中国国内で販売されている商品は日本国内で流通していないことが多いため、このような商品を輸入・転売できれば市場を独占することも不可能ではありません。
もっとも、中国輸入に不慣れだと、何をどうしていいのかよくわからないものです。そんなときに使えるのが「アリエクスプレス」です。アリエクスプレスは、豊富な品揃えとリーズナブルな価格で世界的に有名な中国のショッピングサイトです。
そこで今回は、アリエクスプレスを利用して転売するときのコツや注意点について、詳しくご紹介します。
アリエクスプレスを使って転売するメリットとデメリット
アリエクスプレスを利用して商品を転売するメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
アリエクスプレスってどんなサイト?
アリエクスプレス(Aliexpress)は、中国の電子商取引大手「アリババ」が運営するオンラインショッピングモールです。
その取扱商品の多さと価格の安さから、世界中の人々から利用されています。中国版Amazonのようなものだとイメージすればわかりやすいでしょう。
ただし、商品の出品に関しては、中国、ロシア、スペイン、イタリア、トルコ、フランスの6ヵ国のみに限られており、日本から商品を出品することはできません。
アリエクスプレスを利用して転売するメリットは?
アリエクスプレスを利用する最大のメリットは、何と言ってもその「価格の安さ」にあります。
アリエクスプレスなら、他のショッピングサイトに比べて非常に安い価格で商品を仕入れることができます。同じ商品でも、Amazonやメルカリの半額ほどで販売されていることも珍しくありません。
アリエクスプレスのもう一つのメリットは、「圧倒的な品揃え」です。
日用品をはじめ家具、家電、携帯電話、貴金属、アパレル用品、自転車、バイクなど、ありとあらゆる商品が販売されています。そのため、日本にはない個性的な商品を見つけることも可能です。さらに、すべての商品が1点から購入できるので、手軽に商品を仕入れることができます。
とは言え、「中国のショッピングサイトだから、中国語ができないと取引するのが難しいんじゃないの?」と考える人がいるかもしれません。しかし、心配はいりません。中国語が全くできなくても、サイト内の全てのページが日本語に対応しているので、日本人でも安心して商品を購入できるようになっています。
アリエクスプレスを利用して転売するデメリットは?
アリエクスプレスを利用して商品を転売するデメリットは、決済方法が限定されることです。
アリエクスプレスの決済方法は、「クレジットカード」「デビットカード」「プリペイドカード」「Paypal」の4つしかありません。これら以外の方法では決済ができないのはデメリットでしかありません。
アリエクスプレスの品質は大丈夫?
アリエクスプレスのショッピングサイトには、日本では馴染みのないメーカーの商品が数多く出品されています。そのため、品質に不安を感じることもあるでしょう。
そのような方のために、アリエクスプレスでは商品の品質を画像で細かくチェックできるようになっています。
たとえば、Tシャツであれば、裏側の縫い目のアップ画像を数枚掲載して品質を確認しやすくしています。このように購入者のために配慮されているので、チェックを怠らなければ、低品質の商品を購入する確率は減るでしょう。
また、気になる商品があれば、まずは1点だけ購入して品質を直接確認し、徐々に仕入れの量を増やしていくのも良い方法です。
アリエクスプレスって安全なサイトなの?
アリエクスプレスは、その価格の安さで世界中の人々から利用されていますが、一方で「トラブルが多い」ことも事実です。
たとえば、
- 商品が届かない
- 注文と異なる商品が届いた
- 注文した商品の数量が違う
- 動作不良の商品が届いた
- 偽ブランドやパロディー商品、コピー商品が届いた
といったような声がよく聞かれます。
しかも、このようなトラブルが起こってもアリエクスプレスは仲裁してくれないので、基本的には出品者と購入者の間で話し合って解決しなくてはなりません。
アリエクスプレスだけでなく、中国系のショッピングサイトは全般的にこのようなトラブルが多い傾向にあります。そのため、アリエクスプレスを利用する際は、このようなトラブルが起こることを想定した上で十分な対策をとることが大事です。
輸入転売初心者は「少量をこまめに仕入れる」ことが重要
輸入転売でまとまったロット(数量)で仕入れると、関税や国際配送料などのコストがかかります。
さらに、商品が届くまでに日数がかかることが多く、その間に需要と供給のバランスが崩れ、値下がりや不良在庫を抱えてしまうおそれもあります。
そのため、輸入転売初心者の方は、アリエクスプレスをはじめとする、1点からでも商品を購入できるショッピングサイトを利用して、人気商品を少しずつこまめに仕入れるのが良いでしょう。そうすれば、失敗のリスクを軽減できます。
アリエクスプレスで仕入れる場合の送料は?
アリエクスプレスで仕入れる場合の送料は、中国国内の送料と中国から日本への国際送料が必要になります。基本的に販売店から直接日本へ送ることは難しいため、輸入代行業者を利用して輸入することになるからです。
実際に「販売店(中国)→代行業者(中国)→購入者(日本)」のような流れになります。アリエクスプレスでは送料無料の商品が多いので、中国国内の送料は数百円程度です。
問題は国際送料。中国国内の送料に比べると高額になるため、事前に「どれくらいかかるものなのか」を把握しておきましょう。
中国から日本に仕入れる際の配送方法は、大きく分けて「航空便」と「船便」があります。
例えば、航空便で最も早く到着するEMSの場合、500gまで180元(約3,700円)、1kgまで220元(約4,500円)となります。一方、船便(国際小包)の場合、1kgまで108元(約2,200円)となり船便のほうが安いです。(2022年10月現在)
また、航空便(EMS)は中国から日本まで2〜3日で届くのに対し、船便は約1ヶ月かかります。(2022年10月現在)
このように、航空便も船便もメリット・デメリットがあるので、利益や仕入れのタイミングを考えて選択することが大切です。
アリエクスプレスからの転売は違法になる?
輸入転売について調べるときに、「輸入 転売」というキーワードで検索をすると「違法」というキーワードが出てくることがあります。
「輸入転売って違法なの?」と心配になることでしょう。ここでは、輸入転売に関連する法律について解説していきます。
輸入の方法によって違法になるケースがある
基本的に海外から安い商品を仕入れて日本で販売する行為は違法ではありませんが、輸入の方法によって違法になるケースがあるので注意しましょう。
海外から商品を仕入れる「輸入」は、「個人輸入」と「小口輸入」に分けられます。
個人輸入は、個人が使用するために海外から商品を輸入することです。その一方で小口輸入は、日本国内で販売するために海外から商品を輸入することを指します。
ここで大きく変わるのは「関税」の支払い金額です。アリエクスプレスから個人が自分で使用するために商品を輸入した場合は関税がかかりません。
そのため、輸入転売目的で商品を仕入れる際に、関税がかからない個人輸入で仕入れるケースが増えています。
個人輸入のほうが関税がかからない分、安く仕入れることができますが、実際に商用目的で輸入しているとすれば脱税です。こういった背景から、ネット検索で「転売輸入」を調べた際に「違法」という言葉が出てきます。
実際に輸入する際に、個人輸入としてきちんと申告すれば、違法になることはありません。
個人輸入か小口輸入かは誰が判断する?
個人輸入か小口輸入かを判断するのは、税関の担当者が決めます。しかし、この輸入の種類の判断基準は公開されていません。
実際のところ、税関を通るときに小口輸入のつもりでも個人輸入になるケースがあります。ただし、この場合にラッキーと思ってそのままにしておくと脱税になるので注意が必要です。
輸入した際に、個人輸入か小口輸入かどちらで処理されたのかがわからない場合は、税関に問い合わせて確認しなければいけません。
一度、小口輸入で申告すると、以後同じ名義で輸入した場合は自動的に小口輸入になります。
商品をできるだけ安く仕入れるために、意図的に個人輸入で申告することは違法です。輸入転売で正々堂々と商売をするなら、きちんと申告するようにしましょう。
「古物商許可」とは?
ところで、中古品を転売目的で仕入れる際は、「古物商許可」が必要です。
この古物商許可とは一体何なのでしょうか。詳しく解説しましょう。
古物商許可ってどんな許可?
古物商許可とは、中古品を転売目的で仕入れる際に必要な許可です。
リサイクルショップや古本屋、金券ショップといった中古品を扱うお店は例外なく古物商許可を取得しなければなりません。
古物商許可は店舗がなくても必要
古物商許可が必要なのは、中古品を転売目的で仕入れる実店舗だけではありません。
たとえば、「せどり」と呼ばれるインターネット上での中古品転売ビジネスを行う場合でも、実店舗同様、古物商許可を取得する必要があります。
古物商許可は中古品を「転売しない場合」も必要
「仕入れた中古品を転売しなければ、古物商許可は必要ないんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、古物商許可は中古品を「仕入れる」ための許可であり、転売行為の有無は全く関係ありません。
そのため、後で転売をする予定がなくても、中古品を仕入れる場合は必ず古物商許可が必要です。
古物商許可を取らずに転売目的で中古品を仕入れると、逮捕される可能性がある
古物商許可を取らずに転売目的で中古品を仕入れると、逮捕される可能性があります。
逮捕され、罪が確定した場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることになります。
そのため、転売目的で中古品を仕入れる際は、必ず古物商許可を取るようにしましょう。
アリエクスプレスで仕入れた中古品の転売にも古物商許可は必要?
アリエクスプレスから仕入れた中古品の転売にも古物商許可は必要なのでしょうか。
その答えは、NOです。
これはどうしてなのでしょう。その理由を詳しく説明します。
海外からの仕入れに古物商許可は不要
海外から直接中古品を仕入れる場合は、古物商許可は不要です。なぜなら、古物商許可の取得は、日本国内での盗品の流通を防ぐのが目的だからです。
アリエクスプレスは中国のショッピングサイトです。アリエクスプレスから中古品を仕入れることは中国から直接仕入れていることになるので、古物商許可は不要になるのです。
アリエクスプレスからの仕入れでも古物商許可が必要な場合もある
アリエクスプレスから仕入れた中古品を転売する場合は古物商許可は基本的に不要ですが、必要になるケースもあります。
それは、「日本在住の個人」が出品した中古品を仕入れた場合です。
アリエクスプレスに出品登録できる国は世界で6ヵ国しかなく、日本は対象外です。そのため、アリエクスプレスの出品物はすべて海外からと思われがちですが、実はそうではありません。
アリエクスプレスにセラー登録をしている個人が日本から出品するケースも当然あり得ます。
この場合、「日本に住んでいる個人」の中古品となり、日本の法律が適用されるため、仕入れの際に古物商許可が必要になるのです。
とは言え、このようなケースはごくまれであり、ほとんど見られません。
日本の輸入代行業者を利用すると古物商許可が必要になることも
日本の輸入代行業者を利用してアリエクスプレスから中古品を仕入れると、古物商許可が必要になる場合があります。
なぜなら、輸入代行業者の契約内容によっては、日本から仕入れていると見なされるケースがあるからです。
そのため、輸入代行業者を利用する時は、必ず契約内容をよく確認しましょう。
個人から仕入れる物はすべて中古品
古物商許可は、中古品を転売目的で仕入れるための許可なので、新品を転売目的で仕入れる場合は取得する必要はありません。
しかし、個人がショッピングサイトに出品した物は、原則としてすべて中古品と見なされます。
そのため、日本在住の個人からアリエクスプレスに出品された新品を仕入れる場合も、基本的に古物商許可が必要になります。
古物商許可の扱いは非常に複雑な場合がありますので、不安に感じる場合は専門家に相談しましょう。
アリエクスプレスの商品転売の際に注意すべきポイント4選
アリエクスプレスから仕入れた商品をメルカリなどの国内ショッピングモールやフリマサイトで転売する際は、注意するべきポイントがいくつかあります。
その中から4つのポイントを厳選してまとめました。詳しくご紹介しましょう。
出品は「商品が手元に届いてから」
最初の注意すべきポイントは、商品が手元に届いてから出品することです。
商品の注文を受けてから仕入れを行う無在庫販売は、在庫リスクを避けられる便利な販売方法です。しかし、無在庫販売はメルカリやラクマなどでは禁止されています。
参考:メルカリ
参考:ラクマ
もちろん、無在庫販売が可能なサイトもありますが、無在庫販売は、商品配送までに時間がかかったり、商品を仕入れることができず注文をキャンセルせざるをえなくなったりします。結果として、トラブルにつながることも稀ではありません。
このようなトラブルを避けるためにも、出品は商品が届いてから行うように心がけましょう。
商品画像をしっかりチェックする
アリエクスプレスでは、サイト上の商品画像と実際の商品が違うことがよくあります。
たとえば、商品の素材やサイズが異なるなんてことが日常的に起きています。そのため、商品画像や説明をしっかりチェックするように心がけましょう。
出品の際は実際の商品画像を掲載する
転売する際には、商品画像を少しでも見栄え良くしたいものです。実際の商品と商品画像が違うことが多いアリエクスプレスから仕入れた商品であればなおさらです。
しかし、出品の際は実際の商品画像を掲載するようにしましょう。加工した写真などを掲載すれば、サイト上の画像と違うという理由で、消費者とのトラブルにつながりかねません。
このような行為は、転売サイトでの自分の評価や信用を下げる可能性があるので絶対にやめましょう。
コピー商品は絶対に扱わない
アリエクスプレスは、人気ブランドのコピー商品が多いことも事実です。しかし、このようなコピー商品を日本に輸入することは法律で禁止されています。
税関でコピー商品が見つかればすべて廃棄され、ほとんどの場合、補償もありません。そのため、コピー商品を扱うことは絶対にやめましょう。
アリエクスプレスはセールやクーポンを利用するとお得
アリエクスプレスは期間限定で商品が安くなる「セール」や、お得に購入できる「クーポン」があります。
商品を安く仕入れるためのポイントとなるので、しっかりとチェックしておきましょう。
アリエクスプレスで行われるセールを紹介
アリエクスプレスで行われる主なセールと時期を紹介していきます。
- アニバーサリーセール:3月末に3日間
- サマーセール:8月下旬に3日間
- 独身の日セール:11月11日を中心に3日間
- ブラックフライデー:11月の第4金曜日を含めた数日間
- サイバーマンデー:ブラックフライデー終了後に数日間
- フラッシュディール:不定期開催
- スーパーディール:不定期開催
上記のように、アリエクスプレスでは年間に複数回のセールが行われています。
上記では「不定期開催」となっている「フラッシュディール」と「スーパーディール」はゲリラ的に開催されるセールです。
フラッシュディールは時間指定の値引き、スーパーディールは日付指定の値引きとなっており、行われるタイミングに合わせてアリエクスプレスのトップ画面に表記されます。定期的に確認するのがおすすめです。
ただし、フラッシュディールは1日に4回・4時間ずつ行われるセールですが、表示されている時間帯は日本時間ではないので注意しましょう。
アリエクスプレスのクーポンを紹介
アリエクスプレスの主なクーポンは、次の3つです。
- 全店舗共通で利用できるクーポン
- 各店舗専用で利用できるクーポン
- 選ばれた店舗のみで利用できるクーポン
アリエクスプレスのクーポンは、イベントやセールの際にポップアップで表示されるのが特徴です。また、商品詳細ページに記載されているケースもあるので、チェックしておきましょう。
取得したクーポンは、決済時に自動的に反映されるシステムになっているので便利です。
さらに、アプリ版では、ゲームやログイン・商品レビューなどでコインを集めることができます。貯まったコインはセール時にクーポンとして利用できるので、こちらもチェックしておきましょう。
アリエクスプレスの画像検索機能がおすすめ
アリエクスプレスには画像検索機能がついています。そのため、商品名がわからなくても、気になる商品を検索することが可能です。
また、商品名を中国語に変換しても、簡単に変換できない漢字もあるため、画像検索をうまく活用するといいでしょう。
基本的にモバイルのみに対応している機能のため、パソコンで利用するには拡張機能を追加する必要があります。
パソコンで画像検索機能を使用する方法
先ほど述べたように、パソコンで画像検索機能を使うにはGoogle Chromeの拡張機能を追加する必要があります。
追加する拡張機能は「Aliexpressのイメージで検索」です。「Chromeに追加」をクリックすれば、いつでも使えるようになります。
特にAmazonや楽天の商品画像で検索をかけたいときは、パソコンを利用したほうが使いやすいでしょう。
一方で、Instagramや実物の画像を利用して画像検索するときは、スマホのほうが便利です。
効率良く商品リサーチをするためにも、スマホでもパソコンでも利用できるようにしておきましょう。
パソコンで画像検索する手順
パソコンで画像検索する手順を紹介していきます。
- Amazonで画像検索したい商品を選択
- 商品画像に合わせて右クリックし、「Aliexpressで検索」をクリック
さらに、拡張機能では先ほど紹介した画像検索以外に「画像一覧検索機能」があります。Amazonなどの商品一覧画面上から、探したい商品を選べるので、複数の商品を探したい時に便利です。
画像一覧検索機能の手順は次のとおりです。
- Amazonの商品一覧を表示する
- 拡張機能の「Aliexpressのイメージで検索」のアイコンをクリック
上記の操作で、拡張機能上にAmazonの商品一覧ページが表示されます。
上記の操作方法を確認し、画像検索機能を活用して効率良く商品をリサーチしましょう。
アリエクスプレスの商品の仕入れには、しっかりとしたトラブル対策が必要
今回は、中国の大手ショッピングサイト「アリエクスプレス」の輸入転売についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
価格の安さと圧倒的な品揃えが魅力のアリエクスプレスは、輸入転売を目指す方にとっては非常にありがたい存在です。
しかし、アリエクスプレスの商品の仕入れにはトラブルが多いことも事実です。そのため、仕入れの際には品質を念入りにチェックするだけでなく、トラブルを回避するための対策を講じておくことも必要です。
また、アリエクスプレスで仕入れた商品を日本国内で転売する際も注意が必要です。転売先のサイトで禁止されている行為をしたり、コピー商品などの輸入転売が禁止されている商品を扱うことがないように気をつけましょう。