売目的

個人利用目的は購入した人もしくは知人にプレゼントするなどの利用を指しており、商売目的はお店で販売したり、フリーマーケットへ出品したりすることを指しています。

個人利用の場合の「課税価格」は「商品価格×0.6」
商売目的の場合の「商品価格と輸送費、保険代などの合計」が「課税価格」となります。

「課税価格」とは税率をかける金額のことです。例えば消費税なら、300円のものを購入したときに10%の税率で30円の消費税がかかります。このときの「課税価格」は300円です。

同様に、「課税価格」が上がるほど関税も高くなりますので、購入の目的が大切です。

スニーカーは一般税率が適用される

スニーカーは商品価格や購入目的にかかわらず、一般税率という関税率が適用されます。一般税率は、およそ10,000品目程ある関税率表から最も適切である関税率を選びます。

この場合の関税率は税関のホームページにある実行関税率表の第64類の番号6404.20.300前後に分類されます。

スニーカーの分類が分からないときは事前教示制度を利用する

売買を目的として購入するスニーカーの所属や正しい分類が分からず、正しい番号(H.S.code)の特定が難しいときは、税関が提供する事前教示制度を使ってHSコードを特定しましょう。

基本的に個人での使用を目的としてスニーカーを購入する場合は、商品価格の約20%が諸税として発生するという認識で良いでしょう。

輸入国によって関税の優遇がある

EPA(経済連携協定)の締約国は関税が優遇されます。
例えば

  • シンガポール
  • マレーシア
  • タイ
  • インドネシア
  • ブルネイ
  • フィリピン
  • ベトナム
  • インド
  • モンゴル
  • オーストラリア
  • メキシコ
  • チリ
  • ペルー
  • スイス

などが締約国です。

これらの国から輸入した場合、日本での関税で優遇されます。

素材によって変わる靴の関税

そして、靴の関税の中でも、革靴は特に関税率が高く設定されています。スニーカーの場合も、素材にレザーが使われているものは革靴の範疇に入るので、税率が高くなります。

具体的には、課税価格の30%もしくは1足4,300円の高い方となります。つまり、最低でも4,300円の関税がかかるわけです。

ちなみに、上記の関税率はWTO加盟国からの輸入の場合で、厳密にはどの国から輸入するかで関税率が変わります。

靴の関税率の具体例

革靴以外のものでも、靴は素材や用途によって関税率が変わります。正確な識別は税関に問い合わせる必要がありますが、具体例をいくつか挙げると、スポーツシューズに分類されるスニーカーの場合は、8%の関税率になります。

革が使われている場合は、スニーカーであっても30%の関税率、キャンバスシューズとして分類されるものなら、6.7%の関税率になります。なお、上記はいずれもWTO協定税率です。

輸入消費税も発生する

上記の関税に加えて、輸入する商品には消費税も発生します。計算方法としては、課税価格に関税を足したものに消費税率をかけます。

たとえば、1万円のスニーカーを個人使用の目的で輸入した場合、関税率を8%、消費税率を10%とすると、以下のようになります。まず、関税の課税価格は1万円に0.6を掛けた6,000円です。関税は、6,000円の8%ですから、480円です。ただし、関税は100円未満切り捨てですから、400円が関税です。

消費税は、課税価格6,000円と関税400円を足したものの10%ですが、消費税の課税価格を決める際には1,000円未満が切り捨てになります。つまり、6,000円の10%です。したがって、関税は400円、輸入消費税は600円で、合計1,000円の税金がかかることになります。

ほとんどのスニーカーが関税免除の対象外

個人輸入の場合、課税対象額が一万円以下の場合は免税となり関税や消費税は免除になります。

ただし、下記のように靴に関しては関税を免除しない物品に含まれます。

課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、その関税及び消費税が免税されます。

ただし、消費税以外のその他の内国消費税(例えば、酒税、たばこ税等)が課せられる場合は、それらの税は免税の適用がありません。

なお、課税価格の合計額が1万円以下の物品であっても、我が国の産業に対する影響その他の事情を勘案して、特に定められた物品については、免税適用になりませんので留意して下さい。

また、「関税を免税しない物品」として特に定められた物品であっても、税関において個人的使用に供されると認められる贈与品であって、課税価格が1万円以下の場合は免税となるものもあります。

「課税価格の合計額が1万円以下の物品」の判断は、次の基準により行われます。

(1)1申告に係る輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下のもの

ただし、1インボイスに係る貨物を分割して申告した場合には、そのインボイスに記載されたすべての貨物の課税価格を合計したものになります。

(2)郵便物については、1つの包装に梱包された輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下のもの

ただし、同一差出人から同一名宛人に、同一時期に分散して郵送されたもの等(例えば、郵便物の重量制限により分割して郵送されたもの)は、当該分割されたすべての郵便物の課税価格を合計したものになります。

(参考)「関税を免税しない物品」として定められている物品の主なもの

革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴及び本底が革製の履物類等

(関税定率法第14条第18号、関税定率法施行令第16条の3、関税定率法基本通達14-21、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第13条第1項第1号)

参考:税関のホームページより

スニーカーの一部にでも革やスエードが使用されていると、「関税を免税しない物品」の主な物品の「革靴及び本底が革製の履物類等」という部分に該当するため、ほとんどのスニーカーは免税の対象になりません。まれに免税となるケースもありますが、基本的にスニーカーには関税がかかると思っていた方がよいでしょう。

運送会社に支払う手数料について

このように、商品を海外から輸入すると関税や消費税がかかりますが、運送会社に支払う手数料が発生する場合もあります。

国際郵便を利用した場合

一般的に広く使われている国際郵便を使った場合、取扱手数料として郵便物1個当たり200円が発生します。税金が1万円以下の場合であれば、税金と手数料を配達員に支払うことで荷物が受け取れます。税金が1万円を越える場合については、以下の税関のページを確認してください。

参考:個人輸入通関手続

DHLを利用した場合

DHLを利用した場合は、立替納税手数料が発生します。関税や消費税を立替払いしたことに対する料金で、運送状1枚あたりに対して発生し、立替金の2%もしくは1,100円(税込)の高い方となります。

FedExを利用した場合

FedExの場合、関税その他税金に関する特別取扱手数料が発生します。基本的にDHLと同じ趣旨のもので、立て替えた税金の2%もしくは1000円の高い方が料金となります。

UPSを利用した場合

UPSの場合は、申告5項目までは追加料金なしで通税しています。上限はありますが、6項目以上の場合、1項目ごと480円の追加料金が発生します。

国際郵便では関税がかからない場合も

ここまでお伝えしたように、スニーカーを輸入する場合は、原則的に関税がかかります。しかし、実際には関税を徴収されないケースもあります。

関税がかからない場合とは?

関税がかからないのは、国際郵便を使った場合です。国際宅配便(DHLやFedExのような国際宅配業者を使った輸送)の場合は、ほぼ100%課税されます。これは国際郵便が免税されているといったことではなく、荷物の取扱の都合上、関税がかからない場合が多いということを意味しています。

違いが生じる理由

配送手段によって課税の有無が変わる理由ですが、通関方式の違いによるものといわれています。DHLなどの国際宅配便を使うと、荷物の内容物の検査、税率や税額の計算などは宅配業者が行います。つまり、荷物の内容が正確に把握され、申告・課税されます。

これに対して、国際郵便物は内容物に関しては自己申告で、税関による検査も一部をピックアップして行うだけです。このため、本来は課税対象であるものについても、見逃されることがあるのです。

関税額がおかしいと思ったら

関税額が想定よりも高すぎる場合にはまず、配達業者に問い合わせを行います。
なぜなら関税額は配達業者の提出する通関書類をもとにして計算されるためです。

通関書類と購入品の種別などに違いがあれば販売店と税関に問い合わせを行います。
また、書類と購入品について問題がなければ税関に確認します。

国際宅配便を使った場合の輸入手続

国際宅配便を使った場合、税関への申告・納税は国際宅配業者が代行して行います。この際に立替払いした税金は、手数料と合わせて配達の際などに国際宅配業者に支払います。

国際郵便を使った場合の輸入手続

国際郵便を使った場合は、課税価格が20万を超えない限り、輸入者による申告は必要ありません。20万円を越える場合には、輸入(納税)申告の手続が必要になります。課税価格が20万円以下の場合、課税される税金の額によって手続が異なります。

個人でスニーカーを輸入する場合には、課税価格が1万円以下の場合が多いはずですが、この場合は、配達員に税金と手数料の合計額を支払えば荷物を受け取れます。これ以外の場合の荷物の受け取り方については、税関のHPを参照してください。

国際郵便を使っている人の口コミ

国際郵便を使っている人の口コミを参照してみると、国際郵便の荷物に課税されるか否かは運次第という声が多く見られます。実際のところ、何度か国際郵便を使っていてもまったく課税された経験がないという人もいれば、思わぬ高い税額を取られて嘆いている人もいます。

どんな場合に関税が徴収されるのかは、とくに明確な基準はなさそうです。少し古い情報ですが、口コミサイトのURLを参考にしてください。

参考:読売新聞オンライン 発言小町

関税がかからなかったという口コミ

具体的な口コミをいくつかご紹介します。

「個人輸入を何度かしてきましたが、関税がかかったということはないです。私の回りでも関税はかかったことがないという人が多いです。」

「関税がかかった経験はありません。EMSを使うと、荷物のチェックが全てについて行われていないらしいからでしょうか。」

なお、EMSは郵便局のサービスで、国際スピード郵便のことです。

関税がかかったという口コミ

「何度か海外通販を使った経験がありますが、初めて関税がかかりました。」

「国際郵便で関税がかかった。課税されるのが正しいのかもしれないが、いつもは課税されていないので、何か損した気分。」

全般的に課税されないケースが多く、課税された人も「普段は関税はかからない」、とコメントしている人が多い印象です。

最初から関税込みの価格を表示しているサイト

海外の通販サイトの中には、最初から関税込みの価格を表示しているところもあります。海外通販サイトを使うときは、税金を計算しないと実際に自分が支払う額が確定しないのが面倒なのですが、この手間が省けます。

この記事の最後で、こういった関税込みの価格を表示してくれているサイトをご紹介します。

ハイブランドの品揃え豊富「Farfetch」

Farfetchでは、世界のハイブランドを数多く扱っています。この記事のテーマであるスニーカーはもちろんですが、各種アパレル製品も豊富です。日本語サイトがあり、買い物がしやすいのも魅力です。

参考:Farfetch日本語公式サイト

デザイナーで商品が選べる「SSENSE」

SSENSEは、デザイナーズブランドに強いサイトです。メンズ、ウィメンズのトップページには、デザイナーの名前がズラリと並んでいます。

全体のトップページには、ファッションに関するコラム記事が掲載されていて、これらを見るのも楽しいサイトです。スニーカーだけでなく、アクセサリーなども含めたファッションアイテム全般が購入できます。日本語サイトがあります。

参考:SSENSE日本語公式サイト

アウトレットコーナーもある「RAFFAELLO NETWORK」

こちらも、日本語サイトがあります。アウトレットコーナーが設けられていて、お買い得商品を探すこともできます。キッズファッションのコーナーもあり、サングラス、香水、iPhoneケースなども扱っています。

参考:RAFFAELLO NETWORK公式サイト

まとめ

スニーカーの輸入関税を中心に解説してきました。特別に関税率が高い革靴ほどではないにせよ、スニーカーも比較的関税率が高い物品です。

知らずに購入すると思わぬ出費を強いられることもあり得るので、この記事を参考にして、スニーカーの輸入にかかる税金について把握してください。

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この記事を監修した人

ビジネスのノウハウを実践ベースで徹底的に追求するのがアクシグ。
世界で最も専門的で網羅的なコンテンツを提供し、ノウハウを惜しげもなく提供していきます。

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