最近は特別なカメラがなくとも、スマホさえあれば誰でも簡単に動画が撮影できます。ただし、それをYouTubeに投稿するとなると、話は別です。
見応えのある動画に仕上げるには、明るさやアングル、音声、必須機材、そして撮影にあたっての心構えなど、さまざまな点に配慮する必要があります。
そこで今回は、YouTube動画を投稿するまでの流れや撮影する際のポイント6選、さらに必要なツールについても詳しくまとめました。
動画撮影から投稿までの流れ
まず、撮影した動画をYouTubeに投稿するまでの大まかな流れについて解説しましょう。
YouTubeにチャンネルを開設する
YouTubeに動画を投稿するには、自分のチャンネルを開設する必要があります。
チャンネル開設にあたっては、まずGoogleアカウントを作成します。
Googleアカウントを作成したらYouTubeにアクセスして、チャンネルを開設してください。
動画を撮影する
チャンネル開設ができたら、動画の撮影に移ります。YouTubeの画面からスマホを使って直接撮影に入ることもできれば、カメラやスマホなどで撮影した動画をYouTube上に公開することもできます。
動画を編集して投稿する
動画撮影ができたら、その動画を編集します。切り出したり繋いだり、テロップや効果音・BGMなどを加えたりしてYouTubeに投稿します。その際には、動画のタイトル、説明、タグやハッシュタグも入力します。
タグは、動画のジャンルや内容をYouTube側に知らせる役割があり、視聴するユーザーには見えません。一方、ハッシュタグは「♯○○」といった形で表記され、同じハッシュタグがクリックされると、画面に自分の動画も表示されたり、検索で上位表示されやすくなったりします。よって、ハッシュタグは絶対に入力するようにしてください。
動画撮影に必要なツール
動画撮影に欠かせない、おすすめのツールを紹介しましょう。
ジンバル・三脚
動画撮影に慣れている人なら聞き馴染みのある「ジンバル」ですが、中には初めて聞くという方もいるかもしれません。
動画を投稿する際に最も気を配るべきことの一つに、手ブレを起こさないことが挙げられます。画面が揺れていると視聴者が酔ってしまい、動画の内容に集中できず、場合によっては途中離脱してしまう恐れがあるからです。そんな手ブレ防止の強い味方となるのが、ジンバルです。
ジンバルは、先端にスマホをセッティングしてグリップを片手で持つだけで、どんな角度で撮っても常に画面を水平に保つため手ブレが防げます。とくに屋外での撮影の場合、立ったり座ったり、走ったりジャンプしたりすることもあるでしょう。前に立つ人たちやフェンスの向こう側を、高い位置から撮りたいこともあるかもしれません。ジンバルはスティックが伸びるうえ、これらのさまざまな動きにジャイロ式で柔軟に対応できるので、安定した動画が難なく撮影できるのです。
また、スマホ用の「三脚」もYouTube動画には必須です。
手ブレを防止するのはもちろん、とくに一人で撮影する際には、テーブルや床、地面に固定しながら自撮りしたり、撮りながら別の作業を行なったりできるので大変便利です。垂直に伸び縮みするタイプもありますが、自由にクネクネと脚を曲げ伸ばしできるタイプもあって、斜面に設置できたり、手すりや木の枝などに巻き付けて使えたりするものもあるので、用途に合わせて使い分けるのもよいでしょう。
照明
動画撮影では、明るさの調整も非常に重要です。演技やセリフ、説明内容といった素材がどれだけ素晴らしくても、画面が暗すぎたり、被写体がぼやけたりすると、一気にクオリティが下がって素人感が目立ってしまいます。
そこで、専用のLEDリングライトやビデオライトなどを使うと、場所に左右されることなく明るさの調整が可能になります。
ただし、照明によっては非常に多くの消費電力が必要なものや器具を冷やすためにファンを使用するタイプもあります。あらかじめバッテリーの持ち時間やファンの静音性などをよくチェックして購入するようにしてください。
マイク
動画のクオリティを大きく左右する要素として音声も忘れてはなりません。室内であれば、スマホ内蔵のマイクでも十分かもしれませんが、屋外の場合や歌動画、ゲーム実況動画の場合は、専用のマイクがある方が、音源をよりクリアーにキャッチすることができます。
編集ソフト・アプリ
最近は、スマホ内蔵の機能である程度動画編集ができるようになっています。しかし、ライバルやプロに負けない質の高い動画を投稿したければ、それでは物足りないでしょう。
パソコンで編集できるソフトやスマホ用のアプリが多数あるので、作成したい動画のイメージに合わせてうまく活用することをおすすめします。
例えば、動画にBGMは不可欠ですが、著作権を侵害しないためには自作するかフリー音源を利用するしかありません。専用のアプリなら著作権フリーの音源が豊富に用意されており、中にはBGMを流しながら撮影できるものもあるので、配信する際のイメージが湧きやすいだけでなく、編集作業が非常に楽になります。
昭和以前のアナログムービータッチの動画や、美顔加工、フィルターを多用した盛り動画、逆再生、スローモーション、テロップの挿入など、それぞれに特徴や強みがあります。しかも無料で使えるものも多いので、利用しない手はないでしょう。
撮影・投稿の目的を明確にする
動画撮影や投稿の際のプロセスは、その目的によって異なってくることも知っておく必要があります。
具体的には、「情報発信目的」「記録目的」「収益化目的」の3つに大別できます。それぞれについて解説しましょう。
情報発信目的の投稿
ガーデニングやプラモデル制作、地元地域やおすすめの飲食店紹介など、趣味やお得情報の発信が目的という場合は、動画を撮影し編集が済んだら、そのまま投稿するという流れで問題ありません。
ビジネスや収益、アンチコメントなどについて過度に気にする必要がないため、撮影も配信もあくまで楽しみの一つとして捉えることができます。独自目線の切り口やアピールポイントを強く押し出せるうえ、自由度が広いところが利点でしょう。
記録目的の投稿
会社の研修やイベント風景、業務フローや作業マニュアル、講演会、文化祭や遠足、運動会、卒業式などの学校行事を、記録目的で撮影することもあるでしょう。
就活生や株主などのステークホルダー、新入社員などが視聴する動画なら、相手目線に立ち、分かりやすくて説得力のある内容に仕上げることが重要です。そのためには、綿密な筋立てや出演者、ロケ地、季節・天気といった細やかな要素に配慮した入念な準備が求められます。また、内容によってはYouTubeの編集画面で「非公開」に設定して限定配信できるようにする必要もあるでしょう。
収益化目的の投稿
動画撮影目的の中でもっとも多いと考えられるのが、収益化でしょう。いわゆる「ユーチューバー」として、動画配信により広告収入を得るというものです。
ただしYouTubeでは、ただ闇雲に好きな動画を配信したら自動的に稼げる、というわけではありません。
・直近12ヶ月における総再生時間が4,000時間以上である
・チャンネル登録者数が1,000人以上である
この2つの条件をクリアーすることが必須となります。これらを満たすと「YouTube Studioページ」に「YouTubeパートナープログラムの参加申し込みページ」が、表示されます。この申込みを済ませて、Google AdSenseアカウントとYouTubeチャンネルを紐付けすると、このAdSenseアカウントから広告収入が受け取れるようになるのです。ちなみに、同じアカウントでサブチャンネルを設けることもできますが、収益化の条件は、それぞれのチャンネルで別々にクリアーする必要があります。
加えて、収益化に至るまでには、上記2つの条件以外に、動画の内容が規定のコンプライアンス基準を満たしているかについても審査が行われます。差別や扇動的内容、暴力的な映像、法律に反するものなどが含まれていると、収益化はおろかアカウントが停止され、動画を配信することができなくなる可能性があります。
一つのチャンネルでコンプライアンスに引っ掛かると、サブチャンネルも含めたすべてのチャンネルで配信停止処分を受ける恐れがあるので、十分に注意してください。
撮影に成功するためのポイント6選
ユーザーから高い動画を得るために、撮影の際に押さえておくべき大切なポイントを6つ紹介しましょう。
構成とストーリーを考える
普段何気なく視聴している動画でも、プロや人気ユーチューバーが撮影したものは、構成やストーリーがしっかりと組まれています。
偶然現場に居合わせて撮影したものを除いて、「何を」、「いつ」、「どこで」、「誰と」、「どのように」、また編集後の再生時間を考えて「撮影時間の尺が合計でどれくらい必要なのか」を綿密に計画したり、打ち合わせしたりすることが大切です。
起承転結を意識して、もっとも伝えたいアピールポイントで最高潮の盛り上がりを見せるために、前振りや解説、過去の動画を挿し込むといった工夫を凝らすことが重要でしょう。この構成が巧みであればあるほど、視聴者の満足度はアップしますし、次回も観たいと考えてチャンネル登録をしてくれるユーザーが増えると考えられます。
発声や収音に配慮する
音声がはっきり聞き取れないと、視聴者は非常に大きなストレスを感じるものです。
よって、セリフや解説付きの動画の場合は、声の大きさや声色、高低、テンポなどに十分配慮してください。アナウンサーは、1分間に300字が目安といわれているので、その速さを基準にし、繰り返し練習してみるのもよいでしょう。
撮影の際のマイクも、スマホ内蔵のもので事足りるのか検討してください。必要であれば、離れたポイントの集音に特化したガンマイク、両手がフリーになるピンマイクやヘッドセットマイク、ゲーム実況なら単一指向型で環境音を遮断できるマイク、歌うならハンドマイクやスタンドマイクなど、用途とシチュエーション、出演者の好みに合わせて最適なタイプを準備するのがおすすめです。
明るさを適切に調整する
先ほど照明の項でも述べたように、明るさの調整は動画撮影の生命線といって過言ではありません。観た瞬間の直感的評価が、この明るさにかかっていると言ってよいでしょう。
初心者にありがちなのが、太陽の手前に被写体をおいて撮る「逆光」です。肝心の顔やメッセージなどが影になって全く見えなくなるので、要注意です。
また撮影中、急に画面全体の色調が変化することがありますが、これはホワイトバランスの調整不足が原因です。スマホの場合、Androidなら「WB(ホワイトバランス)」を標準で固定できますし、iPhoneは「MAVIS」などの動画アプリをインストールすれば、ホワイトバランスの調整がうまくできるでしょう。
手ブレ対策を行う
画面揺れを避けるために、手ブレを防止するのも重要です。最近は、スマホ自体の手ブレ補正機能が随分と充実してきました。ただ、長時間、頻繁に撮るのであれば、手ブレ補正機能付きのアプリを使うのもおすすめです。
ジンバルや三脚が手元にない場合は、スマホを片手で持ち、脇を締めながら撮影すると手ブレがしにくいので覚えておいてください。
1カットは10秒以内を目安にする
同じカットをあまり長く映しすぎると冗長的になり、観ていて飽きがきやすくなるので気をつけてください。
目安は長くとも10秒、短い場合は2~3秒で別のカットに切り替えた方が、動画全体に動きが出るので、興味を引き付けるのに大変有効です。
複数のアングルから撮る
上記のカットでも、複数のアングルからの映像がめくるめく現れた方が、同じアングルばかりよりも見映えすることが多いです。
その分、撮影には時間と手間がかかりますが、確実にクオリティはアップするので、とくに見せ場では意識して別アングルを多めに撮るように工夫してください。
まとめ
YouTubeは、自分の思いや考えをアピールしたり、大好きな世界観を世界中の人たちと共有したりするにはうってつけのプラットフォームです。
顔や姿を前面に押し出してもよいですし、あえて正体を伏せながら配信するのも面白いかもしれません。サブチャンネルを複数開設して使い分けたり、ライブ配信したり、オンラインサロンという形で限定配信する方法もあります。
自分らしい唯一無二の動画を撮影して、この上ない喜びや楽しみを数多く体験してください。