この記事では、撮影ボックスの使い方やおすすめの撮影ボックス、上手な写真の撮り方について解説します。撮影ボックスを安価で手作りする方法も紹介するので参考にしてください。
きれいな写真を撮るために欠かせない「撮影ボックス」とは
商品を撮影するときに簡単にプロみたいな写真が撮れるようになるアイテムが「撮影ボックス」です。ここでは、撮影ボックスを使うメリットと撮影ボックスの選び方について解説します。
撮影ボックスとはなにか
撮影ボックスとは、中に背景布が入っている白い箱のことで、撮影したいものを中に入れることで光のバランスを調整してきれいな写真を撮ることができるグッズです。折りたたみ可能なもの、もともと照明がついているもの、照明の明るさ調整が可能なものなど、大きさや機能が違うので、用途に合わせて選びましょう。アクセサリーや靴などを撮影する小さなボックスは1,000円前後から、人が入って撮影できるような大型のものや高性能なものは20,000~30,000円程度で販売されています。
「撮影ボックス」という呼び名のほかにも、撮影キット、簡易スタジオ、ウェブスタジオ、撮影ブース、ライトボックス、パーソナル写真スタジオなど、メーカーによってさまざまな名称で呼ばれています。
撮影ボックスを使うと写真はどう変わる?
撮影ボックスを使って写真を撮ることによって得られるメリットは以下のとおりです。
・背景が単色になるので、商品の邪魔をせずにスッキリした写真が撮れる
・夜でも明るい中で商品撮影ができる
・布越しにライトを当てることで自然光の中で撮影したように見せることも可能
・背景布のバリエーションを増やせば好みの背景色で写真を撮れる
・商品画像のトーンを揃えられるので撮影日によっての差が生じない
・扱いが楽で初心者でもきれいな写真が撮れる
・折り畳めるタイプを買えば部屋で邪魔になることもない
・毎回ライトの位置や窓からの距離、太陽の位置を考える必要がないので撮影を効率化できる
撮影用の部屋を用意するという手もありますが、個人でネットショップを経営している人などは特に場所の確保が難しいでしょう。また、もともとの壁紙・床材に影響されて背景がごちゃついて見えるのも問題です。
撮影ボックスを使えばそのような心配なく、商品のみにスポットを当てた写真が完成します。フルオート設定で撮っても、Photo Shop(フォトショップ)などの加工なしでアップしても、商品画像としては問題ないレベルの写真になるので、初心者にもオススメです。
撮影ボックスを選ぶときはサイズに注意
一口に撮影ボックスといっても、アクセサリーなどの小物しか入らない小さなものから、成人が入っても大丈夫な大型ボックスまでさまざまなサイズ設定で販売されています。商品画像にはぬいぐるみや花瓶などサイズ感の目安となる商品が入っていますが、必ず商品詳細のサイズを見て、自分が撮影しようと思っているものが入るかどうか・余白はどのくらい空くかを確認してください。
小さすぎると布の切れ目が写ってしまい、商品画像が小さくなったり後々の加工が面倒になったりします。今後撮影するものの種類が増えたときのことも考えると、大きめのボックスを購入してしまったほうが買い直しにならずに済みます。
ほかにも、背景色が一色しか無いもの・複数枚の背景布が用意されているもの、照明がついているもの、照明の明度調節までできるものと機能面でも違いがあるので、説明をよく読んでから購入しましょう。
撮影ボックス3種を比較
ここでは、3種の小型撮影ボックスの使い勝手を比較検証していきます。サイズの他に背景布・照明などについても言及しているので、自分が持っている設備と併せて購入を検討してみてください。
PULUZ 撮影ボックス
23×24×23cmの小型撮影ボックスで、値段は1,299円~とお手頃なのが魅力です。小型撮影ボックスにしては珍しく、背景布が6色付属しているので、商品の色味に合わせて・季節に合わせてなどテーマに合った撮影ができます。ボックスの前後に1本ずつLEDライトバーが付属しているので、照明器具を持っていない人にもおすすめです。折りたたみ保管ができ、組み立てはスナップバックル式なので、マグネットタイプよりも安定感があります。
QYXINC 32CMの撮影ボックス
ミニ三脚や六種類の背景幕、LED照明など撮影に必要な道具がセットで付いてくる便利な商品です。お値段も2299円~と大変お手頃で、これ一つですぐに撮影が始められるため撮影ボックスを今まで購入された事がない方やビギナーにもおすすめです。
大きさは30x30x32.5cmで背景幕は黒・白・赤・緑・青・黄の6色展開、ボックスの上部に128個のLEDチップが付いています。
小型撮影ボックスにしては32.5cmと高さがあるので、花瓶など縦置きの物の撮影に重宝される商品です。
JP-川子 撮影ボックス LEDライト20PCS
22.6x23x24cmの小型撮影ボックスで、折り畳み式でマジックテープで簡単に組み立てられるという少し珍しい仕様になっています。背景布は白・黒の2色で20個の高品質LEDライトが付いている作りです。
今回紹介した3種の中では最も安く、Amazonでは784円から購入できます。かなりシンプルな作りになっているので、不用品をフリマアプリで売りたい・日常でSNSに上げる写真を撮りたいなど、費用をかけたくない人にオススメします。商売用の写真を撮るには少し軟弱な作りと言わざるを得ません。
おすすめ撮影ボックスPULUZについて詳しく紹介
ここでは、PULUZの小型撮影ボックス(23×24×23cm)について、性能を詳しく解説していきます。値段も安く、お金をあまりかけずにきちんと感のある写真が撮りたい人にオススメのボックスなので、興味のある人は参考にしてください。
付属品は4つ
・折りたたんだ際に収納する用の巾着袋
・黒、白、青、赤、緑、オレンジの6色背景布
・説明書
・USBケーブル
の4つが、撮影ボックス本体とは別に付属しています。
説明書が英語で書かれている点に注意が必要です。ただ、組み立て方も使い方もネットに載っていますし、さほど難しい作りでもないので問題はありません。
USBケーブルはライトを点灯させるために使うもので、USB端子が使えるタップの他、モバイルバッテリーやパソコンと繋ぐことでも使用できます。USBアダプタは付属していないので、コンセントに繋ぎたい人は別途購入しましょう。
この4つの付属品の他に、撮影ボックス本体にLEDライトバーがついています。全く同じサイズの撮影ボックスでライトバー1本バージョンと2本バージョンが売られているので、購入のときには注意してください。価格は100円ほどしか変わらないので、より明るく撮影できる2本バージョンを買ったほうがお得です。
組み立て方
(1)折りたたんだ状態で届きますので、はじめは内側に強く折りグセがついています。折り目を反対側に折ってから組み立てることできれいな四角形になるので、忘れずにおこないましょう。
(2)折りグセを修正したらいよいよスナップバックルを合わせていきます。4箇所にスナップバックルがあるので、四角形になるように留めていってください。
(3)背景布を付けます。上部にサポートプレートがあるので、布の穴を通してぶら下げればOKです。
(4)LEDライトバーにケーブルを繋いで完成です。撮影したいものを中に入れて、スマホやカメラで写真を撮りましょう。
PULUZは収納場所にも困らず初心者におすすめの撮影ボックス
組み立ても簡単ですし、折りたためば場所を取らずに収納できるので、部屋が狭い人でも大丈夫です。価格が安いので若干撮影ボックスが透けて見える感はありますが、アマチュアがフリマ出品などに使うのには十分なスペックと言えるでしょう。今回紹介したのは小物撮影用の一番小さいサイズですが、60×60×60と、80×80×80の大きいサイズもあります。
撮影ボックスを自分で作る方法を大公開
撮影ボックスは既製品を購入することも可能ですが、実は100均で買える材料で自作することもできるのです。ここでは、撮影ボックスを手作りする方法を紹介します。
撮影ボックス作りに必要な材料
・フリーマルチパネル:4枚もしくは5枚
・フリーマルチパネルの連結ジョイント:8個
・フェルトなどの布類:黒や白
・クリップ
・LEDライト
フリーマルチパネルが撮影ボックス本体になります。背面と左右・上部は必須、下面はなくても構いません。下面がなくても良い場合はフリーマルチパネル4枚あれば作れますが、下面になる机などが必要です。
フェルトは背景布になるので、大きなサイズを選びましょう。クリップは背景布をフリーマルチパネルで作ったボックスにセットするために使います。垂れ下がるようになれば問題ないので、家にある洗濯ばさみや両面テープなどを使っても大丈夫です。LEDライトはスポットライト用なので、自宅に使えるライトがある人は買わなくても構いません。
撮影ボックスの作り方手順
(1)フリーマルチパネルを専用ジョイントで連結させていきます。4枚の場合は、背面、上面、左右に連結させてください。5枚の場合は、背面、上下、左右に連結させて、手前だけが空いた箱状になるように連結します。
(2)フェルトなどの布を箱の幅に切り、背面一番上から下面に垂れ下がるように留めます。これで撮影ボックスは完成です。
(3)撮影したいものを中に入れて、外側からライトを当てて撮影しましょう。
写真撮影のテクニックを紹介
何を撮るかによって、意識するべきことは異なります。ここでは、例として食品とアパレル製品の撮影テクニックを挙げて紹介します。
食品を撮影する
食品を撮影するときに意識するポイントは「美味しそうに見えること」「食べるシーンを想像できること」です。包装された状態でそのまま撮るのではなく、鍋ならグツグツと煮立っている状態、お菓子ならお茶やカトラリーが添えられている状態で撮影すると美味しそうに写ります。ただし、ピントは必ずメインとなる食品に当ててください。湯気を見せたいのなら黒い背景布を使う、ドリンクの透明感を見せたいのなら白や水色などの淡い色合いの背景布を使うといった工夫も重要です。
また、撮影のテクニックとして、光の当て方にも注目しましょう。食品に向いている光の当て方は「逆光気味かつ自然光に見えるように当てる」です。逆光気味に当てるのは、立体感を際立たせたいとき・光を透けさせて見せたいときに有効なテクニックです。後ろから光が当たることによって、光があたった部分はツヤや色味が強調され、手前に影ができることで画面がのっぺりしてしまうことを防ぎます。
もうひとつの大事なポイントである自然光は、温かみを出すために有効なテクニックです。蛍光灯のもとで撮るとどうしても固い印象の写真になり、料理が美味しそうに見えません。本物の自然光でなくても良いので、撮影ボックスの外から布越しに光を当てるなどして柔らかい光にしましょう。
《注意する点と撮影のポイント》
・自然光のもとで逆光気味に光を当てて撮影する
・注目してほしい箇所にピントを合わせる
・パッケージから出して撮影する
《おすすめの構図》
・三角構図―手前に注目させたい料理を1つ置き、後ろに2つ料理や小物類を置く構図、安定感が出る
・対角線構図―手前に注目させたい料理を置き、斜め後ろに1つ料理や小物を置く構図、奥行が表現できる
・俯瞰構図―小物やテーブルクロスなどで全体をセッティングして真上から撮る構図、雑誌風のおしゃれな写真が撮れる
アパレル製品を撮影する
アパレル商品の撮影での大切なポイントは「プロ感」です。可能であれば洋服の印象に合う人物をモデルとして用意し、難しい場合はトルソーを使いましょう。売上アップのためには、購買層をワンランク上に感じさせる写真が必要になってきます。アクセサリーやバックなども合わせてトータルコーディネートで写真撮影をすると、着用イメージがしやすく、売上アップに効果的です。できれば一緒に撮影する小物類も自分のショップで販売しているものが良いです。照明は、順光になるように斜め前から当てましょう。洋服や小物の質感が伝わるように撮るのがコツです。また、洋服は必ずアイロンを掛けてから撮影してください。シャツなどのパリッとした素材はもちろんのこと、ギャザーの寄った曲線デザインの服もアイロンを掛けることできれいなシルエットになります。
《注意する点と撮影のポイント》
・人やトルソーが着た状態で撮る
・トータルコーディネートで撮る
・照明は斜め手前から当てる
・洋服はアイロンを掛ける
《おすすめの構図》
・真正面から、パースに狂いがでないように撮る
まとめ
撮影ボックスを使うことで、誰でも簡単にプロのような写真を撮ることが可能です。カメラはスマホで十分ですし、簡易な作りの撮影ボックスなら数千円で手に入りますので、ぜひ使ってみてください。ネットショップ経営者だけでなく、フリマアプリで不用品を売りたい人にもオススメです。