海外から商品を輸入する場合、通関は避けては通れません。DHL(国際輸送物流会社)などの輸入代行サービスを利用する人も、通関で一時的に商品が止まったという経験はあるはずです。
商品がほんの数時間通関で止まるだけなら気になりませんが、4・5日たっても「通関手続中」となっていたら、不安も増してくるでしょう。
- 商品に問題があったのか
- 手続きの不備があった?
- 商品がなくなっていたら?
人は一度心配になると、悪い方向に考えてしまいがちです。しかし、あらかじめ対策を知っていると、次の行動に移すことができます。
本記事では、DHLなど輸入代行サービスを利用して商品を輸入した後、通関で数日経っても状況が進展しない時の原因と、適切な対処法について解説します。
海外輸入初心者は、通関と聞くと「なんだか難しそう」と感じるかもしれませんが、基本的なことを抑えていれば、やるべきことは単純です。何かトラブルが起きる前に対応策を覚えておき、適切な行動を取れるよう準備を整えておきましょう。
通関の役割と商品が届くまでにかかる時間
通関とは、貿易において貨物を輸入及び輸出をしようとする者が、税関官署に対して貨物の品名、種類、数量、価格などに関する事項を申告し、必要な検査を受けた後に、輸入の場合は関税など必要な税金を納入し、税関から輸出入の許可を受ける手続きのことです。(wikipediaより引用)
輸入申請は個人でも行うことができますが、手続きが煩雑であったり、法律などの専門知識も要求されるため、専門の輸入代行業者へ依頼するのが一般的です。特に、何度も海外から商品を輸入する海外輸入ビジネスをしている人は、DHLなどの輸入代行サービスを積極的に利用したほうが良いでしょう。
通関通過にかかる平均時間
基本的には、商品が通関に到着してから許可が出るまで1日もかかりません。商品や手続き書類に不備があれば時間がかかることがありますが、問題がない場合、6.5~13時間ほどで手続きは終了します。
書類に不備がある場合や商品状態によっては、二次検査など追加検査が行われるため、通関にかかる時間が伸びる可能性があります。審査に時間がかかっている場合やシステム上の問題が生じている場合は、輸入代行業者や郵便局ホームページにて、遅延している旨が表示されます。
参考:輸入貨物の到着から引き取りまでの手続き・日本貿易振興機構(ジェトロ)
通関から届くまでは基本数日
書類等に不備がない場合、通関手続き自体は半日ほどで完了します。通関完了後は、輸送業者が各地へ商品を届けるため、1~3日ほどかかります。
通関で約半日、国内輸送で長くても3日なので、国内に届いてから4日もあれば、商品は手元に届くでしょう。
土日祝日は1週間以上かかる可能性あり
土日祝日を挟む場合、「通関手続中」表示が出てから商品が手元に届くまでに、1週間以上かかることがあります。国際書留郵便の場合、土日祝日は通関手続きが行われないため、月曜日にならないと通関が終了しません。手続きが止まっていた日数分、配達完了までに余計に時間がかかってしまいます。
早く商品を届けてほしい場合は、EMSや国際小包を利用してください。EMS・国際小包の通関手続きは土日祝日を問わず行われているため、平日と同様に素早く届けてくれます。ただし、運送料金は通常便の2倍以上かかることもあるので、注意してください。
年末の繁忙期も1週間以上かかる可能性あり
クリスマスやお正月など、12月から1月にかけての繁忙期は、通関手続きの忙しさもピークとなり、完了までのスピードも落ちます。繁忙期に商品を頼んだ場合、届くまでに1週間以上かかる可能性もあると覚えておきましょう。
土日祝日でも通関が行われるEMS・国際小包であっても、繁忙期にはやはり通関検査完了までに時間がかかるので、商品が届くまでの時間も当然伸びます。繁忙期に商品を輸入する場合は、ある程度時間の余裕を持っておきましょう。
通関士の判断に委ねる
通関では通関士が書類をチェックしながら、輸入しても大丈夫かどうか判断しています。同じ検査基準で輸入品を判断しているといっても、最終的に人の判断が入るため、前回の通関で一発通過した商品でも、次に輸入したら通関検査で引っかかることがあります。
輸入商品が二次検査に回った場合、通常一日で終わる通関検査が数日伸びます。人による判断は誤差が生じますので、もし通関検査が伸びた場合でも、検査終了まで待っておきましょう。
通関手続中が2回、3回も表示される理由
商品の輸送状態を追跡した際に、通関手続き中の表示が2回以上表示された経験があるかもしれません。場合によっては4、5回連続で「通関手続中」と並んでいて、不安にかられたこともあるでしょう。
通関検査は一次検査、二次検査と行われることがありますが、検査理由は追跡結果には表示されないので、確かめようがありません。再検査される理由はいくつかありますが、海外輸入でよく起こる通関再検査の理由を3つ紹介します。
商品が課税対象
個人使用が目的で海外から商品を輸入する場合、商品が課税対象額未満だと一次検査で通関検査は完了します(通関手続きは一回だけ表示される)。もし個人使用のつもりで購入した商品が課税対象額以上の場合は、二次検査で課税額計算が行われます。
課税対象額は商品代金そのものを指しているのではなく、輸送量、手続き料を含めた商品代金の60%を対象とし、課税対象額計算後10,000円未満の場合は非課税となります。
つまり商品代金、輸送料、手続き料の合計金額が16,666円以下(16.666×0.6=9,996円)だと非課税対象商品となるので、一次検査で通関検査は終了されます。
大量に商品を輸入する場合、合計金額が課税対象額を超えると追加検査が発生するので、通関検査の時間が伸びる可能性があります。
偽ブランド品は輸入禁止
関税法の「輸入してはならない貨物の項目」でコピー商品(=偽ブランド品)があげられており、商用目的で輸入した商品が偽ブランド品の場合、基本的に税関の没収対象となります。
一次検査の簡易検査で偽ブランド品と疑われた場合、商品は二次検査に回されます。その際、税関より書留で認定手続き開始の通知書が送られてきます。
「通関手続中」と書かれていた表示は、「通知書発送済」と「通関保留中」に変更されます。
認定手続き開始とは、本物のブランド権利所有者と購入者双方より事情を聴取するためのものです。個人目的の場合は事情を知らせて、販売目的ではないことをきちんと伝えましょう。
個人使用目的であると認められた場合は輸入が許可されることがありますが、偽ブランド品は没収のリスクが高いため、お勧めしません。
輸入用の必要書類に不備あり
海外から商品を輸入する際には、書類(インボイス)に必要事項を記入する必要があります。書類には商品名、数量、金額といった基本事項を記入しますが、記入漏れやミス表記など不備があった場合は、通関検査途中で作業がストップします。
インボイスが不十分だと判断された場合、より厳密に検査するため二次検査に回されます。場合によっては代行業者よりインボイス不備の連絡がくることもあるので、連絡事項はこまめにチェックしておきましょう。
通関の厳密検査はランダムに行われる
通関では、輸入されてくるすべての商品をインボイスと見比べて、細かくチェックしているわけではありません。毎日世界各地から送られてくる、とてつもない商品数を捌くことは現実的ではありません。
海外輸入商品の大部分は、インボイスで商品内容や課税計算がチェックされ、問題なければ通関はパスされます。インボイスの表記ミスや課税が必要となる商品、法律に引っかかる商品があると判断された場合、二次検査でより細かく通関検査が行われます。
またすべての商品がインボイスのみでチェックされているわけではなく、ランダムの抜き打ち検査も行われます。
通関検査中はおとなしく待っておくことが得策
検査で調査対象となった場合、普段より通関に時間がかかります。通常は荷物の中身まで開封はしないのですが、開封後、インボイスの内容と適合するかなどのチェックが入るため、通常より1週間前後到着が遅くなる可能性があります。
抜き打ち検査は密輸入を防ぐための大事な検査なので、おとなしく待っておきましょう。こちらからアクションを起こそうと思っても、できることはほとんどありません。
DHLから確認のお知らせがくる場合あり
インボイスの不備や商品内容との相違が発覚した場合、DHLから電話がかかってくる場合があります。DHLより細かい指示があるので、指示内容に従ってください。
DHLから連絡がくる場合、何かしらトラブルが起きている可能性があります。早く対応することで商品を安全に届けてもらいましょう。
商品の輸入進行状態を確認したい時の対処法
海外から商品を輸入する場合、どうしても数日間は時間がかかります。しかし待っているだけだと、今商品はどこにあるのかと、不安に思う人も多いことでしょう。
そこで、自分が発注した商品の行方をすぐに確認する方法を紹介します。不安な状態はいち早く解消して、安心して商品の到着を待ちましょう。
国際宅配便の場合
国際宅配便(DHLなど)を利用して商品を輸入する場合は、通常、宅配業者が商品の運送や保管、管理、輸入通関手続きをまとめて代行してくれます。現在商品がどこにあるか確認したい場合は、輸入代行業者のHPや専用サイト、問い合わせサイトで確認してください。
DHLでは、トップページに追跡番号(10桁)を入力することで、現在の進行状況が確認できます。追跡番号などの取引情報は、契約時のメールなどに記載されているので、メールなど重要書類は削除しないように注意してください。
国際郵便の場合
国際郵便を利用して郵便物を輸入する場合、郵便物はまず日本郵便株式会社通関郵便局(以下日本郵便)に到着します。その後、日本郵便から税関に郵便物の提示が行われてから、税関での輸入通関手続きが開始されます。
税関で所定の検査が行われたのち、名宛人に対し「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ」、「国際郵便物課税通知書」という書類が送付されます。郵便物の課税価格が20万円を超える場合(寄贈物品を除く)、上記書類に加えて、日本郵便から税関への輸入申告に関する案内文書が送られます。
上記書類が届かない場合、通関検査がまだ行われていない可能性があります。必要書類が届いてなくて不安な人は、日本郵便へ問い合わせてください。
不安な場合はカスタマーサービスへ
商品を注文したにもかかわらず一向に商品が届かない場合は、こちらから行動を起こさないといけないことがあります。追跡調査を行って数週間経ったのに状況が変化しない時は、商品輸入代行業者へ連絡を入れてください。
DHL内で商品紛失の可能性があり
輸入代行サービスを利用すると、トラブルはよく起こります。追跡状況を確認して一向に変化しない場合、カスタマーサービスに直接連絡を入れてください。
海外会社には、こちらから連絡を入れてないと対応してくれない会社が多々あります。自分から行動を起こして、問題が発生していると業者側に判断してもらう必要があります。
待機していても状況は変わらない
日本人の気質として、取引相手を信用する習慣がついているかもしれませんが、頼んだものが来ていない以上、待っていても時間の浪費と不安が増すだけです。こちらからアクションをかけて、会社側に問題があると認識してもらわないといけないと考えておきましょう。
以下に「DHLのお問い合わせページ」へのリンクを掲載しておきますので、こちらから問い合わせてみてください。
電話、E-mail、LINEに対応しており、日曜日・祝日(一部地域・土曜日)は休みとなっています。
電話(0120-39-2580)を利用する場合は、音声ガイダンスに従って「4→5→2」と押してください。オペレーターにつながります。
海外→日本の輸入配達日数例
海外から日本までの輸入の場合、どれぐらいの時間がかかるのか、例をもとにイメージをつかんでおきましょう。
海外輸入でよく使用される、中国とアメリカ、イギリスを例に挙げます。
中国→日本=6日
中国で商品を仕入れてから日本に輸送するまでの流れです(中国〜大阪の一例)。
2月19日に代行業者が現地で商品を引き受け、2月25日に国内で受け取るまでの6日間を、時間と詳細ごとに表記しています。
アメリカ→日本=7日
アメリカで商品を仕入れてから日本に輸送するまでの流れです(アメリカ〜愛知の一例)。
3月12日に代行業者が現地で商品を引き受け、3月19日に国内で商品を受け取るまでの7日間を、時間と詳細ごとに表記しています。
イギリス→日本=8日
イギリスで商品を仕入れてから日本に輸送するまでの流れです(イギリス〜東京の一例)。
12月14日に代行業者が現地で商品を引き受け、12月22日に国内で商品を受け取るまでの8日間を、時間と詳細ごとに表記しています。
通関で商品が止まる理由と対策まとめ
輸入代行サービス(DHLなど)を利用して商品を輸入する場合、通関検査は避けては通れません。輸入元としてよく利用される中国やアメリカからでも、1週間ぐらいを目途に考えておきましょう。
しばらくたっても商品が届かない、追跡捜査で状況がわからないなどトラブルが起きたときは、代行業者に事情を確認し、すばやく対応を取ってください。