これから転売を始める人で、Yahoo!オークション(ヤフオク)を転売先として考えている人は多いでしょう。Yahoo!オークション(ヤフオク)にはオークションやフリマ機能を備えているほか、日本最先端の安全システムを有しているため、購入者だけでなく出品者も安心して転売を行うことができます。しかし、もし出品者が転売に関する法律や決まりをしっかりと理解していないと、違法行為を犯すことになり、最悪の場合逮捕されてしまう可能性もあります。
この記事では知らぬ間に違法行為をしないよう、Yahoo!オークション(ヤフオク)転売で必要な法律の知識や出品してはいけない商品の例などをご紹介していきます。ぜひこの記事を読んで、正しい転売方法を知り気持ちよく転売を始めましょう。
Yahoo!オークション(ヤフオク)転売は犯罪?
そもそも転売とは、仕入れた商品を購入時よりも高い値段で販売することです。これはYahoo!オークション(ヤフオク)でも行われています。
転売と聞くと、犯罪であるというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。実際に転売ヤーが逮捕されているところをニュースでよく見かけることも多いです。実際、転売は犯罪にあたるのかについて見ていきましょう。
転売自体は違法ではない
転売に悪いイメージを持つ人も多いでしょうが、転売自体は違法行為ではありません。現に私たちが目にする商品は転売されたものが多くあります。
例えば、メルカリに出品されている海外輸入の商品も、いわば海外から輸入しメルカリで売るという転売になります。このほか、Amazonで売られている商品にも転売品は多く存在するなど、転売を仕事にしている人は多くいます。
ただ、転売には法律などで決められたさまざまなルールがあり、それを守らず転売すれば違法行為になります。みなさんが転売に悪いイメージを持ちやすいのは、こういった違法行為を行う転売ヤーが一定数存在し、摘発されているからです。
転売は正しいルールを理解し正しく行えば、ちゃんとしたビジネスとして認められています。もしこれから転売を始めようと思っている方は犯罪に巻き込まれないよう、まずは転売のルールを理解するところから始めましょう。
また、Yahoo!オークション(ヤフオク)転売を行う場合、Yahoo!オークション(ヤフオク)で決められている出品についての規約を押さえておく必要があります。
Yahoo!オークション(ヤフオク)転売初心者が知っておくべき法律
転売の仕方によっては違法になることが分かりました。では、違法な転売とはどういった法律に触れるのでしょうか?
それは、主に「古物営業」「都道府県の迷惑防止条例」「詐欺罪」などに該当する場合が多いです。この項目では、これらの法律について詳しく説明していきます。
古物営業法
古物営業法とは、盗品などの流通防止や被害品の早期発見を行うために、「古物」の売買業務に一定の規制を与える法律です。具体的に「古物」とは、中古品や使用目的で販売する新品、これらに手を加えた物品のうち、以下の13品目の商品を指しています。
- 美術品類
- 衣類
- 時計・宝飾品
- 自動車(部品含む)
- 自動二輪車及び原動機付自転車(部品含む)
- 自転車類(部品やパーツ含む)
- カメラなどの写真機類
- レジやパソコンなどの事務機器
- スマホや医療機器などの機械工具
- 家具、CD、ゲーム、トレーディングカードなどの道具
- かばんや靴などの皮革・ゴム製品
- 書籍
- 金券
これらの商品を生業として繰り返し販売する場合は、古物営業の許可が必要になります。もしこの13品目に当てはまる商品を許可なく販売すると「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が課せられてしまうので必ずチェックしましょう。
反対に、この13品目に当てはまらない商品であれば許可は必要ありません。もし初心者が転売を始めるなら、古物営業法に該当する商品を扱わないようにするのが得策です。
都道府県の迷惑防止条例
各都道府県や市町村によっては迷惑防止条例に「ダフ屋行為」の禁止を定めています。ダフ屋とは、入場券や乗車券を転売目的で大量に仕入れ、高額で売り捌く業者のことです。
条例に違反した場合の罰則は都道府県によって異なりますが、東京都では「懲役又は50万円以下の罰金」が課せられます。ただし、チケットの転売が迷惑防止条例に該当しない都道府県や市町村もあるため、必ずしもチケット転売が違法になるというわけではありません。
しかし、住んでいる地域の条例にチケット転売の規制がないとしても、悪意を持ってチケットを大量に仕入れ高額転売することは「チケット不正転売禁止法」などでも禁止されています。その他にもチケットに関しての転売は出品サイトでも細かい決まりがあるので、安易にチケットを転売するのはやめましょう。
詐欺罪
転売の詐欺罪はチケットの不正転売において適用されることがあります。詐欺の被害者というと購入者であるイメージを持つかと思いますが、チケットの不正転売の場合はチケットの販売元が被害者となります。
詳しく説明すると、チケットを販売する会社に転売目的で購入することを隠して購入を申し込み、販売元の会社にチケットを発行させたことが罪になります。つまり、「販売元に嘘をついてチケットを発行させた」という行為が詐欺罪に該当するのです。
チケットの不正転売による詐欺罪は、「10年以下の懲役」を課せられます。転売に関する法律の中では重い刑罰になるので、特に転売初心者の方は注意しましょう。
Yahoo!オークション(ヤフオク)転売で稼いだら確定申告しないとダメ?
「これからYahoo!オークション(ヤフオク)転売で稼ぐぞ!」と意気込んでいる人に忘れないでほしいことがあります。それは確定申告です。副業としてこれから転売を始める方は今すぐ必要になることではありませんが、もし軌道に乗って20万円以上の収入が入った場合、確定申告が必要になります。
もし20万円以上の収入があるにも関わらず確定申告をしなかった場合、「脱税」「所得隠し」「無申告」に該当し、罰則が科される可能性があります。ここでは、それぞれの罰則の内容をご紹介していきます。
悪意を持って申告しない場合は脱税に該当
個人で転売をしている人にはあまりないケースですが、収入が多額であるにも関わらず確定申告をしないと、悪質な脱税行為であると判断される可能性があります。悪質であると判断された場合には高額の加算税を科せられるだけでなく、刑事事件へと発展し逮捕されるケースもあります。
申告の必要があると認識していて申告しない場合は所得隠しに該当
申告の必要があることを知っているにも関わらず、確定申告をしなかった場合は所得隠しと判断されます。脱税と同じように高額の加算税が科され、本来支払うべき税金額の30〜40%を追加で納める必要があります。
悪意がなくても無申告の場合は追加税が発生
確定申告しなくてはいけないことを知らなかった、忘れていたという場合に無申告と判断されます。この場合、本来納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の無申告加算税が科されます。
悪意はなかったとしても、結果として本来払わなくてもいい税金を払うことになってしまいます。そのため、日頃から収入の管理はしっかりし、収入が20万円を超えるようになったら必ず確定申告を行いましょう。
Yahoo!オークション(ヤフオク)転売でも注意!転売による逮捕・書類送検事例
これまでお話ししてきたことを踏まえて、実際にあった転売の逮捕例を3つご紹介します。以下のことを参考にして、どんな転売方法が逮捕されてしまうのか具体的にイメージしてみてください。
高級シャンプーの製造番号を消して転売し書類送検
美容室経営者の男性が通常サロンのみで販売されている高級シャンプーを転売するために、製造番号を除光液で消して転売し書類送検された事件です。この事件の何が問題なのかというと、医薬品医療機器等法では消費者の安全を守るため、製造時期や出荷先が特定できる番号の明示を義務付けています。この男性は転売していることを隠すために製造番号を消していましたが、それがかえって法律に触れてしまったということです。
このように、商品によっては商品情報の表示を義務付けられている場合があります。例えば、海外から輸入した衣類は品質表示タグを付けて販売することが家庭用品品質表示法によって定められています。
人気アイドルのコンサートチケットを高額転売して逮捕
皆さんも知っているアイドルグループの嵐のコンサートチケットを、高額転売し逮捕された事例もあります。
20代の女性が嵐のコンサートをできるだけ良い席で観覧するため、転売されているチケットを複数入手し、余った分を転売して次のチケットの購入費に回そうとしたとして、チケット不正転売禁止法違反罪と有印私文書偽造・同行使罪の疑いで逮捕されました。この女性には懲役1年6カ月執行猶予3年、罰金30万円の有罪判決が下されています。
このチケット不正転売禁止法は、今まで問題となっていた、チケットの高額転売による購入者や興行主の権利侵害を改善するために2019年に執行された法律です。この法律により、現在までに多くのチケットの不正転売が摘発されているので、チケットの転売には注意が必要です。
コロナを利用したマスクの高額転売で逮捕・書類送検
2020年に急激に拡大した新型コロナウイルスの影響で、マスクが品薄状態になったのは記憶に新しいですね。その状況を利用したマスクの高額転売が多発し、政府は同年3月に国民生活安定緊急措置法の政令を改正しマスクなどの転売を禁止していました。
しかし、政令が改正された3月からマスク転売禁止が解除される8月までの間、およそ10件のマスクに関連する高額転売事件が摘発されました。同法では1年以下の懲役、100万円以下の罰金もしくはその両方が科せられます。
国民生活安定緊急措置法によるマスク転売禁止は現在は解除されていますが、情勢による法律などの変更で転売が禁止される物もあります。その商品は定価より高く転売してもいい物かどうかをよく確認することが大切です。
Yahoo!オークション(ヤフオク)の禁止事項とは?
Yahoo!オークション(ヤフオク)を運営しているヤフー(株)は著作権法に基づき、オークション出品にいくつかの禁止事項を設けています。これからYahoo!オークション(ヤフオク)で転売を考えている人は、この禁止事項をしっかり押さえておきましょう。
違法なコピー商品は出品禁止
Yahoo!オークション(ヤフオク)では著作権法に基づき、明らかに違法コピーされたCDやDVDなどの商品の出品を見つけた場合、出品物の削除だけでなくYahoo! JAPAN IDの利用を停止するなどの措置を行っています。もし違法行為が明らかになり捜査機関からの捜査依頼があった場合には、速やかに協力する旨を知的財産権保護ガイドに明記しています。
それだけでなく、ヤフー(株)独自の知的財産権保護プログラムを運用し、違法出品物の発見、対処を早急に行えるよう対策をしています。また、プログラムに登録している団体も悪質な違法出品を見つけた場合は、民事や刑事的手続きをとることがあります。
これらのことから、Yahoo!オークション(ヤフオク)を運営するヤフー(株)は法律に違反する行為には厳しく対処することがわかります。Yahoo!オークション(ヤフオク)を利用して転売を行う場合は出品物の選定はしっかり行いましょう。
著作権法違反は懲役刑と罰金刑が科せられることも
Yahoo!オークション(ヤフオク)でも禁止している著作権法違反に該当する行為が明らかになった場合、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方」が科せられます。刑事事件でなくても権利者が発見した場合、民事で損害賠償を請求される可能性もあるので十分気を付けましょう。
結局どんなものが転売禁止なの?
「それなら、一体どんなものが転売禁止なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。この項目では転売が禁止されている商品を具体的にご紹介していきます。これらを覚えておくだけでも知らぬ間に違法行為を行ってしまう可能性は低くなるので、ぜひ参考にしてください。
違法になりやすい商品
違法転売により摘発されることが多い商品がいくつかあります。これらは転売したら必ず違法というものばかりではありませんが、転売初心者であれば取り扱わないことが得策でしょう。
チケット
これまでにもご紹介した通り、各都道府県の迷惑防止条例やチケット不正転売禁止法に該当する可能性が高いです。
ブランドのコピー商品
ブランド品のコピー品を転売することは商標権の侵害にあたるため禁止されています。
CD、DVD、電子書籍などデジタルコンテンツのコピー商品
CD、DVDのコピー品を転売した場合、著作権の侵害にあたるため禁止されています。
酒類
お酒を販売するには販売免許と酒類販売責任者の資格が必要になります。転売の場合も対象なので、免許と資格がない人は酒類の商品は取り扱わないようにしましょう。
また、出品サイトで禁止されている行為を行うと、「債務不履行」という犯罪になることもあります。法律はもちろん出品サイトのルールを守ることも必要なことです。Yahoo!オークション(ヤフオク)に関しては出品を禁止する商品が細かく記載されているので必ずチェックしておきましょう。
参考:第1編 Yahoo!オークション(ヤフオク)ガイドライン細則 B.出品禁止物
販売元が転売を禁止している場合も
転売を行う際に守らなければいけないのは法律だけではありません。販売元が転売を禁止している場合もあり、これを守らないと違法にはならなくとも転売を行う上で不利になる可能性があります。
具体的には、転売を禁止している販売元が自社の商品が出品されているのを見つけると、出品サイトを通して警告を行います。それでも出品をやめない場合、出品サイトは出品者のアカウントを閉鎖することになります。
転売にとってアカウントは大切なツールです。もしアカウントを閉鎖されてしまうと元に戻ることはないので、これまでの顧客を全て失うことになります。こうならないためにも、取り扱う商品の販売元が転売を禁止していないかチェックすることが大切です。
一番安心なのは自分の中古品
そこで、一番安心できる転売品は自分が使うために購入し不要になった中古品です。もちろん古物営業法に該当しないものに限りますが、転売目的で購入していないという点では違法になる確率は低くなります。
転売初心者の場合は何から仕入れていいかわからないでしょう。まずは自分が使っていないものを出品してみて、転売の感覚を掴むことから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
Yahoo!オークション(ヤフオク)に限らず転売を行う際にはさまざまな決まり事があります。決まりを守らず利益をあげることは簡単ですが、それはビジネスではなく犯罪です。今から転売を始める方はこのことを忘れず、今回の記事を参考にしながら正しく転売をしていきましょう。