自作パソコンがブームの昨今、一からパソコンを組み立てたい方は、少しでも安く仕上げるために、パーツを別々に手配するケースも多いでしょう。
その一つとして、Yahoo!オークション(ヤフオク)で購入する方法があります。Yahoo!オークション(ヤフオク)なら数多くのパソコンパーツが個別に売られているので、自作や改造の際には大変便利です。しかし、そこで要注意なのが、偽物CPUの存在です。
Yahoo!オークション(ヤフオク)のCPUは、安く買えたものの届いたら偽物だった、というケースが極めて多いです。商品ページの画像では素人に見分けがつかないようにして、巧妙な手口で騙すパターンも少なくありません。
そこで今回は、Yahoo!オークション(ヤフオク)の偽物CPUについて詳しく解説し、偽物の見分け方や偽物だった時の対処法についてもお伝えします。
偽物のCPUとは?
Yahoo!オークション(ヤフオク)でありがちな偽物のCPUについて解説しましょう。
偽物CPUはリマーク品
Yahoo!オークション(ヤフオク)で良く出回っている偽物CPUとは、リマーク品を指します。
リマーク品とは、ヒートスプレッダの刻印を消して、レーザー彫刻で「corei5」を「corei7」といった形で意図的に刻印し直したり、高圧電流でショートさせてCPUを読み込めないようにしたり、といった不正を施した商品のことです。メーカーの許可なく行うこうした行為は、メーカーのブランド価値を著しく損なうため、完全に違法です。しかも、ひどい場合は、数千円で入手して数万円で転売するので、1点だけでもかなりの利益を不正に得ることになります。
Intelの偽物CPUの見分け方
CPUといってもメーカーは複数ありますが、Intelの場合は、下記の専用サイト「保証に関する情報」で保証期間を確認することができます。ここに「バッチナンバー(FPO)」と「シリアルナンバー(ATPO)」を入力すると、リマーク品は「製品が見つかりませんでした」と表示されるので、すぐ偽物と分かります。
この方法だと決済が済み、現物が手元に届いてからしか確認できないことも多いため、完璧な方法とは言えません。
例外として、画像で各ナンバーが事前確認できれば、その時点で上記サイトを使って真贋が判別可能です。また、CPUにグリスを塗って、そもそもバッチナンバーやシリアルナンバーを見えなくしている場合は、ほぼ100%偽物のため、騙されなくて済むでしょう。
ただ、これら例外のケース以外で、実際にCPUを購入した後だと、他のパーツにも偽物が混ざっている場合、組み立てている最中に不具合が生じてもどこに原因があるか分からなくなることもあるので、非常に厄介です。理想は、後述(「偽物CPUに騙されないコツ」)のように水際対策をきちんとして、まがい物を手にしないこと、と言えるでしょう。
AMDの偽物CPUの見分け方はある?
Intelと並んでYahoo!オークション(ヤフオク)で良く売られるCPUといえば、AMD製のRyzenシリーズです。IntelのCPUは、専用サイトから保証期間が確認できますが、AMDには、そのようなツールがありません。よって、商品ページの画像から偽物かどうかを見抜くしか方法がないのです。
本物と偽物の違い
本物と偽物を見分けるには、信頼できるルートで入手したRyzenを手元に置いて、商品画像を確認するしかありません。
偽物の特徴は、
・第三世代であるにもかかわらず、表から見て左下の三角部分が明らかに大きい(Ryzenは第一、第二世代と比べて第三世代の同三角部分は非常に小さいため、もしここが明らかに大きければ、第一または第二世代を第三世代と偽っていると断定できます。これはリマーク品防止のためにあえてAMDが施した対策のため、最も見分けやすいポイントです)。
・表面に記載されている品番フォントが潰れていたり、印字が薄かったりなど雑な印象。
・側面にあるはずのないバーコードが貼られている。
などが手がかりです。
また、これは商品が届いてからの話になりますが、外箱と中身のCPUに印字されているシリアルナンバーが異なる場合は、100%偽物です。物的証拠として強い説得力を持つので、出品者の非を証明するために、外箱は捨てずに保管しておきましょう。
偽物CPUに騙されないコツ
偽物CPUを買わされないで済むコツを具体的に3つご紹介しましょう。
出品者の評価を確認しよう
Yahoo!オークション(ヤフオク)の出品者評価は、購入者の義務ではありません。任意とされているため、評価をしている購入者は、それなりに正直な感想や意見を述べている可能性が高いです。
まず、評価は5段階に分かれています。
・非常に良い…1ポイント
・良い…1ポイント
・良くも悪くもない…0ポイント
・悪い…-1ポイント
・非常に悪い…-1ポイント
少し厳しめの基準になりますが、信頼できる出品者は、「良い」か「非常に良い」が合わせて95%以上と考えてください。購入者は商品が手に入った時点で目的達成のため、評価にまで気が回らないケースが少なくありません。この場合、はっきり言えば「面倒くさい」「自分一人が評価しようがしまいが大した影響はない」という心理が働いていると考えてよいでしょう。
しかし、熱心な出品者は、評価がつかない場合に「評価をお願いします」と購入者に頼んでいる場合があります。つまり、評価全体でみると、積極的に評価をしたいというよりは、頼まれたから致し方なく評価したケースがいくぶん含まれていると考えるのが妥当です。
こう考えると、評価以上に大切なのが、コメントです。コメントには、評価よりも購入者の本音が書かれている可能性が高いからです。特に初めて買う場合は、このコメント欄にしっかりと目を通しましょう。そして1件でも「動作不良」について書かれていたら、偽物CPUをつかまされる可能性が極めて高いため、絶対にその出品者からは買わないでください。
商品ページの画像を確認しよう
画像は、1枚ではなく、複数あるものを選びましょう。特に裏のピン部分が映っているかどうかを確認します。折れている部分があれば問題外です。
また、動作確認している画像があるかどうかも確かめましょう。グリスでバッジナンバーやシリアルナンバーが消されていないかどうかも見てください。
商品説明をよく読もう
商品説明欄で確認することは、CPUを動作確認したかどうかです。
中には、動作未確認と記述されている場合がありますが、これは「偽物です」と言っているようなものです。
動作確認をしていない時点で、出品者としての意識が低く、購入者のことを思いやっていないと言えます。この場合は、十分に警戒してください。
Yahoo!オークション(ヤフオク)で偽物CPUを手にした際の対処方法
偽物CPUを買わないように気をつけていても、残念ながら騙される可能性はゼロにはなりません。そこで、万が一偽物CPUが届いた場合の対処方法について説明しましょう。
ストアが出品している場合
出品者は、ストアと個人に分かれます。そしてそれぞれによって、偽物の被害を受けた際の対処方法も違います。
出品者がストアの場合は、ヤフオクに問合せをしてください。内容に応じてお見舞いが検討される可能性があります。
個人が出品している場合
出品者が個人の場合は、直接出品者と交渉して、返金対応を求めることになります。もし、無視されたり、筋の通らない理由で拒否されるようであれば、警察に届け出ましょう。相手は重大な犯罪を犯しているわけですから、泣き寝入りする必要はありません。
個人の出品者との返金交渉方法を詳しくご紹介
先ほど、出品者が個人の場合は、自分で連絡して交渉する旨を述べました。しかし、慣れていないと、緊張する上、どのような論法で納得させればよいのかよく分からないかもしれません。そこで、個人の出品者相手に返金対応を迫る際の、心構えやポイントを解説します。
強気かつ冷静に交渉する
偽物CPUを売りつける相手は、何ら悪びれず手慣れているケースが多いので、こちらが弱気で交渉しても通用しない可能性があります。ぶれずに強気で交渉に挑むようにしましょう。
ただ、偽物CPUと知らずに売っている場合は、短気を起こして怒りをぶつけると、単なるクレーマーと判断されて相手にされない可能性もあります。もちろん、知らずに売っている場合でも許される行為ではありません。こちらにはまったく非がないわけですから、冷静に、そして堂々と強気で交渉してください。
偽物CPUであることを証明する
相手を納得させるには、客観的証拠の提示が最も説得力があります。Intelなら、先にご紹介した専用サイトで「製品が見つかりませんでした」と表示された画面の画像を提示したり、箱と中身のシリアルナンバーが違うなら、その画像を見せたりするのが良いでしょう。動作不良の場合は、その様子を動画に撮って見せれば、さらに説得力が増します。同じ製品の本物がある場合は、比較画像を見せるのもおすすめです。
被害届の提出をほのめかす
証拠を提示しても返金対応が見られない場合は、犯罪行為を許せないこと、また警察に被害届を出す準備に入る旨を、はっきりメッセージにして送りましょう。
最後の処理
被害届を出す旨を通告して返金されれば、交渉はすべて終了です。しかし、返金されないようであれば、警察への届け出を行います。その際は、同時に、送られてきた物が偽物CPUであったこと、返金対応されなかったことを評価コメントに記載しておきましょう。被害の拡散を防ぐためにも大切なことです。
Yahoo!オークション(ヤフオク)で偽物CPUを販売したらどうなる?
偽物CPUを出品したり、売った出品者に対して、Yahoo!オークション(ヤフオク)がどのような措置をとるのか、また、法律上はいかなる犯罪になるのか、について解説しましょう。
アカウント削除の可能性大
Yahoo!オークション(ヤフオク)では、偽物販売以外にもいくつかの禁止行為が定められています。
例えば、
・無在庫販売
・出品禁止商品の販売
・複数IDを使って同じ商品を出品
などが、それにあたります。
しかし、これらの中でもYahoo!オークション(ヤフオク)が最も重く捉えている禁止行為の一つが、偽物の販売行為です。
この場合、即刻、アカウント削除となる確率が高く、これは実質の強制退会を意味します。
Yahoo!オークション(ヤフオク)では、他にも出品制限や利用停止などのペナルティがありますが、もちろん、アカウント削除が最も厳しい措置です。
繰り返しますが、偽物CPUの出品・販売は、Yahoo!オークション(ヤフオク)の環境を荒らす大変悪質な行為のため、返金交渉の際は毅然とした態度で臨んでください。
偽物CPUと知らずに売っても犯罪?
CPUが偽物であることを指摘すると、出品者によっては「知らなかった」と主張するケースがあります。これは確信犯がよく言うセリフですが、一方で本当に知らなかったという場合もあって、判断が難しいところです。
もし、本当に知らずに売った場合で常習性がなければ、罪に問われずに済むことが多いです。しかし、常習性があったり、明らかに偽物と知って売ったりした場合は、商標権の侵害行為にあたり、商標法78条により10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処せられます。
また、これを偽物と知らずに転売したら、おそらく罰せられるまではいきませんが、罪に問われるリスクが生じるので、くれぐれも注意してください。
本物と偽って売った場合の罪
上記に加えて、偽物と知っていながら本物と偽って売った場合は、刑法246条の詐欺罪にも問われます。つまり、先ほどの商標法に加えて刑事罰にも問われることになります。
まとめ
Yahoo!オークション(ヤフオク)で偽物CPUを見抜く方法や、買ってしまった場合の対処法などについて詳しくお伝えしました。
CPUはパソコンを自作する上で絶対に欠かせない重要パーツです。わずか1個でも、高ければ数万円はかかります。しかし、世代を偽ったりスペックを偽装したりして出品される偽物CPUを買ってしまうと、多ければ万単位の損失に加えて、まったく使用できない、というとても残念な結果が待っています。もし、Yahoo!オークション(ヤフオク)での買い物に不慣れで、CPUが本物と確信が持てない場合は、無理してYahoo!オークション(ヤフオク)で買わずに、実店舗で実物を前に、スタッフに話を聞いてから購入する方が安心でしょう。
万が一偽物CPUをつかまされても、落ち込まず、腹を立てず、冷静になって、ご紹介した方法で対処して下さい。