ブランドコンセプト!意味やメリット、作る上の具体例や注意点を徹底解説!

成功する企業にはさまざまな特徴があります。「ブランドコンセプトがしっかりしている」という点も、その一つです。

「ブランド」と言えば、「長い歴史を通じて自然とつくられるもの」と思われがちです。しかし最近の成功企業を見ると、自らが知恵を出してブランドコンセプトを作り出していることがわかります。

きちんとしたブランドコンセプトを作り出せたからこそ、多くのファンを集めているとも言えます。

しかし、ブランドをつくるといっても、何から手を付けたらわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ブランドコンセプトの意味やメリットにくわえ、ブランドづくりのポイントまでを解説しました。

これを参考に、ぜひ自社のブランドコンセプト作りに向けたヒントをつかんでください。

目次

ブランドコンセプトの意味と必要性は?

ブランドコンセプトについて解説するにあたり、まず言葉の意味から確認することにしましょう。

ブランドコンセプトとは何を意味する言葉なのでしょうか。また、ブランドコンセプトを作る必要性についても整理してみます。

ブランドコンセプトの意味は?

ブランドコンセプトとは、その企業がうちだす価値を言語化したものです。

お客様に価値を提供するのが企業の役目ですが、その企業がどんなお客様に、どのような価値を提供するのか、それをわかりやすく示したものが「ブランドコンセプト」になります。

そもそも企業の役割は、お客様に商品やサービスを提供することです。したがって、わざわざブランドコンセプトを打ち出す必要はありません。

しかし、ブランドコンセプトをきちんと確立させた企業の方が、より早く成長しているケースが多いです。

ブランドコンセプトを作るべき理由は?

では、なぜブランドコンセプトをつくる必要があるのでしょうか。それは自分たちのことが認知されやすくなるからです。

お客様から愛される存在になるということは、「ファンを作る」とも言い換えることができます。ファンになってもらうには、共感してもらう必要があります。共感してもらい、好きになってもらうことです。

そのためには、多くの人に共感してもらえるような価値観をわかりやすく提示する必要があります。「価値観をわかりやすく提示する」ということこそ、「自社のブランドのコンセプトを適切に示す」ということです。

多くのお客様をつかむには、ブランドコンセプトを作る必要があるわけです。

コンセプトに似た言葉「テーマ」との違いは?

「コンセプト」に似た言葉に「テーマ」があります。コンセプトについて考えていくにあたり、似た言葉であるテーマの意味を探ってみることにしましょう。

言葉の違いを見ることによって、「コンセプト」という言葉の意味が、より深く理解できるようになるはずです。

「テーマ」はコンセプトと何が違う?

テーマとは、何らかの企画があったとき、その前提となる概要のことを意味します。「主題」とも言いかえられますが、よりわかりやすくいえば「お題」とも言えるでしょう。

「コンセプト」はテーマと何が違う?

コンセプトは、何らかの企画があったとき、それをどんな方向に進めていくのかという方針や指針を意味します。

前述の通り、テーマは「お題」のようなのものです。それに対しコンセプトは、それを実現させるための方策だと考えると、より理解しやすくなるのではないでしょうか。

ブランドコンセプトを準備することの4つのメリット!

ブランドコンセプトをつくると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

先ほどの説明では、自分たちの会社や商品がイメージされやすくなるため、認知向上につながりやすいという点を指摘しました。しかしメリットはそれだけではありません。

ここではブランドコンセプトを作るメリットとして4つのポイントを紹介します。

価格プレミアムが生まれやすい!

ブランドコンセプトを作るメリットの1点目は、「価格プレミアム」が生まれやすいということです。

価格プレミアムとは、ある商品について、ブランドのもつネームバリューに対して余分に払っても良いと考えられる価格を示します。

一般的に、品質や機能のレベルに応じて商品の値段は決まります。しかし消費者は、もしメーカーのブランドに安心感があれば「少しぐらいは余計にお金を払っても良い」と考える傾向にあります。

同じ商品があったとして、「聞いたこともないメーカーの商品と、大企業が製造した商品があれば、多少は値段が高くても大企業の商品を選んでしまう」というようなパターンです。

差別化につなげやすい!

ブランドコンセプトを作るメリットの2点目は、「差別化」につながりやすいということです。

商品には他社との競争がつきものです。他社製品より優れた要素が無ければ、買ってもらえません。そのために各社が競争にしのぎを削るわけですが、商品のすべてが新規性のあるものとは限りません。

たとえばボールペンや鉛筆のように成熟された商品の場合は、性能で差別化をつけるのが難しくなります。しかし優れたブランドであれば、消費者から選んでもらいやすくなり、他社との性能の差が小さくても、ブランドがしっかりすることで購入してもらいやすくなります

人々の心に残りやすくなる!

ブランドコンセプトを作るメリットの3点目は、「人々の心に残りやすくなる」ということです。

お客様は商品を性能で選びます。より優れた商品を、より安い値段で入手したいという人がほとんどではないでしょうか。

しかし前述の通り、ブランドコンセプトがしっかりしていると、多少性能が劣っていても、また多少は値段が高くても、その商品が選ばれたるすることはよくあるものです。その理由は、そのブランドに共感しているからです。

「そのブランドが、その人の心に残っているから」とも言えます。心に訴えるからこそ、性能や価格を超越して、「好き」という感情のレベルで選ばれるということが起きるのです。

意思決定の時間が短くなる!

ブランドコンセプトを作るメリットの4点目は、「意思決定の時間が短くなる」ということです。

これは今まで説明した3点の集大成とも言えるものです。つまり、ブランドが形成されると消費者はそのブランドが好きになります。

モノ選びにおいて、性能や価格よりも「好き」が優先することはよくあるものです。これはブランドへの共感から生まれる感情です。

ブランドがしっかり形成されると、消費者は競合他社との商品比較に時間をかけなくなります。なぜなら、「他社商品のことを調べる前から、お目当てのブランド商品があるから」です。

これら4点を見ればわかるように、ブランドコンセプトが明確になればなるほど、会社の競合優位性にもつながっていきます。

多くのファンを集めるブランドコンセプトの特徴は?

ここまでの説明で、ブランドコンセプトをつくることの意義がおわかりいただけたのではないでしょうか。ただし、ブランドコンセプトの中には、お客様の共感を得るものとそうでないものがあります。

ブランド形成の目的はファンをつくることです。ファンが離れるものであっては意味がありません。そこで次に、共感を得るものとそうでないものとの違いを解説します。

共感を得るブランドの特徴!

共感を得るブランドの多くは、消費者に「好き」という感情をいだかせる点が共通しています。たとえば、憧れの世界であったり、自分が目指す将来像であったり、より良い世界につながっていくものです。

それはつまり、その商品を購入し、実際に使っていくことで、ブランドが描き出す世界に自分が近づいていけるような感覚です。多くのファンを惹き付けるブランドに共通する特徴は、より良い世界や、よりよい未来にいざなってくれるようなストーリーがあったり、憧れの世界が感じられるようなものである点です。

共感が得られないブランドの特徴!

一方で、ファンが逃げていくようなコンセプトにはどのような特徴があるのでしょうか。それは、いま紹介した「共感を得るブランドの特徴」の真逆をいくブランドです。その会社の自己利益を優先するような考え方だったり、社会や未来のためにならないような世界観、あるいは、単に値段の安さだけを訴求するようなものは、ファンが寄り付きません。

「ノーブランド商品」という言葉があります。単に値段の安さだけで他社製品に勝とうとする商品のことを指します。企業の利益だけを優先するような独りよがりなブランドを打ち出すなら、まだノーブランド商品に徹したほうが企業利益につながります

ブランドコンセプト作りで注意すべき大事な2つのポイント

より多くのファンをつかむようなブランドストーリーをつくるには、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。さまざまな点がありますが、ここでは大事な基礎的条件として2つの点を紹介します。まずはこの2点に気をつけながら、自社のブランドづくりを進めていきましょう。

当たり前のことを当たり前に伝えない

ブランドストーリーをつくる上で注意すべきポイントの1つ目は、「当たり前のことを当たり前に伝えない」ということです。

たとえばiPhoneを売る場合「優れた携帯電話です」と打ち出すのか、あるいは「世界の人とつながれる画期的なツールです」と打ち出すのでは、イメージはまったく変わります。たしかに、iphoneは携帯電話ですが、「他の携帯電話と同じでしょう?」と思われてしまいがちです。興味を持つ人は少ないでしょう。

一方で「世界の人とつながれる画期的なツールです」と言えば「えっ?いったいどんなツールなの?」と、興味を感じる人は、より多くなるはずです。ブランドづくりにおいては、「当たり前のことを当たり前に伝えない」ということを心に留めておきましょう。

ナンバーワンとオンリーワンを明確にする

ブランドストーリーをつくる上で注意すべきポイントの2つ目は、「ナンバーワンとオンリーワンを明確にする」ということです。

なぜなら、「ナンバーワンとオンリーワン」が明確であればあるほど、人はその商品に興味を示します。たとえば、「おいしいうどんの店」ではなく「●●県で最も美味しいうどんの店」とした方がインパクトがあります。これはナンバーワンを打ち出した例です。

また、「オリジナルうどんの店」ではなく「日本中を探しても、ここでしか食べられない●●うどん」とした方が、興味を示す人は格段に増えるでしょう。これはオンリーワンを打ち出した例です。

テレビで取り上げられるお店紹介を思い出してください。取材されるお店のほとんどは、ナンバーワンとオンリーワンが明確になっているのではないでしょうか。

だからこそ注目を集め、取材されるようになるのです。ブランドづくりにおいては「ナンバーワンとオンリーワンを明確にする」ということも重要です。

ブランドコンセプトの例を4つの有名ブランドから分析!

最後に、世界の有名ブランドに注目してみましょう。多くのファンを惹きつけているブランド各社はどのようなコンセプトを打ち出しているのでしょうか。ここでは、シャネル、エルメス、ルイ・ヴィトン、グッチの4つのブランドについて見てみることにしましょう。

シャネル(Chanel)の場合

シャネルは、ココ・シャネルが立ち上げたファッションブランドです。当初は女性用の帽子店としてスタートしました。

「古い価値観にとらわれない女性像」や「女性の服の解放」といったコンセプトが有名で、自立した女性や働く女性のための洋服作りで知られています。当時のフランスでは豪華なデザインの服が主流でしたが、シャネルはシンプルで機能的なデザインを打ち出していきました。

まさに、コンセプトにそった商品づくりだと言えるでしょう。新時代を予感させるようなコンセプトが、多くの女性の共感を集めました。

エルメス(HERMES)の場合

エルメスはフランスの高級ブランドです。革製品やアクセサリーが有名で、1837年に設立されました。パリで始まった当時は馬具メーカーとして知られ、同社のロゴ(馬と馬車と従者)を見ると今でもその名残があります。

ロゴの特徴は、ご主人様が描かれていないことです。これには「主役はあくまでもお客様だから」という考え方があると言われています。「そこまでして徹底的にお客様に尽くす」という考え方のあらわれであり、まさにエルメスのブランド全体に浸透する考え方であることがわかります。

ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の場合

ルイ・ヴィトンはフランスのファッションブランドです。1854年に誕生した会社ですが、設立当初からこだわっていたのが「鞄作り」でした。旅行用トランクを専門としており、そのこだわりは「旅」にありました。

ルイ・ヴィトンと言えば「トランク」が有名ですが、同社は現在までに100を超える旅関連の書籍やフォトアルバム、トラベルブックを出しています。「旅」に徹底的にこだわったことで、自然と「トランクならルイ・ヴィトン」というイメージを形成することに成功しています。

グッチ(GUCCI)の場合

グッチはイタリアの高級ファッションブランドです。グッチのロゴは「GG」のダブルモノグラムで知られています。

存在感のあるデザインと高級な素材の組み合わせが有名ですが、これは創業者グッチオ・グッチの名前を表すものです。

デザイナーの名前をブランド名にするというのは当時では珍しいことでした。名前をブランド名につけるということは、それだけ強い自信と、品質保証にかける情熱をあらわしたものだとされています。

まとめ

ブランドコンセプトについて解説しました。ブランドコンセプトは、その企業の価値観を表現したものです。価値観をしっかり打ち出すことで、会社のことが認知されやすくなるという特徴があります。

ブランドというと大企業だけの話のように思われがちですが、成功企業は会社が小さな頃からブランドづくりを意識しています。ブランドコンセプトの意味や必要性、ブランドづくりで注意すべき点などを解説してきました。自社のブランドづくりのため、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

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この記事を監修した人

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