徹底解説!アリエクスプレスの関税まとめ
アリエクスプレスとは、中国の通販サイトです。アリエクスプレスに限らずこのような海外の通販サイトを使用して輸入する場合は、その目的によって課税価格は変化します。商売目的ではなく個人使用目的の輸入の場合、商品価格が16,666円以下で免税ということや、課税価格の合計が20万円以下で簡易税率が適用されることをご存知でしたか。
今回はこのような関税に関する少し難しい知識について、アリエクスプレスを例にその注意点や実際の関税計算の方法、支払い方法などを徹底解説していきたいと思います。
関税に関する失敗例から学ぼう
まずは関税に関する失敗例からご紹介していきたいと思います。失敗例を最初に学んでおくことで、今後自分も同じ間違いを犯さないように注意することができます。
関税の高額請求に注意!
特に輸入ビジネスを始める際などに注意してほしい失敗例として、関税があまりにも高額だったために支払いができなかったという事例があります。どういうことかというと、ビジネスを始めるにあたって品揃えを充実させるために一気に大量の商品を仕入れたことによって関税額が非常に高くなり、いざ商品到着時の関税の請求書を見てあまりの高額請求に手元資金が足りないことに気づいた・・というケースです。
このような失敗をしないためにも、必ず関税費用も経費の一つとしてしっかりと計算をして、それに見合った仕入れを行うことが重要になります。
関税によって売上が赤字に!
こちらも先ほどと似たような事例になりますが、仕入れ時の関税の計算を怠ってしまったがために頻発する失敗の一つです。日本国内では現在各品目ごとにかかる税率が異なっていますが、同一商品でも素材の違いにより税率が変わる場合があります。例えば布製のハンドバックの場合、関税は8〜12%の適用ですが、革製バッグの場合は8〜16%と高額になります。これらの関税の知識は少しややこしいですが、輸入ビジネスを行う際には必ず身につけておく必要があります。
通関に予想以上に時間がかかってしまった!
通関にどれくらいの時間がかかるのか、繁忙期などは特に読めないことがあるため注意しましょう。商品を売りたいタイミングで仕入れたはずなのに、なかなか商品が届かず出品が間に合わなかったりチャンスを逃してしまった・・というケースもあります。年末年始などの物流量が増える時期は特に、通関業務に時間がかかる場合があります。そのためいつも以上にスケジュールに余裕を持って先を見越して仕入れを行う必要があります。
そもそも関税とは
ここからはそもそも関税とはいったい何なのかということについて触れていきたいと思います。
関税とは輸入品に掛けられる税金のことで、国内の製造業やメーカーなどを保護することが目的とされています。海外から安い商品を自由に輸入できるようになってしまうと、国内製品が価格競争に負けて製造業が衰退してしまうことを防ぐためです。関税の分だけ商品の価格が値上げされることにより、国内製品の需要を守ることができます。
アリエクスプレスにおける輸入について
それではアリエクスプレスにおける輸入区分の使い分けはいったいどのようになっているのでしょうか。冒頭で、アリエクスプレスに限らず全ての輸入品は「商売目的の輸入(小口輸入)」と「個人使用目的の輸入」の二つに分けられるとお伝えしました。これらはそれぞれ使用の目的によって関税率も変化しますが、注意してほしいことは「個人使用目的」はあくまでも自分一人で使用するために輸入したものであるということです。例えば商品の転売行為のみならず共同購入や、譲渡などもこちらの個人使用目的には当てはまらないので注意しましょう。個人使用目的の場合は商品価格の0.6掛けの価格のみが課税価格になるという特別な優遇措置がある代わりに、このように制限が設定されているのです。
アリエクスプレスで輸入する場合も同様にこの法律に則って、使用目的に合わせた関税を支払うことになります。
関税の支払い方法3つ
次に関税の支払い方法についてご紹介していきたいと思います。関税の支払いについては、大きく以下の3つの方法が挙げられます。
・着払い
・銀行振り込み
・クレジットカード決済
それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。
着払いについて
海外の通販サイトで商品を購入した場合、配送先の住所に向けて直接商品が国際配送されます。この場合、「郵便系配送サービス」と「民間系配送サービス」の二通りの方法で商品は配送されます。どちらにせよ決定した関税や申告内容によって配送側が関税を立替払いし、商品を届ける際に立て替えた分の関税を徴収するという流れになります。あらかじめ配送予定日などを追跡番号で確認し、手元に現金を用意しておくと安心です。
銀行振り込みについて
銀行振り込みの場合は、海外からの輸入品が日本到着後、関税と消費税の請求通知が届くのでその金額に沿って指定銀行に振り込みます。現在ではリアルタイム口座や電子納付など通関手続きのスピード化が推進されているため、以前よりも直接足を運んだり入金確認までのタイムロスや支払いの選択肢などについても改善されてきています。
クレジットカード払いについて
クレジットカードで関税や消費税を支払いたい場合には、あらかじめ配送業者のカスタマーサービスや請求担当にコンタクトを取っておく必要あります。その際に商品の追跡番号が必要になるので、用意しておきましょう。主にDHLやFEDEXでこの方法は可能になります。クレジットカード払いの場合は、カードのポイントが貯まったり手続きがスムーズになるといったメリットがあります。
アリエクスプレス個人輸入で関税がかかる場合とは
ここからはアリエクスプレスで個人輸入をする際にかかる関税についてご説明していきます。それぞれの使用目的や商品の品目によっても少しずつ内容が変わってくるので、注意しながら参考にしてください。
個人使用目的の場合の関税
商売目的ではなく、個人使用目的の輸入の場合にもその課税対象価格が1万円以上の場合は関税が適用されます。この場合の大きなポイントとしては個人使用目的に関わる関税は商品代金の60%が課税対象価格になるという点です。そのため課税対象価格が1万円というのはつまり、実際の商品代金の60%がこの課税対象金額になるので商品代金が16,666円以上のものが課税の対象ということになります。また一般貨物や郵便小包を利用した場合、課税価格の合計が20万円以下で簡易税率が適用されます。
簡易税率適用の場合の関税
それでは簡易税率適用の場合の関税についてもう少し詳しく見ていきましょう。先ほど課税価格の合計が20万円以下の場合には、一般の関税率ではなく簡易税率が適用されるとお伝えしました。一般の関税率の場合は数千種類もの品目の中から税率を適用するのですが、簡易関税の場合はその品目分類はたったの7区分の中から適用されます。以下に少額輸入貨物に関する簡易税率表を示した財務省のページリンクを貼るので、それぞれの品目の関税率について参考にしてください。
アリエクスプレスを利用して個人輸入を行う場合は課税価格の合計額が20万円以下の場合が多いと考えられるため、ほとんどの場合はこちらの簡易税率が適用されます。また、課税価格は先ほどもお伝えした通り商品の合計金額の価格ではないという点に注意が必要です。
商売目的の場合の関税
個人使用の場合と違い、商売目的のための輸入は商品代金、送料、保険代の全てが課税の対象になります。このため特別な税率が適用される個人使用目的よりも必然的に高い税金が課されることになります。商売目的の輸入として判断される要素としては、輸入量や輸入価格、反復性などが挙げられます。
例えば明らかに個人で使用すると考えられる量よりも多く輸入している場合や、卸売価格で購入したと考えられる価格、またそれらの行為が一定期間ごとに繰り返し行われていることなどから税関により判断されるケースが多いです。
免税対象外の場合
輸入する商品の種類によっては、免税対象外になるということもしっかりと覚えておきましょう。例えばタバコやお酒は、消費税以外にタバコ税や酒税が適用されます。また先ほどあったように課税価格の合計が1万円以下の場合は免税ですが、この中にも例外の品目があります。例えば砂糖、革製品、ニット系の衣類、スキー靴など自国の産業への影響やその他の事情を考慮して特別に定められている品目があります。
輸入商品の品目に関して疑問点や不安がある場合には、税関に直接質問するなど確認してみましょう。
関税費用を計算してみよう!
関税は売上や利益にも関わる経費となります。そのためあらかじめ仕入れ前に関税額を計算しておくことは非常に重要です。ここでは実際に関税計算のシミュレーションを行うことで、実際に仕入れを行う際に役立てていきましょう。
1.商品価格が16,666円以下の場合
何度もお伝えしている通り、課税価格が1万円以下つまり商品の価格が16,666円以下の場合は免税となります。(課税価格=16,666円 × 0.6 = 9999.6円)そのため関税はかからないため、この金額に該当している場合は関税の計算も不要になります。
2.商品価格が16,667円以上の場合
仕入れたい商品代金が16,667円以上の場合、商品は免税対象ではなくなります。そのため関税の計算が必要になります。以下に商品代金50,000円のコートを例に考えていきたいと思います。
まずは商品代金と送料を足して、支払い総額を計算します。仮に送料が500円だったとして、50,000(商品代金)+500(送料)=50,500円(商品価格)です。
次に課税額の計算をします。個人使用目的の場合、この支払い代金の0.6掛けが課税対象になります。そのため、50,500(商品価格)×0.6=30,300円(課税対象額)となります。
次に品目ごとの関税率を課税対象額に掛けていきます。簡易税率の場合、コートは10%の関税率が適用されるので30,300(課税対象額)×10%(関税率)=3,030円(課税額)です。
そして課税対象額と課税額の合計から消費税について計算をします。消費税は、(30,300(課税対象額)+3,030(課税額))×10%(消費税率)=3,333円(消費税)となります。
最後に通関手数料200円をプラスして、3,030(課税額)+3,333(消費税)+200(通関手数料)=6,563円が、5万円のコートにかかる関税と消費税、手数料の合計になります。
まとめると、以下のような計算式と流れになります。
- 商品価格=商品代金+送料
- 課税対象額=商品価格×0.6
- 課税額=課税対象額×関税率
- 消費税=(課税対象額+課税額)×消費税率
- 合計=課税額+消費税+通関手数料
関税価格のシミュレーション
それではもう一度別の商品で分かりやすくシミュレーションを行なっていきたいと思います。30,000円の革靴で考えていきましょう。革製品は基本的に商品価格16,666円以下のものも課税の対象になります。
- 商品価格(送料込み):20,000円
- 革靴の関税率:20%
- 消費税率:10%
- 通関手数料:200円
この場合の計算をしていきます。
- 課税対象額=20,000×0.6=12,000円
- 課税額=12,000×20%=2,400円
- 消費税=(12,000+2,400)×10%=1,440円
- 合計=2,400+1,440+200=4,040円
商品の金額と合わせた合計は20,000+4,040=24,040円となります。
関税の注意点
それではここからは関税に関わる注意点についてご紹介していきたいと思います。うっかり脱税をしてしまっていた・・とならないためにも、しっかりと確認しておきましょう。
商業目的をごまかした脱税に注意!
まず一つ目の注意点は、転売などの輸入ビジネスを行う際は必ず商業目的の関税額で計算するということです。何度もお伝えしている通り、課税対象額の計算に0.6を掛けて計算できるのは個人使用目的の場合のみです。こちらは個人使用を前提に特別に優遇されている関税の措置なので、商売目的の場合は適用されません。脱税行為にもつながってしまうので、最初から転売などをする目的で輸入する場合は、必ず商売目的の関税計算を行ってください。
支払い方法とタイミングに注意!
次に関税の支払い方法とタイミングの注意点について見ていきましょう。支払い方法の項目でもお伝えしたように、支払いには3つの方法・タイミングがあります。基本的にはアリエクスプレスの場合は商品が自宅に届いた際に配達員の人に関税額を支払うケースが多いようですが、中にはクレジットカードや請求書の通知に従って支払う方法もあります。通知を見逃してしまっていたなどの払いそびれには注意が必要です。
まとめ
今回の記事ではアリエクスプレスの関税に関わる失敗例や支払い方法、実際の関税計算の仕方や注意点について詳しくご紹介してきました。輸入するにあたって関税は意外と大きな経費になっていきます。面倒だからと手を抜かずに、しっかりとあらかじめ計算する癖をつけましょう。関税計算が得意になることで、利益商品に対するセンスも磨くことができます。