YouTubeは儲からない? 巨大動画サービスとの正しい付き合い方

ネットビジネスにはさまざまなものがあります。何を売るのかという方向性も、マネタイズのモデルも無数に存在し、今や稼ぐ手段としてネットを利用しないのはナンセンスであるとさえ言えるでしょう。

その中にあって、2010年代後半から一気に人気が高まったのがYouTubeです。特に2020年からは一般人のみならず芸能人やスポーツ選手なども多数参入するようになり、無数のチャンネルが競い合うようにして動画コンテンツを発信し合う状況になりました。

しかし、華々しいイメージとは異なり、YouTubeの広告収入そのもので稼ぐことができるのはごく一部の人だけ、とうのが現実です。少なくともYouTubeだけで生活できるほどに広告収入を上げるのは至難の業であり、2021年の今からそれを目指すのは、現実的な戦略であるとは言えません。

それではYouTubeでコンテンツを発信するのは、ビジネス的にまったくの無意味なのでしょうか? そんなことはありません。広告収入で生活していくといった目的ではなく、もっと幅広い観点からビジネスを展開していく一環としてYouTubeを活用する分には、大きなメリットが存在するのです。

この記事では、具体的にどのようにYouTubeを利用し、売上に繋げていけばよいのかについて解説していきます。

目次

YouTubeを利用して収入を得る仕組み

まずは、YouTubeを利用してどのように収益を上げることができるのか、その仕組みについて解説していきます。

いわゆるYouTuberが稼いでいるイメージは一般に浸透していますが、彼らが具体的にどうやって稼いでいるかについては、あまり知られていません。実はチャンネル登録者数の多い人気YouTuberは、広告再生から得られる収入以外にも、たくさんの方法で高額の報酬を得ているのです。

YouTuberの収入としては、主に以下の6つが挙げられます。

・広告収入
・スーパーチャット
・メンバーシップ
・企業案件
・アフィリエイト
・オリジナル商品の販売

一つずつ見ていきましょう。

広告収入

「YouTuberの収入源は?」と質問されたときに、多くの人が最初に思い浮かべるのが広告収入でしょう。広告は視聴者にとって良くも悪くも身近な存在であり、イメージするのが簡単だからです。

広告収入は1再生あたり0.1円とも0.2円とも言われていますが、実際にはそのチャンネルのジャンルによって大きく異なります。YouTubeの広告は、そのチャンネルのジャンルによって再生される内容が変わる仕組みになっており、より収益の見込める広告が再生されるチャンネルの場合は、1再生あたり1円や2円になることもあり得るのです。ですから、単純にそのチャンネルの登録者数が動画の再生回数だけで、外部の人間が広告収入の見当をつけることはできません。

広告の表示のされ方にも、いくつか種類があります。以下で一つずつ解説していきます。

1. Trueviewインストリーム広告

動画の前中後の任意の箇所に、チャンネル運営者が表示させることのできる広告です。5秒後にスキップすることができる広告、と言えばすぐに理解できるのではないでしょうか。

報酬が発生するのは、視聴者がスキップせず30秒以上再生してくれた場合か、その広告をクリックしてくれた場合です。チャンネル運営者が広告の内容を決めることはできません。すでに述べたように、どのような広告が再生されるかは、そのチャンネルのジャンルなどによってシステムが決定しています。

2. Trueviewディスカバリー広告

YouTubeの検索画面や、関連動画の上部などにバナーとして表示される広告です。クリックされた場合のみ報酬を得ることができます。

この広告も、表示される内容についてチャンネル運営者が決めることはできません。

3. アウトストリーム広告

スマートフォンでのみ表示される広告です。広告の50%が2秒以上表示された場合に、報酬を得ることができます。この広告もやはり、チャンネル運営者が内容を決めることができない仕様になっています。

画面を大きく占有するかたちで表示される広告なので、視聴者の注意を引きやすく、興味を持たれれば見られる可能性も高いと言えます。

4. バンパー広告

インストリーム広告とは異なり、スキップすることができない仕様になっている広告です。再生時間は6秒間で、動画の前中後のいずれかに表示させることができます。1,000回再生されるごとに報酬が発生する点が特徴です。

スキップできない代わりに6秒間と短い広告であるため、いかにして情報を盛り込むかといった点で、広告を打つ側にとっては難しいものとなっています。

5. オーバーレイ広告

動画再生画面の下部に表示されるバナー広告です。視聴者が右上の×ボタンをクリックしないと消すことができないのが特徴です。

×ボタンが非常に小さいため、誤って広告をクリックしてしまうことも少なくありません。また、動画の視聴中にわざわざ手動で広告を消す作業は、かなり面倒なことでもあります。そういった意味では不誠実な広告であるとも言え、多用するのはオススメできません。

6. ディスプレイ広告

オススメ動画の最上部に表示させることのできる広告です。動画再生中の視聴者の目に留まりやすく、自然なクリックを促すことができる点が特徴です。広告がクリックされることで報酬が発生します。

7. スポンサーカード

動画の中に登場した商品を表示させることのできる広告です。動画の中で商品を魅力的に紹介することができれば、視聴者の購入を獲得しやすいという特徴があります。

チャンネル登録者がそれなりにおり、かつ紹介できる商品がある場合に使用することができます。

スーパーチャット

ライブ配信やプレミア公開動画においては、視聴者からの投げ銭によって収入を得ることができます。この仕組みをスパーチャットといいます。

スーパーチャットでは、視聴者は最大5万円までの金額を投げ銭することができます。ライブ配信をメインに活動することで、広告収入よりもスーパーチャットのほうで高収入を得ている人もいます。ゲーム配信をメインにしているチャンネルなどが、その代表例です。

メンバーシップ

メンバーシップとは、YouTube上で月額課金制のサブスクビジネスを行うためのサービスです。チャンネル登録者数が3万人以上で、18歳以上の人が利用できます。

月額は自由に設定することができますが、最低価格は490円となっています。売上の30%は手数料としてYouTubeに徴収されるので、チャンネル運営者が得られるのは総売上の70%ということになります。

広告収入よりも安定しているので、ある程度の固定ファンを掴むことができているチャンネルであれば、メンバーシップを導入して限定コンテンツを発信していくのは良い選択肢となるでしょう。

企業案件

企業案件とは、要するに企業とのタイアップ動画のことです。その具体的な報酬額は、チャンネル運営者と企業とのあいだで決まるものですが、一般論として、非常に大きく稼げる可能性を秘めたものとなっています。

まず、企業から自社商品について「動画内で紹介して欲しい」という依頼を受けます。それを引き受けたうえで、動画で紹介し、リンクに流すだけで報酬を得ることができます。登録者数の多いチャンネルでは、一本で100万円単位の報酬を受け取ることも珍しくありません。

企業案件を受けることは、YouTubeで活動していくうえでの一つの目標となるでしょう。

アフィリエイト

かつてアフィリエイトといえばブログで行うものでした。記事にリンクを張り、そこから訪問者に商品を購入してもらうことで、報酬を得るというものです。今では同じことを、YouTubeの概要欄を用いることでも盛んに行われており、ブログと同等以上に浸透しています。

テキストだけで訴求するブログより、動画で紹介したほうが商品に関する説得力が出るケースも多く、より効率よく購入まで繋げていける可能性を持っています。ガジェット系YouTuberと呼ばれる人達などが特にアフィリエイトと相性が良く、一つの動画で100個単位の購入を促すこともあります。

オリジナル商品の販売

オリジナル商品の販売は、ある意味では到達点とも言えるものです。これまでに紹介した方法は、どれも結局は「他人の商品を売る」行為なのに対し、オリジナル商品の販売はあなた自身の商品を販売するという決定的な違いがあります。

その収益性は段違いであり、あなたに一定のファンがついていて、商品を購入してくれる意欲があると思われるのであれば、チャレンジしない手はありません。物理的に商品を開発するのでもよいですし、かたちのない「情報」に値段をつけて売るという方法もあります。

YouTuberは儲からなくなってきたのか

今やYouTuberは、子どもがなりたい職業の上位に常に位置する職業です。最近ではタレントなどの有名人も多数参入しており、ますます活気に満ち溢れています。

しかし、そういった見た目の華々しさだけに目を向けて参入を考えるのは、ちょっと待ったほうがよいかもしれません。なぜなら、収入面での厳しい現実がそこにはあるからです。

大きく稼げるのは一握り

まず知っておかなくてはならないのは、少なくともYouTube単体で生活できるほど稼ぐことができているのは、ほんの一握りのYouTuberだけだということです。YouTubeを始めたほとんどの人は、チャンネル登録者数も動画再生数もろくに増やすことができず、くすぶってしまうというのが現実なのです。

2020年頃からタレントも多数参入していますが、彼らのように最初から知名度がある場合でも、YouTubeで必ずしも成功できているわけではありません。それくらい厳しい世界になっているわけです。

プロ化するYouTuber

YouTuberの収入は年々減ってきていると言われています。その理由の一つとして、YouTuber側が提示している報酬体系が厳しくなっていることが挙げられます。具体的には、広告単価が安くなり、そこそこ動画が再生されたという程度では、雀の涙ほどの収益しか発生しなくなってしまった、というような事態です。

視聴者の数は増えていますが、それと同等以上にチャンネルの数も増えているので、パイの奪い合いも激しくなっています。視聴者の目も肥えてきているため、質の低い動画ではもはや見向きもされません。

動画のレベルを向上させるために、チーム制を採用して動画製作をする人も増えており、YouTuberは以前と比べていっそう「プロ化」したのだと言うことができます。競争は確実に激しくなっています。

なぜ有名人が参入するのか

タレントなどの有名人がYouTubeに参入する理由としては、単にYouTubeが浸透したからというだけでなく、YouTubeのフォーマットが固まってきて、何をすればよいのかわかりやすくなったから、ということも挙げられます。良くも悪くも、プラットフォーム初期にありがちな混沌としたイメージがなくなってきたのです。

また、違法動画をアップロードされて迷惑している有名人が、それならいっそ、ということで自ら動画を投稿するといった自衛の意味もあると言われています。

さまざまな思惑があって、現在のYouTubeが成り立っていることがわかりますね。

YouTubeの広告収入では大きく稼げない

YouTubeを始める人に向けて、まず最初に突きつけるべき現実は、YouTubeの広告収入で大きく稼ぐことは極めて難しい、ということです。

YouTubeの広告にいくつか種類があることはすでに述べましたが、そのいずれについても同じことが言えます。広告を見てもらうこと、クリックしてもらうことだけでは、たいして稼ぐことができないのです。

この項では、その点について具体的に解説していきます。

YouTubeアドセンスの広告単価

YouTubeにおける広告単価については、すでに述べました。一般的には1再生あたり0.1円とか0.2円などと言われていますが、それより高い場合もあれば低い場合もあります。あなたが発信する動画コンテンツのジャンルなどによって分かれるので、一概に言うことはできません。

しかしいずれにせよ、それらは「大儲け」などとは程遠い額となります。酷い場合には広告単価は1再生あたり0.01円ほどしかないとも言われていますが、この場合は動画が100万回再生されても、あなたに入る報酬はわずか1万円です。どれだけ効率の悪いことかがわかるのではないでしょうか。

単純に広告収入で考えるのであれば、YouTubeに夢があるとはとても言えません。それ以外の手段とセットで考えて、初めてYouTubeというプラットフォームをビジネス的に活かすことが可能になるのです。

規制や権利関係が厳しい

YouTubeには細かな規制がたくさんあります。また著作権に関しても非常にうるさく、わずかでも違反したら、それだけで動画を削除されたり、収益化を剥奪されたりする可能性もあります。

最近ではゲーム実況の配信が人気ですが、これについても、ゲーム会社が許可を出している場合にのみ可能なのです。実際のところ、ほとんどのゲームは配信が禁止されており、それらを勝手に実況してしまったら、しっかりとペナルティを食らうことになります。

したがって、禁止事項には十分注意する必要があるわけですが、どれだけ注意しても何らかの規制に引っかかってしまうということはあり得ます。YouTube一本で活動していくことには常にリスクが伴うということが、この点からも言えるのです。

アカウント停止もあり得る

規約違反や著作権侵害が度を越して悪質であるとYouTubeに判断された場合、アカウントそのものが停止してしまう可能性もあります。一つの動画で広告が停止されるだけならまだ何とかなりますが、それまでせっかく育ててきたアカウントが二度と使えなくなってしまうことは、文字通り死活問題となります。

「さすがにそこまでのペナルティはめったに課されないだろう」と思うかもしれませんが、アカウントの停止は毎日あちこちで起きていることであり、気をつけていたとしても、いつYouTube側に悪質と判断されてしまうかはわかりません。この辺りのリスクは、YouTubeで活動していくのであれば必ず肝に銘じておかなくてはならないことであると言えます。

YouTubeで収益を上げる方法

では、YouTubeで収益を上げていくためには、どのようなことに気を配ればよいのでしょうか。この項では、その具体的な方法について解説していきます。

正しい稼ぎ方を理解する

すでに解説しましたが、YouTubeにおいて広告収入だけで稼ごうとするのは無謀です。YouTubeの広告単価はお世辞にも高いとは言えず、それだけでは動画がどれだけ再生されても、大きな収益を上げるには至りません。

そこで重要になってくるのは、これもすでに述べたことですが、多様な稼ぎ方が存在することを理解することです。

特に大きいのは、企業案件を受けることと、オリジナルの商品を売っていくことです。この2つは単体で非常に大きな収入を得られる可能性を秘めており、その爆発力は広告収入とはまるで比較になりません。特にオリジナル商品が当たったときの儲かり方はまさに青天井で、商品の魅力によっては果てしなく稼ぐことができてしまいます。

動画の質を高める

言われるまでもないよ、と思われるかもしれませんが、動画の質を高めることは基本中の基本です。どれだけ稼ぎ方を知っていたとしても、あなたの動画が高い評価を得て、多数のファンを獲得できなければ、絵に描いた餅です。良いコンテンツを送り出すことが、すべての始まりとなるわけです。

どのようなジャンルを攻めていくかは、完全にあなた次第です。あなたの強みが何なのかをよく考えたうえで、自分ならどの方向にコンテンツを揃えていくことができるのかを、最初にしっかり考えることが大切です。また、市場の分析も不可欠となるでしょう。誰にも必要とされていないコンテンツを充実させても、結果に繋がることはないからです。

継続して動画を公開する

質も大切ですが、それと同じくらい量、すなわち公開の頻度も大切となります。質にこだわるあまり、めったに動画が公開されないチャンネルになってしまったら、登録してくれる人の数は期待できなくなります。

自分なりのスケジュールを立てて、定期的に新しい動画を公開し続けるようにしましょう。

SEOを意識する

SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、日本語では「検索エンジン最適化」と言います。これはつまり、YouTubeで検索されることを意識して、動画のタイトルや説明文を作るということです。

SEOを意識することによって、あなたの動画は検索結果に表示されやすくなります。これによって視聴してくれる人が増え、グッドボタンが押されるなどの反応があれば、さらに検索上位に表示されやすくなるという善循環が発生します。

もちろん、検索エンジンを意識するのと同時に、視聴者が思わずクリックしたくなるようなタイトルであることを目指すことも大切です。機械と人間の両方に認められることで、あなたの動画とチャンネルは成長していくのです。

動画からその他のビジネスへ誘導する

YouTubeを活用してオリジナル商品を販売するといった場合には、動画から外部のサイトへ視聴者を誘導する必要があります。誘導先で商品を販売し、それによって高い収益を上げるわけです。

この場合、視聴者の興味を引く動画を作ることももちろん大切ですが、誘導先のサイトもきちんと作っておく必要があります。メールマガジンなども用意し、概要欄から簡単に登録ページに飛べるようにしておくとよいでしょう。

再三述べてきたことですが、YouTubeのみで稼ぐことを考えるのではなく、「YouTubeを活用して」稼ぐことをしっかり考えていくべきです。そのためにはYouTubeの外の仕込みも整えておくことが重要となります。

YouTubeを上手に活用していこう

以上、YouTubeを使ってビジネスを展開していくコツについて解説しました。

YouTubeを使って成功するためには、まず動画そのものを魅力的なものにし、そのうえで「それをどのようにしてマネタイズしていくのか」をしっかりと考え、実践しなければなりません。ただ漫然と広告収入が入るのを待っているだけでは、2021年現在のYouTubeで成功することは極めて難しいでしょう。

そしてそのうえで、楽しみながら動画を作っていく姿勢も忘れてはいけません。特にあなた自身が演者となる場合には、あなたが楽しんでいないと視聴者を楽しませることもできませんので、ビジネスの根底に「楽しさ」を常に置いておくことは、あなたが思っている以上に大切になってきます。

YouTubeを使って稼ぐためにすべきことはたくさんありますが、この記事を参考にして、ぜひあなたのビジネスを上手に成功へと導いていってください。

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この記事を監修した人

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