出品者としてAmazonで販売していると、アカウントスペシャリストから「アカウント停止」通知が来ることがあります。
「アカウントスペシャリスト???」という方にとっては何が起こったのか不安になることでしょう。
そこで今回は、アカウントスペシャリストの正体と、アカウントの停止・閉鎖への対策を解説します。この記事を読んで万一の事態に備えてください。
Amazonアカウントスペシャリストの正体
Amazonアカウントスペシャリストとは、簡単に言うと、Amazon内の警察官兼裁判官のようなものです。
アカウントスペシャリストの仕事
アカウントスペシャリストはAmazon利用者を監視・管理するのが仕事です。
偽物を販売したり詐欺を行ったりなど、Amazonの利用規約に反する行動をとる出品者や購入者を見つけ出し、処分するのが主な業務です。アカウントスペシャリストに目をつけられると警告メールが届きます。
アカウントスペシャリストのメールアドレス
アカウントスペシャリストからのメールアドレスは、停止原因や状況ごとでそれぞれ異なったメールアドレスで届きます。例えば真贋調査は「seller-performance-policy@amazon.co.jp」で届く場合が比較的多いですが、これに限りません。
アカウント停止の原因や状況、時期に応じてアカウントスペシャリストのメールアドレスは何十種類もありますので、気づかずに放置してしまう場合がありますが、見落とさないように注意してください。
アカウントスペシャリストからの通知・警告を無視するとアカウントの停止や閉鎖処分が課される可能性が高いです。
メールの内容
アカウント停止の件名については、やはり何十種類の件名が存在します。
比較的多く届くのは下記の件名ですが、マイナーな件名など数えればキリがありません。
- Amazon.co.jpからの重要なお知らせ
- ご利用の Amazon.co.jp アカウントの閉鎖について
- Amazon出品用アカウントが利用停止になる可能性があります
- 緊急: Amazon出品用アカウントはレビュー中です
- ご利用の Amazon.co.jp アカウントにつきまして
- Amazon.co.jp の出品用アカウントに関するお知らせ
通知の内容は見つかった問題点と修正内容、そして修正しなければアカウントを停止する旨が記載されています。
電話・チャット対応不可
アカウントスペシャリストとのやり取りはメールのみです。電話やチャットでのやり取りはできません。
また、メールに記載された対応をしても、同じメッセージが何度も送られてくることも少なくありません。しかしAmazon側が求めている内容を提出することができれば、無事にアカウントが再開することも多いため、審査部署の担当者の大多数は日本語が理解できる人間であることは間違いありません。
ただし24時間やりとりが返ってくることから、部署自体は日本だけでなく海外にもあるのではないかと言われています(アカウントスペシャリストの人数・メンバー・場所は明らかにされていません)。
テクニカルサポートとは
Amazonにはアカウントスペシャリストの他に、テクニカルサポートも存在しています。
両者の違いについて解説します。
テクニカルサポートとは
テクニカルサポートとは、出品者用の窓口であり、Amazonで出品をする上で起こるトラブルや疑問に対応してくれます。
アカウントスペシャリストとテクニカルサポートの違い
アカウントスペシャリストは、Amazonの利用規約に反したアカウントを取り締まる警察のような存在です。
テクニカルサポートは、出品をする上で起こるトラブルの解決やセラーからの質問・相談などに対応してくれる、病院のような存在です。
Amazonアカウントが停止される原因
アカウントスペシャリストにアカウントを停止される主な原因を9つ紹介します。
(1)偽物の販売
ブランド品などの偽物を本物と偽り販売すると、購入者から「偽物や偽造品」などのキーワードが含まれた苦情が届き、システム検知で警告が積み重なっていきアカウント停止になる場合があります。
具体的には、アカウント健全性ダッシュボードの「商品の信頼性に関するお客様からの苦情」という項目が過去180日以内に2件以上発生すると、真贋調査でのアカウント停止が発生します。
偽物の販売は法律でも禁止されています。
(2)商標権・意匠権を侵害する
商標登録された商品名・ブランド名を許可なく使用し、相乗り販売すると該当商品は販売停止になります。繰り返すとアカウント停止処分になります。
(3)破損品または不良品を出品する
破損品や不良品を配送してしまうと、顧客から「偽物」や「中古品」といった苦情が届き、真贋調査やコンディション違反によるアカウント停止が発生してしまう場合があります。
また低評価やマーケットプレイス保証申請が増えて、注文不良率が基準値の1%以上を超えてしまうと、やはりアカウント停止が発生する可能性があります。
(4)注文をキャンセルする
在庫がない・商品が破損したなどの出品者側の都合で注文をキャンセルすることも、アカウント停止の原因になります。出荷前キャンセル率が2.5%を超えるとアカウント停止処分となる可能性があります。
(5)発送遅延を繰り返す
購入済みの商品をAmazonが決めた出荷日までに発送しないと発送遅延扱いとなります。発送遅延を繰り返し、出荷遅延率が4%を超えるとアカウント停止処分の対象になります。
(6)低い評価が多い
上記のような明確な違反行為をしていなくても、カスタマー評価が低ければアカウント停止処分の対象となることもあります。つまり低評価が増えてしまい、注文不良率が1%(直近60日間)を超えてしまうような場合にアカウント停止のリスクがあります。
低い評価とは、星1つまたは2つの評価を指します。
(7)カスタマー対応が遅い
Amazonに出品していると購入者からしばしば質問が寄せられます。
これらのメッセージの返信の有無でアカウント停止が発生することはありません。
しかし購入者からのメッセージを無視してしまうと、購入者からの返品申請や知的財産権の権利者からの苦情、その他顧客からの連絡に気づくことができません。結果として権利侵害の警告を受けてしまったり、マーケットプレイス保証申請や低評価が届いてしまう可能性が高まります。
(8)自演レビュー
自分が販売している商品をよく見せるために、自分で星5つのレビューを書いたり、人を雇って良いコメントを書かせてレビューを操作したことが判明すると、アカウント停止処分となる可能性があります。
(9)停止アカウントと関連付けられる
アカウント停止処分を受けた人と同じPCやWi-Fi環境でAmazonにログインすると、アカウントを関連付けられて処分の対象となることがあります。
アカウントが閉鎖される原因
アカウントスペシャリストの処分では「アカウント閉鎖」というものは存在しません。アカウント自体が止められている状態は1種類しかありません。
そのためAmazonでは停止や閉鎖などの文言は、全て「アカウントが止まっている状態」一つのことを差しているため、停止や閉鎖といった違いは一切ありません。
どんな停止原因であっても、何年前のアカウント停止であっても、再開する可能性は必ずありますのでご安心ください。
Amazonからの通知文面には「削除されています」「○日後に閉鎖」など、様々な言い回しで「アカウントが止まっている状態」が表現されていますが、全てただのテンプレートの文面であって、何か状況が悪化しているわけではないのでご安心ください。
Amazonからの通知には誤字脱字があったり、実際には発生しない内容、ただの建前の記載なども多いので、一言一句を全て本気で捉えないことが肝心です。
アカウントを閉鎖されないために気をつけること3選
利用規約に反した行動を取ると、アカウントスペシャリストによってアカウントを閉鎖されてしまいます。
アカウントを閉鎖されないために気をつけることは以下の3つです。
- 仕入れ時の請求書を残しておく
- 悪い評価をされないようにする
- 転売されているAmazonギフト券の売買をしない
詳しく解説していきます。
仕入れ時の請求書を残しておく
Amazonはブランド品の偽物を扱っている出品者を排除したいと考えています。そのためアカウントスペシャリストの調査が入り、偽物を扱っていると判断された場合、アカウントを停止されてしまいます。
対策としては商品を仕入れる時に、必ず請求書を発行してもらうようにしましょう。調査が入っても請求書があれば対応することができるからです。
そして仕入れる際はなるべくメーカーから直接仕入れるようにしましょう。メーカーからの請求書であれば、確実に正規品であることを証明できます。
悪い評価をされないようにする
悪い評価があまりにも多い場合も、注文不良率が悪化してしまいアカウントが停止されることがあります。
画像と違う商品を発送したり、商品説明欄に誤った説明文を記載したり、発送が遅れたり雑な梱包をしていると、悪い評価をされてしまいます。
上記のようにお客さまに迷惑のかかる行為を避けて、悪い評価をされないように注意しましょう。
転売されているAmazonギフト券の売買をしない
Amazonギフト券の転売は、利用規約により禁止されています。
そのため転売されているAmazonギフト券を購入する、もしくは転売した場合、アカウントを停止されることがありますので注意しましょう。
アカウント停止後の対応
アカウントスペシャリストからアカウント停止の通知を受けた場合は、すぐに対応する必要があります。
再発防止策の提示
違反行為を確認して、すぐに謝罪と再発防止策を提示しましょう。
必要書類・資料の提出
領収書や請求書などの書類の提出を求められた場合は、速やかにアカウントスペシャリストが指定する形式で提出しましょう。ファイルの形式などが間違っていると、受領してもらえないため注意してください。
客観的な事実だけを述べる
アカウントスペシャリストはAmazonテクニカルサポートのように親身に相談に乗ってくれることはありません。そのため、こちらの個人的・主観的な事情を話しても同情してくれません。
客観的事実だけを淡々と述べ、自分の無実を証明してください。
再発防止策の提示
アカウントスペシャリストに提示する再発防止策を書く際のポイントを5つ紹介します。
5W1Hを明確にする
再発防止策は誰が・いつ・どこで・なぜ・何を・どのように実行するのか明確に記載しましょう。
例えば、商品の不良品により顧客から苦情を受けたことが原因でアカウントが停止した場合は、「自社スタッフが発送前の工場で商品の状態確認・動作確認をして、その様子を画像・動画で記録する」というように書くのがおすすめです。
再発防止策の内容は具体的に
「スタッフに品質管理を徹底させる」など曖昧な防止策では、再現性が低いため却下される可能性が高いです。
誰が聞いてもすぐ実行できるような具体的な再発防止策を提示しましょう。ただし、あまり長文だと読んでもらえない可能性があるため、端的に箇条書きで書くと良いでしょう。
FBA倉庫の在庫にも言及する
商品の品質などに問題があった場合は、発送前の商品だけでなく、FBA倉庫にある在庫の改善策も提示しましょう。
担当者以外の人も納得させる文章を書く
アカウントを再開させる判断は、担当者1人でするのではなく、担当者の上司などを含めた複数人で判断される可能性が高いです。
そのため、こちらが提出した再発防止策を何度も却下するのは、上司などを納得させることができないと判断したからだと言えます。
何度も書き直させて、文章が仕上がってから上司などに最終確認をする、という流れになります。
Amazonでは特定の商品に対して一斉摘発がされることがあります。ということはやはり担当者の独断で摘発しているのでなく、全体の方針に沿った上司などの指示によって、組織的に対応しているということです。
だから担当者だけでなく、上司など他の人も納得させられる文章を書くように意識しましょう。
謝罪などではなく再発防止策を書く
アカウントスペシャリストに提出するのは、あくまでも再発防止策です。以下のような反省や謝罪、質問や言い訳などは書かないようにしましょう。
(例1)反省と謝罪
この度は誠に申し訳ございませんでした。反省していますのでお許しくださいませ。
(例2)質問
ご指摘の件ですが何かの間違いではないでしょうか?アカウントを停止する理由をご教示下さい。
(例3)言い訳
この度は誠に申し訳ございませんでした。規約の確認漏れがあり、このような事態になりました。
上記のように今後の改善策が全く記載されていない文章は、何度送っても意味がありませんので、今後の改善策を盛り込んだ文章を書くように意識しましょう。
Amazonアカウントスペシャリストは冷酷
Amazonアカウントスペシャリストの情に訴えても無駄です。
アカウントを停止されたら、客観的な事実と具体的な再発防止策だけを提示しましょう。それがアカウント再開への近道です。