海外に荷物を発送するには、さまざまな方法やサービスがあります。しかし、どの方法を選ぶかによって、料金はもちろん、送れる荷物の重さや大きさ、かかる日数や補償内容に違いが生じます。
そこでおすすめしたいのが、日本郵便の「EMS(国際スピード郵便)」です。30kgまでの荷物を多くの国や地域に短期間で送れるだけでなく、補償も付いています。
今回は、このEMSのイロハから送り状の書き方、さらに利用するにあたっての注意点などをわかりやすくお伝えします。とても便利なので、ぜひ使ってみてください。
EMSって何?
まず最初に、EMSについて基本的なことから説明しましょう。
EMSとは「国際スピード郵便」のこと
EMSは、「Express Mail Service」を略したもので、「国際スピード郵便」を意味します。万国郵便連合に加盟している国々の郵政公社が提供している国際航空郵便の一種で、30kgまでの書類や荷物を世界120の国や地域に約1週間以内(早ければ2~3日)で送ることができるとても便利なサービスです。
ただし、ゆうパックなどの普通の郵便サービスとは手続きや発送方法が異なる点には注意が必要です。
料金はどれくらいかかるの?
EMSの料金は、日本郵便が定める第一地帯(中国・韓国・台湾)、第二地帯(中国・韓国・台湾を除くアジア)、第三地帯(オセアニア・カナダ・メキシコ・中近東・ヨーロッパ)、第4地帯(米国(グアム等海外領土含む)、第5地帯(メキシコを除く中南米・アフリカ)の地帯と重さの違いによって異なります(一部の例外を除いて、荷物のサイズは関係ありません。この点もEMSの大きなメリットといえるでしょう)。
例えば1kgの荷物の場合、アジア圏(中国・韓国・台湾を除く)なら3,150円、ヨーロッパ圏なら4,400円です。
詳細は、以下の参考リンク(料金表)のURLをご覧ください。
配送禁止商品もある
30kgまでなら何を送ってもOKと考える方もいるかもしれませんが、そうではないので気をつけましょう。これは、EMSに限ったことではありませんが、国際的な取り決めにより、海外への郵送は不可とされている物品はたくさんあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
例えば、花火やクラッカーなどの火薬類、マッチやライターなどの可燃性物質、水銀やバッテリーなどの腐食性物質などが挙げられます。詳しくは、以下の参考リンク(郵送禁止物品)のURLをご参照ください。
参考:郵送禁止物品
ラベルとインボイスの書き方
EMSで海外に荷物を送る際には、専用のラベルとインボイス(貨物の内容証明書)に必要事項を記入しなければなりません。海外に荷物を送るには国内だけでなく相手国の税関も通過しなければならないため、これらの書類に書き間違いがあるとスムーズに荷物が送れなくなります。よって、記入方法をしっかりと確認しておきましょう。
ちなみに、EMSを使ってアメリカやヨーロッパ等に荷物を送る場合は、手書きのラベルは使えません。後述する方法ですべての情報をパソコンかスマホで入力する必要があるので気をつけましょう。
EMSのラベルとインボイスについて
後述しますが、EMSのラベルには、「書類用」と「物品用」の2種類があり、それぞれ8枚綴りとなっています。日本語で記入しても一切受け付けてもらえないので注意が必要です。インボイスには、差出人や荷受人の名前や住所はもちろん、それ以外にも荷物の中身の総個数や重さ、原産国まで事細かく記載しなければならないので、慣れないうちは少し面倒に感じるかもしれません。
EMSラベルの書き方
まず、EMSのラベルは、荷物の送り状ですから、自分と相手の名前、住所、郵便番号、電話/FAX番号を記入します。ただし、英語かフランス語、または相手国で通じる言語で記入しなけえれば一切受け付けてもらえないので気をつけましょう。荷物の中身をローマ字で記載することも禁止されています。また、ざっくりと「Food」ではなく、「Rice Cracker」のように、できるだけ詳しく書いてください。中身が不明と判断されたら、開封して検査される場合もあり、時間のロスが生じます。
ラベルには、以下の1、2、3に必要事項を記入します。
インボイスの書き方
先ほど述べたとおり、インボイスの記入はラベル以上に面倒です。
双方の名前や住所、郵便番号などはもちろん、インボイス作成の日付、EMSラベルの番号、内容物の具体的な名前や重さ、個数、原産国の記入も必要です。
インボイスは海外に荷物を送る際の正式な内容証明ですから、嘘や間違いは許されません。すべて記入者である自分の責任になるので、時間がかかっても急がず、正確性第一で仕上げるようにしましょう。
ラベルの内訳
EMSのラベルがどのような構成になっているのか、詳しく説明しましょう。ラベルといっても1枚ではないので、最初は戸惑うかもしれませんし、多すぎて各ラベルの用途もよく理解できない方が多いでしょう。そこで、ここでEMSのラベルに関する知識を身につけておきましょう。そうすれば、ラベルの作成作業が楽になること間違いなしです。
ラベルは6枚綴り
EMSのラベルは、6枚綴りと大変多いので、初めて手にしたときはびっくりするかもしれません。
1枚目と2枚目は、それぞれ、送り状と税関告知書になります。左上に「貼付用」とあるので、荷物に貼り付けて送ります。
3枚目の税関告知書と4枚目のインボイスは、郵便局でもらえる国際郵便添付書類封入袋に封入して荷物に貼り付けます。
5枚目は、EMS受取書でお客様控えですから大切に保管しておきましょう。
6枚目は、受付局控なので、郵便局側が受付時に引き取ります。
特に、5枚目がEMSを使って発送したことの証明書となるので、これだけは忘れずに持ち帰ってください。
署名も確認を
ラベルのうち、2枚目と3枚目の「税関告知書」、4枚目の「インボイス」、6枚目の「受付局控」には、それぞれ署名する必要がありますので、必ず書いて確認してください。
印刷によるEMSラベルの作成方法
先ほどラベルの書き方について説明しましたが、記入事項が多いうえにスペースも限られているため、書きにくく感じる方も少なくないでしょう。そんな方のために、郵便局は、ラベルをパソコンかスマホで入力して作成できる便利なサービスを提供しています。
「国際郵便マイページサービス」に登録する
まず、ラベル作成サービスを利用するには、郵便局の「国際郵便マイページサービス」へ登録のうえ、ログインする必要があります。登録には、メールアドレスとパスワードが必要です。
パソコンとスマホでは、ラベルの作成方法が異なります。以下でそれぞれの作成方法を確認していきましょう。
パソコンでラベルを作成する方法
パソコンでラベルを作成するには、国際郵便マイページサービスからログインし、マイページメインメニューの「オンラインシッピングツール」にある「送り状作成」を選びます(パソコン、プリンター、A4の用紙はご自身で用意してください)。
まずは「ご依頼主」と「お届け先」を、次に「発送種別と内容品」をそれぞれ登録し、さらに「発送関連情報」を登録したら印刷して完了です。
スマホでラベルを作成する方法
続いては、スマホでラベルを作成する方法です。スマホの場合は、一部の郵便局に設置されている「ゆうプリタッチ」を使って印刷することになりますので、事前にお近くの「ゆうプリタッチ」のある郵便局を調べておいてください。
それでは、早速スマホでラベルを作成していきましょう。
(1)まずは、国際郵便マイページサービスに登録のうえログインします
(2)「ご依頼主情報」と「お届け先情報」を入力後、「次へ」をタップ
(3)「種別・内容品」を登録して「次へ」をタップ
(4)「発送関連情報」を入力して「内容確認」をタップ
(5)「ゆうプリタッチ用の二次元バーコード」の送り先となるメールアドレスを入力
(6)「認証コード」に好きな4桁の数字を打ち込みます。(※会員登録しているメールアドレス宛に送信する場合は認証コードは必要ありません。登録しているものと異なるメールアドレスに登録する場合のみ必要です。)
(7)「メール送信」をタップすると、しばらくして「二次元バーコード表示用のURL」が登録したメールアドレス宛に届きます。これをタップして、先ほどの認証バーコードを入力すると、二次元バーコードが表示されるので、郵便局の「ゆうプリタッチ」にかざせば、ラベルがプリントされます。
EMSのラベルの種類
EMSのラベルは目的によって種類が異なるので覚えておきましょう。
ラベルは2種類
EMS用のラベルには、「書類用」と「物品用」の2種類があります。送る目的に応じて選択してください。
EMSの集荷、追跡、補償等について
ここからは、EMSの主なサービスについて詳しく説明しましょう。
EMSの集荷サービス
EMSは、郵便局に依頼して集荷してもらうことができます。方法は、最寄りの郵便局に電話する方法とWeb集荷サービスを使う方法があります。Web集荷サービスは、ゆうびんIDを取得しておくと手続きが早く済むのでおすすめです。
参考:Web集荷サービス
EMSの追跡サービス
EMSを使った場合、送った荷物がどこにあるのかを追跡(確認)することができます。海外に荷物を送る場合、天候不良や航空機のトラブルなどで配送が遅れることは珍しくありません。もちろん、途中で紛失するケースもないとは言いきれません。その点、この追跡サービスを使うと、送った荷物のステータスがわかるので安心です。
追跡方法は、専用画面でEMSの送り状に記載されている13桁の問い合わせ番号を打ち込むだけです。
参考:EMS配達状況のご確認
EMSの配達にかかる日数
EMSは最速の国際郵便です。
あくまで目安ですが、第一地帯の中国・韓国・台湾なら2日、第三地帯のオセアニアやヨーロッパなら2~7日、第五地帯の南米なら4〜5日ほどで配達できます。
損害賠償額
EMSでは、送った荷物が途中で紛失したり壊れたりした場合でも、2万円までなら損害を賠償してくれます。個人的に補償額を上乗せしたい場合は、50円プラスするごとに2万円ずつ補償額が増加していきます。つまり、50円プラスなら4万円の補償、100円プラスなら6万円です。ちなみに、上限は200万円までとなっています。
EMSを使う際の注意点
最後にEMSを使う際に知っておくべき注意点について触れておきましょう。
EMSは着払いができない
EMSで荷物を送る場合は、元払いが原則です。着払いは利用できないので気をつけましょう。つまりEMSを使う場合、荷物の手配、梱包、発送、支払いはすべて自分が行うということです。
輸入関税は荷受人負担となる
EMSで海外に荷物を送る場合、中身の総額によっては関税が課されることがあります。そして、その際の納税義務は荷受人が負うことになります。
通関手続きは別途依頼する必要がある
EMSで海外に荷物を送る際、もし中身が20万円を超える場合は、輸出申告のうえ通関手続きを経なければなりません。ところが、EMSのサービスには、通関手続業務が含まれていないため、別途専門業者に依頼する必要があります。日本郵便に依頼することもできますし、他の業者を探しても結構です。
まとめ
EMSは日本郵便が提供する世界最速の国際郵便です。実績もあるため安心して任すことができます。万一、荷物が届かないなどのトラブルがあっても追跡ができるうえ、損害が発生した場合は賠償してもらえます。
しかし、通常の郵便とは発送方法が異なることから、慣れるまでは面倒に感じるかもしれません。ただ、専用のアカウントを登録したり、ゆうびんIDを取得しておくなりすればラベルの作成や集荷、追跡事務を簡素化できるので、そこまで煩わしく感じることもないでしょう。
せどりを成功させようと思えば、商品を1日でも早くユーザーの手元に届けることが重要です。そのためにもEMSを賢く利用して、ユーザーからの信頼をしっかりと勝ち取りましょう。