仕入れと売上のバランスを考えよう!売り上げ予測からの逆算が成功の一歩

仕入れた商品に利益を積み増して売り上げ予測するのではなく、あらかじめ利益を確保する売り上げ予測をして商品を仕入れることが売り上げを上げることにつながります。利益を確保する商品を仕入れるためには、仕入れと売上のバランスを考えて、仕入基準を決めておく必要があります。利益を確保する仕入基準の決め方をお伝えします。

目次

なぜ仕入の基準が重要なのか?

売り上げ予測から仕入れ基準は決まります。なぜ仕入れ基準が重要なのか?その根拠を解説していきます。

売り上げが仕入価格を下回ると利益は出ない

これだけ売れるだろうという期待ではなく、実際に売れた売上高から仕入れを考えるのが基本です。すぐに売れるものもあれば、1ヶ月以内、3ヶ月以内に売れるなど商品によって違ってきます。6ヶ月たっても売れないということもあります。回転率を考えずに仕入れてしまうと利益がでるどころか赤字になってしまいます。今月は100万円売り上げると予想して70万円で仕入れたとします。しかし、50万の売り上げしかなかったら赤字になります。70万円の売り上げだったとしても、販管費コストなどを差し引けば赤字なのです。計画性のない仕入れは失敗の元です。

売上予測をする

売り上げ予測は去年のデータ×成長率で算出することができます。たとえば、2年前の売り上げは250,000円1年前は300,000円だとします。

(現在の売上-過去の売上)÷過去の売上=成長率

(300,000-250,000)÷250,000=0.2

300,000×1.2(20%アップ)=360,000円

前年比120%になり360,000円が売り上げ予測になります。この売り上げ予測から逆算して仕入れを決めていきます。

過去の実績やデータがあれば前年の売り上げや先月の売り上げから売上予測を立てることができます。しかし、副業をはじめたばかりの頃は売り上げ実績がありません。新品の価格の相場、中古ならコンディションごとの価格相場、回転率や利益率および利益額を考慮に入れながら売り上げ予測をしてみましょう。

利益率と利益額を予想する

まずは、前年の利益率や利益額を目指すのもいいでしょう。売り上げ予測から仕入基準を見直せば、前年以上の利益率や利益額を増やすヒントが見つかることもあります。それでは、仕入れの計算方法を説明していきます。

掛け率の意味と計算方法

掛け率は、卸問屋やメーカーにお勤めの方には聞き慣れた言葉でしょうが、日常生活では馴染みのない言葉ではないでしょうか。仕入れの現場では当たり前のように使われてる言葉ですので知識として覚えておきましょう。

掛け率とは?

掛け率とは、商品の販売価格に対する仕入価格の割合をいいます。販売価格の何%で仕入れることができるかということです。7掛は販売価格の70%と同じ意味です。卸問屋は商品をメーカーから仕入れ小売店に販売します。卸問屋は小売店と交渉して掛け率を決めます。最終的に決定した価格を卸値、小売店の立場からは仕入れ価格になります。商社や代理店を介して仕入れる場合も同じです。メーカーから直接仕入れる場合は、メーカーの希望小売価格の掛け率で仕入れることになります。季節や購入個数によって掛け率は変わってきます。

掛け率の計算方法

販売価格が1,000円の商品なら、掛け率が70%(7掛)で仕入れた場合、1,000×0.7=700円になり、仕入れ価格は700円になります。仕入れの現場では、仕入れ価格ではなく、商品の掛け率が聞かれることが慣例になってるため、掛け率で答えられる準備をしておきましょう。

掛け率の相場から掛け率を想定する

業種によって掛け率は違ってきますが、過去のデータから相場はほぼ決まっています。アパレルであれば、商品に対して6掛(60%)が相場になっています。たとえば、10,000円の商品であれば6掛(60%)なので、仕入れ価格は6,000円になります。

中小企業実態基本調査に相場の統計がありますので参考にしてください。

参考:中小企業庁 中小企業実態基本調査 令和3年確報(令和2年度決算実績)

掛け率は、卸問屋と小売店の取引実績や仕入れの個数、季節、地域によって設定されるため、小売店ごとに掛け率も違ってきます。

上代と下代とは?

上代(じょうだい)とは、商品の販売価格です。いわゆる定価やメーカー小売希望価格のことをいいます。下代(げだい)とは、卸値です。小売店の立場からみた仕入れ価格をさします。下代で商品を仕入れて、利益を上乗せして上代で商品を売ります。上代に対し下代が低ければ低いほど利益率は大きくなり、下代が高くなれば高くなるほど利益率は小さくなります。

掛け率計算は覚えておいて損はない

掛け率は日常にも使うことができます。たとえば、あなたがリフォームをするときに業者さんに依頼して見積もりをするとします。掛け率の相場がわかっていれば、商品を購入するときに業者の利益を計算できるようになり、スムーズな値引き交渉も可能になります。サラリーマンの方は業者との付き合いが増えます。掛け率の相場は業種によって異なりますが、おおよその掛け率を知っておくことで、条件を提示しながら有利に取引ができるようになります。

利益率の出し方

商品を仕入れたら、利益を考慮に入れながら販売価格を決めていきます。

間違った利益率計算は利益を損なう

営業や販売をしているとお客さんから値引き交渉されることがあります。上司から「利益は50%確保してほしい」と指示があり、利益を50%確保する形で、お客さまの値引きに応じたとします。正しい計算方法を知らないまま、仕入れ価格1,000円の商品に対して、1,000×(1+0.5)=1,500円と計算し販売価格を決めていたとしたら、会社に損失を与えることになります。正しい販売価格は2,000円です。

利益率計算は外掛け方式が通例

利益計算には2つの方法があります。原価基準で計算する内掛けという計算方法と売価基準で計算する外掛けという計算方法です。

内掛けは原価(仕入れ価格)に一定割合の利益を乗せる計算方法です。例えば1,000円の商品50%の利益を確保して販売価格を決める場合、1,000×(1+0.5)=1,500円が販売価格になり、利益率は500÷1,500×100=30%になります。内掛けの計算方法では、50%の利益率は確保できていないことがわかります。

外掛けは販売価格から利益を設定していく計算方法です。原価÷(1-希望利益率)=販売価格になります。先程と同様、1,000円の商品50%の利益を確保して販売価格を決める場合、1,000÷(1-0.5)=2,000円が販売価格、利益は2,000-1,000=1,000円になります。利益率は1,000÷2,000×100=50%になり、50%の利益が確保できることになります。

外掛け価格設定は利益額が即座にわかるというメリットがあります。日本では原価基準ではなく売価基準の計算方法を採用するのが通例です。

なぜ仕入れ価格を0.5で割るのか?

利益率は販売価格に対する利益の割合であり、原価に対する割合ではないからです。つまり、販売価格を100%とした場合、その100%のうち利益は何%になるのかを示しているのが利益率なのです。そして、100%のうち利益率を引いたものが原価率になります。販売価格×原価率=原価と考えれば簡単です。販売価格=原価÷原価率に置き換えてみればいいのです。原価率は1-0.5(利益率)なので、販売価格=1,000(原価)÷0.5(原価率)で販売価格が2,000円になります。原価と原価率から販売価格を算出する計算方法のほうがわかりやすいのではないでしょうか。参考にしてください。

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利益率と原価率の関係

営業や販売の人だけでなくサラリーマンであれば、利益率や原価率を考えないといけない場面に遭遇する機会も多いでしょう。知っていて当然と思われていますから誰も教えてくれません。副業をやるなら利益率や原価率を知らないと継続が困難になります。知っていて損はありません。必要最低限の知っておくべき計算方法をご紹介します。

利益とは?利益率の計算方法は?

売り上げとは、お客さんに商品やサービスを提供しその対価として得るお金のことをさします。収益とは、会社に入ってくるお金のことをいいます。収益の基本は売り上げですが、配当金や預金利息など本業以外の収入も含まれます。売り上げから費用を引いたものが利益です。利益には売上総利益(粗利)、営業利益、経常利益などがあります。利益率とは、売り上げに対する利益の割合をさします。利益率は、利益率=利益÷販売価格×100で算出できます。

売上総利益(粗利)とは、売上から売上原価を引いた利益のことです。たとえば、1,000円で仕入れた商品が5,000円で売れたとすると、5,000-1,000=4,000で粗利は4,000円、粗利益率は4,000÷5,000×100=80%になります。粗利や粗利益率は商品力の高さを計る指標となるため会社の実力を測るものさしとして重要視されています。

営業利益とは、売上総利益(粗利)から販売費及び一般管理費を引いた利益のことをいいます。販売費は広告費や荷造費、運搬費、保管費などの販売活動に直接かかった費用、一般管理費は人件費や家賃、光熱費などの企業運営にかかる間接費用をさします。たとえば、販管費が500円だとすると、営業利益は4,000-500で3,500円、営業利益率は3,500÷5,000×100=70%になります。

経常利益とは、営業利益から本業以外の損益を加減したものをさします。受取利息や受取配当金などの営業外収益や支払利息などの営業外費用をさします。営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益になります。営業外費用が300円だとすると、経常利益は3,500-300=3,200円、経常利益率は3,200÷5,000×100=64%になります。

原価とは?原価率の計算方法は?

原価とは、一般的に仕入原価のことをいいます。仕入原価と売上原価は違いますので注意しましょう。仕入原価とはまだ売れる前の仕入れ価格をさします。それに対し、売上原価は実際に売れた商品の仕入れ価格をさします。たとえば、5,000円で商品が売れました。この商品は卸問屋の業者さんから1,000円で買ったものでした。売れた商品の仕入れたときの金額はいくらだったか?と考えていきます。

原価率とは、売り上げに対する原価の割合のことをいいます。原価率の計算方法は、原価率=売上原価÷売上×100です。たとえば、1,000円で仕入れた商品を5,000円で売るとします。1,000÷5,000×100=20%になります。

原価率と利益率は補数の関係なので、売価を1とした場合、1-利益率=原価率になり、1-原価率=利益率になります。つまり、原価率+利益率=1(100%)が成り立ちます。たとえば、原価率80%で利益率20%なら、0.8+0.2=1になるわけです。

粗利と値入高の違い

販売価格から仕入原価を引いた金額のことを値入高(値入額)といいます。値入高も粗利も利益を表しますが、値入は販売する前の予定された利益を意味し、粗利は販売後の確定した利益のことを意味します。商品を値引きする、賞味期限が過ぎて廃棄するなど、仕入れから売れるまでにロスがあり、ロス分を差し引いて残った利益が粗利になります。なので、粗利は値入高よりも少なくなるのが普通です。

値入率とは、販売価格に対する利益の割合をいいます。値入率は、値入率=(販売価格-仕入原価)÷販売価格×100で求められます。たとえば、1,000円の販売価格に対しての仕入れ価格700円だとすると値入率は、(1,000-700)÷1,000×100=30%になります。そこにロスが5%発生した場合、粗利率は25%になります。

上記で説明した外掛けで値入率から販売価格を設定することができます。たとえば、粗利率予算を30%とします。5%のロスを考慮して、650円の仕入れ原価から35%の値入率を確保する販売価格はいくらになるでしょうか?仕入原価÷(1-値入率)=販売価格なので、650÷(1-0.35)=1,000円になります。

せどりの売上・回転率・利益率・利益額の計算方法

せどりの平均利益率は20~30%です。その根拠を回転率や利益率および利益額から解説します。

月商よりも利益を優先する

3ヶ月で月商50万円稼ぎました!6ヶ月で月商100万円達成しました!というフレーズをよく目にしますが、月商に対する利益を公表してる方をあまり見かけません。手間や労力のわりに利益が出てない、手元にお金が残っていないという方も多いのではないでしょうか。いくら売上高が増えても利益がほとんどない、あるいはマイナスなら赤字状態なので資金はショートし継続できなくなります。利益率をあげることが安定的に稼ぐことにつながります。月商よりも利益を優先しましょう。

せどりの利益分類と利益率

上述したように、売り上げ総利益(粗利)、営業利益、経常利益などの利益分類がありますが、Amazonせどりのいう利益は営業利益から一般管理費を考慮しないものが近いといえるでしょう。つまり、利益=売上高-売上原価-直接経費(販売手数料+FBA手数料)、利益率=利益÷売上高になります。たとえば、1,000円で仕入れた商品を5,000円でFBA販売(カテゴリー別販売手数料を15%、配送代行手数料を小型分類で計算)したとします。利益額は5,000-1,000-750-282=2,968円、利益率は2,968÷5,000×100=59.4、60%になります。

せどり初心者の想定利益率は20%

せどりの平均利益率は20~30%ですが、初心者はまず利益率20%を目指しましょう。競合するライバルが増え価格競争により値下げを余儀なくされることも想定しなければならないからです。最初から利益率10%前後を想定していると全く利益が残らない可能性もあります。反対に30%を超える利益率の商品を仕入れたとしても、売れ残り在庫を積み重ねてしまうことになりかねません。初心者はリスクを最小限に抑えることが継続の秘訣です。慣れてきて資金が増えてきたら利益率の高い商品や薄利多売商品をバランス良く構成していきましょう。

利益率と利益額どちらを優先?回転率は?

一般には利益率が高いほど利益が大きくなると言われています。しかし利益率が高くても商品単価が低ければ利益額が小さくなることもあります。たとえば、利益率が50%で売上が1,000円の商品と利益率が10%で売上が10,000円の商品があったとします。一見、前者のほうが儲かってるように見えますが、実際に得てる利益は500円です。一方、利益率が10%でも売上が10,000円あれば利益は1,000円ということになります。利益額を見れば後者のほうが儲けてることになります。利益率に過度にこだわりすぎるのは危険です。利益率の高いものにこだわらず、トータルで利益額が増えるような商品構成を考えることが安定的に利益を増やして売り上げを上げていくことにつながります。

最後に回転率についてお伝えします。回転率は仕入た商品がどのくらいの期間で売れたかの指標です。回転率が高いとは、仕入れから販売までの期間が短いことを意味します。利益率と売り上げに対してどのくらい利益が得られたのかの指標です。利益率が高いとは、売上に対する原価が低く、1つ売れたらより大きな利益を確保することを意味します。回転率が高い商品は安定して売買できるというメリットがありますが、利益が薄いため大量に売らないと儲けられないというデメリットもあります。一方、利益率が高い商品は少ない売買で儲けられる可能性はありますが、長期間売れず資金拘束されるというデメリットがあります。回転率と利益率は反比例の関係にあります。回転率や利益率は商品によって違いますが、自分の状況に合わせて扱う商品を選定していくのがよいでしょう。

まとめ

一見儲けられそうな商品を見つけたとしても、回転率や利益率、利益額を度外視した商品の仕入れは見送るべきです。売上を伸ばし安定した利益を確保していくためには、回転率や利益率、利益額を考慮にいれた仕入基準をしっかり押さえた商品構成をしていきましょう。

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この記事を監修した人

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