この記事では、海外送金手数料が安いTransferWise(トランスファーワイズ)について解説します。
TransferWiseを使えば、普通に銀行系金融機関を使って海外送金するよりも大幅に手数料が節約できます。まだ使っていない方は、是非利用を検討してみてください。
TransferWiseは、なぜ安く海外送金ができるのか?
初めにTransferWiseについての簡単な説明と、なぜ安く海外送金ができるのかについて解説します。
TransferWiseは新しいサービスなので不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、なぜ安いのかが分かれば不安も解消するはずです。
TransferWiseについて
TransferWiseは、2011年に運営を開始した新しいサービスです。14の海外拠点があり、TransferWiseを経由して送金される金額は毎月50億ドルにも上ります。
ユーザー数は、約800万人です。TransferWiseを利用して海外送金することで節約された金額は15億ドルにもなると言われています。
TransferWiseの仕組み
利用者を増やし続けているTransferWiseですが、なぜ安く海外へ送金できるのか、その仕組みを解説します。
まずは、比較対象として従来の海外送金の仕組みを見てみましょう。以下の図を参照してください。複数の銀行を経由して送金が行われるため、手数料が高くなっていることが分かります。
これに対して、TransferWiseはシンプルな仕組みです。送金をしたい人は、自分の国のTransferWiseの口座にお金を振り込みます。送金を受け取る人には、その人の国のTransferWiseの口座からお金が振り込まれます。図示すると以下のようになります。
つまり、二人の間でお金が移動しているのと同じ結果になっていますが、実際に行われているのは二人の国それぞれの中での国内送金だけです。国をまたいだ資金移動がないので、高い為替手数料がかからないというわけです。
TransferWiseを利用するメリット
TransferWiseには数々のメリットがあるため、従来の国際送金サービスよりもユーザーの利便性が格段に上がっています。
海外送金にかかる手数料が8分の1に
TransferWiseの最大のメリットは、なんと言っても海外送金の手数料が安くなることです。最大で8分の1になるとされています。
比較対象となる銀行によっても異なるので、単純に今利用中のサービスと比べて8分の1になるとは限りません。しかし、送金手数料が安いネット銀行と比べても、安く海外に送金できることは間違いありません。
TransferWiseのトップページには、他の銀行などとの送金手数料の比較が掲載されています。もちろん、TransferWiseが最安値です。
送金手数料だけを見るとPayPalが安く見えますが、PayPalは設定している為替レートが高いので、実際にはTransferWiseのほうが安くなります。
少し補足すると、一般的に、銀行などが採用する為替レートにはスプレッドと呼ばれる手数料が上乗せされています。これに加えて、送金手数料が別途発生します。
これに対して、TransferWiseでは、同社がいう「本当の為替レート」を採用しています。これは、世界の通貨市場における売買レートの中間点のことで、手数料の上乗せはありません。別途発生する送金手数料もTransferWiseなら低額です。
為替レートが低く設定され、送金手数料も安いため、TransferWiseで国際送金すると大幅に手数料が安く済むのです。
サイト、アプリが簡単に使える
TransferWiseの使い方は簡単です。PC用のサイトに加えてアプリも用意されているため、手軽に使うことができます。
参考:TransferWise 海外送金アプリ(Google Play)
急いで送金する必要がない場合は、為替レートの変動をサイトやアプリで確認して、自分に都合の良いタイミングで送金することもできます。
初めて送金する際は本人確認や住所確認が必要になるので余分に時間がかかりますが、それ以降は1日~2日程度で送金できるようになります。
多くの国々の様々な通貨を送金できる
TransferWiseでは、20以上の通貨を50以上の国に送金することができます。
対応していない通貨や国もあるので、どんな国にも送れるというわけではありませんが、多くの国に安い手数料で送金することが可能です。
日本語での問い合わせもできる
問い合わせ画面を開くには、TransferWiseのヘルプ画面から、FAQを開いてください。個々の質問と回答の画面の一番下までスクロールすると「ヘルプが必要ですか?」とあります。
その下の「お問い合わせはこちら」をクリックしてください。メールと電話のどちらで問い合わせるかが選べます。どちらの場合も日本語での問い合わせが可能です。
電話番号は、03-4589-4624となっています。海外からの場合は、最初の0を取って「+81」の国番号を付けるのを忘れないようにしてください。
TransferWiseは安心して利用できるのか?
お金を扱うサービスなので、実際に使ってみるまでは不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。この項目では、そんな不安を解消するために、TransferWiseについてさらに詳しくご紹介します。
TransferWiseの信頼性
最初は、TransferWiseの信頼性からです。
前述のとおり、TransferWiseは800万人が利用していて、毎月50億ドルが送金されていることから、その信頼性の高さは折り紙付きです。
また、TransferWiseが正当な手続を踏んで関東財務局に資金移動業者として登録しているのを見ても、まっとうな企業であることは間違いありません。
TransferWiseに預けたお金の安全性
TransferWiseは資金移動業者として登録されているため、利用者の資金を守るための規制を受けます。
まず、そもそも資金移動業者として登録を受けるために、財産的基盤が確かであることの審査を受けています。また、送金途中にある資金の100%以上の額を履行保証金として保全する義務もあります。
また、ネット上で資金を移動させることになるので、この点に不安がある方もいらっしゃるかもしれません。この点については、TransferWiseでは専門のセキュリティチームを置いて対応しています。
TransferWiseの送金にかかる日数は?
送金にかかる日数も確認しておきましょう。多くの場合は、1日以内に送金されます。時間がかかる場合でも、大抵は2日以内には送金が終わります。
ただし、これは営業日を基準にした日数ですから、自国や相手国の休日や祝日が間に挟まった場合は、あと数日かかる場合もあります。
なお、ネット上の口コミを見ると、TransferWiseの送金に時間がかかるというものもありますが、これは初回に限ったものです。初回の送金時には、本人確認、住所確認等の作業が行われるので、余計に時間がかかるのです。5営業日から10営業部ほどの時間がかかる場合もあるので、初回利用時には余裕をもって送金手続きを行うことをおすすめします。
TransferWiseで利用できる通貨と、利用できる国について
TransferWiseでは20以上の通貨を50ヶ国以上に送金できると先述しましたが、国によって送金に際して条件が設けられている場合もありますので、実際に送金する前には、以下のページで詳細を確認しておいてください。
上記のページには、アメリカ以外の国に米ドルで送金する場合についての案内も掲載されています。必要に応じて参照してください。
TransferWiseで送金できる上限額
日本から送金する場合は、100万円が一度に送金できる上限となります。ただし、複数回に分けて送金することは可能です。
日本へ送金する場合も、100万円が上限となります。ただし、この場合は、SWIFT送金という手続で100万円を超える送金も可能です(追加手数料は発生します)。
日本円での送金に関する詳細は、TransferWiseのヘルプを参照してください。
TransferWiseを使った海外送金と税金
余談ですが、「TransferWiseを使って海外に送金すれば、税金を払わなくて済む」という話を耳にすることがありますが、これは誤りです。
銀行などの金融機関は、100万円を超える海外送金が行われた場合、税務署長に国外送金等調書を提出する義務があります。
これは海外送金を利用した脱税を防ぐための仕組みですが、100万円以下の海外送金は報告義務の対象から除かれているので、上限100万円のTransferWiseでの海外送金は対象になりません。
そうすると、TransferWiseを利用している限り、税務当局に把握されずに海外送金できるようにも思えます。しかし、資金移動業者には、マネーロンダリングを規制する犯罪収益移転防止法によって、疑わしい取引を届け出る義務が課せられています。これらの手段を通して税務署が資金の移動について把握している可能性があるので、TransferWiseを使ったからといって、税金を免れることができるわけではありません。
TransferWiseの本人確認手続
TransferWiseで海外送金をするためには、本人確認手続を済ませる必要があります。本人確認手続は、写真をアップロードすることで行います。
必要な書類は、身分証明書とマイナンバー関連書類です。身分証明書は顔写真付きのものが必要になります。マイナンバーカードを身分証明書として利用する場合は、マイナンバー関連書類は必要ありません。
本人確認は、送金手続の中で行います。送金手続の際に認証コードが表示されるので、認証コードと一緒に証明写真も送りましょう。
本人確認の書類に問題がなければ、TransferWiseからアクティベーションコードが書かれた書類が郵送されてきます。
このアクティベーションコードを自分のアカウントに入力すれば、手続は完了です。
TransferWiseのマルチカレンシー口座
TransferWiseでは、マルチカレンシー口座という機能も提供しています。
これは、50以上の通貨を保管できる口座で、好きなときに希望の通貨間で両替ができるというものです。複数の通貨を利用して多国間で送金する人にとっては便利なサービスです。
ただし、現在のところ、日本ではマルチカレンシー口座の利用はできません。日本語のヘルプページでも上部に「新機能」として挙がっているので、利用できるように見えます。しかし、マルチカレンシー口座の利用についてというFAQに「マルチカレンシー口座の利用不可の国」として日本も挙がっています。
TransferWiseのアカウント登録方法
TransferWiseのアカウント作成は、メールアドレスとパスワードを入力するだけです。
入力したメールアドレス宛に、TransferWiseから確認用のメールが届くので、「メールアドレスを確認する」をクリックしてください。これでアカウントが作成できます。
個人情報を入力
アカウントを作成してログインしたら、ページ右上の人型アイコンをクリックしましょう。「個人アカウントを登録する」という箇所を選ぶと個人情報が登録できます。
マイナンバーがない場合
海外に居住している場合は、マイナンバーがないという方もいらっしゃると思います。この場合は、本人確認の際に必要なマイナンバーの関連書類が提出できません。
この場合の手続の詳細については、TransferWiseのカスタマーサービスに連絡してください。
以上諸々の本人確認が終わったら、アカウントページの左側にある「受取人」をクリックしてください。
銀行口座と受取人のデータを入力しておきましょう。
TransferWiseの送金手続
続いて、TransferWiseの送金手続の流れについてご紹介しておきます。
まずTransferWiseにログインし、ホーム画面にある「送金する」をクリックしてください。
送金する通貨を選び、金額を指定
次に、送金する通貨を選んで金額を指定します。受取額の方を指定すると、その金額を送るために必要な送金額が自動で計算されます。
なお、手数料が安いことがTransferWiseのメリットですが、手数料が明確であることも売りの一つとしています。したがって、この通貨と金額を指定する画面で為替レートと手数料が明示されるようになっています。
送金主を選択する
先ほどの画面で「送金手続へ」を選ぶと、アカウントを選択する画面になります。
個人で送金する場合は、「個人アカウント」を選択してください。
受取人を選択する
アカウント登録の項目で解説した通り、受取人を入力しておいた場合は、選択するだけで受取人を指定できます。まだ受取人を入力していない場合や、以前の受取人とは違う受取人を新たに指定したい場合は、ここで情報を入力します。
本人確認書類の提出と住所確認に関する注意書きが表示されるので、画面の指示に従ってください。
本人確認、住所確認が終了すると、送金が行われます。
送金の目的を選択
送金の目的も選択します。自分が今回送金する目的に一番近いものを選びましょう。
送金内容を確認する
ここまでの入力が終わると以下のような確認画面が表示されるので、内容を確認しましょう。
間違いがなければ、「確認」をクリックします。
入金方法を選択
TransferWiseにお金を入金します。入金の方法には、銀行振込とデビットカード払いがあります。クレジットカードは使えません。
ここでも手数料が明示されます。デビットカードの方が若干手数料が高くなっていますが、その分処理は早くなります。都合がいい方を選んでください。
入金方法を選択してTransferWiseの口座が表示されたら、入金を済ませましょう。これで送金手続は終了です。
TransferWiseを上手に利用して、無駄な支出を減らそう
今回の記事では、TransferWiseの特徴や使い方について解説してきました。TransferWiseは安い手数料で海外送金ができるため、銀行を使うよりもお得です。
是非この記事を参考にしつつ、TransferWiseを上手に使って、今まで無駄に支払ってきた手数料を節約していただければと思います。