【DHL】個人輸入の関税計算と支払方法は?輸入消費税も忘れずに!

ネット通販が世界的に普及しているなか、DHLなどを利用して個人輸入でショッピングを楽しむ方も多いでしょう。ただし、その際に注意したいのが税金です。海外輸入品に関税がかかるのは多くの方が知っていますが、忘れがちなのが輸入消費税の存在です。商品代金や運賃、海上保険などの費用以外に、これら関税と消費税も計算に入れておかなければ予算オーバーに陥る可能性もあります。ごく少量の買い物ならあまり問題ないかもしれませんが、何度も輸入するとなると大きく損をしかねません。

そこで今回は、海外から個人輸入する際の関税・輸入消費税の計算方法やその支払方法、納付すべき税額を抑えるコツなどについて詳しく解説します。これから本格的に個人輸入しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

関税の支払い方法

海外から輸入すれば関税がかかるというのは誰でも知っていることでしょう。しかし、実際にどのように支払うかは経験がなければわかりません。そこでまず、関税の支払方法について説明しましょう。

現金で払う

もっともオーソドックスなのが、商品到着時の現金払いです。ただ、海外から荷物が届いた際に、フォワーダーなどの配送業者が関税や輸入消費税を立て替え払いするのが一般的です。そして、後日、その税金と立て替え手数料を荷受人が支払うことになります。

銀行振り込み

銀行振り込みの場合は、配送業者が関税や輸入消費税を立て替え、荷受人に請求して振り込みが確認できたら荷物を配達する仕組みになっています。これはDHLの場合で、FedExは、荷物が先に届いて、税金の請求書は1週間後くらいに届きます。つまり後払いです。また、日本郵便の場合は、荷物が先に届き、1ヶ月ごとにまとめて荷受人に税金の請求がきますので、その時点で振り込むことになります。

クレジットカードで払う

DHLとFedExでは、関税と輸入消費税をクレジットカードで支払うことができます。DHLはネットで手続きができますが、FedExはカスタマーサポートに電話しなければクレジット払いができません。商品が国内に到着した旨の連絡を受けた時点で、電話でクレジット払いの意向を伝えます。

関税と輸入消費税の計算方法

個人輸入する際には、あらかじめ関税と消費税を把握して予算に組み込んでおく方が安心です。そのためにも、計算方法を知っておくと便利でしょう。決して難しくないので、これから個人輸入を行う方は覚えておいてください。

個人輸入の課税価格は特別扱い!

海外から商品を輸入するケースには、大きく分けて個人使用目的での輸入商用目的での輸入があります。前者は、言うまでもなく個人で楽しむ目的で購入すること、後者は、転売目的で輸入することを意味します。

そして大事なことは、個人使用目的の場合と商用目的の場合とで関税が異なることです。なお、知人にタダでプレゼントしたり、誰かと共同購入しても商用目的とみなされるので注意が必要です。

後述しますが、関税は課税価格に関税率を掛け合わせて算出します。ただし、これは商用目的の場合で、個人使用目的の場合は、課税価格の60%に対してしか関税がかかりません。

つまり、「課税価格 × 0.6」が個人輸入の場合の関税額となり、商用目的の場合より安くなるのです。

関税の計算法

関税は、課税価格に関税率を掛け合わせて計算します(百円未満は切り捨て)。

課税価格とは、輸入商品の価格に運賃と海上保険料を足し合わせた数字のことですが、個人輸入の場合は、運賃と海上保険料は含まれません。また先述のように、個人輸入の場合は、この額の60%が課税価格になります。

関税率は、各品目について細かく規定されており、世界関税機関が定めたHSコードとともに実行関税率表で確認できます。ただし、課税対象額が20万円以下の場合は、一般の関税率より低く設定された簡易税率が適用されます。以下にその場合の計算例をご紹介しましょう。

例えば、シャツを輸入する場合、関税率は「10%」です。

よって、10,000円のシャツなら、関税額は、10,000円×0.6×0.1=600円となります。

参考:実行関税率表(2022年4月1日版) – 税関

参考:少額輸入貨物の簡易税率 – 税関

輸入消費税の計算方法

輸入消費税は、先ほどの関税を課税価格に足して消費税率(10%)を掛け合わせて算出します(百円未満は切り捨て)。

つまり先ほどの例で考えると、

(10,000円 × 0.6 + 600)× 0.1=660円

となり、百円未満は切り捨てるので、輸入消費税は600円となります。

通関手数料

関税と輸入消費税は、一般的に配送業者が立て替えて支払ったうえで、後日荷受人に請求されます。この立て替えの代行手数料が通関手数料で、税金に上乗せして請求されます。

ただし、日本郵便は通関手数料が無料です。

DHLは、「1,000円(+消費税)」か「関税 + 輸入消費税の合計の2%」のどちらか高い方が請求されます。

FedExは、「1,000円(消費税なし)」か「関税 + 輸入消費税の合計の2%」のどちらか高い方が請求されます。

少額輸入貨物の簡易税率とは

先ほども少し説明しましたが、輸入総額が20万円以下(少額貨物輸入)の場合は、一部の例外を除き、一般の関税率ではなく、それより低めに設定された簡易税率が適用されます。

一般の関税率は、約9,000にものぼる品目から該当する税率を見つける必要がありますが、簡易税率ならわずか7区分のため、簡単に関税率がわかります。

簡易税率表を詳しく

それでは、簡易税率表の内容について詳しくご紹介しましょう。全部で7区分ですが、とくにアルコール飲料については、1リットルごとに関税額が決まっています。他の品目はすべて課税価格に対する関税率で計算されます。

1区分:アルコール飲料

  • ワイン:70円/リットル
  • 焼酎等の蒸留酒:20円/リットル
  • ワインクーラー、清酒・りんご酒など:30円/リットル

2区分(20%):トマトケチャップその他のトマトソース、アイスクリームその他の氷菓、なめした毛皮(ドロップスキン)、毛皮製品など

3区分(15%):コーヒー、茶(紅茶を除く)、ゼラチン及びにかわなめした毛皮(ドロップスキンを除く)など

4区分(10%):動物、食用の野菜、食用の海草及びその他の藻類、絹織物、衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く)など

5区分(3%):無機化学品及び貴金属、希土類金属、傘、つえ、プラスチック製品、ガラス製品、卑金属(銅、アルミニウム等)製品、家具など

6区分(無税):塩、硫黄、ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、すず製品

7区分(5%):前各号に掲げる品目以外のもの

ただしこの簡易税率が適用されない品目もあるので要注意です。次にその具体的な品目をご紹介します。

簡易税率が適用されない品目

例外的に簡易税率が適用されない(つまり一般の関税率が適用される)品目の一部をご紹介しましょう。

  • ミルク、クリーム等
  • 穀物
  • 落花生及びこんにゃく芋
  • ココア調整品
  • 豚肉及び牛肉の調製品
  • たばこ
  • 石油
  • 革製品
  • ニット製衣類
  • 革製の携帯用時計バンド

関税についての疑問

個人輸入を初めて行う人にとって、関税はややこしくてわからないことだらけかもしれません。頭では理解していてもいざ実務となると戸惑うことも多いことでしょう。そこで、関税についての素朴な疑問について確認しておきましょう。

関税や輸入消費税の納税義務者は誰か?

これについては既に述べましたが、個人輸入の際にかかる関税や輸入消費税は、基本的に荷受人が納税義務を負担します。これらの税金は、仕向国(輸入する国)の税関で徴収されるので、荷受人が支払うことになるのです。

送り手が納税することもできる?

たとえプレゼントであっても海外から送られてきた場合は、それをもらう荷受人は関税や輸入消費税を支払わなければなりません。しかし、それではプレゼントの意味をなさないと感じる人も少なくないでしょう。そこでこの場合は、送り手が事前に納付することも可能です。とくにDHLのアカウントを持っている場合は、申し出れば簡単に荷受人に代わって納税できるようになっています。

なぜ運賃や海上保険に関税は含まれていないの?

商用目的で輸入する場合は、運賃や海上保険にも関税や輸入消費税がかかります。これは受取国内で課税されるものであって、輸出国から課税されるわけではないので、運賃や海上保険に税金は含まれていません。ちなみに、個人輸入の場合は、そもそも運賃にも海上保険にも税金はかかりません。

関税や輸入消費税が課税されない国はある?

EU加盟国間の輸出入に関しては、関税も輸入消費税も一切課税されません。ただし、英国はEUを離脱したので、すでにその限りではありません。

関税がかからないコツ

個人輸入の際の関税や輸入消費税について解説してきましたが、実はこれらの税金を支払わずに済ます方法があります。

できるだけEMSを選ぶ

例えば自分で海外から商品を送る場合は、EMS(国際スピード郵便)を選ぶことをおすすめします。理由は、関税がかけられずに税関をパスできることがあるからです。これは100%とは断言できないのですが、EMSは世界120か国で使えるため、取扱量が尋常ではありません。よって、気付かれずにそのまま税関を通ってしまうことがあるのです。

課税価格の合計額を1万円以下にする

課税価格が1万円以下の場合、関税も輸入消費税も免除されます。これは、個人使用目的であろうが、贈与品であろうが関係ありません。よって、課税を避けたい場合は、同梱されている一つの荷物の商品総額が1万円を超えないように注意しましょう。

ただし、ここでもう一点注意すべきは、個人輸入の場合は、商品価格の60%が課税価格になるので、厳密には、16,666円以下なら免税対象になるということです。この16,666円を基準に何をどれくらい輸入するかを決めると良いでしょう。ただし転売目的で輸入するものを個人輸入と偽って課税価格を引き下げる行為は認められないので、絶対にやめましょう。

ちなみに、課税価格の合計額が1万円以下かどうかの判断基準は以下の通りです。

  • あくまで1つの申告にかかる輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下であること
  • ひとつの包装に梱包された輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下であること

ここで争点となるのが、同時期に入手した輸入品を分散させて別々に送った場合です。例えば、9,000円の商品を5点別々に輸入すると、個別に見ると1万円以下のため、関税も消費税もかからないと思えます。しかし、5点の合計は、45,000円になります。送り先が同じで別々に送付されたものは、税関ですべてチェックのうえ合算されるので、結果として免税はされません。ただし、このように分散して万一上手く行っても、運賃や保険料は5倍かかるので、必ずしも得しているとはいえないでしょう。

1万円以下でも課税される場合がある

関税を免除しない物品として定められている、革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴及び本底が革製の履物類等については、課税価格が1万円以下でも免除されません。ただし、税関で個人使用用だと認められた贈与品の場合は、免税になることもあります。

まとめ

個人輸入の際の関税や輸入消費税について詳しく解説しました。

細かく見ていくとややこしく感じた方もいるかもしれません。しかし、慣れてしまえばそんなに難しくありませんし、通関業務は業者に任せることもできます。よって大まかな仕組みを理解して、見積もりのために関税・輸入消費税、通関手数料がいくらになるか、が算出できれば十分でしょう。

個人輸入ができるようになれば、世界中の商品が入手できますし、日本にはない商品を手に入れて家族や友人、恋人にプレゼントすることもできます。とくに円高になると海外の商品を安く買えるようになるのでチャンスです。とっておきの掘り出しものを見つけて上手に輸入してみてください。

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この記事を監修した人

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