モバイルバッテリーを輸入して取り扱う方法と注意点

中国輸入転売をしている方の中には、モバイルバッテリーは輸入・販売できないもの、違法なのでは……と考えている方もいるでしょう。
しかし、合法的に仕入れて販売する方法はちゃんとあるのです。
この記事では、モバイルバッテリーの仕入れや販売方法について紹介しています。
確かに、モバイルバッテリーは規制がかかっていて航空便では輸入できません。その点についても説明していきます。
安全に輸入・販売するにはどうしたらいいのかを見ていきましょう。

目次

バッテリー商品を仕入れたいけど航空便では無理?

モバイルバッテリーというものを知っている方も多いと思います。どういうものかと言うと、コンセントを使わなくてもスマートフォンなどを充電できる大変便利なバッテリーです。

スマートフォンやタブレットが普及していることもあり、Amazonでも相当な数が販売されています。モバイルバッテリーで検索すると9,000件以上ヒットするほどです。それだけではなく、Amazonの家電&カメラランキングには、モバイルバッテリーがいくつもランクインしていて人気の高い商品であるということが窺えます。

Amazonでしか人気がないの?

いいえ、モバイルバッテリーはAmazonだけで売れているわけではありません。
メルカリヤフオク等他のショッピングサイトでも、売れ行きの良い商品です。

メルカリでもたくさんのモバイルバッテリーが販売されていますが、金額にかかわらず人気の商品です。
そしてヤフオクでは特に、入札件数が多いものだと68件、59件、54件とたくさんの人に入札されていたり、新着の商品でも3時間ほどで9件の入札があったりと、注目度が高い商品だということが分かります。

Amazonに限らず、モバイルバッテリーそのものの需要が世の中で高まっているのです。
モバイルバッテリーを仕入れて販売すれば、売上が期待できるということは想像できるでしょう。

モバイルバッテリーを輸入できない理由とは

売上が期待できる商品ですが、モバイルバッテリーの仕入れは難しい現状にあります。それは、輸入が制限されている商品だからです。
モバイルバッテリーのほとんどにリチウムイオン電池が内蔵されています。リチウムイオン電池という言葉に耳馴染みがなくてもLi-ionと表記されているものは見たことがあるでしょう。
このリチウムイオン電池は、航空輸送が基本的に禁止されています。リチウムイオン電池は強い衝撃等で発火する恐れがあるためです。ニュースでもたびたび取り上げられるように、実際に航空機内で発火したケースがあります。
航空機で火災……最悪の事態につながりかねませんよね。そのため、厳しく制限されているのです。

なお、モバイルバッテリー以外の規制・禁止されている商品について知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

参考:【中国輸入事業者必見!】中国輸入における規制・禁止商品!失敗しない為の対策

リチウムイオン電池が使用されているのはどんな商品?

リチウムイオン電池はモバイルバッテリーのほとんどに使用されていますが、他にも使用されているものがあります。
たとえば、スマートフォンやノートPC本体なんかにもほぼ使われていると言ってよいでしょう。その他、電動自転車のバッテリー等身近なところにあふれています。
それは、リチウムイオン電池が従来のバッテリーよりも急速充電が可能で、寿命が長いという特性があるからなのです。

リチウムイオン電池の輸入方法と電気用品安全法(PSE)とは?

身近にある多くの製品にリチウムイオン電池が使用されていることはお話ししましたが、このリチウムイオン電池は、電気用品安全法(PSE)で規制の対象となっているのです。
電気用品安全法ではリチウムイオン蓄電池として表記されています。その内容について説明していきます。

電気用品安全法の対象となる条件

規制の対象となっていると言っても、リチウムイオン蓄電池を一括りにして規制されているわけではありません。
電気用品安全法施行令では以下のように定められています。

・1つの単電池につき、体積エネルギー密度が400ワット時毎リットル以上の物
・上記に該当するものであっても、工場等で使われている産業用機械器具、医療現場で使われている医療用器具、自動車用の物は規制対象外となる
・上記の対象となる製品については主に、ノートPC、スマートフォン等携帯電話、カメラ機器、携帯ゲーム機、電動シェイバー、電動自転車用等が挙げられる

産業用として利用されるものは除外されるが、個人で使用するこれらの商品のバッテリーについて規制されているという内容です。

リチウムイオン電池の技術基準

リチウムイオン蓄電池に求められる技術基準は、電気用品安全法施行規則でJ62133(H28)と定められています。
外国製の物は、IEC62133の技術基準で試験されている場合があるのですが、両者は同じ基準ではないので注意が必要です。

機器に内蔵されているリチウムイオン電池はOK

機器に内蔵されているリチウムイオン電池については、機器の一部とされており規制の対象には入っていません。
もう少し詳しく言うと、スマートフォン等すでに内部に装着がなされ簡単に交換できないものは、バッテリーもスマートフォンの一部と考えられるため、電気用品安全法の規制対象からは外れるのです。
しかし、裏蓋を外して簡単に取り外せるものは、規制の対象となるので注意しましょう。

以前はモバイルバッテリーに内蔵のリチウムイオン電池は、簡単に交換できないものとして対象から外れていましたが、発火事故が頻繁に起こっていることもあり、2019年2月からはモバイルバッテリー本体ごと電気用品安全法の規制対象となり、PSEマークのないモバイルバッテリーは販売禁止(流通在庫を含む)となっています。

PSEマークについては、下記の記事にてさらに詳しく説明しています。

参考:中国輸入でコンセント付き商品は扱わない方がいい?PSEマークについて知っておこう

国際郵便によるリチウムイオン電池郵送の条件とは

国際郵便の規定では、以下の条件全てに当てはまらなければなりません。
・機器に内蔵されているもしくは取りつけられている
・リチウムの内容量又はワット時定格量等の数値が一定限度内である
・リチウム電池の数量制限内である
・差し出す地域や国がリチウム電池の輸入を制限していない

リチウムイオン電池といっても形も様々であり、機器に取りつけられているボタン型の電池については航空危険物には当てはまりません。よって、ボタン型のリチウムイオン電池が取りつけられているものは航空便でも船便でも輸送が可能です。
リチウムボタン電池が使用されている物品の具体例をあげると、炊飯器、デスクトップPC、腕時計等です。

機器に内蔵されているもしくは取りつけられている

機器に内蔵・取りつけられているといっても、ただついていればよいということではありません。
一般に市販されている物で、正しい取りつけがなされているものは以下の条件に適合するはずです。

・取りつけられている機器が損傷やショートから保護されるものであること
・取りつける機器に、偶然起動することを防ぐ装置が備わっていること
・衝撃が加わらないよう十分な強度があり、適切な材料でしっかり梱包されていること
・最新のICAO技術指針に規定する包装基準967もしくは970の第2部で定められた包装がされていること

リチウムの内容量又はワット時定格値等の数量が一定の限度内である

リチウムは電池の種類や構造ごとで内容量やワット時定格領等の条件が定められているので、それらの数値が限度内でなくてはなりません。
一般に流通している物は以下の基準を満たしている物になります。

・国際連合による試験及び基準に係る手引書第3部第38節38.3の試験の項目を満たし証明されているもの
・ 製造者で欠陥や損傷がないと認められているもの
・ 危険な発熱、発火、ショートが発生しないもの
・ 電池の重量が5kgを超えないもの

リチウム電池の数量制限内である

1つの郵便物ごとにリチウム電池の数量が決められています。
国際郵便で送ることが可能な数量は、単電池ならば4個以内、組電池ならば2個以内です。

5個以上のリチウム単電池や、3個以上のリチウム組電池は認められていません。

モバイルバッテリーの輸入に必要な手続きや法律

電池といっても形や使用されている素材等、種類は様々です。

たとえば、電子製品で主に利用されているものにはマンガン乾電池、アルカリ乾電池、リチウムイオン電池があります。
しかし、これらの中で輸入や販売の際に規制されているのは、リチウムイオン電池のみです。それは、リチウムイオン電池のエネルギー密度が非常に高く、扱い方に注意しなければ発煙・発火等の事故につながる危険性があるためです。

電気用品安全法で規制対象になっているだけでなく、危険物とされ輸送の際にも規制されているのです。

電池の種類はいろいろある

電池の種類は、輸入統計品目の中で多くの番号で分類されています。その中から、電気機器用の電池で日本に輸入する際関税が無税となるものを一部抜粋しました。

・二酸化マンガン電池
・アルカリ電池(ボタン電池、乾電池)
・酸化水銀電池
・酸化銀電池
・リチウム電池
・ニッケル・カドミウム蓄電池
・ニッケル・鉄蓄電池
・ニッケル・水素蓄電池
・リチウムイオン蓄電池

なお、中国輸入の関税についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

参考:中国輸入の税関費用と関税についての注意点とは

モバイルバッテリーを輸入する際の規制について

【電気用品安全法】
まず電気用品安全法とは、電気用品による危険や障害を事前に防止するための法律です。約457品目の電気用品が対象で、製造・販売が規制され安全性を確保するよう求められています。

体積エネルギーの密度が高いリチウムイオン電池は、ノートPCや携帯電話・スマートフォン、カメラ機器、携帯ゲーム機等の、携帯できる電子機器に多く使用されていますが、本体の取り扱いは規制の対象になっているのです。

電気用品安全法に該当する物の輸入を行う場合は、事業開始の日から30日以内に「電気用品輸入事業届出書」を作成し、経済産業大臣に届け出ることが義務づけられています。
また、国が定める技術基準に適合したものでなければなりません。製造、輸入、販売の際にはその基準に適合していることを表したPSEマークがついたものしか基本的に扱えないのです。

【危険物輸送規定】
リチウムイオン電池は、国連番号(UN)3481で危険物として定められています。
船舶や航空機での輸送では、取り扱い方や梱包方法、危険性等細かく規定があり、少しでも外れているものは輸送できません。

資源有効利用促進法について

資源有効利用促進法では2001年4月から、小形二次電池の製造メーカーや使用する機器メーカーに対して、回収・リサイクルを義務づけています。
ではリサイクルの対象となる小型二次電池を見てみましょう。
・ニカド電池
・ニッケル水素電池
・リチウムイオン電池
・小形制御弁式鉛蓄電池
がリサイクルの対象とされる電池です。
電池にはそれぞれにリサイクルマークが表示されているので、それで判別することができます。

中国輸入でのモバイルバッテリー輸入方法と、船便のメリットとは

Amazonのランキングを見ると、モバイルバッテリーがランキングに入っていました。そのメーカーの中には中国のメーカーも入っています。
一体それらの商品をどのように仕入れているのか。それは船便を使って仕入れています。

輸入をする際の方法としてEMSやDHL等が頻繁に利用されますが、航空便を使う配送は規制に引っかかるため利用できません。
しかし、船を利用しての配送であれば、モバイルバッテリーを仕入れることができるのです。
ただし、船便にはメリット・デメリットがあるので、それらを知った上で計画を立てなければなりません。

船便を使用する際のメリットとデメリットを紹介します。

船便で輸入するメリット1:国際送料が安い

商品の重量やサイズにもよるのですが、航空便と比較すると送料を抑えられることがあります。
商品がたくさんある場合は船便のほうが安いことが多く、送料が10~20%ほど安くなることもあるので、コストを抑えたい場合は商品によって船便を利用するとよいでしょう。

国際送料の計算方法については、下記の記事も参考にしてください。

参考:アリババで購入した場合の送料。その求め方とは?

船便で輸入するメリット2:航空便で規制されているものも仕入れられる

モバイルバッテリーは、リチウムイオン電池が使用されている関係で規制されていることは説明してきたとおりです。
しかし、需要が高く売り上げが期待できるのなら、取り扱いたいと考えてしまいますよね。
規制があって仕入れができず取り扱いを諦めた人もいるかもしれませんが、それは航空便を利用できないというだけ……。
船便を利用すれば、モバイルバッテリーの仕入れが可能になるのです。

販売を諦めたセラーとの差をつけられる可能性だって十分にあります。

船便で輸入するデメリット:商品が届くまで時間がかかる

船便のデメリットとは、商品が届くまでにかなり時間を要するということ。
場合によっては航空便より2週間程遅くなります。
モバイルバッテリー等、航空便を利用できない商品もありますが、商品によって配送方法を使い分けたり、商品が届くまでの時間を考えて計画を立てないと損してしまうこともあるので注意が必要です。

さらに詳しい中国輸入で船便を使うメリット・デメリットについては、下記の記事をご覧ください。

参考:中国輸入で船便を使うと安くなるのは本当?船便の特性まとめ

航空便を使って輸入するメリットとデメリットとは

モバイルバッテリーの輸入には利用できませんが、比較として航空便のメリット、デメリットをご紹介します。
船便との使い分けを考える参考にしてみてください。

航空便を使って輸入するメリット:届くまで船便より断然早い

航空便は船便よりも短期間で商品が届きます。
早く届けば、それだけ販売→売上回収→次回の仕入れとテンポよく回すことができるのでその分利益も大きくなります。
商品到着までの時間は、売上を継続させる上で重要なため、航空便を利用するメリットが大きいのです。

なお、中国輸入で発送期間が長いと感じている方は、こちらの記事を参考にしてください。

参考:中国輸入の日数は?遅い原因と短縮させる改善方法

航空便を使って輸入するメリット2:キャッシュフローが良い

船便で商品を待っている間に、航空便ならば商品到着・販売し、売り上げが発生します。
ということは、航空便を利用する方がAmazonからの入金タイミングも早いのです。

入金が早ければ、次回の仕入れ資金として活用することができ、資金繰りに困ることなく仕入れが可能になります。
仕入れ→販売→売上→仕入れと繰り返すことで、より収益にもつながり、ビジネスの将来も左右しかねません。

航空便を使って輸入するデメリット:送料が高くなる

商品の重量にもよるので一概には言えませんが、船便の方が国際送料が安い傾向にあります。コストは利益にも大きく影響してくるので、慎重に選ばなければいけません。
船便では10~20%ほど安くなるケースもあると言いましたが、航空便を選ぶと10~20%高くなるということです。
この差が航空便を選ぶデメリットになります。

モバイルバッテリーの輸入に船便を使った場合に注意することとは

船便を使用する際に注意しなければならないことや、知っておきたいポイントについて説明していきます。
メリット、デメリットとこれから説明する点を踏まえて、船便を活用しましょう。

1.商品到着までの時間はどれくらいかかるのか
2.船便の目安となる価格はどれくらいか
3.ドアtoドアであるか

1.商品到着までの時間はどれくらいかかるのか

たとえば航空便を使用した場合、注文からAmazon倉庫へ納品・販売までにかかる日数は、平均で2週間ほどです。
船便はこれよりもさらに5日~1週間程日数がかかります。

これはあくまでも平均的な日数です。代行業者さんの計らいなどでもっと早い場合もあるので、到着までにかかる日数を必ず確認しましょう。

2.船便の目安となる価格はどれくらいか

利用する業者によって変わってきますが、容積重量の計算方法で見ると航空便よりも船便のほうが安くなります。

船便は      【縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)/1,000
それに対し航空便は【縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)/5,000
なので船便は実際の数値より容積重量が重くなります。
それを踏まえ、船便は最初の1CBM:2,500元で、追加1CBMごとに1,000元加算する場合もあるのです。1CBMとは140サイズのダンボール7箱分と同じサイズの容積を表しています。そのため、たくさん注文し容積重量を増やせば船便の方がお得なのです。

船便でのコストダウンの方法を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

参考:中国輸入のコストダウン!コンテナを利用する際のメリットやデメリットをご紹介

3.ドアtoドアであるか

船便の場合は、中国の港から日本の主要な港までの配送しかない港to港のケースがあります。港まで自分で取りに行かなければならず手間がかかる上、運搬用のトラックを借りればコストもかかります。
船便を選ぶ際には、自宅や指定した場所まで配送する「ドアtoドア」であることを代行業者に確認しましょう。

モバイルバッテリーを輸入する方法のまとめ

モバイルバッテリーはAmazonだけでなく、メルカリヤフオクといった多数の販路で需要が高く、売上が期待できる商品です。
しかし、モバイルバッテリーの多くには、輸入や販売が規制されているリチウムイオン電池が使用されており、モバイルバッテリー自体規制がかかるので、仕入れる際には船便を使うなど注意が必要です。

法律なども出てくるので、しっかり理解してから取り扱うようにしましょう。

ただ稼げそうというだけでは、リスクが高くなってしまいます。ビジネスの成功に必要なリサーチスキルを磨いていけば、他のセラーと差をつけたりコストを削減したりできるため、より利益につながるのです。

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この記事を監修した人

ビジネスのノウハウを実践ベースで徹底的に追求するのがアクシグ。
世界で最も専門的で網羅的なコンテンツを提供し、ノウハウを惜しげもなく提供していきます。

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