2017年9月20日より、法人・個人事業主向けのAmazonの新サービス、Amazonビジネスがスタートしました。
これは、法人や個人事業主がビジネス目的でAmazonを使う際におすすめのサービスです。
ここでは、Amazonビジネスの概要と、Amazonビジネスアカウントの作り方を紹介します。
Amazonビジネスとは?
Amazonビジネスは、法人や個人事業主の業務用ニーズに応えるためのサービスで、従来の個人ユーザー向けのサービスよりもお得な点がいくつかあります。
Amazonビジネスは個人事業主や法人のためのサービス
Amazonユーザーの中には、文具類やコピー用紙など、デスクワークに必要な商品をAmazonからまとめて買っている人がいます。
Amazonビジネスは、これらの商品を企業に有利な法人価格で提供します。しかも、発生した費用を1カ月ごとにまとめて請求書払い(売掛払いあるいはツケ払い)にしてくれるため、誰かが購入するたびに経理が立て替え払いをする必要もありません。もちろんクレジットカードで払ってもオーケーです。
月1回まとめて経費処理をするだけで済むということは、企業の経理担当者にとって大きな福音です。
ただし、このサービスを利用するには、登録の際に法人あるいは個人事業者であることを証明しないといけません。
Amazonビジネスのメリット
Amazonビジネスのメリットは全部で6つあります。
他の通販会社に比べて品ぞろえが豊富
アスクルやモノタロウを利用してビジネスに必要な備品や工具を調達している法人や個人事業主はとても多いです。
ASKUL(アスクル)は取扱い商品数約1,200万、MonotaRO(モノタロウ)は取扱い商品数約1,900万の大手通販会社です。
しかし、Amazonビジネスは、取扱い商品数が約2億という桁違いに大きな規模を誇っています。それだけの商品があれば、丁寧に検索しさえすれば、必ず欲しいものが見つかるはずです。
個人アカウントで買える商品は、ビジネスアカウントでも購入できます。次のリンクからアクセスしてご確認ください。
参考:Amazon.co.jp BtoB(法人向け・業務用)商材特集
通常価格より安い法人価格が適用される
Amazonビジネスのアカウントで買い物をすると、オフィス用品などを中心とする多くの品物が個人用アカウントで買う場合より安く手に入ります。
さらに、購入した数量に応じた割引も多くの商品で適用されます。
クレジットカードで商品代金を支払える
Amazonビジネスでも、もちろんクレジットカード払いが可能です。
会社で使っている法人向けクレジットカードを登録した上でグループで共有すれば、立て替えの必要がなくなるので経費管理の手間が省けます。
社員ごとに法人カードを持たせている場合、使いすぎが心配になるかもしれません。しかし、Amazonビジネスなら、ユーザーごとに毎月の利用上限額を設定したり、決済担当者が承認を与えたものしか購入できないように制限したりできるので安心です。
さらに、クレジットカードでの支払いができるということは、ポイントが貯まるということです。このポイントを有効活用することで、さらにお得感が増します。たとえば、ポイントをマイルに交換すれば、社員旅行の際の旅費の一部にあてることも可能です。
請求書払いにも対応している
Amazonビジネスは、利用料金の請求書払いにも対応しています。
月末締めの翌月末払いができれば、事業によっては資金繰りの大きな助けになります。
請求書にはAmazonの電子印が押されています。月々の支払いに対して請求書を発行して欲しい事業主にとっては、とてもありがたいサービスです。
ただし、毎月使える金額の上限は、審査によって決まります。Amazonがどのような基準で各々の法人(または個人事業主)の支払い上限額を決定しているのかは、公表されていないため不明です。
ひとつのアカウントを複数ユーザーで共有できる
会社単位や部門単位で、ひとつのビジネスアカウントを共有できます。複数のユーザーをひとつのアカウントに割り当てることが可能なのです。
支払いの手段を一元化することで、立て替え精算や経費処理といった経理担当者の仕事の大幅な省力化が図れます。
また、全ユーザーの購買履歴を取得してそれを部門やユーザーごとに分析し、結果を表やグラフの形でわかりやすくまとめることもできます。
Businessプライム会員になれば、送料無料&お急ぎ便に対応
個人ユーザーがAmazonプライム会員になることができるのと同じく、ビジネスユーザーも年会費4,900円(税込)でBusinessプライム会員(Essentialsプランの場合)になることができます。
Businessプライム会員になると、どんなに少額の商品でもお急ぎ便が送料無料で利用できます。会員費は、経費として計上することができます。
参考:Businessプライム
Amazonビジネスのデメリット
ビジネス専用に割り切って使うのであれば、Amazonビジネスはとても便利なサービスです。それまで使っていたあなた個人用のアカウントを、そのままビジネス用アカウントとして使うことができますし、切り替えの手順もとても簡単です。
ただし、個人用アカウントをビジネス用アカウントに切り替えてしまうと、人によっては「不便だな」「不都合だな」と感じることがあるかもしれません。そのため、Amazonビジネスを利用するなら、個人用アカウントの他にビジネス用アカウントを新しく作る方が無難です。
Amazonプライムの特典が利用不可になる
Amazonプライムに加入済みの個人用アカウントをビジネス用に切り替えると、Amazonプライムの方は自動的に解約扱いになります。
そのため、それまで利用できた「Amazonプライムビデオ」「Amazonプライムミュージック」「Amazonプライムphoto」などのAmazonプライム会員特典が使えなくなってしまいます。
ビジネスアカウントにもBusinessプライムというサービスはありますが、会員になって得られる特権は「無料お急ぎ便」「お届け日時指定便」の使い放題、「購買分析ダッシュボード」「購買コントロール」(Essentialsプラン以上の場合)です。
これまで、Amazonのプライムビデオやプライムミュージックのヘビーユーザーだった人にとっては、大切な楽しみが失われてしまうことでしょう。
過去の購入履歴が見られてしまう
個人アカウントをビジネスアカウントに切り替えても、個人アカウントの注文履歴はそのまま引き継がれます。そのため、ビジネスアカウントを仲間と共有してしまうと、あなたの過去の買い物の内容が筒抜けになってしまいます。
なかには「恥ずかしくないので大丈夫」という人もいるかもしれません。しかし、自分のプライベートな情報の流出を歓迎する人は、ほとんどいないでしょう。
個人事業主は登録の際に書類が必要
個人事業主がビジネスアカウントを取得するには、次の各書類のいずれか1点をAmazonに提出しなくてはなりません。
・開業届出書のコピー ・過去2年以内の確定申告書Bのコピー ・過去2年以内の所得税青色申告決算書のコピー ・過去2年以内の所得税青色申告承認申請書のコピー |
なお、法人がビジネスアカウントを取得する場合は、Amazonへの書類の提出は原則として不要です。
参考:Amazon ビジネス ユーザーガイド:ビジネスアカウント登録編
医薬品が購入できない
Amazonビジネスには、ひとつだけ問題点があります。医薬品が買えないことです。
第1類・第2類・第3類の違いを問わず、すべての医薬品を買うことができません。
ショッピングカートに医薬品を入れることはできますが、最後の段階で「この商品はビジネスアカウントのお客様は購入できません。」というメッセージが表示されます。
届け先は原則としてひとつだけ
Amazonのビジネスアカウントで買った品物は、管理者のアカウントで登録した住所に届きます。
つまり、出張先から携帯用のパソコンで買い物をしても、届くのは管理者が指定していた本社ビル、ということがあるわけです。
各々のユーザーが希望する場所に品物を届けてもらうには、「個別の配送先住所を使用」できるように管理者に設定してもらう必要があります。
Amazonビジネスへの登録方法
Amazonビジネスを利用するには、前記のとおり「ビジネスアカウント」が必要です。
ビジネスアカウントを作成する方法をひと通りたどってみましょう。
必要な書類
先ほども触れましたが、個人事業主がビジネスアカウントを作るには、次の書類のうちいずれか1点(コピー)をAmazonに提出しなくてはなりません。
・開業届出書 ・過去2年以内の確定申告書B ・過去2年以内の所得税青色申告決算書 ・過去2年以内の所得税青色申告承認申請書 |
いずれの書類を提出する場合も、税務署の印鑑(収納印)が押されている必要があります。税金をe-Tax(国税電子申告・納税システム)で提出したため税務署の印鑑がない場合は、「受信通知」を一緒に提出してください。
ちなみに、マイナンバーは塗りつぶして提出してください。事業収入などの情報は隠して提出しても構いません。
登録時に入力した住所と提出書類の住所が異なっている場合は、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を一緒に提出してください。
一方、法人がビジネスアカウントを作る場合は、Amazonへの書類提出は原則として不要です。ただし、法人登記の状況を確認するために、Amazonが次の書類の提出を要求することはあり得ます。
・過去6カ月以内に発行された、法人名および会社所在地が明記されている公共料金の領収書 ・法人名および住所が明記された印鑑証明書 ・法人名および住所が明記された法人設立届出書 ・過去6カ月以内に発行された、担当者の連絡先名と法人名が示されている社判つき在籍証明書 ・過去6カ月以内に発行された社判のない在籍証明書、および担当者の連絡先・法人名・所在地が記載された名刺 |
ビジネス用アカウントを作る
それでは、早速ビジネスアカウントを作ってみましょう。
(1)まずは、以下の画面にアクセスして「無料登録はこちら」をクリックします。
(2)Eメールアドレスを入力して「ビジネスアカウントを作成する」をクリック。
(3)「名前」と「パスワード」を入力して「次に進む」をクリック。
この段階では既存の個人アカウントの情報を入力しても問題ありません。
情報を入力する
次の画面では、連絡先情報と企業情報の入力を求められます。必要な情報を入力して、「保存して続ける」をクリックしましょう。
例えば、法人の場合は以下の情報の入力が必要です。
・担当者氏名 ・代表電話番号 ・会社もしくは機関の正式名称 ・事業形態の選択 ・郵便番号 ・都道府県 ・市区町村 ・丁目番地 ・建物名、階 |
追加情報の入力
追加情報として以下を入力できます。
- Businessプライム会員の登録
- 招待コードの入力
- 法人番号の入力
- 必要書類のアップロード
登録完了!
以上でAmazonビジネスアカウントの作成に必要な情報の入力が完了しましたので、「登録を完了」をクリックしてください。
入力された情報をAmazon側が確認し、特別問題がなければAmazonビジネスの利用が可能になります。
ビジネスアカウントから個人アカウントに戻すには?
個人用アカウントだったものをビジネス用アカウントに切り替えた後で、元の個人用アカウントに戻したくなることもあるでしょう。
その場合は、次の手順に従えば簡単に元の個人用アカウントに戻すことができます。
(1)管理画面右上の「〇〇のアカウント」から「ビジネスアカウントの管理」をクリック
(2)「ビジネスアカウントの登録解除」をクリック
これだけです。
Amazonビジネスを上手に利用するために
Amazonビジネスのメリット・デメリットや、Amazonビジネスアカウントを作成する方法を説明しました。
Amazonビジネスは、ビジネス目的で利用するには申し分のないサービスだといえます。
しかし、いくらビジネスに便利だからといって、これまで使っていた個人用のAmazonアカウントを安易にビジネス用アカウントに切り替えるのはおすすめできません。
Amazonプライム会員だった場合はその一部が利用できなくなりますし、自分の過去の注文・購買履歴が同じビジネスアカウントを利用する仲間に筒抜けになったりするからです。
Amazonビジネスを利用するなら、新しいアカウントを作成しましょう。そうすれば、上記のようなデメリットを回避できます。
事業をされている方は、ぜひ、Amazonビジネスアカウントを作ってみてください。