eコマースという言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。eコマースとは、Electronic Commerceのことで、ECとも呼ばれています(日本語では電子商取引といいます)。簡単に言うと、インターネットを通じて商品やサービスを売買することです。
eコマース市場は現在拡大中で、今度もその傾向は続くと考えられています。
今回は、そんなeコマースについてご紹介しようと思います。
Contents
現在の日本のEC化率を見ておこう
eコマースの浸透度合いを測る指標にEC化率というものがあります。EC化率とは、商取引全体の中でeコマースの占める割合を算出したものです。
日本のBtoC市場のEC化率
経済産業省の「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」を見れば、日本のEC化率を知ることができます。
参考:平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
これによると、2018年における日本の物販分野のEC化率は6.22%です。
日本のBtoB市場のEC化率
同じ資料によると、BtoB市場のEC化率は30.2%となっています。見た目上は、BtoCよりもEC化が進んでいることになります。
ただ、この数字にはEDI(Electronic Data Interchange)が含まれていると考えられます。EDIというのは、企業間の受発注や決済に関するデータをやり取りして自動化する仕組みのことです。EDIは特定の取引先企業とのデータのやり取りに留まりますから、これを電子商取引に含めてEC化率を算出することには疑問もあります。
日本のEC化率にはまだ伸びる余地がある
BtoC、BtoBを通じて、日本のEC化率はまだまだ伸びる余地があると考えられます。
コロナウイルスの影響がどのように表れるのかは今後の調査結果を見てみなければ分かりません。しかし、それでもEC化はさらに進むことになるでしょう。これから売上を伸ばしていくためには、eコマースを重視していく必要があるのです。
国別のEC市場シェアでの日本の位置は?
同調査には国別で比較したEC市場のシェアについての記載もあります。
これによると、第1位が中国の55.8%、次いでアメリカの17.0%が続きます。日本は英国に続く4位で、シェアにすると3.2%です。
これを見ても、日本のEC市場はまだまだ成長の余地があるといえそうです。
eコマースの近年の動向を分析
ここからは近年のeコマースの動向について解説します。
スマホ経由のユーザーが増加
近年は、eコマースをスマホ経由で利用する人が増えています。
ニールセンが2020年7月7日に発表したレポートによれば、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングを利用している人の80%近くがモバイル端末からアクセスしているとのことです。
今後は、スマホで閲覧しやすいかどうかがネットショップをデザインする上で重要になると言えるでしょう。
SNSとeコマースの連携が重要に
スマホ経由の利用者が増えていることから、eコマースをFacebookやInstagramなどのSNSと連携させる重要性が増しています。
SNSで直接商品を販売する予定がなくても、お客様との接点を保つツールの1つとしてSNSはとても大事なものになっています。
情報発信の手段としてSNSをまだ利用していない場合は、すぐにでも導入を検討すべきでしょう。
越境ECが成長の鍵に
越境ECとは、国境を越えたEC取引、つまりインターネットを通じた海外との取引のことをいいます。
国内のEC市場も発展の余地がありますが、世界に目を向ければさらに大きな市場が広がっています。そして、越境ECをサポートしてくれるサービスも増えているので、以前よりも越境ECに挑戦しやすい環境になっていると言えるでしょう。
コンテンツマーケティングの必要性が高まる
コンテンツマーケティングというのは、サイト内のコンテンツを充実させることでユーザーを集め、最終的に商品の購入に繋げようとする手法のことです。コンテンツというのは、中身や内容といった意味です。
一方、Googleが導入するRankBrain(ランクブレイン)に代表される、検索者が本当に必要な情報が掲載されたサイトを検索結果の上位に表示する仕組みが構築されつつあります。
このような環境の下では、サイトの閲覧者数を増やすためには、サイトの内容(コンテンツ)を充実させて、「消費者が知りたい情報が載っているサイト」を作る必要があります。単に商品の宣伝のみを目的としたサイト作りは時代遅れになりつつあるのです。
売る側・買う側双方にメリットがあるeコマース
eコマースには、商品を売る側にも、買う側にもメリットがあります。ここでは、eコマースのメリットについて確認しておきましょう。
商品を売る側のメリット
商品を売る側のメリットは、土地に縛られることなく商売ができることです。国内だけで考えても、eコマースなら、地方在住者でも大都市圏のお客様を相手に商売ができます。
また、実店舗を開業する場合よりも費用が少なくて済むのも大きなメリットです。
加えて、メルマガ等を使ったお客様とのコミュニケーションも簡単にできるので、固定客を増やしやすくなっています。
商品を買う側のメリット
商品を買う側にとっては、いつでも商品が買えることが大きなメリットです。実店舗の場合のように営業時間を気にする必要がありません。
もちろん、実店舗と比べて移動時間がかかりませんし、重い荷物を持ち帰る必要もありません。数多くの商品から好きなものを自由に選べますし、価格を比較して最安値を付けている店舗を探し出すのも簡単です。
eコマースを活用している業種
ここからは、eコマースを活用している業種を4つご紹介します。
自社製品を売るメーカー
これは、メーカーが自社製品を直接ユーザーに販売するためにECサイトを運営するケースです。
メーカー自身が商品を販売する場合、ECサイトのみで販売することは少なく、多くは既存の流通網と併用することになります。時には、既存の流通網に対する配慮から、価格設定が自由に行えない場合もあります。
実店舗からネットに販路を拡大した流通系
小売業の実店舗を経営していた企業が、販路を広げるためにECサイトを開設するケースもあります。家電量販店やドラッグストアから、百貨店やスーパーまで、実店舗と同時にECサイトも手がけている企業はたくさんあります。
消費者側にとっては、流通系企業が運営するECサイトは商品の品揃えが豊富なだけでなく、実店舗と比較しても価格が安いケースが多いため、魅力的なものとなっています。
従来型の通販からネット通販に進出した通販系
ここでいう従来型の通販とは、カタログ通販やテレビショッピングなどのことで、これらインターネットが普及する以前から存在する通販系企業がネット販売を始めるケースもあります。
通販系企業は、既に流通網や顧客データを持っていることもあって、スムーズにeコマースに参入しています。
当初からECに特化したプラットフォーム系
プラットフォームとは、「土台」という意味です。EC業界では、企業と消費者を繋ぐ場を提供している企業のことをプラットフォーマーと呼びます。Amazonや楽天市場などが、その代表例です。
プラットフォームを提供している企業は、基本的にネット上だけで事業を行っているので、既存の業界とのしがらみがなく、新しいオンラインマーケティング手法を導入しやすいのが特徴です。
eコマース業界に求められる職種と能力
業種の次は、eコマース業界に求められる職種と能力(スキル)について見ていきましょう。
販売戦略を立てるマーケティング部門
マーケティング部門では、集客をどのように行うかが大きなポイントになります。新規顧客の開拓と同時に、既存客をリピーターとするための施策も考えなければなりません。
そのためには、様々な広告サービスについて一通りの知識を有していることが望ましいといえます。データ分析の手法も身につけておきたいところです。
具体的な集客方法は、業種によって変わります。流通系なら既存の実店舗との連携を考える必要がありますし、通販系なら従来型通販の顧客に対してオンラインならではのメリットを提示する必要があるでしょう。プラットフォーム系なら、プラットフォーム全体としての集客の視点に加えて、出店している店舗と足並みを揃えることも配慮しなければなりません。
サイトのデザインを担当するクリエイティブ部門
サイトのデザインを担当するクリエイティブ部門に求められるものも、企業によって異なります。
メーカー系のサイトデザインを担当する場合は、売上増よりもメーカーのブランドイメージを高めることに重きを置く必要があります。一方、アパレル系のサイトであれば、見た目の華やかさが売上に直結する傾向にあります。こういったサイトでは、おしゃれなデザインであることが好まれます。
サイトを日々管理する運営部門
運営部門の業務は極めて多岐にわたります。例えば、商品の仕入れ・在庫管理・商品発送に関する事務作業だけでなく、お客様からのクレームにも対応しなければなりません。
サイトの運用状況を把握して適切に対応することが求められるので、eコマースに関する全般的な知識が必要です。他社や業界の動向もチェックしておかなければなりません。
マーチャンダイジング部門
マーチャンダイジング(MD)は、マーケティングよりも下流の商品構成や価格設定、販売計画の立案などを行います。企業によっては独立した部門になっていないことも多いでしょう。
eコマース業界でチャンスをつかもう
eコマース業界に関して解説してきました。
日本経済が不調な中にあっても、eコマース業界は順調に成長を続けています。
この記事を読んでeコマース業界に興味を持った方は、ぜひ、この業界に飛び込んでみてください。