中国から輸入した商品を販売していると、下記のような質問が寄せられます。
・この商品は禁止商品ですよね?
・この商品に規制はないですか?
・そもそも、この商品は輸入できますか?
等々、規制されている製品がある事は知っていても、実際にどれが規制されているかはあまり周知されていないようです。
規制されている商品を正しく把握できていないと、税関で止められて最終的には滅却処分されてしまう恐れもあります。
最悪の場合、逮捕の可能性すら出てくるのです。
輸入禁止品と規制品を把握しよう!
個人輸入に関して、注意すべき事は他にもあります。
偽ブランド品や、著作権を無視したキャラクターグッズ・コスプレグッズです。
中国の仕入れサイトを検索していると、普通に販売されています。
これらの商品を「利益がでるから」といって販売してしまうと、取り返しのつかない事になる恐れもあります。
まずは、どのような商品が規制されているかを知る事で、販売のリスクを最小限に減らしましょう。前もって把握する事で、効率的でかつ安全にリサーチを進める事ができます。
そこで、下記の項目では
・輸入が規制・禁止されているもの
・手続きが複雑で面倒なもの
・販売が規制・禁止されているもの
をまとめていきます。
※販売を目的にした場合に禁止されている製品を想定しています。
個人利用の場合は認められている製品もありますので、あらかじめご了承下さい。
関税法以外の法律でも輸入が規制される製品
規制とは「輸入はできるが一部条件をクリアしなければいけない」という事です。
海外から日本に輸入される貨物の中には、日本の産業、経済、保険、衛生、公安及び風俗等に悪影響を及ぼすものがあり、これらの貨物については関税法により輸入が禁止、またはそれぞれの国内法令によって輸入の制限がかけられています。
輸入が一切禁止されている「輸入禁止品目」に次いで重要なものがこの「輸入規制品目」です。
輸入するには法律に基づいた許可が必要
輸入規制品を輸入する為には、各省庁に届け出が必要です。
外国為替及び外国貿易法(外為法)、またそれを受けた輸入貿易管理令や、その他の法令により輸入に先立って許可や承認等を受ける必要があるのです。
これらの他、法令規定で許可や承認等を必要とする貨物の場合、事前に許可や承認を受け、それにより交付された証明書を通関時に提出、確認を受けることで初めて輸入が可能になります。
中国輸入品における「禁止」と「規制」
規制や禁止されている商品を知らずに輸入販売してしまうと、最悪の場合、逮捕されてしまう可能性があります。
【禁止】
・どんな理由があっても輸入できない商品
【規制】
・一部の条件をクリアできれば輸入できる商品
この2つの違いを正しく理解して、リスクを最小限にしておきましょう。
中国からの個人輸入は規制があるからこそのメリットも!
順を追って正しい許可を得ることで、輸入が可能になる商品は無数にあります。
正しい知識を身につけていれば、独占販売ができる可能性があるという事です。
手続きが複雑で面倒なものは規制という参入障壁が高い程、高額での販売も可能で、ライバルとの差別化にもなります。
大きな利益が生じるビジネスチャンスを秘めているのです。
販売許可は強みになる!
正しく輸入し、規制をクリアできれば自分の強みになります。
さらには、正しい輸入の知識を身につける事でトラブル回避に繋がり、コストを下げる事も可能です。
輸入の知識を日々吸収するように心がけましょう。
許可を取る事は簡単ではありませんが、クリアする事で競合が参入しづらくなります。
輸入ビジネスとしてはかなりの強みになる「独占販売」が可能になるのです。
簡単に独占販売できる
中国輸入ビジネスのノウハウやテクニックの中に、「独占販売」という手法があります。
文字通り、他の競合では販売できない商品を取り扱い、市場を独占する事です。
許可を取る事が難しい商品ほど競合の参入が難しく、成功すれば独占販売する事が可能となります。
高い利益率
競合が少ない状態で独占販売する事ができれば、高額で販売する事ができます。
それは中国現地の物価が安い分、低コストで仕入れる事ができるからです。
輸入される商品の中には高額な商品もありますが、それでも利益を取れる商品は数多く存在します。
今や「世界の工場」と呼ばれる中国。
基本的に揃わないものはなく、安価で入手できます。
アパレルを例として利益を出す方法を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
中国からの個人輸入規制品の特徴・一覧
輸入規制商品の中には「輸入できても販売が難しい」ものがあります。
それは、輸入が簡単でも、販売する場合に各省庁に届出が必要な商品です。
下記をご参照下さい。
電気製品(電気用品安全法)
中国から電気製品を輸入する場合、PSEマークを発行し、経済産業省に届け出をしなければなりません。
注意しなければいけないのが、「すでにPSEマークがついている製品も、自分で発行する必要がある」という事です。
まずは経済産業省に申請、自主検査をし、適合証明を取って自分で発行します。
また、PSEマークには2種類ある事を知っておきましょう。
・丸にPSEと書かれたマーク
一般的な電気製品に必要なPSEマークです。
認証は必要ありません。
・ひし形にPSEと書かれたマーク
充電式の電気製品などに代表される、特定電気用品に必要なPSEマークです。
第三者機関による認証が必要となります。
PSE表示は、消費者に対して事業主が自己申告する事で添付されます。
逆に言うと、PSE表示をしただけでは認証を受けた事にはならないのです。
電気用品安全法でいう認証とは、外部の第三者機関で基準適合性を証明してもらう事で示します。
PSEマークは基準適合性であって、安全性の証明ではないという事に注意しておきましょう。
子供向け製品
子供が口にしてしまうような商品は、規制の対象となります。
6歳未満を対象とした玩具は食品衛生法に抵触し、個人使用の場合のみ一定数が輸入可能です。
顔料に有害物質が含まれていないか、誤飲の恐れはないか、等の検査が必要となります。
動物の皮や一部を使った商品
ワシントン条約により、絶滅の恐れのある野生動植物の取引は禁止されており、取引制限の対象となっている動植物の加工品も、取引が規制されています。
生きている動植物、毛皮、象牙、革製品、漢方薬が対象です。
輸入禁止品の特徴・一覧
輸入が禁止されている製品の特徴は下記となります。
1.人の生命または健康を害するもの
2.生態環境を破壊するもの
3.中国の法規により輸入が禁止されているもの
4.国際条約や協定により輸入が禁止されているもの
これらの輸入禁止品を輸入した場合、関税法などにより、「10年以下の懲役、もしくは3000万円以下の罰金またはその両方」が科せられます。
ただし、これらの品目に関して政府が輸入する場合や他の法令により輸入することができるとされている者が輸入する場合は、各大臣等の許可・承認があれば輸入が可能となるものもあります。
液体類は空輸NG
液体類は、液体爆弾と認識されることがあるため空輸できません。
留意しつつも、誤って空輸で入れてしまうこともありますので、十分注意しましょう。
プリンターのカートリッジ、ボールペンのインクなども含まれます。
※船での輸入は可能です。
知的財産侵害になる偽物・コピー品
当たり前の事ですが、偽ブランド品やコピー品は輸入不可となっています。
注意しなければいけないのが、自分が知らないブランドのコピー品を輸入してしまう事です。
中国製品で、聞いたことのないブランドでもWEB等を駆使して調べてみましょう。
事前に検索をしておけば、コピー品を輸入してしまうリスクを回避できます。
また、すでに誰かが日本国内で特許をとっている製品もNGです。
販売停止になるリスクを考慮して、大量に発注する場合は弁護士や弁理士に依頼しましょう。
アニメ、ゲームのキャラクターなどのコピー品の輸入・販売も違法行為になります。
銃・刃物などの銃器+その他空輸不可製品
当たり前ですが、拳銃、刀、刃物、機関銃、爆発物・危険物などは輸入を禁止されています。
注意点としては、それらの玩具やレプリカなども問題になる場合があるという事です。
輸入規制商品を輸入してしまったら
知らずに輸入してしまった商品であっても、税関で検査に引っかかった場合は滅却処分になります。
また、通常では税関で止まる製品がまれに通ってしまう場合もありますが、税関を通って手元に届いたからといって販売が可能という訳ではありません。
Amazonや楽天で最初は販売できても、急にページが削除されたり、最悪の場合アカウント停止に追いやられます。
さらには法律問題にも発展しかねない、という事を覚えておきましょう。
税関でストップされる場合
税関では、荷物をランダムに開封され、違反製品だった場合は滅却処分されてしまいます。
輸入が規制された貨物は、外国為替及び外国貿易法(外為法)、それを受けた輸入貿易管理令や、その他の法令により輸入に先立って許可や承認等を受ける必要があるのです。
日本の産業、経済、保険、衛生、公安及び風俗等に悪影響を及ぼす貨物については、関税法により輸入が禁止されていたり、またはそれぞれの国内法令によって輸入が制限されていたりします。
許可がおりない場合は滅却処分
法令の規定で許可や承認等を必要とする貨物の場合、
①まずは許可や承認を受ける
②それにより交付された証明書を通関時に提出する
③確認を受けることで初めて輸入が可能
という手順を踏む必要があります。
許可がおりない場合は破棄される他、場合によっては倉庫保管料や破棄手数料まで発生する事があります。
仕入れができても販売不可能
税関では何の問題もなく入荷できても、販売する為には各省庁へ事前に届出をしなければいけない製品があります。
食品では、野菜や果物等の農産物から、缶詰、缶ジュース等の加工済み商品に至るまで、食品衛生法に基づいた届出が必要です。
食品等輸入届出に必要な書類を添付し、厚生労働省検疫所の輸入食品監視担当へ提出。その後、商品の審査・検査を受けます。
※国内商品では届け出は必要ありません。
その他、毛織物、シルクの衣類などにも注意が必要です。
輸入品の毛織物は基本的に輸入が自由化されていますが、ワシントン条約に該当する動物の毛皮を用いたものは、経済産業大臣の輸入承認を得る必要があります。
シルクの衣類も通常は輸入規制がありませんが、商品によっては輸入管理体制が実施されている場合もあるため、事前に経済産業省の窓口に相談する事をおすすめします。
もっと中国輸入のトラブル対策を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
参考:通関保留中になってしまったら?中国輸入のトラブル対策方法
「輸入できない物」、「輸入しない方が良い物」とは
①輸入が全面禁止されている物
②輸入はできるが、国内法により輸入できないもの
がある事を留意しておきましょう。
・犯罪商品
中国国内では、キャラクター等のコピー品が数多く流通しています。
これらは知的財産を侵害した犯罪商品です。
販売した場合、刑事事件にも発展する恐れがありますので、絶対におやめ下さい。
・輸入規制品
中国からの輸入となると規制が厳しくなる商品や、法律で禁止されている商品もあります。
電話で問い合わせる事も可能ですから、自分が取り扱う商品に不安を残す場合は直接連絡をとって確認する事をおすすめします。
輸入が禁止されている製品
・液体
液体は液体爆弾と認識されることがあるため、空輸便での輸送ができません。
中国輸入の際は、国際スピード郵便などの空輸便を使う事が多いため、輸入が不可となります。
※船での輸入は可能
・医薬品
薬機法により、輸入が禁止されています。
・銃器
けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの鉄砲弾及びけん銃部品、爆発物・危険物
上記のものは輸入が禁止されています。
・コピー品
キャラクター商品や、偽ブランド品等の知的財産侵害物品は輸入する事ができません。
・ブランド品
一部の一流ブランド等は、本物でも輸入できないケースやメーカーの輸出入の許可証が必要なケースがあります。
石鹸を例に薬機法をチェックしてみたい方は、下記の記事を参考にしてください。
参考:海外から石鹸を輸入・販売する際の注意点!石鹸を輸入・販売するには許可がいる!?
国内法により販売できない恐れのある製品
・技術認証品
無線機器やBluetooth搭載商品は販売ができない恐れがあります。
・コンセント使用品
電気用品安全法、PSEマーク商品は販売ができない恐れがあります。
中国の電源は220Vでコンセントの形状も異なるため、日本では使えない製品があるためです。
なかには輸出用の100V用電源アダプタをつけて販売している販売店もあります。
さらに上述したとおり、日本では電気用品安全法という法律があるため、そのまま販売する事はできません。
登録検査機関の適合性検査を受検し、証明書の交付を受け、PSEマークを表示する事ができれば販売可能です。
しかし、検査をするのに1点数十万円という高額な費用がかかります。
上記の製品に限らず、火災などの事故を起こす可能性のある製品は、輸入販売者の責任を問われる場合もあるので、慎重に取り扱う事をおすすめします。
■電気用品安全法ページ
■経済産業省ホームページより問い合わせができますので、是非ご活用下さい。
・幼児向け商品
乳幼児向けの食器や玩具などの製品は、検査が厳しくなっています。
法律上輸入が禁止されているもの、または輸入するために事前に許可・認可が必要なものがある事に留意しておきましょう。
・食品
食品衛生法によって、食品の輸入には事前の許可が必要です。
個人輸入レベルでは取り扱う事ができません。
・ヘルメット、石油ストーブ、ライターなど
消費生活用製品安全法に該当するものは輸入が禁止されています。
中国からCDやDVDは輸入しない方が良い
・CD・DVD・書籍などのメディア関連製品
上記は輸入を禁止されていませんが、中国側の輸出検査はとても厳しいです。
その中でも、宗教や政治に関する書物の多くは没収されているのが現状です。
中国国内には、CD・DVDをダビングしたCD-RやDVD-Rを販売するショップもあるくらいなので、注意する必要があります。
メディア関連製品を検討する際には、代行業者としっかり打ち合わせし、聞き込み調査を徹底してもらいましょう。
今回、ご紹介した製品は代表例です。
不安な場合はタオバオ等の仕入れ代行サイトを使いましょう。
仕入れ代行サイトから購入できる商品数は膨大なので、不自由に感じる事は少ないはずです。
中国輸入の具体的な失敗事例を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
中国からの個人輸入規制品のお問い合わせ機関
代行業者から「この商品は日本へ発送できません」と言われてしまう事が多々あります。
日本のAmazonで販売されている商品でも、発送できないと言われる事さえあるのです。
・電池が含まれている
・液体が含まれているので通常の航空便では送れない
・食品衛生法等の規制で、税関で差し止められる
上記は、正規の手続きを行えば輸入は可能ですが、重要なのは「本当に規制対象になるか」です。
代行業者や中国の運送業者の知識不足によって「発送できない」という回答に至っているかもしれない、という事に留意しておく必要があります。
たとえば、歯ブラシは口に入るものなので、食品衛生法の規制にかかりそうですが、実際は規制の対象外となるのです。
「本当に規制対象になるか」という事を確認するためには、自分で各部署に問い合わせるのが確実です。
ここでは、そんな問い合わせ先部署をまとめておきます。
税関
中国の代行業者も様々あり、中には貿易実務に詳しくない業者もあります。
日本の輸入は特に複雑なので、規制を完璧に把握している代行業者はほんの僅かです。
何か疑問に思った事があれば、まずは税関に相談する事をおすすめします。
税関は日本各地にあり、相談用の電話番号、メールアドレスも公開されています。
ジェトロとミプロ
・ジェトロ(日本貿易振興機構)
ジェトロは2003年に設立された独立行政法人です。
海外55カ国76事務所、国内では48事務所、1支店のネットワークを活用し、海外ビジネス情報の提供、中堅・中小企業等の海外展開支援、対日投資の促進などに取り組んでいます。
・ミプロ(一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会)
ミプロは輸入促進機関として設立された公益法人組織です。
輸入に関する様々な資料が無償で公開されているので、是非参考にしましょう。
専門家の意見を仰ぐ
最終的な判断に迷った場合、ジェトロやミプロのような専門機関に問い合わせましょう。
(問い合わせは無料です)
専門家の意見を聞いて、しっかりと知識を身につける事で自分のビジネスでも幅が広がります。
中国からの個人輸入における規制商品のまとめ
輸入商品を仕入れする際には、様々なルールを確認する必要があります。
しかし、申請・許可が必要だからとか、航空便で扱えないからといって諦めてしまうのはとてももったいない事です。
市場を独占できるという点では、むしろ、チャンスでもあります。
需要のある製品が、規制により取り扱いが少ない場合もあるので、
・本当に輸入できないのか
・本当に販売できないのか
をしっかりと把握して、ビジネスを広げていきましょう。