ヤフオク出品を代行するアルバイトが存在します。出品代行自体は悪いことではありません。しかし、中には詐欺の共謀を担がせるような悪質なバイトもあります。
そこで今回は、ヤフオク出品代行にまつわる詐欺トラブルと、その対処法について解説します。
ヤフオクの代理出品詐欺の概要
最初に「代理出品バイト」を装った詐欺バイトについて説明します。
代理出品バイトの流れ
代理出品バイトの流れは以下の通りです。
1.掲示板で「高額収入」と書かれた謎の案件に応募
2.ヤフオクでの代理出品を依頼される
3.自分のIDでヤフオクに代理出品
出品に使う写真や説明文は依頼主から指定されます。また、落札者には依頼主指定の支払先に入金させるよう指示されます。そして、入金完了後に依頼主から落札額の一部が報酬としてもらえる仕組みです。
これだけなら、よくある外注バイトです。
実際は商品を発送しない
しかし、代理出品バイトを装った詐欺である場合、依頼主は商品を発送しません。発送したとしても、偽物や商品画像とは全く違う物を発送することがほとんどです。
その結果、落札者から「入金したのに商品が届かない」とあなたの元に苦情が来ます。依頼主に連絡しても音信不通です。そして、あなたのヤフオクアカウントに悪い評価がつけられます。
報酬ももらえない
当然、報酬も支払われません。
あなたはタダ働きをさせられた上、自分のアカウントの評価も下げることになるのです。
詐欺のための優良アカウント育成バイト
もう一つ、出品代行バイトにまつわる詐欺を紹介します。
それは「優良アカウント育成バイト」です。こちらはきちんと報酬がもらえるバイトですが、知らず知らずのうちに詐欺の片棒を担がされます。
募集要項の特徴
募集要項には以下のような内容が記述されていることが多いです。
・業務は弊社の商品をヤフオクに代理出品すること
・ヤフオクに新規アカウントを作成して出品代行すること
・出品金額設定は自由で、落札額の5~6割が取り分になること
・売上より良い評価を稼ぐことを優先すること
・代行業務終了後、アカウントを雇用主に引き渡すこと
「契約後アカウントを引き渡す」という項目が肝です。
応募から業務の流れ
応募から業務への流れはこんな感じです。
1.応募する
2.契約書が送られてくる
3.契約書にサインして返送
4.出品商品が送られてくる
5.出品代行
6.自分の取り分を除いた売上を雇用主に振込
7.契約終了後、アカウント引渡し
きちんと商品が送られてくる上、確実に報酬も受け取れるため、一見するとまともな仕事です。
アカウント譲渡後、連絡がつかなくなる
しかし、契約が終了してアカウントを引渡すと、急に連絡が取れなくなります。
手元に売れ残っている商品がある場合も、特に返却の催促もされないことが多いです。
詐欺のために評価の高いアカウントを集めている
雇用主の目的は、商品を売ることではなく、評価の高いヤフオクアカウントを集めることです。
そして、評価の高いアカウントを使ってヤフオクで詐欺を行うのです。
詐欺行為ではないが、詐欺の手伝い
業務内容自体は詐欺行為にはなりません。しかし、間接的に詐欺の手助けをしたことになります。
出品代行バイトをする際は、募集要項をよく確認しましょう。もし「契約終了後にアカウントを譲渡する」旨の記載があった場合は応募を控えましょう。
落札者として詐欺を回避する方法
ヤフオクには上記のような手段で詐欺行為を行う人達が一定数存在します。落札者としてヤフオクを利用する場合、どうすれば詐欺を回避できるかを解説します。
Yahoo!かんたん決済以外利用しない
まず1つ目は、Yahoo!かんたん決済以外の決済方法を利用しないことです。
Yahoo!かんたん決済の仕組みを以下に示します。
1.落札者がYahoo!に代金を仮払い
2.出品者が商品発送
3.商品到着後、Yahoo!から出品者に代金支払い
現在のヤフオクでは、基本的にYahoo!かんたん決済以外認められていません。直接銀行振込などを要求された場合は、詐欺の可能性が高いため断りましょう。
取引ナビ以外でのやり取りはしない
2つ目は、取引ナビ以外での連絡は無視することです。詐欺師は取引ナビを使わずに、メールや連絡掲示板で連絡してくることが多いです。
あらかじめプロフィールに「取引ナビ以外での連絡はお断りしています」と明記しておきましょう。
代理出品詐欺に巻き込まれた場合の対処法
続いて、代理出品をして詐欺の片棒を担がされた場合の対処法を解説します。
自分も加害者である意識を持つ
自分が出品代行した商品が落札者のもとに届かないなどのトラブルが起きた場合、まず自分も加害者側の人間であることを認識する必要があります。
あなたは依頼主に騙されて詐欺の片棒を担がされた被害者でもありますが、それは落札者には関係のない話です。「自分も被害者なんです」などと言い訳をすると、最悪の場合、民事訴訟を起こされる可能性もあります。
最大の被害者は落札者です。したがって、まずは加害者として責任を取りましょう。
落札者への謝罪と補償
出品代行詐欺に巻き込まれたら、まずは落札者へお詫びの連絡と補償をします。
2020年2月以前はヤフオクの「未着・未入金トラブルお見舞い制度」で補償してもらえる可能性がありましたが、現在はそちらのサービスが終了してしまったため被害額が大きかった場合でも自腹で返金せざるを得ません。
加害者である以上逃れることはできませんので、詐欺に巻き込まれないための自衛を徹底するしかありません。
警察に被害届
落札者への補償が済んだ後は、詐欺に巻き込んだ依頼主に責任を取らせましょう。まずは詐欺師の身元を突き止める必要があります。個人では難しいため、警察に被害届を出しましょう。
知り合いから出品代行を請け負う際の注意点
ここからは、知り合いの代理でヤフオク出品する際の注意点を解説します。
代理出品は禁止されていない
ここまで代理出品にまつわる詐欺トラブルについて解説してきましたが、出品代行自体はガイドラインに違反する行為ではありません。
それどころか、プロに丸投げできる「おまかせ出品」という公式の代行サービスがあるくらいです。したがって、代理出品をしても問題はありません。
単発で代理出品する際の注意点
しかし、知り合いの出品を代行する際は、いくつか注意点があります。
まず、単発で代理出品する際の注意点を以下に示します。
・出品前に商品を引き取ること
・自分のアカウントで出品すること
・代金受け取り先を自分にすること
継続的に代理出品する際の注意点
また、継続的に出品代行する場合、もうそれは仕事になります。そのため、上記の注意点に加えて「古物商許可」を取ることをおすすめします。
古物商許可があると信頼度が増します。特に高級ブランド品を扱う場合は、古物商許可があると入札数が増えやすいです。
知り合いの商品を出品する際の注意点
最後に、知り合いの商品を出品する際の注意点を解説します。
商品の状態を正確に把握する
最も注意すべきは、商品の状態を正しく把握することです。特に自分がよく知らないジャンルの商品の場合は、綿密なヒアリングが必要です。
出品前に必ず持ち主から以下の情報を聞き出してください。
・購入時期
・購入店舗
・使用頻度
・汚れ、傷の有無、程度
部品・付属品の有無、動作確認を徹底する
また、付属品の有無や動作確認もきちんと行いましょう。
説明書を見ながら一つ一つ動作を確認して、その結果を商品説明欄に記載しましょう。また、付属品の一覧も明記してください。
商品の状態を把握せず出品するとトラブルになる
商品の状態を正しく把握せずに出品してしまうと、取引後にトラブルになる可能性があります。
例えば、中古品にもかかわらず、新品として出品した場合、十中八九トラブルになり、「非常に悪い」評価をつけられます。評価が下がると以後の取引に影響が出ます。十分に注意してください。
トラブルになった場合の対処法
もし商品の状態を把握せずに出品してしまい、苦情の連絡が来た場合は、速やかに謝罪して、返品・返金対応してください。事情を説明して迅速に対応すれば、悪い評価をつけられずに済むことも多いです。
ヤフオクで代理出品する際は慎重に
ヤフオクでは代理出品にまつわる詐欺が横行しています。出品代行バイトを引き受ける際は慎重に判断してください。
また、知り合いの商品を代理出品する場合は、商品の状態をきちんと把握するように努めましょう。