無音で動画撮影できるアプリがあるのをご存知でしょうか。動画を撮影したくても、シチュエーションによってはシャッター音を消したかったり、録画していること自体を気づかれたくなかったりすることがあります。
そんなときは、撮影開始時の音を無音にできるアプリを使うと非常に便利です。そこで今回は、無音で動画撮影できるおすすめのスマホアプリや使用する際の心構え、おすすめのシチュエーションについて詳しくまとめました。
無音動画撮影アプリとは
まず、無音で動画撮影できるスマホアプリについて、基本的なことを解説します。
無音動画撮影アプリを使うとシャッター音が完全に消せる
無音で動画撮影できるアプリは、しばしば「無音カメラ」とも呼ばれます。
スマホで動画撮影を開始する際のシャッター音は意外に大きく、とくに静かな場所では周囲に気を使うケースがよくあります。楽器の演奏や歌、スピーチ、さらに眠っている赤ちゃんなど、音を立てることで被写体に余分な神経を使わせたり、聞き耳を立てる観客の迷惑になったりするパターンです。「ペットのいじらしい様子を動画に収めたいのに、シャッター音に反応してカメラを気にするばかりに撮りたい映像が撮れなくなってしまった」という経験がある方も多いのではないでしょうか。
そこで無音カメラを使用すれば、シャッター音を完全に消せるため、録画していることに気づかれずに済みます。もちろんその場の音はすべて録音できるので、動画自体はシャッター音を鳴らして撮影する場合とまったく変わりません。
ちなみに、映像のみで音は収録しなかったり、消したりできるアプリも存在しますが、本記事でいう無音カメラアプリは、それとは異なるものです。
無音動画撮影アプリを使用する際の注意事項
この項目では、無音動画撮影アプリを使用するうえで知っておくべき心構えや、基礎知識について解説していきます。
無音動画撮影アプリに違法性はある?
無音・有音に関わらず、撮影行為には常に「盗撮」が疑われるリスクを認識しておく必要があります。
これは、自分が被写体の立場になったと仮定すると、よくわかるかもしれません。何の断りもなく目の前でいきなり撮影が始まり、カメラが自分に向けられていると、少なからず不信感や不快感を抱くでしょう。しかも、無音で撮られていていることに後で気づいたとしたら、なおさら気分を害するかもしれません。
厳密に言うと、ただ撮影するだけなら違法性はありません。しかし、それが住居やオフィス、学校などに侵入したうえで、その中の更衣室やトイレ、風呂内の人物を撮影したとなれば、盗撮が疑われることになります。都道府県が設ける「迷惑行為防止条例」やそれに類する規定により定められた罰則の対象となり、多くの場合は1年以下の懲役か100万円以下の罰金が課されます。
盗撮の定義を知っておこう
盗撮の定義について、さらに詳しく掘り下げていきます。例えば東京都の場合、「盗撮」とは「住居や浴場、更衣室など、通常衣服の全部か一部を着けない状態でいるような場所、または不特定多数の人たちが出入りする場所や乗り物等で、通常衣服で隠されている下着や身体を撮影したり、その目的でカメラなどを差し向けたり設置したりすること」といった内容で定義づけられています。
他の自治体でも、定義の内容は大まかに同じと考えて間違いありません。つまり、乗り物も含めた室内にカメラを持ち込む際には、とくに注意が必要と言えるでしょう。自分は盗撮と考えていなくても、相手がそのように解釈した場合は、盗撮と見なされる恐れがあるので気をつけなければなりません。
しかも、無音カメラで断りもなく撮影していたとなれば、なおさら悪意があったと疑われかねません。紛らわしい場合は、事前に「撮影しても大丈夫ですか」といったように一声かけて、了承を得てから撮影を開始する方が無難でしょう。
カメラを差し向けるだけでもアウト
繰り返しますが、東京都の定義ではカメラを差し向けるだけでも盗撮と見なされることがあるので、録画ボタンを押していないからといって気は抜けません。無音カメラアプリはシャッター音がしないから気づかれないだろうと思い込んで、安易な気持ちで誰彼構わずカメラを向けるのも要注意ということです。
カメラを設置するだけでもアウト
カメラをどこかに設置して定点で撮影したい場合もあるかもしれません。しかしそれも、場所によっては盗撮の疑いがかけられかねません。まさかここで人が着替えることはないだろうと思っても、予想に反して行われる可能性はゼロではないため、紛らわしい行為は極力慎む方が賢明でしょう。
盗撮が疑われた場合、とくに動画をインターネット上で公開したり販売したりすると、さらに罰則が厳しくなる可能性が高まります。同じような行為を繰り返していたことが判明しても、厳しく処罰されることになるので、動画を撮影する機会が多い場合はくれぐれも注意してください。
おすすめの無音動画撮影アプリ8選
この項目では、おすすめの無料動画撮影アプリを8つご紹介します。
HiVideo
「HiVideo- 縦持ち横長写真&ビデオカメラ撮影」は、縦方向に持ったまま横長の動画撮影ができる無音カメラアプリです。iPhone専用で250円の買い切りタイプとなっています。
動画はスマホを横方向にして撮るケースが圧倒的に多いですが、手持ちで撮影する場合は腕への負担が結構大きいため、とくに女性は長時間の撮影に苦労します。その点、HiVideoなら画面を閲覧したりメールをしたりしている感覚のまま動画撮影ができるので、疲れにくく、急な撮影にも対応しやすいでしょう。
写真撮影の際でも、横長とスクエア(正方形)撮影が、フリックひとつで切り替えられるので、非常に便利です。ズーム機能も充実していて、手ブレ補正機能もあるので、歩きながらの撮影や長い時間の撮影にもおすすめです。
参考:HiVideo
StageCameraPro
無音で高画質の映像を撮影したい場合は、「StageCameraPro- 高画質マナー カメラ」をお試しください。こちらのアプリも、iPhone専用で250円の買い切りタイプとなっています。
広角、超広角、望遠に対応しているので、風景や旅動画、野生の動物を撮りたかったり、もちろん赤ちゃんやペットの動画を撮影したかったりする場合に最適です。手ブレ補正機能もついているので、動画撮影に不慣れな方でも使いやすいでしょう。
StageCameraHD
高画質の動画を撮りたいなら上記の「StageCameraPro- 高画質マナー カメラ」がおすすめですが、初心者でいきなり有料アプリを使うのに抵抗があるという方は、無料版がある「StageCameraHD」を使ってみてください。
写真でも一眼レフ並みの美しく鮮明な画像が撮影できるため、クオリティの高い動画撮影も期待できるでしょう。広告表示が煩わしいという方は、課金してさらに高画質で撮影できる有料版を利用してください。
無音ビデオ(Secret Video)
「無音ビデオ(Secret Video)」は、iPhone専用で250円の買い切りアプリで、無音で撮影できるだけでなく、画面を暗くしたり、撮影画面とは異なる画面を表示したりしながら撮影することができます。撮影画面を見たい場合でも、画面サイズを大きくしたり小さくしたりして調整することができるので、あまり目立ちません。
また、スマホで動画撮影する際の問題として、撮影中に電話が掛かってきてしまうことが挙げられます。この場合、せっかく動画を撮ってもうまく保存できなくて、すべて無駄になってしまうことが考えられます。しかし無音ビデオなら、そのような場合でも自動保存されるので安心です。
また、万が一スマホの空き容量が不足している場合は、撮影を自動で停止する機能もあるので、後で慌てなくて済むでしょう。さらに、撮った動画はパスワードを設定したうえで保存できるので、他人に見られる心配もありません。
参考:無音ビデオ
Foodie
「Foodie フーディー」は、「Food(フード)」つまり食べ物や食材などを撮影するために開発されたアプリです。卵の黄色、レタスやピーマンの緑、ナスの紫など、食材のカラーが鮮明に撮影できたり、調理したての湯気がフワッと立つ様子をつぶさに捉えたりと、料理動画やレストラン動画を配信したい方にはうってつけです。
もちろん無音で撮影することができるので、他のお客さんがいるシチュエーションでも、あまり気にせずに撮影することができるでしょう。このアプリは、iPhoneでもAndroidでも無料でインストールすることが可能です。
参考:iPhone版
参考:Android版
シンプルカメラ高画質
初心者におすすめするのが、この「シンプルカメラ高画質」です。文字通り、撮影中はシャッターボタンのみが表示されるという、至ってシンプルな点が特徴です。
iPhoneでもAndroidでも無料で利用できるので、導入として試験的に使ってみるのもよいでしょう。繰り返し使って慣れてきたら、物足りなさを感じるようになるかもしれません。その場合は、他のアプリに変えるのもアリでしょう。
参考:iPhone版
参考:Android版
ブラックビデオ
「ブラックビデオ(BlackVideo)」は、iPhone専用の有料アプリで、Safariや時計画面に偽装して撮影しているのをバレにくくすることができます。
画質も非常によく、アプリ立ち上げと同時に無音で撮影が開始され、保存ボタンを押さずに動画が自動保存されるのも大きな特徴です。よって、保存し忘れたり、しそこなったりといった失敗をする心配がありません。
買い切りで250円かかりますが、それを差し引いても余るほどのメリットは十分にある人気アプリです。
参考:ブラックビデオ
忍者カメラ
「忍者カメラ: 高画質、写真、動画撮影、ビデオカメラアプリ」は無料(アプリ内課金あり)で使えるAndroid専用のアプリで、先述した「無音ビデオ」同様、黒い画面の状態や、他のアプリを表示しながら動画撮影ができるので、周囲にバレにくいのが特徴です。
参考:忍者カメラ
無音動画撮影アプリが役に立つシチュエーション
この項目では、無音動画撮影アプリをインストールしておくと便利な場面について詳しく解説します。自分には必要ないと思う方でも、思わぬ形で活用できる場面が訪れることがあるので、ぜひ参考にしてください。
自然体を撮影したいとき
芝居やコント、ドラマなどは別として、動画は被写体の自然な姿を映したものに大きな魅力が宿ることが多いです。わざとらしさや手垢がついていないあるがままの姿に勝るものはないということです。赤ちゃんの屈託のない寝姿やペットがじゃれあっている姿、トレーニングや仕事のドキュメンタリーなどは、その典型と言ってよいでしょう。
しかし、撮影時にシャッター音が鳴ると、赤ちゃんが起きてしまったり、ペットがカメラにばかり気を取られたりして、撮りたい映像が撮れないことがよくあります。しかし無音カメラを使えば、そのような心配はまずないでしょう。
周囲に迷惑を掛けたくないとき
コンサートや講演会、静かなホテルやレストランなど、どうしても動画に収めたいものの音を立てると周囲に迷惑をかけてしまうことが、少なくありません。トラブルになると大変ですし、気を使いながらの撮影は失敗の元となるだけでなく、非常に疲れます。
その点、無音で撮影できれば、余計な問題を引き起こさなくて済むので安心でしょう。
トラブル時の証拠を収めたいとき
昨今、ニュースや新聞記事などで非常に多く報じられるようになった事件に「煽り運転」があります。
車やバイクで走っていると、突然後ろから猛追されて、あわや追突される寸前となったり、逆に前を走行する車が急ブレーキをかけ、ぶつかりそうになるとドライバーが降りてきて、暴言を吐かれたり、暴力を振るわれたり、恐喝されたりするケースが頻繁に起こっています。これらは、立証さえできればれっきとした犯罪のため、もし被害に遭いそうになった場合は、証拠を動画で撮っておくことを強くおすすめします。
車にドライブレコーダーを搭載している場合なら別ですが、そうでない場合は、手元のスマホに無音の動画撮影アプリをインストールしておけば、無理なく撮影できます。カメラを向けると気づかれますが、シャッターだけ押してポケットに忍ばせておけば、音声だけでもはっきりと録音することができるでしょう。前述の「無音ビデオ」や「忍者カメラ」なら、画面を表示せずに録画できるので、このような事件に巻き込まれそうな時には最適かもしれません。
車以外でも電車やバス、駅の構内など、いつ、どこで嫌がらせや脅しを受けるかわかりません。勤務先でのパワハラも考えられるので、保険をかける意味でもインストールしておくと安心です。
まとめ
今回の記事では、無音で動画撮影ができるスマホアプリについて解説してきました。
今や趣味やSNS、企業イベント、PRなどで動画を撮影する機会は非常に多くなっています。録画用にわざわざカメラを用意せずとも、スマホ1台あればプロに負けないクオリティのコンテンツを作成することができます。
ただ、せっかく素晴らしい被写体や珍しい出来事に遭遇しても、何らかの理由で音を立てることができず、結果として撮影ができないとすれば非常に残念です。そのようなことがないように、ぜひ無音カメラアプリを有効利用してください。