Amazonアカウントレベルの引当金とは?出品の際の対策ノウハウを紹介

Amazonセラーを始めて最初の売上金入金日に、思っていたよりも入金額が少ない、もしくは全くなかったという経験をした方もおられるかもしれません。

実は、これにはAmazonの「引当金」というシステムが関係しています。この引当金制度を正しく理解していないとキャッシュフローに関するトラブルに見舞われることもあります。

今回は、Amazonの引当金というシステムや引当金が導入されている理由、それにキャッシュフローに関するトラブルを回避する方法などについて詳しく解説していきます。

目次

Amazonの引当金システム

まずは、Amazonの引当金とはどのようなシステムなのか見ていきましょう。

Amazonの引当金って何?

そもそもAmazonの引当金っていったい何?と感じておられる方もいることでしょう。

引当金を簡単に説明すると、Amazonがあなたの売上金の一部を一時的に取り置いておくシステムのことです。

バイヤーからのキャンセル依頼や返品返金手続き、マーケットプレイス保証申請、チャージバック申請など、購入者側に商品代金の返金が必要になった場合に、Amazonはこの取り分けておいた引当金を利用して処理を行うことになります。

Amazonの引当金システムの導入理由

では、この引当金システムをなぜAmazonは導入したのでしょうか?

これには2017年ごろに話題になった、Amazonアカウント乗っ取り詐欺の横行が大きく関係しています。

Amazonアカウントの乗っ取りが横行した当時、Amazonはクレーム処理に追われ相当なダメージを受けました。

その時以降Amazon は、セラーが原因で生じたトラブルに関してはセラー自身が対応・処理を行うべきとして、「引当金制度」を導入しました。

※2016年8月15日以降に発行されたアカウントに引当金制度が適用されています。

Amazon引当金の割合

では引当金としてどれほどの割合を売り上げから留保されるのでしょうか?

各セラーのパフォーマンスによって差はありますが、基本的に売上金の50%が引当金として留保されます。50万円の売り上げがあった場合、その50%の25万円が引当金として一時的に取り置かれるということです。

引当金として留保された25万円は、何のトラブルもなければ、引当金の留保期間(顧客に商品到着してから7日間)が終了した次の締め日にその売上金とともに入金されます。

この引当金制度があるがゆえに、最初の売上金の入金は売り上げの50%分しか入金されないことを覚えておくといいでしょう。

例えば、

最初の売上金50万円 引当金25万円
入金額=25万円

二回目の売上金60万円-引当金30万円
入金額=55万円(初回の引当金25万円+二回目の売り上げから引当金を引かれた30万円)

三回目の売上金100万円-引当金50万円
入金額=80万円(二回目の引当金30万円+三回目の売り上げから引当金を引かれた50万円)

上記のように二回目の売上金入金時から、前回の締め切り日に留保された引当金が加算されて入金されます。

Amazonが引当金を保留する期間

Amazonが引当金を保留する期間は、バイヤーが商品を受け取ってから7日間です。

7日間の保留期間を経過した引当金は、次回の売上金の入金時に加算されることになります。

Amazonの売上金について解説

引当金のシステムを理解するにあたっては、引当金の元になる売上金の仕組みについて理解しておくのが有益です。

ということでここからは、売上金の仕組みについて見ていきましょう。

売上金が入金される方法

Amazonセラーの売上金は、以下の二つの方法のうちのいずれかを用いて入金されます。

  • セラー自身が振り込み申請を行う
  • 二週間に一度登録した口座へ自動振り込み

基本的には、セラー側が何か手続きを行わなくても二週間に一度自動で指定口座に振り込まれます。

なおアカウントが審査・停止されている状況だと、問題解決まで売上金は全て引当金扱いになってしまいます。

アカウント再開までは14日ごとに「全額引当金への計上→期首残高に戻る→全額引当金への計上」が繰り返されていくため、銀行口座への入金は一切されなくなります。

売上金はいつ入金される?

売上金はいつ入金されるのでしょうか?確認方法があるので説明します。

まずAmazonセラーセントラルページの「レポート」をクリック。

次に選択項目の「ペイメント」を選択します。

するとペイメントダッシュボードへ移動します。

そのページの下部を確認すると、Amazonが売り上げ金の支払いを開始する日付が記載されているので確認してください。

ここに記載されているのはAmazonが支払いを開始する日付であって、実際に口座に振り込まれる日は、3日後から5日後になることを覚えておきましょう。

セラー自身が振り込み申請を行う方法

次に自分で振り込み申請を行う方法を確認しましょう。

まずAmazonセラーセントラルページの「レポート」をクリックし、選択項目の「ペイメント」を選択します。

ペイメントダッシュボードへ移動します。

そのページの「一覧」を選択して「利用可能な資金」の欄にある「支払いをリクエスト」をクリック。

そうすると、「今すぐ振り込む」と記載されたページへ移動します。

そのページの右側の下方にある「決済をリクエスト」をクリックすると、振り込み申請完了となります。

申請を行ってから3日から5日後に振り込まれるので確認してください。

なお、振り込みの申請は、24時間に一度となっています。

Amazonの引当金は解除できる?

ここまではAmazonの引当金制度の概要と売上金についてお話ししてきました。

ではこの引当金制度はAmazonへ申請すると解除してもらえるのでしょうか?ここからはその疑問について解説していきます。

Amazonの引当金制度は解除不可

残念ながらセラー側からの働きかけでAmazonの引当金制度を解除することはできません。

しかしAmazonが、あなたが信頼に足るセラーだと判断した場合、50%の引当金の割合が減少されたり、解除されたりする場合があります。

それでは、どうすればAmazonからの信頼を勝ち得ることができるのでしょうか?

出荷遅延率やキャンセル率などのアカウントの健全性を極力悪化させることなく、商品販売を長期的に継続していき、健全なセラーアカウントであることを証明することが鍵です。

どれほどの期間優良セラーであることを証明すれば引当金制度を解除されるのかについては、明確な基準はありません。しかし、アカウントの健全性を保つことによって実際に引当金制度を解除されているセラーもいるので、ハイパフォーマンスを続ける努力は大切です。

キャッシュフローに関するトラブルを減少させる方法

では次にAmazonの引当金制度によって起こりえるキャッシュフロー関連のトラブルを最小限に抑える方法を解説します。

売上金に関する基本情報

売上金に関する基本情報として、Amazonは二週間に一度(14日に一度)のペースで売上金を入金します。

この点を踏まえ、ここからはキャッシュフロートラブルを減少させる方法を解説していきます。

なおアカウントが審査・停止されている状況だと、アカウントの問題が解決するまでは売上金が全て引当金扱いになってしまい、入金は一切されなくなってしまいます。

方法1:売り上げ金入金の締め日を日曜日にする

Amazonでは、売上金は締め日から3-5営業日で指定口座に入金されます。銀行口座に入金されるまでのキャッシュフロートラブルを避ける一つの方法は、締め日を日曜日に設定することです。

土日を挟むと入金に最大7日かかることになります。しかし、締め日を日曜日に設定しておけば、週末の二日を挟むことなく最短で入金されます。

キャッシュフロートラブルを避けるという観点からは、この二日の差が大きいのです。

入金日二日のずれが及ぼす影響とは?

もし売上金の入金日と、仕入れた商品の支払日が近い場合、土日を挟んだ二日の差がキャッシュフロートラブルにつながることにもなります。それはなぜでしょうか?

仕入れた商品が多ければ、それだけ支払金額も大きくなりますよね。仕入れた商品の支払いを売上金に頼っているセラーは、売上金の入金が遅れれば、期日中に支払えなくなるトラブルも生じえます。

しかしスムーズに売上金を得ることができれば、滞りなく支払いを行うことができ、キャッシュフロートラブルを回避することができるのです。

そのような理由から、週末に影響されない日曜日に入金の締め日を設定するのがおすすめなのです。

方法2:売上金入金先銀行を見直す

売上金が入金されるタイミングは各銀行によって異なります。

例えば、みずほ銀行は振り込み手続きがされてから中一日で入金されます。しかし、ゆうちょ銀行は五日ほどかかります。比較すると四日も差が生じてきます。

大手銀行の入金にかかる日数は以下の通りです。

早い順から

  • みずほ銀行:振込手続き後、中一日程度
  • PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行):振込手続き後、二日から三日程度
  • 楽天銀行:振込手続き後、三日から四日程度
  • 三菱UFJ銀行:振込手続き後、四日程度
  • ゆうちょ銀行:振込手続き後、四日程度

このように見比べてみると、入金にかかる日数は各銀行によって差があることに気づかされますね。

キャッシュフロートラブルを起こさないために、必要であれば入金先の見直しも行っていきましょう。

参考:Amazon出品では必須!銀行口座登録の手順を解説します!

方法3:毎日振込リクエストを行う

キャッシュフロートラブルを減らすための対策の三つ目は、毎日Amazonに売上金の振り込み申請を行うことです。

先ほど述べた通りAmazonの売上金振り込みのタイミングは、14日に一度です。したがって、何も手続きをしなければ月に2回のペースでしか、売上金を入手できません。

対して、Amazonに対する振り込み申請自体は24時間に一度行うことができます。

申請後3日から5日後に入金されるので、二週間に一度のペースよりも早く売上金や引当金を入手することができます。

必要に応じて毎日振り込み申請を行えば、その分早く売上金を入手でき、キャッシュフロートラブルを防ぐことができます。

引当金を解除してもうためにセラーとしてできること

明確な基準はないものの、Amazonから優良なセラーとして認められたら、引当金の制度が解除されたり、引当金の割合を下げてもらえたりします。

そこで、セラーとして実際に行える五つの対策について見ていきましょう。

1.Amazonセラーとしての評価を上げる

Amazonからの信頼を勝ち得るには、バイヤーから高評価を得ていることを証明しなければなりません。

そのためにバイヤーにレビューを記入してもらうように促しましょう。

セラー側から何の働きかけもなければ、ほとんどのバイヤーはレビューを書いてはくれません。そこで、商品を購入してくれたすべてのバイヤーに評価依頼メールを必ず送りましょう。

ただし、評価依頼メールといっても「高評価だけ」を依頼するとレビュー操作としてアカウント停止になってしまう可能性があります。そのため評価内容については触れずに、購入者が注文履歴ページからレビューをつける方法について送信する形にしましょう。

参考:レビュー代行は規約違反?Amazonのレビューを集める方法

2.Amazonが提供するサービスを頻繁に利用する

Amazonが提供する出品支援サービスであるフルフィルメント by Amazon(FBA)を利用することも、Amazonからの信頼を得るのに役立ちます。

出荷数が増えれば増えるほど出品業務や在庫管理等のミスが生じやすくなり、商品欠品や配送ミスを起こし、ひいてはバイヤーからのクレームや低評価につながりかねません。

しかしAmazonFBAなどのサービスを活用して配送業務や在庫管理の自動化を図れば、適正かつ迅速にバイヤーに商品を届けることができるようになります。

さらには、配送業務を代行してもらえば、空いた時間を商品のリサーチやトレンドの調査、企画会議などに使うことが可能になります。結果的にサービスの向上を図ることができ、バイヤーからの高評価につながります。

参考:AmazonのFBAとは?手数料やメリット・デメリットを徹底解説!

3.商品の回転率を適正に保つ

Amazonにとって、セラーが商品在庫を適正に販売できているかも信頼できるセラーかどうかの判断材料となります。

商品回転率が高いということは、その商品がよく売れていることの証拠。そのセラーはきちんと売り上げと利益を生み出しているといえます。しかし商品回転率が高すぎると、在庫切れが生じバイヤーからのクレームが発生する原因にもなりえます。逆に回転率が低ければ、売れ残りが過剰在庫となり、不良在庫につながります。

商品回転率を適正に保つことはビジネス成功の大きなカギなのです。

適正な商品回転率はどれくらいか、この点に関して明確な基準はありません。しかし新品の商品を扱う場合、一か月間の仕入れ分のうち商品在庫の60%を販売、中古品であれば30%を販売できれば、適正な商品回転率を保つことができていると言えるでしょう。

4.売り上げを安定させる

売り上げを安定させる努力を続けることも大切です。そのためにまず、商品ページを充実させましょう。

具体的にできる点としては、以下の方法が挙げられます。

  • ショッピングカートボックスを獲得する
  • 商品の写真や情報を分かりやすく具体的なものにする
  • 出品商品について、適切かつ人気のある検索ワードを選定する
  • スポンサープロダクト広告(Amazon広告)を導入する

定期的に自分の商品ページを見直してより良いものに改善していけば、売り上げの安定につながりますよ。

5.Amazonとの良好な関係を築くように努める

結局のところ、大切なのはAmazonに気に入ってもらえるかどうかです。

規約違反を繰り返したり、顧客満足度の低いセラーだという印象を持たれれば、その悪い印象を払拭するのは簡単ではありません。

逆にトラブルが少なく、良いサービスを提供し、利益を出し続けていれば、信頼を勝ち得ることができることでしょう。

上述した5つの努力を継続すれば、引当金を解除してもらえる可能性はグッとアップするでしょう。

Amazonの引当金制度|まとめ

今回はAmazonの引当金制度がどのようなものか、どうすれば解除してもらえるかについて考察しました。

セラーとしてのクオリティを高めバイヤーの評価を高めていくことで、Amazonから信頼されることとなり、引当金解除の見込みが出てきます。

Amazonから優良セラーと認めてもらって引当金を解除してもらえれば、より有利にビジネスを展開していくことができます。

ぜひ今回ご紹介した情報を活用して、Amazonが認める優良セラーになっていきましょう。

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この記事を監修した人

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