eBayを利用して海外と取引する人が増えてきました(eBayは、世界最大級のオークションサイトです)。ただ、eBayを利用した物販事業を行うとなると海外に向けて商品を発送する必要がありますが、その際によく利用されるのがDHLです。
そこで、この記事では、eBayで商品を販売する「eBay輸出」を実践している方に向けて、DHLのサービスについてご紹介しようと思います。世界に向けて商品を販売する上で商品の配送は大きな問題ですから、この記事を是非参考にしてください。
DHLを利用する方法
DHLは、国際配送を専門とするドイツの企業です。国際宅配便を最初に始めた会社でもあります。個人から依頼されて荷物を配送することもありますが、基本的には企業や個人事業主と個別に契約して配送を請け負っています。
個人事業主になる
前述のとおり、DHLと契約するためには、基本的には法人化するか個人事業主となっておく必要があります。
しかし、法人になるには何かと手間がかかります。一方、個人事業主であれば税務署に開業届を出すだけなので、まずは開業届を出して個人事業主になっておきましょう。
DHLのカスタマーサービスに問い合わせ
DHLと契約するためのファーストステップは、カスタマーサービスへの問い合わせです。下記のページからメールを送りましょう(電話での問い合わせもできます)。
最初から電話で問い合わせても構いませんが、電話については「お急ぎの方は」とのことなので、最初はメールの方がいいでしょう。
問い合わせの際のメールに書くべき内容
問い合わせる際のメールには、以下の内容を書いておきましょう。
(1)DHLの利用目的
(2)これまでに使用していた配送手段(EMSなど)
(3)荷物の数量
なお、DHLにはeBay輸出を行っている人向けの割引もあるので、eBayで販売を行っていることは忘れずに伝えておきましょう。また、開業届提出済みの個人事業主であること、あるいは法人登記済みであること、加えて、営業担当者から折り返し連絡してほしい旨も書いておくとよいでしょう。
DHLから返事がくる
問い合わせをすると、営業担当者から電話か返信メールが来ます。送られてくるメールにはアンケートのようなものが付いているので、そこに現在利用しているサービスや数量、国別の発送荷物の割合、eBay上の販売サイトのURL、国際配送全体に占めるeBayの商品発送の割合などを記載して返信しておきましょう。
DHLと契約成立
メールや電話でのやり取りの後、問題がなければDHLと契約を結ぶことになります。
eBay輸出を行っている人の場合だと、DHLの配送料はPayoneer決済となるので、PayoneerとリンクさせるためのURLが送られてきます。Payoneerとのリンクが完了して数日経つと、アカウントナンバーが発行され、DHLを使った発送が可能になります。
DHL、eBay、Payoneerの連携でより便利に
DHLは、eBayやPayoneerと連携しているので、eBay輸出を行う人にとっては非常に便利です。
一括してオンライン上で完結する決済
3社の連携は、具体的には以下のようにしてなされています。
eBayで出品した商品が売れると、代金はPayoneerに入金される一方、商品はDHLによって集荷されて、購入者のもとに届きます。そして、DHLの配送料はPayoneerから引き落とされるという具合です。
Payoneerとは
Payoneerは海外商取引の外貨の受け取りが簡単にできるオンライン代金受取サービスです。アカウントは無料で登録でき、世界400万以上のビジネスで利用されています。
Payoneerを利用するメリット
Payoneerは手間もコストもかかる海外との外資決済を簡単、スムーズ、低コストですべてがオンラインで完結できます。複数の外貨の残高をPayoneerアカウントで一元管理し、日本全国の銀行で日本円で引き出せます。
世界規模のサービスなので、eBayのような世界中の人が利用するECサイトを販路とする場合は、是非導入しておきたい決済手段です。
DHL以外にもある国際宅配業者
国際宅配事業を行っている配送会社は、DHL以外にもあります。
後々役に立つので、他の事業者に関する知識も蓄えておきましょう。
海外に荷物を送れる国際配送業者
まずは、日本郵便です。EMSや国際eパケットなど、多彩なサービスを展開しています。
FedExとUPSも有名です。共にアメリカの企業で、DHLを含む3社で国際配送業界のトップを争っています。
国際配送を行っている事業者は日本にもあります。ヤマト運輸と佐川急便が代表的です。
サービス内容を比較して選ぶ
国際宅配業者を選ぶ際は、各宅配業者のウェブサイトで料金や配送日数などを調べる必要があります。
もっとも、実際の配送料金については契約者ごとに条件が変わる場合もあるので、契約を検討する段階になったら各社に見積もりを出してもらうのが良いでしょう。
配送日数はサービスによって変わる
海外に荷物を発送する場合は、荷物が到着するまでの日数も重要です。荷物の到着日数は、選択したサービスによって変わります。
以下は日本郵便のサービスを利用した場合の到着日数を表したものです。どのサービスを利用するかによって、必要な日数がかなり変わることが分かります(いずれも東京発です)。
ニューヨークまで
オーストラリアまで
イギリスまで
DHLと契約する前にチェックしておきたいポイント
DHLは、個人で荷物を一つだけ配送するような場合は、かなり送料が高くつきます。この場合は、日本郵便などを使った方がお得です。
しかし、法人や個人事業主が頻繁に国際宅配便を利用する場合は、お得な配送料金で契約できる場合もあります。具体的な契約条件は公開されていないので、まずはカスタマーサービスに連絡を取ってみてください。
ここでは、DHLと契約する前にチェックしておきたいポイントについて解説します。
無料で段ボールなどの梱包材がもらえる
DHLと契約すると、段ボールなどの梱包資材が無料でもらえます。越境ECで商品を販売していると、梱包資材にかかるコストは結構な額になります。その点、DHLは国際輸送にも耐えられるほどのしっかりしたダンボールを無料で提供してくれるのですから、ありがたい限りです。
他には、契約者ごとに担当者がついたり、カスタマーサービスがあったりと、DHLのサービスは全般的に高い水準にあります。
欠点を挙げるなら、EMSとは違って保険が付帯していないことです。そのため、保険をかける必要がある場合は、追加料金を支払う必要があります。
配送料金は、実重量と容積重量の比較で決まる
容積重量というのは、箱の大きさによって計算された重さのことをいいます。
DHLの場合、例えば、宅配便で一般的に使われる60サイズの箱(26×19×11cm)だと、容積重量は1.5kgです。これと実際の荷物の重さを比較して、重い方で計算します。
つまり、重さが2kgならそのまま2kgの荷物として、重さが1kgなら容積重量を採用して1.5kgの荷物として料金が計算されます。
これに対して、Flyer(フライヤー)と呼ばれる専用の袋に入れた荷物は、袋に入る限り、容積とは関係なく実重量が採用されます。衣類やぬいぐるみのようなかさばる荷物で、かつ衝撃による破損のおそれが低いものは、Flyerを使った方が送料が安く済みます。
DHLの配送料金
ここからは、DHLの送料の決まり方について解説します。
まずは、以下の料金表を見てください。利用が多いと思われるアメリカ合衆国は、区分5です。かなり高いと思う方が多いのではないでしょうか。
表の全体を見たい場合は、DHLの公式ホームページの「DHL エクスプレスダウンロードセンター」の「発送」タグの中に「サービスガイド・料金表」という項目があるので、こちらを参照してください。
実際の配送料金には、これに燃料サーチャージも加わります。これは航空燃料の価格の変動に合わせて随時変動します。
容積重量の計算の仕方
容積重量は、「縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)÷5000」で算出されます。端数は0.5kg単位で切り上げとなります。
例えば、無料でもらえるDHLの段ボールの中でも大きめのBox8の場合、54.1×44.4×40.9のサイズです。計算すると約19.6kgになります。小数点以下が切り上げになるので、容積重量は20kgです。
この場合、実重量が20kgまでなら20kgで配送料金が計算され、20kgを超えると実重量での計算になります。
自分で計算するのは面倒という方は、DHLのホームページの自動計算ツールをご利用ください。
その他の追加料金について
先ほど燃料サーチャージについてご紹介しましたが、他にも追加料金が発生する場合があります。例えば、リチウムイオン電池を内蔵している機器を配送する際のリチウムイオン電池取扱料です。
リチウムイオン電池はそもそも配送できない場合もありますから、必ずカスタマーサービスに問い合わせてください。
先ほどご案内したDHL エクスプレスダウンロードセンターでも、英語版ではありますが、「リチウムイオン電池取扱ガイド」などがダウンロードできます。
追加料金の一つ 遠隔地集配手数料について
追加料金には、遠隔地集配手数料というものもあります。名前のとおり、都市部から離れた場所に集荷に行ったり配送に行ったりする場合に発生する料金です。
具体的にどこが遠隔地に当たるかついては、DHL エクスプレスダウンロードセンターの「サービス」タグ内にある「遠隔地集配エリア」という表をご覧ください。
ただ、これを逐一確認するのは大変なので、DHLのホームページで公開されている以下のツールを利用すると良いでしょう。必要な情報を入力して「検索(Search)」を押すと配送料金が表示されます。
検索結果の「+」をクリックすると詳細が表示されます。遠隔地に当たる場合は、「REMOTE AREA DELIVERY」の料金が加算されていることが確認できます。
他の国際宅配便
最後に、日本郵便(EMS)やヤマト運輸といった他の国際宅配便についても見ておきましょう。
日本郵便(EMS)
まずは、EMSです。EMSは国際スピード郵便という名のとおり、日本郵便が提供する国際配送サービスの中では最速のものです。
日本郵便が提供するサービスなので、安心感があります。一部取り扱っていないところもありますが、全国の郵便局から発送できるのも便利です。
ただ、料金の割引制度があまりなく、料金別納、または後納が使える人が荷物を10個以上同時に出した場合に適用される割引があるくらいです。
ヤマト運輸の国際宅急便
次にヤマト運輸の国際宅急便を見てみましょう。配送日数は、アメリカの場合で4日から6日です。最短3日で届くEMSよりも多少遅い程度です。
ただ、料金はかなり安くなります。箱の3辺が合計60cm以内のサイズで2kgまでの荷物なら、アメリカまで2,750円です。EMSは4,500円と特別追加料金1,600円を合わせて6,100円なので、かなりのコスト削減になります。
日本企業なので、荷物の配送遅延や紛失などの場合に問い合わせがしやすいのもメリットです。
ただ、一部の国については個人による発送を受け付けていない場合があるので、ご注意ください。以下のWebページの下の方に「個人さまのお取り扱いができない国」が記載されているのでチェックしてみてください。
発送代行業者について
この記事では触れてきませんでしたが、国際発送を代行してくれる企業もあります。代行業者を利用する場合は、業者の物流センターに荷物を送っておけば、後はそこから国際発送されることになります。
通常は個人とは取引をしていないFedExのような国際配送業者も、代行業者を挟むことで利用できるようになります。
配送スピードも早く、料金も安いことが多いので、利用を検討する価値はあります。
発送代行業者としては、malltailが有名です。気になる方はホームページをご覧ください。
DHLを利用して、配送コストを削減しよう
DHLを中心に国際宅配業者について解説してきました。
DHLは契約条件によっては、EMSよりも良い条件で各国に荷物が送れます。越境ECを手掛ける場合、配送コストは大きな問題ですから、EMSばかりを利用していた人は、この機会にDHLも検討してみてください。
ただ、発送する荷物の量が少ないと契約してもらえないこともあります。そのため、まずはカスタマーサービスに問い合わせ、見積もりを依頼することから始めてみましょう。