物販

2019年版!日本と世界のEC市場とこれからのEC事情

インターネットの普及により、世界中でEC市場が拡大の一途を辿っています。
日本でもECの市場規模はそれなりに大きいものの、現金主義や企業のITリテラシーの低さが原因でEC市場の成長率は低調なままです。
それに対して、キャッシュレス化が進んでいるイギリスなどの北欧先進国では急激にEC化が進んでいます。

今回は日本と世界のEC市場規模・EC化率や、今後のECトレンドなどを詳しく解説します。

ECとは?

ECとは、「Electronic Commerce(電子商取引)」の略です。
そしてECサイト・ECモールとは、自社・他社の商品をインターネット上で販売するネットショップのことです。
AmazonZOZOTOWNがECサイトに該当します。

ECには大きく分けて3種類あります。

  1. BtoC(企業・個人間取引)
  2. CtoC(個人間取引)
  3. BtoB(企業間取引)

EC市場規模

世界的に不景気と言われている昨今ですが、インターネットの普及により世界中でECの市場規模が拡大しています。

スマホ利用者の増加

最近はパソコンよりもスマートフォン等のモバイル端末の利用者が多くなってきたため、多くのECサイトがスマホでも見やすいレスポンシブデザインを採用しています。

EC市場の主な商品

EC市場で売れている主な商品ジャンルは、

  • テレビ・パソコン・洗濯機などの大型家電
  • 定期的に購入する化粧品・健康サプリ
  • 音楽・ゲームなどのデータ商品

です。

生鮮食品や生活雑貨・家具などはまだ実店舗で購入する人の方が多いです。

日本のEC市場規模

続いては、日本のBtoCのEC市場規模について解説します。
海外と比べると日本のEC化率は少し遅れています。

BtoC EC市場規模とEC化率

市場規模(EC化率)
2010年7兆7880億円(2.84%)
2011年8兆4590億円(3.17%)
2012年9兆5130億円(3.40%)
2013年11兆1660億円(3.85%)
2014年12兆7970億円(4.37%)
2015年13兆7746億円(4.75%)
2016年15兆1358億円(5.43%)
2017年16兆5054億円(5.79%)

グラフにすると以下のようになります。
市場規模は拡大していますが、EC化率は伸び悩んでいることが分かります。

EC化率が伸びない理由としては、

  • 新サービスが誕生しないこと
  • ITの導入が遅れている企業が多いこと

が挙げられます。現在の日本企業は完全にEC化している企業と、全くEC化していない企業に二極化されています。

EC市場の3大分野

以下の画像は、日本のBtoCのEC市場における分野別の市場規模です。

1位は物販系です。
2017年のEC市場規模は8兆6,008億円、全体の約50%を占めています。
市場規模は大きいですが、EC化率は5.79%と低く、前年からの伸び率も7.5%と伸び悩んでいます。

2位はサービス系です。
2017年のEC市場規模は5兆9,568億円、全体の約30%を占めています。
伸び率も11.3%と高く、今後もさらに伸びていく見込みです。

3位はデジタル系です。
2017年のEC市場規模は1兆9,478億円、伸び率は9.5%です。

物販系のEC市場

2014年から2017年までの物販系のEC市場規模とEC化率を、分野別に表にまとめると以下のようになります。

最も伸び率が高い分野は「雑貨・家具・インテリア」です。
2017点時点でのEC市場規模は1兆4817億円です。
前年からの伸び率は9.32%です。
EC化率も20%以上に上ります。
伸び率が高い理由としては、雑貨・家具・インテリア業界はITリテラシーの高い企業が多いことが挙げられます。

EC化率が最も高い分野は「事務用品・文房具」です。
2017年のEC化率は37.38%です。
「生活家電・PC関連商品」も30.18%と高いEC化率を誇っています。

逆にEC化が遅れているのは、食品・飲料業界です。

サービス系のEC市場

サービス系EC市場は旅行・宿泊サービスなどが多くを占めています。
2016年と2017年のサービス系の分野別EC市場規模は以下のとおりです。

最も市場規模が大きいのは旅行サービスです。
エクスペディアなどの大手旅行代理店の需要の高さが要因に挙げられます。
2017年の市場規模は3兆3,742億円と、サービス系全体の50%以上を占めています。

次に飲食サービス(ネット予約)が続きます。
市場規模自体はまだ小さいですが、伸び率は36.8%と最も伸びています。

デジタル系のEC市場

2016年~2017年のデジタル系EC市場の分野別EC市場規模は以下のようになっています。

デジタル市場は全体的に伸びていますが、特に電子書籍・動画配信市場の伸び率が大きいです。

世界のEC市場

一方、海外では日本よりEC化が進んでいます。
2016、2017年の世界のEC市場規模と2021年までの予測は次のようになっています。
()内は成長率です。

2016年198兆円(25.6%)
2017年253兆円(24.8%)
2018年308兆円(23.3%)
2019年385兆円(21.5%)
2020年451兆円(19.8%)
2021年539兆円(18.0%)

成長率は若干下がってきていますが、市場規模自体は拡大しています。

2017年時点での国別BtoCのEC市場規模ランキングは以下のとおりです。

順位国名 市場規模(成長率)
第1位中国 122.6兆円(35.1%)
第2位アメリカ 50兆円(16.3%)
第3位イギリス 12.3兆円(17.1%)
第4位日本 10.4兆円(6.0%)
第5位ドイツ 7.1兆円(11.3%)
第6位韓国 6.1兆円(20.9%)
第7位フランス 5.3兆円(16.9%)
第8位カナダ 3.7兆円(29.9%)
第9位オーストラリア 2.3兆円(12.3%)
第10位インド 2.2兆円(42.1%)

中国が圧倒的な市場規模を誇っています。
成長率で言うとインドが第1位です。

中国のEC市場

市場規模は中国がダントツで1位です。今後さらに伸びることが予想されます。
中国の2大大手ECサイトの「アリババ」と「京東」は、生鮮食品などを素早く配送できる独自の配送ネットワークを構築して、食品・日常消耗品販売のEC化に着手しています。
2020年までにはEC化率が20%以上になり、インターネットユーザーも2億人以上増えると見込まれています。

また、中国ではキャッシュレス化が急激に進んでいます。
現在はまだ一部の大都市だけですが、今後は中小都市でもキャッシュレス化が進み、EC化がさらに加速すると言われています。

アメリカのEC市場

アメリカは市場規模こそ2位ですが、

  • Amazon
  • Google
  • Apple
  • eBay

など、各ジャンルで圧倒的なシェアを獲得しているECサイトを多数有しています。
常に新しいITサービスを生み出し、世界のEC市場を牽引しています。

また、

  • GooglePay
  • ApplePay
  • PayPal

などのオンライン決済サービスが充実していることも、高いEC化率の要因となっています。

イギリスのEC市場

3位のイギリスは国民のECサイト利用率が非常に高いです。
イギリスの人口は日本の半分の約6000万人ですが、ECサイト利用者は50%を超えています。
ECサイト利用率が高い要因として、

  • 「カード決済が普及している(キャッシュレス化が進んでいる)」
  • 「英語国のため越境ECを利用しやすい」

などが挙げられます。

現在、イギリスでも中国と同様に配送ネットワークの整備がなされており、今後さらにEC市場規模が拡大する見込みです。

世界的に見た日本のEC市場

日本は市場規模は4位ですが、成長率は非常に低いです。
トップ10の中で成長率1桁は日本だけです。
日本はEC化されている業界とされていない業界で二極化しており、市場は停滞しています。
日本でEC化が進まない最大の原因は以下の2つです。

  • 古い企業が多く、EC化に対応できていない
  • いまだに現金決済が主流で、キャッシュレス化が進んでいない

EC化を加速させる新サービスが登場しない限り、日本のEC市場の拡大は難しいと言われています。

ドイツのEC市場

ドイツもイギリス同様に国民のEC利用率が非常に高い国です。
インターネットユーザー自体は80%を超えています。

しかし、ドイツではまだキャッシュレス化が進んでおらず、約40%がコンビニ決済、約30%が後払い決済、約10%がクレジットカード決済を利用しています。
そのため、成長率も低く、日本に近い状況です。

業界別!日本のEC化率

続いて、業界別の日本のBtoCのEC化率について詳しく解説します。

日本全体のBtoC EC化率

日本のBtoCのEC市場全体のEC化率は、前述の通り5.79%です(2017年時点)。

これは世界的に見ても低い数字です。
その主な理由として以下の事由が考えられます。

  • EC化に消極的な古い企業が多い
  • ECに詳しい人材の不足
  • 圧倒的な現金主義

業界別EC化率ランキング

第1位事務用品・文房具(37.38%)
第2位家電・AV機器・パソコン関連機器(30.18%)
第3位書籍・映像・音楽ソフト(26.35%)
第4位生活雑貨・家具(20.40%)
第5位アパレル(11.54%)

事務用品・文房具のEC化率

事務用品・文房具は消耗品であり、安価なものが求められています。
そのため、ECとの相性が良く、他の業界と比べてEC化率が非常に高くなっています。

日本ではLOHACOや無印良品オンラインショップなどでよく売れています。

家電・AV機器・パソコン関連機器のEC化率

家電は店舗で買ってもオンラインで買っての品質に差がないため、ECとの相性が良いです。
また、ECサイトの方が値段が安いため、「高価な家電はECサイトで購入する」という人が増えてきています。

ただし、オンラインで購入した場合は、配送の途中で商品が破損するリスクがあります。
そのため、小さい家電はまだ実店舗の方がよく売れています。ただし、冷蔵庫・洗濯機・デスクトップPCなど、実店舗で購入しても自力で持ち帰ることが難しい大型家電はEC化が進んでいます。

書籍・映像・音楽ソフトのEC化率

Kindleなど電子書籍は急激に普及してきています。

また、NetflixやAmazonPrimeなどのサービスの普及により、映像作品のEC販売も急激に加速しています。

ただし、音楽業界だけはEC化率が低いです。
要因としては音楽業界そのものの停滞が挙げられます。

生活雑貨・家具のEC化率

生活雑貨や家具は実際に見てから買いたい人が多いため、ECとの相性はあまり良くありません。
しかし、ニトリや無印良品などの大手家具メーカーが詳しい商品説明・商品写真・ユーザーレビューを掲載するなどの手法を用いてECサイトを充実させたこともあり、現在のEC化率は20%を超えています。
伸び率も高いため、今後さらにEC化が進む見込みです。

アパレルのEC化率

アパレル商品もECとの相性が悪いです。
しかし、バーチャル試着や無料返品・交換などのサービスにより、徐々にECの市場規模を拡大しています。

今後のECトレンド

最後に、日本の今後のECトレンドとおすすめの対策を4つ紹介します。

AIの導入

2017年ごろから注目され始めたAIですが、当初は広告配信などにしか利用されていませんでした。
しかし、今後はAI技術のさらなる進歩が予想されます。
AIチャットによる顧客対応も可能になる見込みです。
これからEC市場に参入する企業は、AIの導入が欠かせません。

CtoCのEC市場規模拡大

メルカリなどのフリマサイトの普及により、誰でもスマホで気軽にネットショッピングができるようになりました。
そのため、BtoCだけでなく、CtoC(個人間取引)のEC市場規模も拡大しています。

メルカリやヤフオクなどCtoCのEC市場は伸び率も高く、これからさらに拡大していく見込みです。

スマホ利用者のユーザビリティ向上

現在、ECサイト利用者の過半数がスマホユーザーです。
したがって、これからECサイト・モールを構築・運営する場合はスマホ利用者でも見やすいレスポンシブデザインのサイトにする必要があります。

パソコン向けに設計されたWebページはスマホでは非常に見づらいため、スマホ利用者が使いやすいサイトの構築が必須です。

キャッシュレス決済のセキュリティ強化

日本でEC化が進まない要因としてキャッシュレス化が進まないことが挙げられます。
その背景には、クレジットカードの個人情報流出事件が相次ぎ、消費者がキャッシュレス化に慎重になっているという事情があります。
したがって、今後はキャッシュレス決済のセキュリティ強化が求められます。

日本はEC化が遅い

日本には現金主義が根付いています。
また、ネット販売に踏み出せない古い企業も多いです。
そのため、日本のEC化は非常に遅れています。

2017年時点では日本のEC市場規模は世界4位でしたが、このままではあっという間に圏外になるでしょう。
日本でEC化を進めるにはIT人材の育成が必須だと言えるでしょう。