Amazonの売上金が保留になる理由とアカウント復活方法

Amazonの利用規約に違反すると、アカウントが停止・閉鎖されます。売上がある場合は入金が保留されます。

今回はAmazonアカウントが停止・閉鎖される原因と解決策を解説します。この記事を読んで、アカウント制限に備えてください。

目次

Amazonのペナルティー

Amazonの利用規約に違反すると、その程度の違いによって以下のペナルティーが課されます。

警告メール

まず警告メールが届きます。警告メールには違反内容が記載されており、場合によっては修正・改善要求が記載されています。

ペナルティーの種類は以下の3つです。下に行くほど重いペナルティになります。

  • アカウント審査

  • アカウント停止

  • アカウント閉鎖

アカウント審査

これは売上が多い、もしくは取引数が多い新規アカウントに課せられることが多いペナルティーです。審査対象となるアカウントの基準は明確にされていません。

最初に、審査を開始する旨の警告メールが届き、それから30日間アカウントが監視されます。審査中でもこれまで通り取引が可能ですが、売上の入金は保留されます。

審査中に問題のある取引を行わなければ、30日で解除されます。問題があると判断されると、アカウントの停止もしくは閉鎖処分が課されます。

アカウント停止(ロック)

利用規約に違反していると判断されると、まずはアカウントが停止されます。これは一時停止処分です。売上金の入金が保留されることに加えて、販売ができなくなります。

アカウント停止時に届くメールでは「再発防止策の提出」を求められます。

アカウントが再開するかどうかは、「再発防止策(改善計画書)の提出」にかかっています。

アカウント閉鎖(永久停止)

Amazonではアカウント閉鎖(永久停止)は事実上存在しません。

アカウント停止になったら、それ以上悪化することはなく「アカウントが再開するか、停止のままか」の2択です。

Amazonからの通知文面には、かなり頻繁に「閉鎖」という文言が使われていますが、これはAmazon側が様々な言葉を織り交ぜたテンプレート文章を使っていることが原因です。

停止・削除・閉鎖・凍結・一時停止など、様々な言葉がテンプレート文章の中には含まれておりますが、特に大きな意味はないのでご安心ください。有効な改善計画書を提出することができれば、その時点で何年前の停止アカウントでも再開します。

Amazonアカウントが停止される原因

Amazonアカウントが停止される原因となる主な違反行為を以下で紹介します。

(1)偽物の販売

ブランド品などの偽物を本物と偽り販売すると、真贋調査(商品の信頼性に関するお客様からの苦情)の警告が増えていき、通常警告2件でアカウント停止処分になります。

偽物の販売は法律でも禁止されています。

こちらの真贋調査は、証明書類の提出を求められますが、仕入先の請求書や領収書がない場合でも、アカウントを再開させることは可能です。

(2)商標権・意匠権を侵害する

商標登録された商品名・ブランド名を許可なく使用し販売すると該当商品は販売停止になります。

このようにAmazonでは知的財産権侵害(商標権侵害・意匠権侵害・著作権侵害)などのように、他社の権利を侵害している商品を出品してしまうと警告が増えていき、繰り返すとアカウント停止処分になります。

(3)悪い評価が多い

上記のような明確な違反行為をしていなくても、カスタマー評価が悪ければアカウント停止処分の対象となることがあります。Amazonでは、注文不良率を1%未満に抑える必要があると定められています。

また、Amazonが決めた出荷日までに発送できないと遅延扱いとなり、発送遅延率が4%を超えるとアカウントが停止される可能性が高くなります。さらに、在庫不足など、出品者側の都合による注文キャンセル率が2.5%を超えた場合もアカウント停止処分となる可能性が高くなります。

参考:Amazon セラーセントラル ヘルプ アカウントの健全性の確認

(4)自演レビュー

自分が販売している商品をよく見せるために、自分で星5つのレビューを書いたり、人を雇って良いコメントを書かせてレビューを操作したことが判明すると、一発でアカウント停止処分になります。

(5)停止アカウントと関連付けられる

アカウント停止処分を受けた人と同じ端末・IPアドレスでAmazonアカウントにログインすると、アカウントを関連付けられて停止処分の対象となることがあります。

アカウント停止処分への対応

上記の違反行為をすると、Amazonのアカウントスペシャリストから警告メールが届きます。

実際に届くAmazon側のメールアドレスは停止原因や状況によって何十種類もあり、件名についても「Amazon.co.jpからの重要なお知らせ」をはじめとした様々なパターンが存在します。

アカウントスペシャリストからメールが来た場合は、すぐに対応する必要があります。メールを見逃さないように、あらかじめフォルダ分けしておくことをおすすめします。

アカウントスペシャリストとのやり取り

アカウントスペシャリストとのやり取りは、セラーセントラル内の「パフォーマンス」>「パフォーマンス通知」に届き、「アカウント健全性」の右上の黄色のボタンにある改善計画書の提出フォームから改善計画書を送信していくことになります。

Amazon側からの通知は登録メールアドレス宛にメールでも届きますが、ログインできないような特殊な場合を除いては、基本的にセラーセントラル内で全てやりとりをしていきます。なお電話やチャットで審査担当者とやり取りすることは一切できません。

また、メールに記載された対応をしたにもかかわらず、同じ要求を何度もされることも少なくありません。こちらは、実際にはAmazon側が望んでいる改善計画書を提出できていないことがほとんどです。

基本的にはAmazon側が求めている基準を満たした内容を提出できればアカウントは再開して、それを満たさない改善計画書を送り続ける限りは再開することはできません。

また、あまりにも謎に包まれている部署なのでAmazonアカウントスペシャリストの所属部署は海外にあるのではないかと言われています。Amazonはアカウントスペシャリストの人数・メンバー・場所を一切公表していません。

処分を受けたアカウントの復活方法

アカウントスペシャリストからアカウント停止の通知を受けた場合は、すぐに対応する必要があります。

再発防止策の提示

違反行為を確認して、すぐに謝罪と再発防止策を提示しましょう。

再発防止策を書くにあたっては、5W1Hを明確にしましょう。例えば、商品の不良品率が高いことが原因でアカウントが停止された場合は、「自社スタッフが発送前の工場で商品の状態確認・動作確認をして、その様子を画像・動画で記録する」というように書くのがおすすめです。

また、防止策の内容は具体的である必要があります。「スタッフに品質管理を徹底させる」など曖昧な防止策では却下される可能性が高いです。再現性の高い具体的な再発防止策を提示しましょう。ただし、あまり長文だと読んでもらえない可能性があるため、端的に箇条書きにすると良いでしょう。

商品の品質に問題があった場合は、発送前の商品だけでなく、FBA倉庫にある在庫の改善策も提示しましょう。

参考:出品権限を回復するために申し立ての質問書に回答する

必要書類・資料の提出

領収書や請求書などの書類の提出を求められた場合は、速やかにアカウントスペシャリストが指定する形式で提出しましょう。ファイルの形式などが間違っていると、受領してもらえないため注意してください。

客観的な事実だけを述べる

アカウントスペシャリストはAmazonテクニカルサポートのように親身に相談に乗ってくれることはありません。そのため、こちらの個人的・主観的な事情を話しても同情してくれません。

客観的事実だけを淡々と述べ、自分の無実を証明していくか、自分の非を認めた上で今後のストア運営の改善計画書を提出しましょう。

アカウント閉鎖

警告メールには17日以内に提出しないとアカウントは閉鎖されると記載されている場合がありますが、こちらはただのテンプレートの文章なので、気にしなくても大丈夫です。実際に17日後に何かが発生することはありません。

そのため5年前や10年前のアカウント停止であっても、変わらず再開させることは可能です。

ただし有効な改善計画書を提出できないまま、何度も提出していくとだんだんと返信が遅くなったり返信自体がなくなっていくため、再開しづらくなっていくことは間違いありません。

アカウントが審査・停止・閉鎖された場合の売上金について

アカウントが制限を受けると売上金の入金が保留されます。

アカウント審査の場合

Amazonの売上金は14日ごとに締め日が来て入金されます。

しかし、アカウント審査状態になると、審査期間中は締め日が来ても入金が保留されます。30日間の審査が終わった次の締め日に保留されていた売上金が入金されます。そのため、締め日前日にアカウント審査となってしまうと43日間入金が保留されることになります。逆に、締め日直後のアカウント審査だと保留期間は短くなります。

アカウント停止の場合

アカウントが停止された場合も、停止期間中は締め日が来ても入金が保留されます。停止が解除された後は、次の締め日にまとめて入金されます。

アカウント停止になった場合の売上金については、Amazon規約には「原則として90日間、売上金が留保されます」「リスクが継続している場合や、そのリスクについて調査を継続する必要がある場合は、この期間が延長される場合があります」と明記されております。

最初の文言だけを見て90日後に支払われると誤解される方がいらっしゃいますが、基本的には「問題解決=アカウント再開」するまでは売上金が振込されることは基本的にはありません。

売上金だけが戻ってくるということは通常ないため、アカウント停止が継続している限り、売上金は何年たっても保留状態が続きます。

参考:売上金の留保に関するポリシー

アカウント閉鎖の場合

Amazonではアカウント停止が最も重い状態ですので、アカウント閉鎖という別の段階は存在しません。そのため完全に閉鎖されたり、売上金を完全に没収されてしまうようなことはありません。

有効な改善計画書を提出できれば、何年後であってもアカウントは再開して売上金は戻ってくるのでご安心ください。

売上金が保留になるワケ

Amazonのアカウントが審査・停止・閉鎖される以外の理由でも、売上金の入金が保留されることがあります。その原因について解説します。

クレジットカードの有効期限が切れている

ここで言うクレジットカードとは、Amazonの出品アカウントを開設する際に登録したクレジットカードのことです。カードの有効期限が切れると、Amazonはアカウントに問題があると判断して売上金の振り込みを保留してしまいます。

売り上げが手数料よりも少なかった場合に本来なら売上金から差し引く手数料の不足分を、Amazonは請求できないからです。

保留された売上金は、引当金として計上されます。

カードが最新のものに更新されると、早くて次の支払日に入金されます。ですが更新のタイミングによっては2週間後の次回支払日になる可能性もあります。最悪の場合、クレジットカードの引き落とし日に間に合いません。

登録したカードの有効期限はマメに確認しましょう。

クレジットカードの有効期限切れを防ぐには

クレジットカードの有効期限は一般的に3~5年ほどあります。いまは良くても、数年後にはどうしても覚えていられません。

そこでおすすめなのが、Googleカレンダーなどのスマホアプリのカレンダーを利用することです。

具体的には、有効期限の前日にカード情報の更新予定を登録します。スヌーズ機能という通知機能を設定すれば、時期がきたら必ず通知が届いて、カードの更新予定を確認できるためとても便利です。

クレジットカードの利用限度にも注意

クレジットカードの利用限度枠を超えている場合も、売上金の入金が保留されてしまいます。

仕入れ用のクレジットカードをAmazonに登録している人は注意しましょう。仕入れで利用限度枠を超えている場合、売上金が入金されないかもしれません。

参考:売上金の支払いが行われない理由を調査する

Amazonの引当金とは?

Amazonの引当金とは、購入者への返品返金や払い戻しに対応する目的で、一時的に保留される売上金の一部のことです。

小口出品の場合、保留期間は売上毎ごとに14日間、売上の約50%が自動的に引当金として計上されます。

大口出品の場合、アカウントを開設した初月時点では、売上の約50%が引当金として計上されます。

また、引当金として留保される期間は、購入者へ商品が配達されてから7日間となっています。

つまり、どちらの出品方法で登録しても必ず引当金が発生します。

そのため仕入れで利用したクレジットカードの支払いが予定されている方は、支払い余力をもっておくと良いでしょう。

参考:Amazonアカウントレベルの引当金とは何ですか?

Amazonの引当金は売上金の何割が留保されるのか

2022年現在、Amazonの規約には、引当金として売上金の何割を留保するのかについて明記されていません。

一方で、Amazonのセラー同士の情報交換の場であるセラーフォーラムによると、引当金は「売り上げの50%程度」とのセラーの体感が記載されています。

留保割合はずっと50%というわけではなく、大口契約で継続して販売していくにつれて、そのパーセンテージは徐々に減っていきます。

「売り上げの50%程度」とは、一定期間の売上が10万円だった場合、振込額は5万円、残りの5万円が引当金として留保され、留保期間(商品到着してから7日間)が過ぎてから入金されるということです。

このように引当金の割合については明瞭ではありませんが、売り上げの50%程度を保留される可能性があると理解しましょう。

Amazonの引当金は解除できるのか?

残念ですが、Amazonの引当金を解除する手段はありません。

一般的には、出荷遅延率やキャンセル率などのアカウントの健全性を悪化させることなく継続して商品を販売していけば、少しずつ引当金の留保割合は減っていく(解除されていく)ことになります。

こちらはAmazonのテクニカルサポートに問い合わせても、「明確なことは開示していません」との曖昧な回答しか返ってこないことから、詳細は非公表のようです。

実際にアカウントを開設して数年のセラーで、運営にも問題がないのにもかかわらず、およそ50%の引当金が計上されているケースや、アカウント開設1年でも引当金が解除されたケースもあるようです。

このように、セラー側からできる解決方法はないと認識して、引当金が解除されることを待つしかないでしょう。

Amazonの引当金の影響を減らす方法

今すぐに引当金を解除する方法はありません。ですが、引当金の影響を減らす方法は存在します。

それは、「毎日、売上金の振り込みリクエストを申請する」ことです。
振り込みリクエストは、24時間に1回という回数制限がありますが無料で行えます。
毎日振り込みリクエストを申請すると、入金ベースでは通常の2週間ごとの入金とほぼ変わらない金額が振り込まれることになります。

振り込みリクエストの申請方法は、次の通りです。

① セラーセントラル・ホーム画面左上の『レポート』内の『ペイメント』をクリックする

② 『支払いをリクエスト』をクリックする

③ リクエスト時点で振り込み可能な金額が振り込まれます

売上金が入金されるのは、商品がお客様のもとに到着してから最短で10日間です。

商品到着から7日間の売上金保留期間が終了すると、振り込みリクエストが可能になり、リクエスト後3~5日で入金される仕組みになっています。

参考:アカウントレベルの引当金って何?Amazonで出品する際の対策ノウハウをご紹介

Amazonの利用規約を確認しよう

停止されたAmazonアカウントを復活させるのは手間がかかりますし、その間入金も保留されてしまいます。今一度規約を確認し、ペナルティーを受けないよう自衛してください。

参考:Amazon 出品者のヘルプ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を監修した人

ビジネスのノウハウを実践ベースで徹底的に追求するのがアクシグ。
世界で最も専門的で網羅的なコンテンツを提供し、ノウハウを惜しげもなく提供していきます。

目次