AliExpress(アリエク)は、中国最大手のIT企業「アリババグループ」が運営している巨大通販サイトです。その品揃えの豊富さと価格の安さから人気となり、世界中から無数の注文が入っています。日本からももちろん利用可能であり、最近では個人的に使いたいものの購入から、転売ビジネスのための仕入れまで、幅広く使われるようになってきました。
AliExpressは中国のサイトであるため、商品を注文したら、当然国際輸送によってあなたの元に届けられることになります。しかし、日本の通販の常識が通用しない面も多く、初めて利用する人は不安になったり、混乱してしまうことも数多くあります。その代表的なものが「荷物がなかなか届かない」というものです。
その不安を解消するための機能が、荷物の追跡です。本記事では、AliExpressで注文した商品が今どこにあるのかを追跡する方法について、荷物がどのようなルートであなたの元に届くのかについて、そしてAliExpressで注文するときのコツについて、詳細に解説していきます。
AliExpress Standard Shippingとは
AliExpress(アリエク)では、商品を購入したときに配送方法や配送業者を指定することができます。どの方法、どの業者を選ぶかによって、送料や配送日数に大きな違いが生まれます。送料は無料から数千円まで、日数は数日から2ヶ月くらいまでと、幅広い選択肢があります。
その選択肢の一つが、AliExpress Standard Shippingというものです。その名のとおり、これがAliExpressにおける通常配送となります。
AliExpress Standard Shippingは、AliExpressの運営会社であるアリババが提供している配送方法です。アリババが出品者と購入者のあいだに入るかたちをとり、さまざまな業者の中からその都度、最適と思われるものを選んで商品を届けてくれます。
AliExpress Standard Shippingの配送料は「極めて安い、あるいは無料」で、それと引き換えに届くまでに日数がかかることになります。
AliExpress Standard Shipping(アリエク)にかかる日数
AliExpress Standard Shipping、すなわちAliExpress(アリエク)通常配送は、基本的に届くまでが遅いものと思ってください。だいたい2週間~2ヶ月ほどかかるのが一般的です。国際輸送とはいえ、日本国内の通販とはあまりにかけ離れていて、最初はその時間感覚の違いに戸惑うかもしれません。商品や配送国、あるいは出品者によってかかる日数に違いがありますが、いずれにせよ時間に余裕をもって商品を注文すべきでしょう。
急いで入手する必要のあるものは、配送方法にAliExpress Standard Shippingを選ぶべきではありません。料金がかかってもいいから早く届けて欲しいという場合には、DHLやEMS、あるいはAliExpress Premium Shippingといった、他の比較的高額な配送方法を選択することをオススメします。
AliExpress Standard Shippingにかかる配送料
AliExpress Standard Shippingにかかる配送料は商品によって多少の違いがありますが、ほとんどは無料か、あるいは100円~200円程度です。配送日数がかかる代わりに、極めて安価なのがAliExpress Standard Shippingの特徴です。
AliExpress Standard Shippingは文字通りAliExpressにおける通常配送なので、基本的にAliExpressは「配送料が安くて、届くまでに時間がかかる通販サイト」、という認識でよいでしょう。そのうえで、もっと料金を払えばより早い配送手段を用いることができる、とお考えください。
荷物を追跡する方法
AliExpressで注文した商品は、追跡番号がある場合には荷物を追跡することができます。日本国内の通販サイトとは異なり、海外のサイトであるAliExpressでは荷物が手元に届くまで各地を転々とする場合があるので、追跡できる状態になっていると安心できます。
配送方法の選択
すでに解説したとおり、配送方法にはいくつかの選択肢が用意されています。選んだ配送方法によっては、追跡番号がない場合もありますので、注意が必要です。
DHLやEMSといった配送方法を選んだ場合は極めて早い配送になりますが、そのぶん料金は高めです。それに対して、AliExpress Standard Shippingは届くまでに時間がかかり、代わりに安価です。
AliExpress Standard Shippingには荷物の追跡番号がついているので、追跡することは可能です。その点はご安心ください。配送方法の選択は、以下のような画面で行います。
配送に関する具体的な注意点
AliExpressにおける基本的な配送日数は、商品画面に表示されています。
配送方法によってかかる送料と、おおよその配送日が示されています。
配送方法によってこの数字は大きくことなりますので、その都度の事情に合わせて選択してください。
ここで注意すべきなのは、記載されている配送日はあくまでも目安であり、そのとおりに届く保証はないということです。このため、思ったよりずっと早く届くこともあれば、驚くほど時間がかかることもあります。
AliExpressを初めて利用する人は、よく「注文して○日も経つのに何の連絡もない」という不安を口にすることがありますが、通常は慌てる必要はありません。中国の通販サイトは、日本と異なります。
まず、荷物を発送するまでに数日かかることがあります。そして発送後も、中国から日本への配送はとても遅いため、簡単に1ヶ月以上はかかってしまうものなのです。このことをあらかじめ承知のうえで、利用する必要があります。
基本的には、大急ぎで入手したいものをAliExpressで購入すべきではありません。ビジネスとして仕入れをする場合も、時間に余裕のあるときにのみ利用するのが賢明でしょう。
どうしてもAliExpressで素早く商品を入手したい場合には、DHLやEMSといった配送方法を選択すればよいのですが、速度と引き換えに高額な料金がかかります。転売ビジネスなどにおいては、この料金が利益率に大きな影響をもたらすことが考えられるので、計算はしっかりしておくべきです。
追跡番号は当てにならないこともある
注文した商品がなかなか届かないとき、荷物が紛失していないかなどを確かめるのに使えるのが追跡番号です。AliExpress Standard Shippingを選んで商品を注文すると、追跡番号が送られてくるので、それを元に荷物の現在位置を確認することができます。
しかし、この追跡番号が当てにならないこともある、という点は覚えておいてください。AliExpress Standard Shippingが使用する配送業者の中に、ChinaPostというところがありますが、ここの追跡番号は反映されるまでに時間がかかるため、情報が正確でないことも多いのです。出品者から追跡番号が送られてきたのにそれが一向に有効にならない、中国国内から一向に荷物が動かない、そうこうしているうちに荷物が自宅に届いてしまった、などということが数多く報告されています。
追跡番号はあくまでも一つの目安にすぎない、という意識で利用するのがよいでしょう。追跡の結果、荷物がおかしなことになっているからといって、必ずしも実際にそうであるとは限らないのです。
配送から30日経過したら要注意
AliExpressでは、商品が到着したあとに購入者が「Confirm receipt」をクリックすることで、出品者に代金が払われる仕組みになっています。しかし、この仕組みを知らない購入者がその作業をしないまま放置するという問題もあり、現在AliExpressでは、出品者が商品を発送後39日が経過した時点で、自動的に出品者に代金が支払われる仕様になっています。
「Order details」をクリックすると、下の画像のとおり「Awaiting delivery」の記述の中にタイムリミットまでのカウンターがあります。これが0になると、たとえ商品があなたの元に届いていなくても、代金が支払われて取引が終了してしまいます。
これを防ぐためには、商品発送から30日が過ぎたあたりで、出品者にメールをするか、注文詳細画面の「Extend delivery」をクリックして、購入者保護の延長をする必要があります。この手続をすれば、単に39日が過ぎただけでは代金が支払われることはなくなり、保護された状態で荷物の到着を待つことができます。もちろん、無事に荷物が届いたあとは「Confirm receipt」をクリックするのを忘れないようにしてください。
利用できる追跡サイト
追跡番号を用いて荷物の状況を調べるのは、どのサイトを使えばよいのでしょうか。通常は「17TRACK」というサイトで追跡することができるので、このサイトで検索をするのがよいでしょう。
日本郵便
他には、日本郵便のサイトでも追跡することができます。
ただし、AliExpressから荷物が発送された直後には、まだ追跡することはできません。通常、荷物はいくつかの配送業者を経由しますが、海外の配送業者が日本に向けて荷物を発送した段階で、初めて日本郵便でも追跡情報を得ることができるようになります。
追跡番号からルートを推測する方法
たとえば、追跡番号の最後に「SG」とついていた場合、以下のような配送業者を経由して、あなたの元に荷物が届けられます。
1. 4px
2. シンガポールポスト
3. 日本郵便
中国国内では、4pxという配送業者が、荷物の受け取りからシンガポールポスト宛まで配送を担当します。この時点では、4pxとCainiaoというところで、荷物の場所を追跡番号で調べることができます。
シンガポールポストへの配送が開始されると、シンガポールポストのサイトでも追跡情報を得ることができるようになります。シンガポールポストに荷物が到着すると、即日、日本に向けて荷物が発送されます。この段階で、日本郵便でも追跡をすることができるようになります。
到着までの日数ですが、4pxからシンガポールポストまでの過程が3~5日ほどかかり、この間の移動では追跡情報が止まってしまいがちです。その後、荷物があなたの元に届くまでは数週間かかります。
YPのつく追跡番号の場合
比較的新しいルートで、中国国内において2つの会社を経由します。
1. Yanwen
2. ChinaPost
3. 日本郵便
中国国内の配送はYanwenが担当します。Yanwenが荷物を受け取ると、この業者のサイトで追跡情報を得ることができるようになります。
その後、荷物はChinaPostに渡され、eパケットという配送ルートで日本に輸送されます。日本に到着したあとは、日本郵便が荷物を届けます。
ChinaPostから日本郵便に荷物が届けられるまでが、もっとも追跡情報の止まりやすい区間です。荷物がまったく動いていないように見えても、すぐには慌てないようにしましょう。
最後にMYがついている追跡番号の場合
追跡番号の最後にMYがついている場合は、以下のようなルートを辿ることになります。
1. 4px
2. マレーシアポスト
3. 日本郵便
中国国内では、4pxという配送業者が、荷物の受け取りからマレーシアポスト宛まで、配送を担当します。この時点では、4pxとCainiaoというところで、荷物の場所を追跡番号で調べることができます。
マレーシアポストへの配送が開始されると、マレーシアポストのサイトでも追跡情報を得ることができるようになります。マレーシアポストに荷物が到着すると、2~4日ほどで日本に向けて荷物が発送されます。この段階で、日本郵便でも追跡をすることができるようになります。
到着までの日数ですが、4pxからマレーシアポストまでの過程が7日ほどかかります。マレーシアポストを出発してからは、およそ1ヶ月ほどで日本に到着することが多いです。
初めてAliExpressを利用する際の注意点
この項では、初めてAliExpressで商品を購入する際に注意すべきことをまとめて解説します。
発送に関する日本と中国の思考の違いに注意する
日本で商品を注文した場合は、最短日に発送されることがほとんどです。しかしAliExpressの場合、出品者にもよりますが、発送期限ぎりぎりまで発送されない傾向にあります。
期限を自身に与えられた猶予、あるいは権利であると捉えるわけです。日本でいうと締切の感覚でしょうか。
そのため、単に国際輸送であるという以上に時間がかかってしまいがちなのです。この点は文化の違いなので、受け入れるしかありません。
基本的に購入者からの一方的なキャンセルはできない
Amazonなどでは、間違って購入したものは簡単にキャンセルすることができますが、AliExpressではそのようなことはできません。購入者と出品者の両方が承諾する必要があります。
したがって、購入者であるあなたがキャンセルを申し込んでも、出品者が無視すれば、そのまま注文した商品が届いてしまうことになります。購入するときには慎重になることを心がけましょう。
出品者を慎重に見極めるべき
AliExpressは、多数の出品者が集まって自分の商品を売っている、巨大ショッピングモールのようなサイトです。そこにはさまざまな出品者がおり、良心的な業者もいれば、明らかな詐欺を働く悪徳業者もいます。そのため、商品を購入する際には出品者の質を慎重に見極める必要があります。
確実性を求めるのであれば、以下のような点に注意すればよいでしょう。
・有名企業の正規販売店を利用する
・評価の高い出品者だけを選んで利用する
すぐに欲しいものは買わない
今すぐに商品を手に入れたいという場合は、AliExpressで購入するのは避けたほうがよいでしょう。どうしてもある程度の時間がかかってしまうからです。
配送時間を短縮するためにDHLやEMSといった配送手段を選ぶことはできますが、高い料金がかかってしまい、結局日本国内で購入したほうが安く済んでしまうこともあり得ます。AliExpressは、時間に余裕がある場合に利用するのがよいでしょう。
荷物が届いたら受領を行い、代金を支払う
AliExpressの場合、商品が到着したあと「Confirm Order Recerved」をクリックし、確かに荷物を受領したことを知らせる必要があります。これによって出品者に代金が支払われるため、大切な行程です。日本の通販にはこのようなシステムは存在しないため、つい忘れてしまいがちですが、しっかりとルールに従って行動するようにしましょう。
トラブルが起こり得ることを覚悟する
AliExpressで売られている商品はとても安く、魅力的に映りますが、そのぶん品質に問題のあるものも多いです。そのうえ悪徳業者もいますので、トラブルに見舞われる可能性は日本の通販を利用するよりはるかに大きいと考えるべきです。
いざトラブルが起きてしまっても、日本語は通じません。基本的に英語でのやり取りとなるので、人によってはかなりの面倒を強いられることになります。こういったリスクを事前にしっかり理解したうえで活用するようにしましょう。
まとめ
AliExpress Standard Shippingについて解説しました。AliExpressは商品の価格も安く、しかも海外のサイトにもかかわらず無料配送も可能であるということで、利用者は増加中です。
しかし本文中で述べたように、配送日数の長さや不安定さの問題、トラブルが起きやすい問題など、注意すべき点もそれなりにあります。何も知らずに購入してしまうと、あとでパニック状態に陥ってしまうかもしれません。日本とは異なるAliExpressの性質をきちんと理解したうえで、上手に活用していきましょう。