国内配送と違って国際配送では貨物の積み替え回数が多くなりがちです。また、海外の配送業者は日本の業者より若干貨物の扱いが雑な傾向にあります。そのため、輸出用の貨物は国内配送の時とは別の方法で梱包するよう推奨されています。
こちらの記事では木材梱包を始めとした輸出梱包の作り方や種類、そのメリットを紹介しますので、輸出事業者の方は是非参考にして下さい。
梱包の目的
本題に入る前に、そもそもどうして貨物を梱包するのか確認しておきましょう。
荷物を梱包する理由として考えられる事由は3つです。
(1)貨物の保護
輸送中は振動や接触により貨物が損傷する危険があるため、梱包して貨物を守る必要があります。
また、保管中に汚れないようにする目的もあります。
(2)輸送・保管作業を容易にする
外装を梱包しておくことで、フォークリフトなどによる作業を容易にするという理由もあります。
(3)納品先の搬入作業を容易にする
梱包すれば貨物の情報を外箱や外装に記載できるようになるので、納品先で速やかに搬入することができるようになります。
国内梱包と輸出梱包
一口に梱包と言っても、国内配送用の梱包と輸出用の梱包はかなり違います。
国内梱包
国内配送は、離島を除き貨物の積み替えもほとんどなく、輸送距離も短めです。また、日本の配達員は貨物の扱いが丁寧であるため、木枠梱包でも十分事足ります。
輸出梱包
輸出の場合は輸送手段によって梱包方法が変わってきます。
航空機で輸送する場合はとにかく軽さが求められるため、木箱やダンボール梱包が一般的です。
コンテナ船で輸送される場合は、貨物の積み替えが多いため、より頑丈な梱包方法が採用されます。
密閉木箱
ここからは梱包方法の種類を紹介します。
まず最初は密閉木箱です。輸出梱包の定番で、主に工作機械類の梱包に用いられています。精密機械の梱包にも向いています。
メリット
・防水、防湿効果が高い
・密閉されているため盗難防止効果も高い
・大型重量品にも対応している
すかし木箱
隙間が空いた木枠による梱包で、中身が外から見えるようになっています。輸出梱包として使われることもありますが、主に国内梱包で使用されます。
メリット
・密閉木箱よりコストが安い
・大型重量品にも適している
・加工がしやすい
スチール梱包
ただし、最近は多くの国で木製梱包材に対する植物検疫規制が強くなっています。そのため、木製梱包には消毒処理が欠かせません。そこで、木製梱包に代わって使用されているのがスチール梱包です。
スチールケース梱包
スチールケース梱包とは、鋼材をボルト・溶接で組み立てる梱包のことです。
スチールクレート梱包
スチールケース梱包より少ないスチールで梱包可能な方法です。
メリット
・消毒処理が不要
・木材梱包より丈夫で軽量、なおかつ安い
バンドル梱包
鋼などの丈夫な素材のバンドルで結束するだけの梱包方法です。頑丈で損傷しにくい貨物の梱包に用いられます。
メリット
・コストが安い
・貨物の確認が容易
ストレッチ梱包
パレットに積まれた貨物が荷崩れしないように、側面をストレッチフィルムで巻きつける梱包です。
メリット
・固く結束できる
・コストが安い
・フィルムが透明であるため、貨物の確認が容易
スキッド梱包
箱詰めではなく、貨物の下に角材などを置いて直置きを防ぐ梱包方法です。特に保護する必要のない貨物の梱包に用いられます。
メリット
・コストが安い
・貨物のバンニングが容易
バリア梱包
機械類を乾燥剤とともにバリアで覆って空気を抜き、真空にした状態で梱包する方法をバリア梱包と言います。
メリット
・防水性に優れている
・温度変化による結露を防げるため、貨物が錆びない
強化ダンボール
これは強化ダンボールで密閉する梱包で、主に航空輸送貨物の梱包に用いられます。
メリット
・軽量(木箱の約3分の1)
・コストが安い
・組み立て、開封が容易
パレット
これはパレット(荷台)に貨物を載せるだけです。
パレットの種類には以下のようなものがあります。
・木製
・プラスチック
・ダンボール
・スチール
・ボックス
メリット
なんと言っても、搬入作業を効率化できる点がメリットです。
梱包方法の英語表記
輸出する際に提出するインボイスやパッキングリストには、梱包方法を英語で記載する必要があります。
梱包用語の英語表記
主な梱包用語の英語表記は以下のとおりです。
パレット : Pallet
スキッド : Skid
ダンボール箱 : Carton box
木箱 : Wooden box
スチール梱包 : Steel box
バンドル(束) : Bandle
輸出梱包は念入りに
梱包方法は今回紹介したものが全てではありません。しかし、特定の業界でしか使われていない梱包方法では、税関での判別作業に時間がかかるだけでなく、搬入作業も遅れがちになってしまいます。
荷物を海外へ送るなら、今回紹介した梱包方法のいずれかを使って発送することをおすすめします。