海外通販サイトで何度も買い物をしたことがある人は、手元に商品が届くまで1週間以上かかった、という経験があるかもしれません。不安になって問い合わせてみたら、数日間通関で止められていたという事例もあります。
海外通販サイトで購入した商品を日本国内に輸入すると、国内で買い物をして輸送してもらう時と比べて時間がかかります。なかには数週間音沙汰もなく、いつになったら商品が届くのかと不安になった経験をした人もいるでしょう。
そんな時に役に立つのが、DHLでも利用できる商品追跡サービスです。履歴を追うことで、購入した商品が今どこにあるのかを確認でき、問題が起きた時どこに連絡を入れればよいかが一目でわかります。
本記事では海外輸入を行うときに必ずお世話になる通関で、検査が長引く理由と、止められた時の対策方法を解説します。併せて、DHLを利用した海外輸入の履歴をもとに、商品が手元まで運ばれてくる様子を解説します。
商品が現地でDHLに受け取られて、手元に届くまでの過程を確認しておきましょう。
通関手続中が何回も表示される理由
DHLの商品追跡サービスで商品の輸送状態を確認した時、通関手続中の表示が2回以上表示された経験があるかもしれません。場合によっては4、5回連続で「通関手続中」と表示されて、不安に駆られたこともあるでしょう。
通関検査の一次検査で商品や必要書類に不具合が見つかった場合、二次検査が行われることがありますが、検査理由は追跡結果には表示されないので、確かめようがありません。再検査される理由はいくつかありますが、海外輸入でよく起こる通関再検査の理由を3つ紹介します。
商品が課税対象
個人使用が目的で海外から商品を輸入する場合、商品が課税対象額未満だと一次検査で通関検査は完了します(通関手続きは一回だけ表示される)。個人使用のつもりで購入した商品が課税対象額以上の場合は、二次検査で課税額計算が行われます。
課税対象額は商品代金そのものを指しているのではなく、輸送料、手続き料を含めた商品代金の60%を対象とし、課税対象額計算後10,000円未満の場合は非課税となります。つまり商品代金、輸送料、手続き料の合計金額が16,666円以下(16.666×0.6=9,996円)だと非課税対象商品となるので、一次検査で通関検査は終了されます。
大量に商品を輸入する場合、合計金額が課税対象額を超えると追加検査が発生するので、通関検査の時間が伸びる可能性があります。
偽ブランド品は輸入禁止
関税法の「輸入してはならない貨物の項目」でコピー商品(=偽ブランド品)があげられており、商用目的で輸入した商品が偽ブランド品の場合、基本的に税関の没収対象となります。
一次検査の簡易検査で偽ブランド品と疑われた場合、商品は二次検査に回されます。その際、税関より書留で認定手続き開始の通知書が送られてきます。
「通関手続中」と書かれていた表示は、「通知書発送済」と「通関保留中」に変更されます。
認定手続き開始とは、本物のブランド権利所有者と購入者双方より事情を聴取するためのものです。個人目的の場合は事情を知らせて、販売目的ではないことをきちんと伝えましょう。
個人使用目的であると認められた場合は輸入が許可されることがありますが、偽ブランド品は没収のリスクが高いため、お勧めしません。
輸入用の必要書類に不備あり
海外から商品を輸入する際には、書類(インボイス)に必要事項を記入する必要があります。書類には商品名、数量、金額といった基本事項を記入しますが、記入漏れやミス表記など不備があった場合は、二次検査に回されて厳しくチェックを受けます。
場合によっては代行業者よりインボイス不備の連絡がくることもあるので、連絡事項はこまめにチェックしておきましょう。
通関で再検査になった場合
通関では、何度も輸入したことがある安全な商品であっても、再検査となることがあります。ランダムで行われる開封検査の対象となった場合、通常半日ほどで終わる通関検査が7日ほど伸びることもあります。
通関で行われるランダム検査と、検査が伸びたときの対処法について覚えておき、通関検査が伸びた時でも適切に対応できるようにしておきましょう。
通関の厳密検査はランダムに行われる
通関では、輸入されてくるすべての商品をインボイスと見比べて、細かくチェックしているわけではありません。毎日世界各地から送られてくる、とてつもない商品数を捌くことは現実的ではありません。
海外輸入商品の大部分は、インボイスで商品内容や課税計算がチェックされ、問題なければ通関はパスされます。インボイスの表記ミスや課税が必要となる商品、法律に引っかかる商品があると判断された場合、二次検査でより細かく通関検査が行われます。
またすべての商品がインボイスのみでチェックされているわけではなく、ランダムの抜き打ち検査も行われます。
通関検査中はおとなしく待っておくことが得策
検査で調査対象となった場合、普段より通関に時間がかかります。通常は荷物の中身まで開封はしないのですが、開封後、インボイスの内容と適合するかなどのチェックが入るため、通常より1週間前後到着が遅くなる可能性があります。
抜き打ち検査は密輸入を防ぐための大事な検査なので、おとなしく待っておきましょう。こちらからアクションを起こそうと思っても、できることはほとんどありません。
DHLから確認のお知らせがくる場合あり
インボイスの不備や商品内容との相違が発覚した場合、DHLから電話がかかってくることがあります。DHLより細かい指示があるので、指示内容に従ってください。
DHLから連絡がくる場合、何かしらトラブルが起きている可能性があります。早く対応することで商品を安全に届けてもらいましょう。
商品追跡ができない時
追跡サービスを利用しようとして文字列を打ち込んだのに、商品が追跡できないケースがあります。主な要因としては以下の可能性があげられます。
- 追跡番号を打ち込んだ職員の記入ミス
- 業者間での引継ぎミス
- 追跡できない国、地域がある
追跡番号を打ち込んだ職員の記入ミス
販売元の職員が商品の追跡番号を知らせる際に、間違った番号を伝えていることがあります。メールで送られてきた追跡番号が上手く反映されない場合、販売元に追跡番号を確認してください。
業者間での引継ぎミス
商品を梱包する箱や袋には追跡番号が記されていますが、追跡番号が手書きで書かれていることがあります。手書きだと、人によっては読み間違える可能性があり、輸送で次の業者に移った際に、商品の追跡番号の読み間違いが起こり得ます。
追跡できない国、地域がある
海外発送した国や地域が、そもそも追跡可能エリア外の可能性があります。追跡できるかどうかはあらかじめ把握できますが、追跡番号がすぐに追跡サイトに情報反映されないこともあり、一時的に追跡ができなくなる可能性があります。
追跡番号が上手く機能していない時は、販売元に確認したり、輸入代行サービス会社に問い合わせたりしましょう。
DHL由来のトラブルについて
海外輸入で起こるトラブルの中には、輸入代行サービス会社が原因となっていることがあります。人が作業を行っている以上、トラブルは避けることはできません。
輸入代行サービス会社で起こるトラブルの原因と対処法について確認し、トラブル時はすぐに対応できるよう準備しておきましょう。
輸送中に商品紛失の可能性あり
海外輸入をする際、複数の国をまたいで商品が輸送されることがあります。取引回数が増えると、商品の取り違えや搬送先を間違えたまま別の場所に送られてしまうケースに遭遇するかもしれません。
輸送ミスなど、会社側の過失が起きたときに、すぐ対応してくれればありがたいですが、海外会社にはこちらから連絡を入れないと対応してくれない会社が多々あります。自分から行動を起こして、問題が発生していると業者側に判断してもらう必要があります。
進展がない場合は即連絡
いつまでたっても追跡サービスの輸送状況に変化が見られない場合、輸入代行サービス会社に連絡を入れて、問題を解決してもらいましょう。12~1月などの繁忙期でもない場合、2週間以上動きがないなら、以下の参考リンクからDHLに問い合わせてください。電話、E-mailに対応しておりますが、日曜・祝日は休みとなっています。
参考:Help, support, FAQs, shipping advice and contact DHL Express in MyDHL+ – DHL
商品追跡サービスで輸入の流れを追う
Gearbest(中国のガジェット通販サイト)で購入した商品を、DHLのExpedited Shippingを利用して輸入した事例を紹介します。商品が香港をスタートして輸送されてくる様子を、経過日数ごとに分けて解説します。
現地引き取りから配達完了まで
下記では、DHLの追跡サービスで見たときの履歴一例を載せました。
状態発生日・詳細(取扱局・所在地)
08/14 18:35・現地で引き受け
08/15 00:15・DHL施設から出発(HONG KONG)
08/15 09:45・DHL施設へ到着(HONG KONG)
08/15 11:05・DHL施設から出発(HONG KONG)
08/16 01:22・DHL施設にて搬送処理中(HONG KONG)
08/16 04:23・DHL施設から出発(HONG KONG)
08/16 07:35・通関手続き情報の更新(OSAKA・JAPAN)
08/16 07:53・DHL施設へ到着(OSAKA・JAPAN)
08/16 08:45・通関許可(OSAKA・JAPAN)
08/16 10:13・DHL施設にて搬送処理中(OSAKA・JAPAN)
08/16 11:23・DHL施設から出発(OSAKA・JAPAN)
08/16 12:34・DHL施設へ到着(KANSAI・JAPAN)
08/16 14:17・配達業者への荷物引渡し準備完了(KANSAI・JAPAN)
08/17 09:28・配達業者への荷物引渡し完了(KANSAI・JAPAN)
08/17 12:32・配達完了
DHLの商品追跡を行う場合、DHLのHPトップページにある空欄に追跡番号を記入してください。
参考:DHLトップページ
1日目:注文
08/11 12:25・Gearbestで商品を購入
08/11 16:17・Gearbestから商品発送のメール通知
商品注文から発送まで4時間弱と、やけに早いと感じるかもしれませんが、実はこの段階では商品の発送は行われていません。GearbestがDHLに向けて商品発送に関する情報だけを送っており、事前情報が購入者にも届いただけです。
DHLで追跡調査を行うと、「HONG KONG,Shipment Information received」(発送に関する情報を受け取った)となっています。この後、DHLがGearbestより実際に商品を受け取ると、追跡情報の詳細が更新され始めます。
2、3日目:特に変化なし
購入してから2日間、特に動きはありません。当然ですが、DHLがまだ商品を受け取っていない為、DHLの履歴には商品輸送状況は掲載されていません。
4日目:DHLが集荷完了
08/14 18:35・現地で引き受け
DHLがGearbestから商品を受け取り、商品集荷が完了しました。ここからはDHLが香港内の輸送、日本への輸出作業を行います。
5日目:香港内の輸送
08/15 00:15・DHL施設から出発(HONG KONG)
08/15 09:45・DHL施設へ到着(HONG KONG)
08/15 11:05・DHL施設から出発(HONG KONG)
香港内にある複数の施設を経由している模様。日本への輸送に向けて、準備が進められています。
6日目:香港から日本への輸送
08/16 01:22・DHL施設にて搬送処理中(HONG KONG)
08/16 04:23・DHL施設から出発(HONG KONG)
08/16 07:35・通関手続き情報の更新(OSAKA・JAPAN)
08/16 07:53・DHL施設へ到着(OSAKA・JAPAN)
08/16 08:45・通関許可(OSAKA・JAPAN)
08/16 10:13・DHL施設にて搬送処理中(OSAKA・JAPAN)
08/16 11:23・DHL施設から出発(OSAKA・JAPAN)
08/16 12:34・DHL施設へ到着(KANSAI・JAPAN)
08/16 14:17・配達業者への荷物引渡し準備完了(KANSAI・JAPAN)
香港から商品が輸送され、日本へ届きました。通関検査は半日もかからず終了したため、国内配達業者への受け渡しもすぐに行われました。
あとは日本国内での輸送完了を待つのみです。
7日目:配達完了
08/17 09:28・配達業者への荷物引渡し完了(KANSAI・JAPAN)
08/17 12:32・配達完了
国内輸送が完了して、手元に商品到着です。
まとめ
通関で更新が止まる理由と対処法、香港からの輸入一例を紹介しました。
海外輸入では、時折通関検査に引っかかって、追加検査が行われます。追跡サービスで追加検査となったことを確認したら、7日ほどは検査にかかると覚えておきましょう。
また、海外サイトで購入した商品の輸送状況を細かく確認しました。途中2日間は商品が動きませんでしたが、7日で商品は届いています。土日など休日を挟む場合、香港内・日本国内での輸送がストップする可能性があるので、2、3日の遅れは考慮しておきましょう。