越境ECを行う人にとってどの輸送方法を選ぶかはとても重要です。日本郵便を活用する人が多いですが、日本郵便にはないサービスを活用したいという時は国際宅配便がおすすめです。
今回は、国際宅配便の中でも大手の二社「FedEx」と「DHL」のサービス内容やその利用法について詳しく説明します。
国際宅配便の大手「FedEx」と「DHL」
FedExとDHLは、どちらも国際宅配便の大手です。日本から海外に荷物や商品等を送りたい場合、多くのセラーに利用されるのは日本郵便です。
でもより早く相手先に配送したい時などは、FedExやDHLもおすすめです。両社とも自社の飛行機を所有しているため、配送スピードがとても速いのが特徴で、さらに衛生管理も行いやすいのでコロナの影響を受けにくいといったメリットがあります。
FedExとは?
FedExはアメリカに本社を置く、世界220以上の国や地域に物流サービスを提供する世界最大の総合航空貨物輸送会社です。
コロナの影響で民間航空機の欠航・減便が増えている中、FedExは自社の飛行機を持っているので安定した物流を行うことができます。また、一般の航空輸送とは異なり、FedEx社内に通関業務ができる通関士がいるので、発送人と受取人の通関手続きを一括で代行でき、迅速な配送が可能になっているところも強みです。
それでは、FedExで配送依頼したい場合の方法を説明していきます。
まず、FedExのサイトで発送可能な荷物かどうかを確認しましょう。次に、配送したい目的地までの料金を調べます。配送物と配送先が決まっていれば見積もりを取ることができます。
荷物が発送可能だと分かったときは、ホームページでアカウントを作成し、運送状やインボイスなどを入力していきましょう。
自宅付近に営業所があれば自分で持ち込むことができますし、集荷希望であれば電話するか、サイト上で必要事項を入力して集荷依頼をしましょう。
FedExには専用の集荷ボックスがあるので、必要に応じて配送物のサイズや重さに適したサイズのボックスを選んで活用することもできます。
なお、通関手続きはFedExが代行して行ってくれるので安心です。
参考までに、FedEx International Economy Shipmentsを利用してアメリカ西部まで配送を依頼した場合の料金を載せておきます(土曜日配送は航空貨物運送状1通につき2,190円追加料金)。
- 0.5kg:13,380円
- 1kg:15,690円
- 5kg:42,620円
- 10kg:53,520円
- 15kg:59,420円
翌日配送にも対応していますが、コロナの影響で配送時期は少し遅れるかもしれません。余裕をもって送りましょう。
参考:FedEx
DHLとは?
DHLは国際輸送物流会社の中でもっとも古い歴史を持つドイツの会社で、220以上の国や地域に配送しています。
FedEx同様DHLも自社の飛行機を保有しており、災害等が生じ民間の航空会社が運航しない状況でも安定して配送ができるので、ユーザーも安心です。また、通常は自分で行う必要のある通関申告をDHLが代行してくれる点もメリットの一つといえます。
それでは、DHLで配送依頼をする方法を説明していきます。
FedExの場合と同じように、まずはホームページから配送可能な荷物や見積もりをチェックしましょう。次いでDHLのアカウントを作成します。アカウント作成後、配送物に関する情報や、運送状やインボイスなど必要な情報を入力してください。
入力が完了したら、自分で営業所に荷物を持っていって配送手続きをするか、電話かサイト上で集荷予約を行うか決めましょう。
配送料は配送先や配送物の大きさ、重量によって異なりますので見積もりを取ることがおすすめです。
ここでも参考までに、DHL EXPRESS WORLDWIDEを利用してアメリカまで配送してもらった場合の料金を掲載しておきます。
- 0.5kg:13,390円
- 1kg:15,540円
- 5kg:42,900円
- 10kg:53,000円
- 15kg:63,600円
自宅付近に営業所かDHLの委託先のサービスポイントがあり、自力での持ち込みが可能なら、DHL Express Easyがオススメです。集荷作業が省かれる分、通常のサービスよりも割安で配送することができます。
DHLも通常なら翌日配送に対応していますが、現在はコロナの影響で配送日が早くて3日、遅くて一週間程度かかる場合があります。
参考:DHL
FedExとDHLの違いをチェック
「FedEx」と「DHL」、どちらも短期間で海外に荷物を送ることができるのはわかりましたが、両社に違いはあるのでしょうか?
ということで、この項目では両者の違いについてご紹介していきます。違いを理解することで、お得なサービスを提供する会社を選ぶことができます。また、一見運賃テーブルでは安いように思えても、条件次第で送料が逆転することもあり得ますので、取引条件もあわせて把握しておきましょう。
送料の違い
「FedEx」と「DHL」の送料は、送り先、サイズ、重量などによって変わってくるので、どちらのほうが安いと即断することはできません。それぞれの運賃テーブルを比較しながら、荷物ごとに安い方を利用しましょう。
どちらもあまり差はないと決めてかかってはいけません。送り先によっては重量が同じでも1.000円以上の差が出ることもあります。ビジネスをするうえでは1,000円安くなるかどうかは大きい問題なので、しっかり二社の料金表を比較しましょう。
参考:FedEx運送料金表(ダウンロード版)
参考:DHLサービスガイド 料金表 2023(ダウンロード版)
【FedEx】容積重量と実重量による送料の決め方
「FedEx」では「Fedex Pack」と呼ばれるビニール袋、「FedEx Box」という段ボール、「FedEx Envelope」という封筒を利用すれば、容積重量の適用を避けることができます。実重量を適用させたいなら、「FedEx」が支給する梱包資材を使うことが条件です。
「FedEx」の方が豊富なサイズの梱包資材を提供しているので、送る荷物のサイズの選択肢が広がります。
【FedEx】価格制限・サイズ制限次第では容積重量が適用
「FedEx」は容積重量の適用を避けられる豊富な梱包資材が魅力ですが、それぞれに利用条件や上限があるので要注意です。価格制限・サイズ制限などをしっかり把握しお得なサービスを見極めていきましょう。
価格制限
封筒サイズの「Fedex Envelope」やビニール袋の「Fedex Pack」の内容物の税関申告価格の上限は仕向地に関わらず500米ドルで、運送申告価格の上限が100米ドル、または、1ポンド当たり9.07米ドルのいずれか大きい金額です。それを超える商品はこの梱包資材に入れても容積重量が適用されてしまいます。
サイズ制限
せっかく「Fedex Pack」に入りきっても容積が15,400立方センチメートル(または940立方インチ)を超えた場合、容積重量が適用されてしまいます。
【DHL】容積重量と実重量による送料の決め方
「DHL」の送料を計算するポイントになるのが「実重量」と「容積重量」です。「DHL」には実重量の他に容積重量の計算方法(容積重量(kg)=縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)÷5,000)があり、実重量と容積重量の重い方が適用されます。
ただ「DHL」が提供する「DHL Flyer」を使えば、容積重量関係なく送ることができます。DHL FlyerとはB4やA3サイズのビニール袋のことで、ここに入りきるのであれば実重量のみで値段が決まります。この梱包素材は「DHL」に依頼すれば無料でもらえるので、気軽に問い合わせしてみましょう。
集荷手数料の違い
荷物が多い場合や、近くに営業所がない場合、集荷サービスはとても助かります。集荷も「FedEx」と「DHL」で違いあるので見ていきましょう。
FedEx
土曜日集荷に運賃とは別途手数料がかかります。FedExに事前に問い合わせておくと良いでしょう。
参考:FedExご利用にあたって(PDF)
DHL
集荷には、特に手数料は発生しません。
集荷依頼の締め切り時間に関して
荷物の集荷の締め切り時間は、集荷先の地域によって異なるのでFedEx、DHLともに問い合わせて確認を取ると良いでしょう。
運送保険料の違い
国内への配送に比べて海外への配送は運送中の紛失や破損のリスクが高くなるため、補償内容が気になるところです。
FedEx、DHLともに「基本料金に含まれている補償」と、賠償責任限度額を超える価額の賠償を希望する場合に行うことができる「有料補償」があります。
FedExの基本補償(基本料金に含まれる補償)
損害賠償責任限度額は、1貨物当たり100 米ドル、または、重量1㎏当たり20.00米ドル(1ポンド当たり9.07 米ドル)のいずれか大きい金額に制限されます。
運送申告価額が上限を上回る場合の追加額は、100米ドルを超える分を100米ドル(その端数)単位で、または、1 ポンド当たり9.07米ドルの損害賠償限度のいずれかの該当する方で算定されます。
DHLの基本補償
重量1kgにつき25アメリカドルがかかり、賠償責任限度額を超える価額の賠償を希望する場合、特別に申告をかけることも可能ですがその分追加で費用がかかります。
FedExの有料補償にかかる費用
貨物の申告価額が12,500円 、または1ポンドあたり1,375円のいずれか大きい方を超えた金額に対して、12,500円ごとに170円かかります。
DHLの有料補償にかかる費用
運送状一枚に当たり2,500円または申告金額の1.2%のいずれか高い方が適用されます。
文言を見ただけでは実際にどれだけ補償されるのか想像しにくいかと思います。簡単かつ確実な方法は、各社ホームページにて見積もりを取って補償額がどれほどになるかを確認することです。その後有料補償を加える必要があるかを判断しましょう。
各種料金や手数料の違い
「個人宅向け配達料」は、配送先を自宅やホームオフィスなどに指定したときにかかる手数料です。
- FedEx:運送状1通につき420円
- DHL:無料
遠隔地手数料の違い
配達地が都市部から離れた地域にある場合、「遠隔地手数料」が必要になります。
- FedEx:レベル別適用サーチャージを使用しています。レベルA(航空貨物運送状1件につき370円)レベルB(航空貨物運送状1件につき2,600円、または、1Kgあたり50円のどちらか高い方)レベルC(航空貨物運送状1件につき3,380円、または、1Kgあたり70円 のどちらか高い方)
※レベル別適用サーチャージとは、FedEx集配サービス地域内に所在する主要な海外仕向地以外での集荷を行う際の特別料金分類表です。荷物がFedEx集配サービス 地域外従価料金の対象かどうかについては、カスタマーサービスに電話で問い合わせて確認しましょう。
- DHL:運送状1枚あたり(運送状)2,600円、または、60円/kgのいずれか高い方を適用
FedExとDHLとでは遠隔地とされる地域が異なるので、それぞれのサイトで送り先、または集荷先が遠隔地に指定されているかを前もって確認しておきましょう。どの地域が遠隔地として指定されているかは、郵便番号が分かれば確認可能です。
緊急事態に伴う一時割増金
新型コロナウイルス感染症対策のための規制により航空貨物の輸送力が限られる中、サービスの質を保つために設けられたのが「一時割増金」です。FedEx、DHLともにサイト上で説明していますので確認してください。
燃油サーチャージ
燃油サーチャージは原油の価格の変動によって変わるので、FedEx、DHLとも定期的に変動します。FedExは一週間ごと、DHLは一か月ごとに変更するので頻繁にチェックしておきましょう。
FedExから確認連絡がある場合
FedExを利用して海外から何かを輸入し関税が15,100円を超える場合、担当者から確認の電話がかかってくることがあります。このようなときでも慌てずに対応できるよう、何を聞かれるかを前もって知っておきましょう。
本人確認
まずは、本人確認をされます。当然といえば当然ですね。
合計金額確認
次に配送物の合計金額に間違いがないかをチェックされます。
税金確認
次に、今回の配送で発生した税金の金額を伝えてくれるので、メモしておきましょう。
支払い方法確認
最後に支払方法の確認をされます。クレジットカード決済か銀行振り込みかを選ぶことができますが、キャッシュカードを利用する場合は、カード番号や有効期限の確認がありますので正確に答えましょう。
関税15,100円以下の支払いは?
配送物の税金が15,100円以下の場合は、FedExから税金等が記載されている封書が届きます。届き次第支払い手続きを行ってください。
DHLでクレジットカード決済した場合のデメリット
DHLに関してのみですが、クレジットカード決済を選んでしまうと、発送処理が支払いの翌日以降にずれ込んでしまいます。この点は小さなデメリットです。
まとめ
今回の記事では、220以上の国や地域に発送できる国際宅配便のFedExとDHLの違いを比較してきました。
新型コロナウイルスの影響を受けて多くの民間機が欠航する中、自社の飛行機を持つFedExとDHLは、セラーのビジネスにとって大きな助けとなることでしょう。
ぜひ、両社の違いを把握してあなたに合った配送会社を選択してください。