USP(ユニーク・セリング・プロポジション)はもはやビジネスに必須!意味や役割、作り方まで徹底解説!

商品やサービスを効果的に認知させるのに有効なUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)。あまり聞き馴染みがない方もいらっしゃるでしょう。

しかしながら、多くの競合がひしめく現代市場では、USPを考えることは必須と言えるくらい重要となっています。USPが打ち出せない商品やサービスは、まず顧客に手にとってもらえないと思ったほうがよいでしょう。

そこで今回は、USPの意味と役割、代表的な事例など、USPに関する知見を余すことなく紹介していきます。

目次

USP(ユニーク・セリング・プロポジション)とは何か?

まずは、USPの基本をしっかりと押さえておきましょう。ここでは、USPの定義とその必要性、混同されがちな「ポジショニング」との相違について説明します。

USPの定義

USP(ユニーク・セリング・プロポジション)とは、一言で言うと、「競合にはない、あなた(or あなたの会社)だけが持っている強みを表現したもの」です。

具体的には、幅広い商品のラインナップ、驚くほどの手厚い保証、競合には真似できない安さ、他を圧倒する最高級の品質といったものです。

単なる「強み」ではなく、「競合にはない」という部分が大きなポイントです。USPを考える際には、競合を意識することが重要なのです。

USPが必要な理由は?

では、なぜUSPが必要なのでしょうか。その理由を一言で言うと、「たくさんの競合の中から選んでもらうため」です。

マーケティング対策を考える上では、いわゆる3M(マーケット、メディア、メッセージ)を明確にすることが重要と言われていますが、この中の「メッセージ」の中核をなすのがUSPなのです。

伝えるメッセージが明確にならないとマーケティング対策を打つことができませんし、強みが明確でない商品やサービスをアピールされても、顧客からすればそれを買う理由が分からないので売上が上がることもありません。

多くの競合が存在する中であなたが提供する商品やサービスを選んでもらうために、USPは不可欠なのです。

「USP」と「ポジショニング」の違いとは?

「USP」と混同されやすい「ポジショニング」についても説明しておきます。

市場における自社の立ち位置を決めることを「ポジショニング」と言います。

ポジショニングにはステップがあります。例えば、あなたがこれからYouTubeビジネスを始めるとなった場合、以下のような順序でポジショニングを考えることになるでしょう。

  1. 参入する市場を決める(YouTube)
  2. 発信するジャンルを決める(ビジネス系、教養系、エンタメ系など)
  3. 具体的な発信内容を決める

このように、ポジショニングを考えるにあたっては、徐々に範囲を絞り込むことになります。そして「この領域なら競合に勝てる」あるいは「競合がいない」というところまで絞り込めたところが「USP」になるというわけです。

なので、順序としてはまずポジショニングを考え、その後でUSPを決めるという流れになります。ポジショニングとUSPを混同しないためにも、両者の関係性をしっかり押さえておきましょう。

USPがもたらす3つの効用

ここでは、USPがもたらす3つの効用について解説します。これらの効用を踏まえた上でUSPを考えたほうがより効果を発揮しやすくなるので、しっかりと理解しておきましょう。

セールス活動が不要になる

USPの効用の1つ目は、セールス活動をしなくても商品やサービスが売れるようになることです。

その理由は、洗練されたUSPであれば、売り手が強くアピールしなくても、顧客が瞬時に商品のウリを理解し、それを買うことにどんなメリットがあるかを自発的に感じ取ってくれるからです。

逆に言えば、たとえ商品そのものが魅力的でも、それを瞬時に伝えるUSPがなければ売れにくくなってしまいます。シンプルでインパクトのあるUSPを考えるようにしましょう。

リピートされる

リピートされやすくなるというのも、USPの大きな効用の一つです。

魅力的でインパクトのあるUSPは、顧客の印象に強く残ります。強く印象に残っていると事あるごとにその商品を思い出してもらえるので、繰り返し買ってもらえる可能性も高まります。

たとえば、柔軟剤で考えてみましょう。「ふわっと匂いも防げるレノア」というフレーズをあなたも一度は聞いたことがあるはずです。このフレーズは洗濯物をフワッとさせつつ防臭効果もあるというUSPを短い言葉で表現したものですが、このようなフレーズによってUSPが強調されていると、顧客の脳内に強く商品のイメージが刻まれるので、繰り返し買ってもらえる可能性が高まるのです。

口コミを通して伝わりやすくなる

印象的なUSPは他人にも伝えたくなる性質を持っていることから、商品が口コミを通して伝わりやすくなるのも、USPの効用として挙げられます。

先ほどの柔軟剤の例でいえば、友人から「何かいい柔軟剤知らない?」と聞かれた場合、「ふわっと匂いも防げる」というUSPが頭に残っている人は、レノアを提案したくなるというわけなのです。

このように、商品の認知度が高まっていくのもUSPの効用です。

USPの成功事例5選

では、USPを活かして成功した事例にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは代表的な成功事例を5つ紹介します。

成功事例から学んで、ご自身の商品やサービスのUSPを考える際の参考にしてみてください。

ドミノピザ

熱々でジューシーな美味しいピザをお宅まで30分以内にお届けします。間に合わなければ、代金は頂きません。

これはドミノピザのキャッチコピーですが、「間に合わなければ代金は頂きません」というUSPだけでなく、「熱々でジューシー」「30分以内にお届け」といったUSPによってドミノピザの独自性が表現されています。

ドミノピザのコミットメントが感じられるUSPとなっており、思わず注文したくなる要素が詰まっています。

QBカット

ヘアカット1,000円 所要時間10分

QBカットのUSPはこのように表現されています。「ヘアカット1,000円」が独自性、「所要時間10分」が強みを表現しています。

とにかく早く、安く、サクッと、気軽に髪を切りたい人のニーズに完全に合致したUSPとなっています。

ダイソン

吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機

掃除機のダイソンが示すUSPはこのようになっています。「ただひとつの掃除機」という表現によって、「吸引力が変わらない」という強みがダイソン唯一のものであることを強調しています。

実は、吸引力そのものが最も強いわけではないのですが、そこにはあえて触れないところが表現の巧さを感じさせます。このように視点を変えることによって、強いUSPを表現できる好例と言えるでしょう。

フェデックス

絶対に、何としてでも一晩で届けたい時に
お客さまの大切なお荷物を、安全に、そして1日で確実にお届けします

力強さを感じる、航空会社フェデックスのUSP。「一晩で届けたい時に」「1日で確実に」という表現にフェデックスの独自性と強みが込められています。

翌日に荷物を届けるという仕組みは現在では広く浸透していますが、その始まりはこのフェデックスのUSPだったのです。

Apple

ポケットに1000曲のミュージックライブラリを

Apple社がiPodで提唱したUSPです。「ポケットに1000曲」というシンプルかつインパクトのある表現で、強みと独自性が示されています。

多くの企業が製品のスペックをアピールしがちなのに対し、ユーザー視点でベネフィットを分かりやすく表現している点もポイントです。

USPを考えるときの3つの注意点

USPを考える上では、いくつか注意点があります。ここでは特に注意すべきポイントを3つ紹介します。

ここで紹介する注意点を頭に入れていないと、考えても考えてもUSPが決まらない、あるいはせっかく頭を悩ませてUSPを考えたのに全く効果がなかった、ということになる可能性もありますので、しっかりと押さえておきましょう。

他には真似できないユニークさにする

USPを考える際は、「他には真似できないユニークさ」を打ち出すことが重要です。誰でも簡単に真似できてしまうUSPでは独自の強みになりませんし、それはもはやUSPと呼べるものでもないからです。

他にはない強みを見出すことは決して簡単ではありませんし、多くの販売者がUSPを考えることに日々頭を悩ませています。しかし、だからこそ魅力的なUSPを創出できれば競合よりも優位に立てるのです。

1つの要素だけで独自性を表現しなくても良い

USPを考える際は、特定の1つの要素のみで独自性を表現する必要はありません。複数の要素を組み合わせることで他にはない独特の強みが生まれることもあるからです。

たとえば、TSUTAYAは、競合が多く存在する本屋という市場でカフェという要素を取り入れることによって独自性を打ち出しました。

USPに悩んだときには、複数の要素を組み合わせることも検討してみると良いでしょう。

万人受けするものでなくても良い

USPを考える際は広い顧客層にアピールしようとして万人受けするものを考えがちですが、必ずしもその必要はありません。

むしろ万人受けを狙った結果、アピール力が弱くなってしまい、「誰のための」「どんな利点のある」商品なのかが伝わりづらくなってしまうこともあります。

上で紹介したダイソンの掃除機も、多くの強みがありながらUSPとしては吸引力にフォーカスしました。その結果、多くの売上につながったのです。

フォーカスポイントを絞ることが、効果のあるUSPを考えるコツです。

USPを決める3ステップ

USPを決めるにあたっては、ある程度汎用的に使えるプロセスが存在します。ここではそのプロセスを3ステップで紹介します。

3C分析を行う

最初のステップは、マーケティング界で有名な3C分析の実施です。

「3C」とは、下記の3つの単語の頭文字を表しています。

  • Company(自社)
  • Competitor(競合)
  • Consumer(市場)

3C分析とは、この3つの視点から情報を集めた上で状況を分析することです。この分析を念入りに行えば行うほど市場全体の情勢がより鮮明にわかるようになるので、USPが考えやすくなります。

ターゲットを決める

続いてのステップはターゲットを決めることです。ターゲットを明確にするのが重要な理由は、顧客に響くUSPにするためです。

ターゲットが曖昧だと訴求力が弱くなり、誰にも振り向いてもらえない、印象にも残らないUSPになってしまいます。USPにはターゲットとなる顧客に「これは私のことだ!」と思ってもらえるくらいの強さが必要なのです。

シンプルにまとめる

USPを表現する際は、シンプルな言葉でまとめましょう。長すぎるとユーザーに覚えてもらえないおそれがあるため、20〜30文字程度に抑えるのがベターです。

表現1つで印象は大きく変わります。洗練されたUSPにするためにも、それなりに時間をかけて考えましょう。

ESP・UVPとは何か?

ここではUSPを理解する上で有用なESPUVPについて説明します。ESPとUVPはUSPが変化したものです。

時代の変化によって、重視される概念も移り変わっていきます。時代の変化に乗り遅れないよう、新しい概念をしっかり頭に入れておきましょう。

ESP(エモーショナル・セリング・プロポジション)

ESP(エモーショナル・セリング・プロポジション)とは、感情的な価値の提案のことを指します。

USPとの大きな違いは、機能的な価値ではなく感情的な価値をアピールしている点です。その商品にどんな機能や特徴があるかではなく、「その商品によってどんな感情になれるのか」という情緒的な側面にフォーカスして訴えかけるのがESPです。

UVP(ユニーク・バリュー・プロポジション)

UVP(ユニーク・バリュー・プロポジション)とは、精神的な価値の提案のことを指します。

「精神的な価値」とは、言ってみれば信念や価値観を表現したものです。代表的な事例としては、RIZAPの「結果にコミットする」が挙げられます。これは機能的な価値でも感情的な価値でもなく、「顧客になんとしても結果を出させる」というRIZAPの信念を表現したものであることから、UVPと言えます。

なぜ、ESPやUVPが重要なのか?

ESPやUVPが重要な理由は、一言でいうと、USPよりさらに真似されにくい独自性をアピールできるところにあります。

機能的な価値の表現に留めてしまうと、似たような機能を持つ商品が出現したときに独自性が薄れてしまいます。しかし、ESPで表現する感情的な価値や、UVPで表現する精神的な価値は、機能的な価値を超える価値を表現しているものなので真似されにくくなるのです。

ただし、ESPやUVPはUSPの存在を前提とした概念であることには注意が必要です。USPを考えることなしにESPやUVPを考えることはできないのです。なので、最初はUSPを考えることからスタートするようにしましょう。

商品やサービスを届けたい人に届けるためにUSPは重要な要素

以上、今回の記事ではUSPに関する情報をお伝えしてきました。

商品そのものが魅力的だったとしてもUSPがうまく表現できていないと、誰も商品を手にとってくれない可能性があります。丹精込めて作った商品を届けたい人のもとに届けるには、その商品のUSPを見出し、それをいかに表現するかが欠かせないのです。

ぜひ本記事を参考にしつつ、効果的なUSPを考えてみてください。

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この記事を監修した人

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